BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ57


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。
このサイトに「BITTER WINTER」の主任編集長を務めるマルコ・レスピンティ氏が「メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし」と題するシリーズ記事が掲載された。その内容は2024年12月に国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が主催した講演ツアーにおける彼のスピーチである。私は彼の同時通訳を担当した。このたび、マッシモ・イントロヴィニエ氏とマルコ・レスピンティ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし3 団体の解散は自由の解体

01/03/2025 Marco Respinti

被害者が加害者として描かれると、巨大な不正は露骨な不条理となる。しかし、それは現代の日本で起こっている。

マルコ・レスピンティ

4つの記事の3つ目。1つ目の記事と2つ目の記事を読む。

※本論文は、「日本の信教の自由と民主主義の危機」と題し、国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が2024年12月に企画・主催した会議において、さまざまなバージョンで発表された。この会議では、著者が日本で講演ツアーを行い、6日に広島文化交流会館、8日にビジョンセンター東京京橋、9日に名古屋市のNiterra日本特殊陶業市民会館、10日に福岡のアクロス福岡で講演した。

福岡で講演するマルコ・レスピンティ。2024年12月10日

私たちはついに問題の核心に到達しました。暗殺者山上が犯罪行為に至ったのは、日本で広まっている統一教会・家庭連合に対するヘイト・キャンペーンに従ったからです。

暗殺者の教会に対する憎悪は、反統一教会活動家によるヘイトスピーチによって煽られたのです。実際、特定の宗教やスピリチュアルな信仰に対する憎悪と恐怖の雰囲気を醸し出し、中傷するプロセス全体における自分たちの責任を隠すために、これらの活動家や「カルト」ハンターたちは、事実を劇的にひっくり返すことに成功したのです。彼らは被害者を加害者に仕立て上げました。安倍氏の事件とその余波において、実際には統一教会が被害者であることは明らかです。

しかし、教会は加害者として描かれ、憂慮すべき結果を生み出しています。ゆがんだ論理は以下のように展開します。もし教会が、教会との曖昧なつながりを理由に著名な政治家を暗殺するほどにその男を激怒させたとしたら、山上の反応は過剰だったかもしれないが、その政治家は当然の運命をたどったのであり、教会が非難されるのは当然である。言い換えれば、その汚れた論理の結論は、暗殺者が実際に復讐を果たすことによって、最終的には日本社会に利益をもたらしたのだから、暗殺者に同情することは可能だ、というものです。

多くの人が心の中では密かにそう思っているのではないかと、私は恐れています。

ここで、もう 1 つだけ、さらに詳しく説明しましょう。確かに、安倍元首相の暗殺はそれ自体、かなり重大な犯罪ですが、中傷と嘘に基づく非難と憎悪の風潮の結果としてそれが起きたと考えると、非常に驚くべきことです。残念ながら、その風潮はまだ終わっていません。統一教会に対する疑惑のレベルは依然として高まっており、甚だしくは、新たな犯罪を引き起こす可能性もあります。

日本で非常に不当なことが行われているという印象を、私は強く受けています。被害者が加害者にされ、今度は他人の行為の代償を払わされようとしています。山上氏の犯罪行為は重大な結果をもたらし、その終わりはまだ見えていません。実際、家庭連合に対する彼の非難の言葉によって火が着いて一連の出来事が引き起こされ、結果的に2023年10月13日に日本政府は教会に対する宗教法人解散請求を出しました。日本では解散には裁判が必要であり、それは現在審理中です。それと並行して、その原因でもあり結果でもありますが、反カルトの弁護士たちは家庭連合に反対する古いキャンペーンをすべて刷新させ、ついでに他の保守的な宗教、特にエホバの証人をターゲットにしました。

2024年12月10日に福岡で行われた家庭連合信者の拉致監禁に関する展示会を訪れたマルコ・レスピンティ。

では、なぜ家庭連合を解散させなければならないのでしょうか? どんな罪を犯したのでしょうか? 家庭連合が安倍元首相を殺害したのでしょうか? もちろん違います。世界中の宗教の自由の擁護者を代表する12のNGOが2023年10月に日本政府の行動に抗議した際、「数十年前の出来事に言及した真実、半端な真実、そして全くの嘘を織り交ぜて」、家庭連合は現在、公共の利益のために解散させる必要がある『反社会的団体』にされてしまっている、と述べています。しかし、この事件はすべて誤った前提と、さらに誤った結論に基づいて構築されており、前述のNGOは家庭連合に対する解散請求を「民主主義国家ではなく、中国やロシアでの慣行を彷彿させる措置」と表現しています。実際、それは「罪状とは釣り合わないし、家庭連合の遵法行動とも一致しない。また、特定の弁護士や政治団体、メディアから不人気な他の宗教的マイノリティーに対して同様の行動を許す道を開くことになる」と述べています。

学者たちはすでに、このあからさまな不正を明らかにするために多大な貢献をしています。パトリシア・デュバルは弁護士であり、パリ弁護士会の会員でもあります。私の友人でもあり、殺人にまで至った深刻な宗教の自由の侵害について、私はジャーナリズムの視点から、彼女は法律の視点から、一緒に調査を行ったことがあります。彼女はフランスのパリにあるソルボンヌ大学で公法の学位を取得しており、国際人権法を専門としています。彼女は、国内および国際のフォーラム、そして欧州人権裁判所、欧州評議会、欧州安全保障協力機構、欧州連合、国連などの国際機関で、宗教的マイノリティーの権利を擁護してきました。

2024年9月25日、彼女は国連のさまざまな人物や機関に、日本における家庭連合の事案に関する報告書を提出しました。この報告書は「デュバル・レポート」として広く知られるようになりました。(有益な要約も出されています)。これは、この事件に関するこれまでで最も完全かつ詳細な分析であり、「ビター・ウィンター」はそれを掲載する栄誉に浴しました。

この「デュバル・レポート」は政治家と一般大衆向けに書かれたものです。デュバル氏はすぐに、この事件のより専門的な法的分析を提示する別の重要な文書を発表しました。「ビター・ウィンター」は、その文書も掲載する栄誉に浴しました。私は、この問題全体をより正当かつ法的に正確に理解するために、デュバル氏の出版物を皆様が読んで研究することを強く勧めます。

デュバル氏は、過去に家庭連合のメンバーが「拉致され、棄教を強要されたこと、すなわちディプログラミング」を指摘します。この状況により、教会は「最も基本的な権利に対する重大な侵害を暴露するため、国連のさまざまな人権機関に詳細な報告書」を送付せざるを得なくなりました。国連の自由権規約人権委員会が日本にこうした行為を終わらせるよう勧告した結果、2014年に東京高等裁判所が下した判決が2015年に最高裁によって確定し、その後はこの醜悪な現象は消滅しました。しかしそれは、(残念ながら韓国を除いて)他の民主主義国よりもずっと遅れてのことでした。

しかし、過去のディプログラミングの副産物として、脱会した家庭連合のメンバーは反カルトの弁護士から家庭連合を損害賠償で訴えるよう求められました。実際、訴えることを拒否した場合、彼らはまだ完全にディプログラムされていないと宣言され、再び監禁されました。これにより、家庭連合に対する民事上の不法行為訴訟が雪崩のように起こりました。

マルコ・レスピンティは、拉致監禁の被害者であった家庭連合のメンバーと面会した。福岡、2024年12月10日。

不法行為とは、もちろん、民事上の法的責任につながる不法行為または権利の侵害のことです。デュバル氏は、家庭連合に対して複数の不法行為訴訟を起こすことは、文字通り教会を破壊することを目的とした戦略の一部であり、宗教の自由に関する国際原則に違反する戦略であると断言します。デュバル氏はさらに、それにより、日本は自ら署名し批准した国連の規約と相容れない宗教の自由に対する制限を導入し続けていると述べています。

基本的に、民事上の不法行為訴訟はすべて、既に信用を失った洗脳理論に基づいています。反カルトの弁護士に指導された原告が、家庭連合への入会や献金を「強制された」と報告する場合、暴力や銃口で強制されたという意味ではありません。原告らは、自発的に入会して献金したことを認めており、その当時は非常に道徳的かつ精神的な理由でそれらの行為を行ったのです。「ディプログラム」され、家庭連合に敵対する弁護士によって反カルトのイデオロギーを植え付けられた後になって初めて、原告らは、自分たちの選択が実際には自由ではなく、「洗脳」の結果であったということを、さかのぼって「理解」したというのです。

米国および欧州人権裁判所では、判事らは既に20世紀から、「洗脳」は科学的に認められた概念ではなく、法廷で用いることはできないとの結論を下しています。世界で最も権威のある大学出版局の一つであるケンブリッジ大学出版局が2022年に出版した、このテーマに関する決定的な要約として称賛されている本の中で、私の同僚であり友人でもあるイタリア人のマッシモ・イントロヴィニエ(新宗教研究センター=CESNURの創設者兼専務理事であり、「ビター・ウィンター」の編集長でもある)は、「カルト」が「洗脳」を用いるという考えは、学者や法廷によって何度も反証されているため、今日では地球が平らであるという理論と同じくらいの信憑性しかないと結論付けています。しかし、フランス、そしてどうやら日本も、それを法律、規制、法的措置の根拠として用いることで、国際的な学者たちによる嘲笑に逆らっているようなのです。

2つ目のポイントは伝道活動についてです。日本では、「宗教または信条の自由」の内容と、「宗教または信条の自由」を保護する国際条約に署名し批准した結果として、日本が自ら引き受け、尊重すべき義務について、誤解が広がっているようです。日本では、家庭連合に対する措置は「宗教または信条の自由」を脅かすものではない、と主張されることがあります、なぜなら宗教法人が解散しても、家庭連合の信者は家庭内や私的な活動においては自分が信じたいものを信じる自由があるから、と言うのです。これは「宗教または信条の自由」に関する誤った考えであり、中国やロシアなどの全体主義政権が自分たちを正当化するためにしばしば言うことと同じです。国際条約で定義されている「宗教または信条の自由」は、個人の権利であると同時に社会的権利でもあります。それには公に礼拝する権利、財産を所有する権利、寄付を募る権利、伝道活動を行う権利が含まれるのです。

日本は、家庭連合(およびエホバの証人などの他のグループ)の場合、伝道は「洗脳」と入会候補者の恐怖心を利用していることに基づいているため、「反社会的」であると主張しています。パトリシア・デュバルが立証したように、伝道する権利のこうした制限は国際法と矛盾するだけでなく、すべての宗教に簡単に当てはまるかもしれません。ユダヤ教徒とキリスト教徒の経典である旧約聖書の「詩篇」111篇には「主を畏れることは知恵の初め」という一文があります。「ウルガタ」として知られるラテン語訳聖書では“Initium sapientiae timor Domini”となります。理想的には、神への愛を動機として善行を行うべきでしょう。しかし、詩篇の作者は人間の本質を知っており、多くの人が少なくとも最初は「神への畏れ」のために悪を行うことを控え、善を行うということを理解していました。これは正常であり、「知恵の始まり」でさえあるのです。あくまで始まりに過ぎないわけではありますが。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ56


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。
このサイトに「BITTER WINTER」の主任編集長を務めるマルコ・レスピンティ氏が「メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし」と題するシリーズ記事が掲載された。その内容は2024年12月に国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が主催した講演ツアーにおける彼のスピーチである。私は彼の同時通訳を担当した。このたび、マッシモ・イントロヴィニエ氏とマルコ・レスピンティ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

メイド・イン・ジャパン:家庭連合の信教の自由なし2 「カルト」という誤った概念を見直す

01/03/2025 Marco Respinti

定義も境界もないこの言葉を、ほとんどの学者は放棄した。それは「他者」を非難するための蔑称としてのみ使われている。しかし、日本では今でも使われている。

マルコ・レスピンティ

4つの記事の2つ目。一つ目の記事を読む。
※本論文は、「日本の信教の自由と民主主義の危機」と題し、国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が2024年12月に企画・主催した会議において、さまざまなバージョンで発表された。この会議では、著者が日本で講演ツアーを行い、6日に広島文化交流会館、8日にビジョンセンター東京京橋、9日に名古屋市のNiterra日本特殊陶業市民会館、10日に福岡のアクロス福岡で講演した。

名古屋で講演するマルコ・レスピンティ。2024年12月9日

統一教会は、1954年に文鮮明師(1920-2012)によって韓国で創設された新宗教運動です。日本をはじめ、多くの国で大きな成功を収めています。日本では、オウム真理教と呼ばれる別の宗教団体が、1995年に東京の地下鉄でサリンガスを使った致命的なテロ攻撃をはじめ、いくつかの犯罪を起こして以来、新宗教運動、そして時には宗教全般が問題視されるようになりました。

オウム真理教によるこれらの犯罪行為は、「カルト的」「狂信的」と呼ばれる信仰に対する民衆の敵対感情を引き起こしました。しかしそれは悪意や無知に基づくもので、ほとんどの場合、それらのグループはまったく平和的であったとしても、しばしば暴力と結び付けられました。これは新しくて、無名で、小さなグループやスピリチュアルな団体に当てはまります。私がいま言ったこれら三つの要素が必ずしも同時に成り立つとは限りません。小さくても有名な「新宗教」は存在しますし、その逆もあり得るからです。

新しくて、有名でない、または小規模な宗教団体も、「カルト」と呼ばれることがよくあります。いわゆる反カルト運動の活動家は、自分たちの運動は「カルト」のみに反対していると主張します。しかし、実際には、これは常に真実であるとは限りません。宗教全般に対する反感は、「カルト」対策から始まるかもしれませんが、すぐに一般化されます。これは、「カルト」自体が問題のある概念であるためです。これは科学的な言葉ではなく、ほとんどの学者は使用を控えています。その意味と境界が明確でないため、この言葉は物事を単純化するよりもむしろ複雑化します。実際のところ、「カルト」と「真っ当な」宗教を区別するものは何でしょうか。誰が、どのような基準に基づいて、線引きするのでしょうか。一連の法令や世俗国家が、その精神性をほとんど理解していないグループの複雑な神学や、典礼や、歴史に介入できるのでしょうか。

「カルト」という言葉は、実際には常に侮蔑的な意味を持ち、個人、組織、機関、または国家が嫌うライバルや人々を指すために使われます。それは常に「他者」を指し、何の証拠もなく人々やグループに向けられます。要するに、「カルト」という言葉の意味は常に、ある宗教的またはスピリチュアルなグループと敵対関係にある個人、組織、機関、または国家が決定するのです。

また、「カルト」は「被害者」を支配するために「洗脳」を行っていると非難されていますが、この概念は、西洋の新宗教運動を研究する大多数の学者や、米国やその他の国の裁判所によって疑似科学であるとして広く否定されています。しかし、これは日本ではあまり知られていないようで、メディアで広まっている「反カルト」の言説に対して学者コミュニティの大部分が反対していることもあまり知られていません。実際、日本ではそのような反応は見られず、ほとんどの宗教学者は、オウム真理教を無邪気に支持していた一部の学者に起こったように、「カルト」と関係付けられることでキャリアが危険にさらされることを恐れています。

また、日本の反カルト運動がまったく何もない所から生まれたわけではないことにも留意しなければなりません。その歴史的背景をここで詳しく説明する時間はありませんが、フランス革命以降、フランス政府は宗教全般、特に制御が難しいとみなす宗教的マイノリティーに対して疑念を抱いてきました。

ジョセフ・フランソワ・シュヴェバッハ(1769-1823)「フランス革命中に冒涜され略奪された教会」Credits.

フランスには、「カルト」と闘い、さらには反カルト・イデオロギーを国際的に推進することを任務とする政府機関があるのです。「The Journal of CESNUR」は、これらの機関と「カルト」に敵対する日本の弁護士たちが、1990年代から会合を始めたことを記録しています。また、日本のジャーナリストである福田ますみ氏の優れた論考の英訳を掲載することにより、これらの弁護士たちの動機が「カルト」を訴えて簡単に金儲けしようという貪欲さにだけあったわけではないという観点も提示しています。彼らのほとんどは社会主義者や共産主義者であり、反共運動で成功を収めていた日本の特定の新宗教、すなわち当時統一教会と呼ばれていた家庭連合を標的にしたかったのです。

安倍元首相の暗殺事件に話を戻しましょう。現場で直ちに逮捕された犯人の山上は、すぐに地元警察に殺人を公然と自白しました。安倍元首相の死亡が公式に宣告されると、山上は正式に殺人罪で告発されました。その後数か月の間に、彼に対する告発はさらに増え、2023年3月30日現在から今日まで、自白した暗殺者に対する告発は合計4件に達しました。同様の過去の事件では終身刑に減刑されたケースもありますが、山上は死刑になる可能性もあります。

ここで注目すべき点が一つあります。殺人犯の山上は、安倍首相の政治的志向、思想、政党に敵対する気持ちはなく、彼の暗殺の理由は直接的にも間接的にも、政治とは関係がないと明言しています。山上は、自分が安倍氏の政治的見解や政策に共感するかどうかは別として、この国の有力な指導者である無実の男性を殺害したのは、統一教会・家庭連合に対する深い恨みと憎悪からであると、明白に述べました。

実際、山上は以前、文鮮明師の未亡人で統一教会の共同創設者である韓鶴子(???)総裁を殺そうとしていたが、彼女に近づくことが困難だったため断念したと供述しました。そこで、彼は統一教会に賛同していることで知られる政治家の安倍氏に標的を変えました。山上は統一教会の信者ではありませんでしたが、彼の母親は信者であると言われています。山上は、教会への過度な献金のために母親が破産し、それが彼と兄弟を飢えに追い込み、弟を自殺に追い込み、彼自身も自殺を試みたと主張しました。

殺人事件から2年以上が経ちましたが、事件には多くの謎が残っています。しかしここで重要なのは、結果として、暗殺者の裁判は未だに始まっておらず、判決も下されていない一方で、家庭連合は被害者ではなく加害者であるかのように、非難にさらされているということです。犯罪者ではなく、家庭連合が罰せられているのです。安倍首相は高い代償を払ったし、家庭連合も高い代償を払っていますが、問題の元凶はあくまでも暗殺者なのです。彼以外の誰も、この凶悪犯罪の責任を負わされるべきではありません。しかし、既に申し上げたように、それとは逆のことが起きているのです。

全体的に論理がゆがんでおり、それは4つの要点にまとめることができます。

まず、暗殺者は統一教会や家庭連合の会員ではなかったし、これまでもそうであったことはないということをもう一度繰り返しておきます。

第二に、彼の母親は2002年に破産宣告をしましたが、彼女の義理の兄が苦情を申し立てた結果、教会員2人が献金の半額を分割で返還しました。

第三に、多くの統一教会・家庭連合の信者が安倍氏を支持し、選挙で投票したことは疑いありませんが、安倍氏自身は統一教会・家庭連合の会員ではありませんでした。安倍氏は統一教会の創設者が創設したNGOであるUPFのイベントに、2021年にオンラインで参加し、2022年にはメッセージを送りました。しかし、アメリカの大統領を務めたドナルド・トランプ氏、欧州委員会の元委員長であるジョゼ・マヌエル・バローゾ氏とロマーノ・プロディ氏、その他さまざまな信条の政治家数十名が同じことをしたのです。私自身も似たようなイベントに出席し、さまざまな立場の政治家のスピーチやメッセージを聞いたことがあります。

第四に、なぜ暗殺者は20年前の2002年に母親が破産したにもかかわらず、2022年に安倍氏を殺害したのでしょうか? 私はもちろんこの犯罪について反カルト運動を非難するつもりはありませんが、「The Journal of CESNUR」は、山上が暗殺前の数年間に反カルトのインターネットフォーラムに参加し始め、それが彼の弱い心を刺激した可能性があることも記述しています。

安倍氏への銃撃後に逮捕される山上。スクリーンショット。

こうした要素を考えると、少なくとも状況は不透明だと言えるでしょう。

これらの4つの点から明らかになることは、一部の西洋の学者が示唆しているように、安倍氏を殺害した山上は、歴史上最も成功した政治的暗殺者の一人であるということです。山上が明言しているテロの目的は、家庭連合を問題にして、できれば壊滅させたいということでした。多くの場合、政治的暗殺は裏目に出て、犯罪者はその目的を達成できませんが、現時点では山上は驚くほど成功しています。もちろん、彼が成功しているのは、いくつかの嘘で犯罪を曖昧にしているからです。

もちろん私は山上氏の検察官ではありませんし、そうなるつもりもありません。この名誉ある国の法廷に何かを期待しているわけでもありません。私はただ観察者、記者として自分の仕事をしようとしているだけです。私が「嘘」という言葉を使ったのは、山上が主張する家庭連合の罪という話は明らかに虚偽であり、その事実はさまざまな方法で証明できるからです。今日の私たちの議論のため、そして何よりも真実のために、私はいま、この暗殺者が誤った結論に至った心理的メカニズムについて少し考えたいと思います。

前述のように、暗殺者が犯罪を犯した理由は、統一教会の教えが、彼が非難する行動に彼の母親を導いたためであり、それゆえに統一教会とそれに賛同した政治家さえも罰する必要があると彼は判断しました。基本的に、暗殺者は統一教会・家庭連合を邪悪な「カルト」だと考えています。

この言葉を定義した国際的な反カルト運動にとって、統一教会は典型的な、そしてステレオタイプ的な「カルト」だったことは確かです。辞書に載っている「カルト」の定義は統一教会には当てはまりません。しかし、反カルト運動が日本を含む世界を乗っ取り、「カルト」に関する独自の定義とリストをメディアに押し付けているので、こうした興味深いけれども、政治的には不適切な状況が起きているのです。 欧米では、学界、裁判所、そして少なくとも一部の良質なメディアは、この侮蔑的で差別的な用語を放棄しています。しかし、日本ではそうではないようです。2022年12月13日、欧州人権裁判所は、これまでの判例を大幅に修正し、「トンチェフ他対ブルガリア」の判決において、国や地方自治体は、公文書やキャンペーンで宗教的マイノリティーを差別するために「カルト」という言葉やその他の類似表現を使用することはできないと判示しました。その言葉が本質的に差別的であり、暴力を生み出す可能性もあるからです。私が知る限り、大きな国際的関心を呼んだこの判決も、日本ではほとんど議論されたことがなく、言及されることさえありません。この国では、当局が宗教的マイノリティーを「カルト」や「反社会的」組織と呼んで差別するという、危険な道を歩み続けているようです。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e3%83%a1%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%bb%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%bb%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83%91%e3%83%b3%ef%bc%9a%e5%ae%b6%e5%ba%ad%e9%80%a3%e5%90%88%e3%81%ae%e4%bf%a1%e6%95%99%e3%81%ae%e8%87%aa%e7%94%b1/?_gl=1*ogjotm*_up*MQ..*_gs*MQ..*_ga*MzQ5NzU5NDgyLjE3MzYwNjk0NDU.*_ga_BXXPYMB88D*MTczNjA2OTQ0NC4xLjEuMTczNjA2OTQ1Ny4wLjAuMA..&gclid=CjwKCAiA-Oi7BhA1EiwA2rIu20TTYmPbDf2umuBZYHKj0P_1KGW9jk5J0Sx3RiKLY61AWBGqLw1vyBoCz_EQAvD_BwE

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ55


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。
このサイトに「BITTER WINTER」の主任編集長を務めるマルコ・レスピンティ氏が「メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし」と題するシリーズ記事が掲載された。その内容は2024年12月に国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が主催した講演ツアーにおける彼のスピーチである。私は彼の同時通訳を担当した。このたび、マッシモ・イントロヴィニエ氏とマルコ・レスピンティ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし1 最初の政治的人権の否定

01/03/2025 Marco Respinti

信教の自由とは、信じるか信じないかの自由だけではなく、信じるか信じないかに応じて人生を生きる自由でもある。しかし、日本ではそれが制限されている。家庭連合の事例。

マルコ・レスピンティ

4つの記事の1つ目。

東京で講演するマルコ・レスピンティ。2024年12月8日

※本論文は、「日本の信教の自由と民主主義の危機」と題し、国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が2024年12月に企画・主催した会議において、さまざまなバージョンで発表された。この会議では、著者が日本で講演ツアーを行い、6日に広島文化交流会館、8日にビジョンセンター東京京橋、9日に名古屋市のNiterra日本特殊陶業市民会館、10日に福岡のアクロス福岡で講演した。

国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会から、この美しい国を再び訪問するという光栄な招待を受け、心から感謝しています。2024年7月22日、私は「信教の自由と民主主義の未来」というテーマで集まったICRF日本委員会の総会でスピーチをするという栄誉に浴しました。私はそれ以前にも、美しい日本の国を訪問する機会がありました。今回、ICRFから、日本の4カ都市で、再び「日本の信教の自由と民主主義の危機」というテーマで、講演ツアーを行うよう依頼されました。これは、この問題がまだ継続している証拠です。私にとってこの数日間は、同じテーマについて講演している仲間、友人、弁護士、専門家、活動家、その他の講演者たちから、日本と信教の自由についてさらに学ぶ素晴らしい機会です。

まず、日本とその歴史、文化に対する深い共感と尊敬の気持ちを表明したいと思います。また、活気ある民主主義国家としての日本を尊敬しています。日本は多くの苦しみを経験してきた国です。その中には他の国々が幸運にも逃れることができた、前例のない大惨事も含まれています。

私は外国人であり、日本語を話すことはできません。私は客人であり、もちろん日本を裁く資格はありませんし、そうするつもりもありません。しかし、一つだけ確実に知っていること、そして普遍的なことがあります。それは、健全な社会の極めて重要な要素であり、真の民主主義の特徴は、すべての人に対する宗教、信念、信条の自由であるということです。国際条約ではこれをFoRB、「宗教または信条の自由」と呼んでいます。これは実際に重要です。厳密には「宗教」とは言えない実践であっても、それは「信条」の表れであり、したがって「宗教または信条の自由」によって保護されています。私はこの声明をさらに推し進めたいと思います。すべての人に対する「宗教または信条の自由」は、最初の政治的人権であり、それは生存権に次いで重要な権利なのです。

人間は創造主によって、ある侵すべからざる権利を与えられています。第一は生存権です。生命がなければ人間は存在しません。第二は、人生で最も重要な疑問に自由に答える権利です。それは神が存在するかしないかに関する疑問です。ここでいう神とは、至高の存在、秩序の原理、究極の宇宙の力、どんな名前をつけてもいいと思います。人間がその決定的かつ最終的な疑問に自由に答えられるとき、究極的な意味で、実際に本当に自由なのです。

信教の自由とは、信じるか信じないかの自由だけでなく、それに従って人生を生きる自由でもあります。信じるか信じないかは、人生をどう生きるかに直接関わります。それは(誰もその権利を制限できない)私的な領域だけでなく、公的な領域にも関わります。私がすべての人のための「宗教または信条の自由」を、人間の基本的権利であるだけでなく、最初の政治的権利として定義するのはこのためです。「ポリティクス」すなわち政治、という言葉は古代ギリシャ語の「ポリス」から来ていて、それは「公的な領域」を意味します。

モーゼス・ジェイコブ・エゼキエル(1844-1917)、宗教の自由の像、フィラデルフィア、Credits.

さらに、「宗教または信条の自由」から、その他すべての人権が生まれます。実際、人間にその究極的で決定的な、個人的かつ公的な疑問に答える自由が与えられれば、それに従って生活し、それが含意するすべての自由と権利を享受することができます。表現の自由、結社の自由、教育の自由は、重要な個人的・公的権利ではありますが、本来それらは「宗教または信条の自由」の次に列挙されるべきものであり、そこから派生したものであるとさえ主張することができます。

したがって、「宗教または信条の自由」はすべての人間に関わるものであり、健全な社会の主役となり、民主主義の真の建設者となるべきものです。「宗教または信条の自由」は、直接的または間接的に、常にあらゆる場所で問題になっています。それは人類の歴史を通じてそうでした。「宗教または信条の自由」が人々の公的生活のあり方やその他すべての人権に直接的または間接的な影響を与えたために、社会や帝国、国家や政治共同体が、建設と破壊、発生と消滅を繰り返してきたのです。

もう一度はっきり言わせてください。「宗教または信条の自由」は常にすべての人に関わるものです。それは個人レベルだけでなく、社会全体、そして全人類に関わるものです。たった一人でも「宗教または信条の自由」を十分に享受できない人間がいれば、その損失の結果はすべての人間に及ぶことになります。これは、宗教の自由の問題がすべての問題の中で最も深刻な問題であることを示しています。

学者たちは、「宗教または信条の自由」は、今日の世界で最も脅かされている人権であるとしています。

「宗教または信条の自由」は、あまりにも多くの国で脅かされています。そこでは、憎悪、イデオロギー、権力欲によって、社会的一体性、平和、調和が損なわれています。私たちはそのような国を、非民主主義国家と呼んでいます。私たちは、その国の政治体制がどうあれ、民主主義というものを以下のように理解しています。それは当局が「ポリス」における生活に人々が参加し、共通の善を目指していけるように、権力を適切に行使することなのです。

しかし残念なことに、民主主義国家であっても、国民の「宗教または信条の自由」が縮小される可能性があり、実際に縮小されています。迫害は、財政レベル、行政レベル、組織レベル、文化レベルなど、さまざまな形で現れる可能性があります。「宗教または信条の自由」を制限または否定する民主主義国家は不完全な民主主義国家です。それらは実質的な改革が必要です。

信教の自由の侵害に反対する国連。1960年代のポスターからAIが作成したもの。

私たちは、日本でも今日、「宗教または信条の自由」が縮小、あるいは脅かされていると理解しています。

信教の自由を専門とするオンライン日刊誌「ビター・ウィンター」では、私が主任編集長を務める栄誉に浴しており、この立場で私は、この国でこの問題について学び議論し、懸念を抱く観察者としてこの雑誌に寄稿してきました。「ビター・ウィンター」はここ数年、日本における信教の自由の困難を取り上げてきました。2022年7月8日に奈良県橿原市で安倍晋三氏(1954-2022)が暗殺されて以降、その困難は大幅に増大しました。

2006年から2007年、そして2012年から2020年まで日本の首相を務めた安倍氏は、元海上自衛隊員の山上徹也(41歳)に射殺されました。この悲劇的な事件の後、現在は世界平和統一家庭連合と呼ばれている統一教会をめぐる論争が始まりました。このスピーチでは、今後はこの教団の名称を単に「家庭連合」と呼ぶことにします。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e3%83%a1%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%bb%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%bb%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83%91%e3%83%b3%ef%bc%9a%e5%ae%b6%e5%ba%ad%e9%80%a3%e5%90%88%e3%81%ab%e4%bf%a1%e6%95%99%e3%81%ae%e8%87%aa%e7%94%b1/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ54


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。このサイトにフランスの弁護士であるパトリシア・デュバル氏の二つの報告書「法的分析」が掲載された。このたびマッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

日本における統一教会訴訟:法的分析5:伝道活動と献金勧誘の権利

11/15/2024 Patricia Duval

伝道活動を行い、献金を募る権利は、宗教または信念の自由の不可欠な要素である。これを不当に制限することは国際法に違反する。

パトリシア・デュバル著*

5つの記事の5つ目。

家庭連合・統一教会に対する解散命令請求訴訟を起こした文部科学省(東京)への入口。Credits.

自らの信仰を広め、伝道する権利は、宗教的信仰を表明する権利に内在する権利であり、保障されることを、ここで強調する必要がある。

宗教または信念の自由に関する特別報告者であったハイナー・ビーレフェルトは、人権理事会への2012年中間報告書の一部を「非強制的な説得によって他者を改宗させようとする権利」に充て、「一部の国は、コミュニケーションによる啓蒙活動に厳しい立法上または行政上の制限を課している。こうした事態は、それ自体が宗教または信念の自由の不可分な一部を構成している非強制的な説得によって他者を改宗させようとする権利を不当に制限する可能性がある」と報告した。(太字強調は筆者)

特別報告者はさらに、「こうした制限の多くは、甚だしく差別的な形で概念化され、実施されている」とし、「一般的に布教活動に従事しているという評判の宗教団体の会員はまた、妄想にまでエスカレートし得る社会的偏見に直面する可能性すらある」と述べた。(2012年8月13日付 A/67/303、太字強調は筆者)

文科省が解散命令請求の根拠として引用した32件の不法行為事件のうちの一つである平成15年5月13日付東京高等裁判所の判決は、以下のように判示した:「原告らを段階を踏んだセミナー(修練会)やトレーニング等に参加させ、統一原理に対する理解を徐々に浸透させ、さらには教義の実践と称して具体的な伝道活動や経済活動に従事させ、その過程で自らが勧誘された過程や、自らが現に行っている活動に多少の疑問を呈するようになっても、信仰を止めることによって自己及び家族の現世での救済が得られなくなるという心理を持たせることによって統一協会からの離脱を困難にする契機を有するものであったということができる。」(東京高等裁判所〈6頁〉は新潟地裁平成14年10月20日〈147頁〉を支持、太字による強調は筆者)

前述の通り、地獄や救いの概念は伝統的な宗教にも見られるものであり、これらの信仰によって宗教を離れることが困難だとしても、信仰の伝播における強制にはならない。

罪人を地獄に送ろうとする悪魔。北マケドニア、クリヴァ・パランカのオソゴヴォ修道院のフレスコ画。撮影: マッシモ・イントロヴィニエ。

統一教会信者が新規来訪者をセミナーや研修セッションに招き、「教義である統一原理に対する理解を徐々に浸透させる」ことが、「非強制的な説得」に該当し、正当な伝道活動であることは疑いようがない。

したがって、これらは自由権規約第18条の下で、宗教や信念の表明の一部として保障されている。

また、宗教機関を設立・維持するために献金を募る権利も同様である。

国連総会は1981年11月25日、「宗教または信念に基づくあらゆる形態の不寛容および差別の撤廃に関する宣言」において、この権利を明示した。(国連総会決議36/55)

宣言は次のように述べている:「第6条(b):思想、良心、宗教または信念の自由の権利には、『適切な慈善または人道機関を設立し、維持する自由』が含まれる。第6条(f):思想、良心、宗教または信念の自由の権利には、『個人や機関からの自発的な財政的その他の貢献を求め、受け取る自由』が含まれる。」

したがって、統一教会の信者が教会の運営のために寄付その他の貢献を求めることは、強制や暴力を伴わない限り、完全に正当である。

実際、本件で暴力を行使したのは統一教会ではなく、信者を棄教させ、教会を訴えることによって脱会の証を立てるよう強制した強制的脱会説得専門家らだ。

裁判所は教会に対する判決において、偏見に基づき、献金勧誘を利益獲得動機だけに基づくものとし、信仰の伝播を精神操作の手段とみなし、献金勧誘対象者を欺くための隠れ蓑だと決めつけた。

2024年7月13日から15日にかけて、日本国内および海外合わせて130か所で、日本の信教の自由を求める街頭演説が家庭連合の信徒によって一斉に行われた。

そして、日本政府は文部科学省による解散命令請求を通じて、中立義務に違反し、統一教会信者の信仰表明の権利を、「社会的相当性」を欠くとして故意に侵害した。

結論として、詳述した理由により、文部科学省が提起した世界平和統一家庭連合に対する宗教法人解散命令請求は却下されるべきである。

同請求は多くの点で国際人権法に違反しており、基本的な権利・自由を保障するために日本が締結した条約を侵害するものである。

注:この法的分析は、著者が以前に「Bitter Winter」で5回に分けて発表したレポート「日本と統一教会:デュバル・レポート」と併せて読む必要がある:

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e8%a8%b4%e8%a8%9f%ef%bc%9a%e6%b3%95%e7%9a%84%e5%88%86%e6%9e%90%ef%bc%95%ef%bc%9a%e4%bc%9d%e9%81%93%e6%b4%bb/?_gl=1*1fj2zup*_up*MQ..*_ga*NDIzNDI4Mzc2LjE3MzQyMzI4Njg.*_ga_BXXPYMB88D*MTczNDIzMjg2Ny4xLjAuMTczNDIzMjg2Ny4wLjAuMA..

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ53


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。このサイトにフランスの弁護士であるパトリシア・デュバル氏の二つの報告書「法的分析」が掲載された。このたびマッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

日本における統一教会訴訟:法的分析4:偏向した不法行為判決

11/14/2024 Patricia Duval

政府は32件の民事訴訟を根拠としているが、その判決は統一教会に対する偏見に汚染されている。中には、ディプログラミングという犯罪行為を容認した判決もある。

パトリシア・デュバル著*

5つの記事の4つ目。

東京の文部科学省の旧庁舎 (手前) と新庁舎。Credits.

文部科学省が統一教会の解散を求める訴訟で依拠した32件の裁判所の判決には、審査手続きに明白な欠陥があり、公正な裁判を受ける権利を侵害している。

文科省が依拠する日本の民事裁判所の主な認定は、統一教会が地獄、因縁、贖罪の必要性について不安を煽ることで、献金勧誘行為の対象者に不当な影響を及ぼしたというものである。

文科省によれば、統一教会信者は、「原罪についての教義を教え」、献金者ないしその家族の因縁への「不安」を抱かせることで、献金者の「自由な意思決定」を制限し、「正常な判断を妨げた」という。

しかし、このような信仰は、キリスト教や仏教などの他の伝統宗教にも共通しており、人間の贖罪はすべての宗教の主要な目的の一つとなっている。

カルマの法則を描いたブータンの壁画 (credits). 同様の概念はほとんどの宗教に共通している。

カトリック教会による贖宥状の販売はその解散を招かなかったし、煉獄の脅威も同様だ。

「不当な影響」や「精神操作」というのは曖昧で恣意的な概念であり、統一教会に対して差別的に用いられている。

どんなときに宗教的説教が「不当な影響」や「精神操作」とみなされるのか? それは統一教会によって行われたときだというのが裁判所の回答である。これは、「社会規範」という世論に基づいて作出した無効かつ差別的基準に違反しているから、という偽りの判断によるものだ。

しかし、司法裁判所においては世論を考慮すべき余地はない。公正な裁判を受ける権利が認められる以上、裁判所には、否定的先入観や有罪推定なく判断すべき義務がある。

「不当な影響」や「精神操作」という概念は、学者や法律専門家、そして裁判所によって国際的に否定されている。

欧州人権裁判所は、2010年6月10日のエホバの証人モスクワ支部対ロシア政府の事件で、「『マインド・コントロール』とは何かを巡り、一般に受け入れられた科学的定義は存在しない」と判示し、ロシア政府が主張する原告宗教法人の解散事由の根拠にはなり得ないと判断した。

日本の民事裁判所でも同様の「マインド・コントロール」理論が使われ、元信者が当時強い信仰心に基づいて献金したという被告側の証拠は退けられた。裁判官は、信仰心に関する証拠は考慮せず、「精神操作」という曖昧で恣意的概念を用いて献金を無効化し、信者の「自由意思を侵害」したとして教会に損害賠償を命じたのだ。

同じ前提に基づき、裁判所は統一教会側が主張した時効の抗弁を退けた。

これらの事件の事実関係は非常に古く、約20年から40年前のものであり、被告側はそれらが時効にかかっている(3年以上前の出来事)と主張した。しかし、裁判所は時効の適用を拒否し、「被害者」は教会の「不当な影響」を受けていたため、自分達が被害者であることを弁護士に会うまで認識していなかったと判示した。

これは、法律の差別的な適用であり、公正な裁判を受ける権利の重要な要素である原被告間の平等原則を侵害している。

さらに、裁判所の多くの判決には、「被害者」が「救出」または「保護」を受けたと記載されているが、これらは強制的脱会説得のソフトな表現である。つまり、彼らは棄教を強制され、教会を訴えるよう説得されたのだ。

従って、これらの事件自体が、反統一教会弁護士や強制的脱会説得専門家らが、強制的脱会説得を受けた元信者らに脱会の証として統一教会を訴えさせることで、意図的に作出したものだと言える。

さらに、彼らを棄教させるために強制が必要であったことから、彼らが献金時点では信仰心があったことが明らかだと結論づけられる。

神戸地方裁判所。 Credits.

神戸地方裁判所における尋問は、この点に関して参考になる。この事件で原告の家族らは親族である原告を統一教会から棄教させるために強制的脱会説得専門家であるプロテスタント牧師を雇い、信者を拉致監禁して強制棄教を行った。裁判所はその強制的脱会説得専門家に対する尋問を行ったのだ。同人は、強制下での「保護」や「強制的脱会説得」が当時全国で行われており、統一教会信者の「信仰的確信」を打ち砕くためには強制的な脱会説得が必要だったことを認めた。(神戸地方裁判所平成8年5月21日付証言調書25頁、平成8年3月26日付証言調書81頁~82頁)

強制的脱会説得の実態に関する詳細な報告を受けた自由権規約人権委員会は、2014年8月に日本に対して次のような勧告を行った:「21. 委員会は、新宗教運動の回心者を棄教させるための、彼らに対する家族による拉致および強制的な監禁についての報告を憂慮する(2条、9条、18条、26条)。締約国は、全ての人が自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない権利を保障するための、有効な手段を講ずるべきである。(2014年8月20日付総括所見、CCPR/C/JPN/CO/6)

数か月後の平成26年11月、そのような悪行の被害者である後藤徹氏が、家族および2人の強制的脱会説得専門家を提訴した民事訴訟で、東京高等裁判所から初めて多額の損害賠償を認められた。後藤氏は12年間にわたる違法な監禁と、棄教強要のための強制的な脱会説得に遭ったが、その試みは失敗に終わったのであった。裁判所は、被害に見合った損害賠償を認め、松永堡智牧師による「強制的脱会説得」が違法であると判断した。この判決は、まもなく最高裁でも支持された。

後藤徹氏は、2024年7月20日に開催された「信教の自由と人権を守るシンポジウム 新潟県民集会」における講演者の1人であった。

この後、強制的脱会説得活動が終わったように見えたが、統一教会とその信者を排除しようとする試みは続いており、現在に至っては、日本政府が申し立てた解散命令請求という形で具現化している。

文科省が教会の宗教法人解散を求めるために依拠している32件の不法行為訴訟のうち、裁判所の認定によれば、121名の原告は「強制的脱会説得」を受けたか「保護」されている。

民事裁判所は、強制的脱会説得専門家の証言を聞くか、あるいは少なくとも強制的脱会説得の事実を知っていながら、下した判決においてはこれらの強制的活動について沈黙を守った。しかし、統一教会が平和的な布教活動を行って信者を入信させたことに対しては、そもそも強制など行われていなかったにもかかわらず、「自由意思の侵害」があったと認定したのだ。

公正な裁判を受ける権利に対する侵害であるとの弁護団の主張に対して、唯一、札幌高等裁判所だけが判決理由中で強制的脱会説得に言及した。弁護団は、多くの被控訴人ら(元信者ら)が、身体的自由を拘束されるなどの手段によって棄教に至っていることは重大な問題であり、これを無視した判断は司法の公平・公正に反すると主張した。

高等裁判所は平成15年3月14日付判決で、以下のとおり判示した:「上記認定のとおり、被控訴人らはいずれも控訴人を脱会(棄教)した者であり、脱会に至るまでの過程において親族らによる身体の自由の拘束等を受けた者も多く、このような拘束等は、当該被控訴人らとの関係においてそれ自体が違法となる(正当行為として許容されない)可能性がある。しかし、それは上記のような行為をした者と当該被控訴人らとの関係であり、必要に応じて別途処理されるべきことがらにすぎず、このような事情が存在することは控訴人の被控訴人らに対する責任に何ら消長を来すものではない(むしろ、その終期をもたらしたものといえる)。」(判決文24頁)

札幌高等裁判所。Credits.

そして裁判所は、弁護団による「裁判の不公正性」に関する主張を退け、教会の献金勧誘行為によって献金者の自由意思が侵害されたと判断した。

裁判所は、献金者の信仰が元々強く、彼らの意思を変えるために暴力や強制が必要だったという事実を考慮に入れることを拒否した。

さらに驚くべきことに、監禁や強制的脱会説得が違法であるとしながら、それを別の私的な問題として片付けたのだ。裁判所は、この問題は事件とは無関係であり、むしろ「教会の責任の終期をもたらした」と述べ、教会が信者に対して不当な影響を及ぼすことを終わらせたと判断した。

これらのことから、裁判所が明らかに偏見を持っており、「強制的脱会説得」活動がどれほど違法であっても、暗黙の承認を与えていることが明らかだ。

また、こうした裁判例を根拠に教会の解散を求める日本政府(文科省)もまた強制的脱会説得を承認していることが、明らかである。

これは明らかに、自由権規約第18条第2項に違反している:「2. 何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない。」

また、これは公正な裁判を受ける権利を保障する第14条にも明らかに違反する。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e8%a8%b4%e8%a8%9f%ef%bc%9a%e6%b3%95%e7%9a%84%e5%88%86%e6%9e%90%ef%bc%94%ef%bc%9a%e5%81%8f%e5%90%91%e3%81%97/?_gl=1*dcpq10*_up*MQ..*_ga*MTIxODc0MDk4My4xNzM0MjMxOTc3*_ga_BXXPYMB88D*MTczNDIzMTk3Ny4xLjEuMTczNDIzMTk4OC4wLjAuMA..

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ52


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。このサイトにフランスの弁護士であるパトリシア・デュバル氏の二つの報告書「法的分析」が掲載された。このたびマッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

日本における統一教会訴訟:法的分析3:「公共の福祉」と「社会規範」

11/13/2024 Patricia Duval

日曖昧に提示された社会的基準に対する違反は、自由権規約第18条第3項に基づく宗教または信念の自由の制限を正当化するものではない。

パトリシア・デュバル著*

5つの記事の3つ目。

2024年9月にジュネーブの国連欧州本部で家庭連合のメンバーと共にいるパトリシア・デュバル氏(右から2番目)と著名な人権活動家アーロン・ローズ氏(右から3番目)。

国際自由権規約第18条第3項によれば、すべての制限は「公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要」でなければならない。

1.公共の福祉

この制限事由は限定列挙であり、他の事由は許されない。「公共の福祉」はこの事由として列挙されていない。

委員会は、規約第18条第3項に基づく宗教または信念の自由に対する可能な制限に関する一般的意見第22号で、以下のように述べている:「 課される制限は法律によって規定されなければならず、また、第18条で保障された権利を侵害する形で適用されてはならない。委員会は、第18条第3項は厳密に解釈されるべきであると考える。同条項に明記されていない事由による制限は許されず、それがたとえ規約で保護された他の権利(例えば、国家安全保障)に対する制限として許される場合であっても、許されない(第8条)」

「公共の福祉」の保護に関しては、自由権規約人権委員会は、この概念があまりにも曖昧であり、第18条第3項に列挙された制限事由のいずれにも該当しないと認定している。

2014年、委員会は日本に対して非常に明確な勧告を行った。:「22. 当委員会は、『公共の福祉』の概念が曖昧かつ無限定であり、規約(第2条、第18条及び第19条)で許容される範囲を超える制限を許す可能性があることに対する懸念を、もう一度繰り返し表明する。当委員会は、前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、第10項参照)を踏まえ、締約国に対し、第18条第3項および第19条に定められた厳格な要件を満たさない限り、思想、良心および宗教の自由または表現の自由に対していかなる制限も課さないよう強く求める。」(総括所見、2014年8月20日、CCPR/C/JPN/CO/6、太字による強調は筆者)

ジュネーブで開催される自由権規約人権委員会。出典: 国連。

本件において、統一教会に対する解散命令請求は、宗教法人法第81条1項に基づき、著しく公共の福祉を害したことを理由に求められている。

この宗教法人法の条項は、上述した要件を充たしておらず、解散の根拠とすべきではない。

さらに、文部科学省は、統一教会の信者が献金を勧誘し、その勧誘によって「親族を含む多くの人々の平穏な生活を害した」ため、公共の福祉を害したと主張している。

しかし、「市民や親族の平穏な生活」は、自由権規約第18条第3項のもとでは保護されておらず、信仰の表明に対する制限、特に教会の解散、を正当化する他者の基本的な権利とはみなされていない。

制限は、国が信仰または信念の表明を制限しなければならない極端な状況でのみ認められる。例えば、健康が危険にさらされる場合(例:宗教儀式における薬物使用)、公共の安全や秩序に対する脅威(例:テロ行為)、道徳(例:ポルノに関する制限)、あるいは他者の基本的な権利に関わる場合などである。

1985年に国際法専門家の国際会議で採択され、この分野における権威となった「市民的及び政治的権利に関する国際規約における制限および逸脱条項に関するシラキュース原則」は、個別の人権制限条項に関する解釈原則を含んでいる。

特に、「他者の権利・自由」や「他者の権利や社会的評価」に関して、同原則は以下のとおり述べている:「36. 自由権規約で保護されている権利と、保護されていない権利とが対立する場合、自由権規約が最も基本的な権利・自由の保障を目的としているという事実を認識し、このことに配慮すべきである。」

これは、宗教または信念の自由という基本的な権利が、基本的な権利ではないところの他者の権利に優先することを意味する。他者が、幸福や平穏な生活を乱されないことは基本的な権利ではなく、宗教団体の解散を正当化しない。

1985年の「シラキュース原則」の表紙。

2.社会規範

文科省は、統一教会による害悪の根拠として、日本の裁判所が、「社会通念」違反、あるいは、「社会的相当性」の逸脱を理由に、信者による献金勧誘行為を不法行為と判断した32件の認定を挙げる。

しかし、自由権規約人権委員会は、日本が締約している自由権規約のもとでは、新宗教ないし少数派宗教の信仰や宗教活動が、たとえ支配的な主義と相容れず、社会から受け容れられなかったとしても、保護されるということを極めて明確に示している。

委員会は、一般的意見第22号において、自由権規約第18条の解釈について次のように詳述している:「2. 第18条は、有神論、無神論、非宗教的な信仰を保護すると同様に、宗教や信仰を表明しない権利をも保護する。「信仰」や「宗教」という用語は広く解釈されるべきである。第18条の適用は、伝統的な宗教や、伝統的な宗教類似の組織的特徴を持ち活動を行う宗教や信仰に限定されるものではない。したがって委員会は、いかなる宗教や信念であっても、新しく設立されたから、あるいは、支配的宗教共同体と敵対する可能性のある少数派宗教だからなど、いかなる理由によるのであれ、差別を受ける傾向に対して懸念を抱く。」(太字による強調は筆者)

新宗教やその表現は、たとえ多数派と敵対するものであっても保護される。

また、「社会通念」や「社会的相当性」は、宗教的信仰や宗教活動の分野においては正当な基準とならない。

宗教組織を維持するための献金勧誘のような宗教活動は、この分野において、多数派の意見や多数派の活動と比較して評価されるべきではない。

さらに、国家は宗教問題における中立義務の一環として、少数派に対する敵意や嫌がらせから少数派を保護する義務がある。

2024年4月30日、4人の国連特別報告者が日本政府に対して公式文書を送った。特別報告者は、各加盟国における特定の人権問題を監視し、国連人権理事会に報告するために任命された独立の専門官である。今回の4人の特別報告者は、宗教または信念の自由、教育の自由、結社の自由、表現の自由をそれぞれ担当する者達であった。

日本に書簡を送った4人の国連特別報告者:左から右、上段:ナジラ・ガネア、ファリダ・シャヒード、下段:アイリーン・カーン、クレマン・ニャレツォシ・ヴール。出典:国連。

これらの報告者達は、エホバの証人からの報告を受け、日本における憂慮すべき状況を警戒するようになった。そして日本の首相に公式文書を送り、その中で彼らは「宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A」の発行などを通して、日本において少数派宗教に対して「攻撃と脅威のパターンの現出」が見られることに対し、「深刻な懸念」を表明した。

特に、彼らは以下の点を強調した:「ガイドラインのいくつかは、『社会慣習』、『社会通念』ないし『社会的相当性』からの逸脱といった曖昧な概念をもって虐待の認定基準としており、このことは、多様な宗教・信仰の自由な表現に対する本質的制約となる。」

この公式文書作成に際して4人の特別報告者は、このような概念による信者の権利制限の禁止に適用可能な国際人権文書や先例を全面的に検討した。

日本のような国家は、宗教や信念の分野で、多様性を維持し保護する義務を負っている。国家は、宗教的信念の表現に関して「規範」を定立する権利を有していない。そのように解釈しなければ、新宗教や少数派の信仰はすべて違法とされてしまう。

したがって、国内の裁判所は宗教活動に対して「社会的相当性」や「社会通年」に反するとの評価をすべきではなく、国際人権基準の下では、そのような判決に基づいて宗教法人に解散命令を下すことはできない。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e8%a8%b4%e8%a8%9f%ef%bc%9a%e6%b3%95%e7%9a%84%e5%88%86%e6%9e%90%ef%bc%93%ef%bc%9a%e3%80%8c%e5%85%ac%e5%85%b1/?_gl=1*10cueb6*_up*MQ..*_ga*NzM0MjIzODg0LjE3MzQxOTEyNzU.*_ga_BXXPYMB88D*MTczNDE5MTI3NC4xLjAuMTczNDE5MTI3NC4wLjAuMA..

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ51


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。このサイトにフランスの弁護士であるパトリシア・デュバル氏の二つの報告書「法的分析」が掲載された。このたびマッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

日本における統一教会訴訟:法的分析2:「法律で定める」

11/12/2024 Patricia Duval

日本政府による教会の信教の自由に対する制限は、自由権規約第18条第3項で認められている制限には含まれていない。

パトリシア・デュバル著*

5つの記事の2つ目。

2024年9月25日、ジュネーブで開催された国連人権理事会第57回会期のサイドライン・イベントとして行われた日本の信教の自由の危機に関する特別ブリーフィングで聴衆に語りかけるパトリシア・デュバル氏。撮影:ピーター・ゾーラー。

自由権規約第18条第3項によれば、統一教会(UC)信者がその信仰を表明する権利を(解散によって)制限するには、その制限は、先ず、法律によって規定されていなければならない。

宗教法人法第81条1項は、宗教法人が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」場合に、裁判所が宗教法人の解散を命じることができると規定している。

1.日本の法律

本件では、文部科学省の解散命令請求において、社会規範違反を理由にいくつかの日本の民事裁判で献金勧誘行為に違法性(民事上の違法行為。不法行為を構成)が認定されたことが法令違反に該当するとされた。

しかしながら、解散命令請求申立書における文科省の主張とは逆に、私人間の民事訴訟における不法行為(損害)認定は、法令違反を構成しない。

日本民法709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定する。

この法律の条文は、不法行為を行った者に対し、他人に及ぼした損害の賠償を義務付けている。この法律に違反するのは、不法行為者が損害賠償を支払わない場合である。統一教会は、判決で認められた損害賠償責任を履行して支払ったのだから、709条を遵守している。

米国の法律家らにとっての法律用語参照の際の定番文献である「ブラック法律辞典」は、不法行為を「契約違反以外の民事上の違法行為で、通常、損害賠償の形で救済を得ることができるもの」と定義付けている。

由緒ある「ブラック法律辞典」の最新版。

民事上の不法行為は法律違反ではない。

文科省は、統一教会に対する不法行為の認定は、統一教会が民法第709条に違反したことを意味すると主張している。その主張の要点は、この条文の不法行為規定が、故意または過失による他人の権利の侵害を禁止しているということである。

しかし、全ての人に対して他者に対するいかなる不法行為をも禁止するような法条項は、以下のような性質を持つことになる。

・完全にユートピア(理想論)である。
・あまりにも広範囲に適用され、全体主義国家のように、完全に恣意的かつ独断的な方法で適用され得る。
・あまりにも曖昧であり、日本が遵守義務を負うすべての国際人権基準と直接対立する。

法律の精細性と予測可能性の必要性については、以下の章にある国連人権委員会の法的見解および判例を参照して頂きたい。

したがって、民事上の不法行為が認定されたとしても、不法行為による損害賠償を規定する民法の条文に違反したと解釈することはできない。

本件では、統一教会は、宗教法人法第81条(i)が適用され解散の効果が生じるような成文法違反は犯していない。

その証拠に、政府は「不当な勧誘」を抑制するために新法を制定した。令和4年12月には、「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」が制定され、「寄付の不当な勧誘」を犯罪化した。(令和4年12月16日制定法律第105号)

したがって、不法行為を理由とする解散命令請求が行われはしたものの、裁判所による不法行為判決当時には、献金を規制する成文法は存在していなかったことになる。元より、新法は遡及適用できない。

日本は成文法の国であるが、判例法も「法律違反」に含まれるとの主張があるかも知れない。しかし、日本の最高裁判所はこれとは反対の判断を下している。判例違反を法令違反とみることはできない。

オウム真理教に対する解散命令請求事件では、検察官と東京都知事によって提起された解散命令請求訴訟において、東京高等裁判所が「法令違反」の意義について判示した。裁判所は、「法令違反」とは、刑法等の実定法規の定める禁止規範又は命令規範に違反するものとしている。この解釈は、平成8年1月30日付最高裁判決によって支持されている。(最高裁判所平成8年(ク)第8号事件)

よって、日本政府が申し立てた解散命令請求に宗教法人法81条1項を適用することはできない。

そして、この解散命令請求は自由権規約第18条第3項の「法律で定める制限」の要件を充たしていない。

以上より、解散命令請求は、日本国が締結した自由権規約18条3項が要求する「法律によって規定」との要件を充たしていない、と結論づけることができる。

2.自由権規約人権委員会の法的見解及び先例法

いずれにしても、自由権規約の元において、「法律によって規定」との要件がある以上、ここで言う法律は、市民が制裁を予測し、それに応じて行動を制御できる程度に十分に精細でなければならない。

自由権規約人権委員会は、加盟国による自由権規約の適正な適用を監督し、この点に関する指針を提供している。特に、規約によって保護される権利に対する制限全てに共通する「法律によって規定」との要件について、詳細に述べている。

自由権規約人権委員会のセッション。出典: 国連。

これら各権利に対する制限は、すべて法律によって規定されていなければならない。そして、この要件に関する委員会の先例(委員会に付託された個別通報事件における判断)は、これらの権利全てに適用される。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e8%a8%b4%e8%a8%9f%ef%bc%9a%e6%b3%95%e7%9a%84%e5%88%86%e6%9e%90%ef%bc%92%ef%bc%9a%e3%80%8c%e6%b3%95%e5%be%8b/?_gl=1*1cgnw8o*_up*MQ..*_ga*MTQ5MjA0NTE2MS4xNzM0MTkwNjkz*_ga_BXXPYMB88D*MTczNDE5MDY5Mi4xLjAuMTczNDE5MDY5Mi4wLjAuMA..

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ50


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。このサイトにフランスの弁護士であるパトリシア・デュバル氏の二つの報告書「法的分析」が掲載された。このたびマッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

日本における統一教会訴訟:法的分析 1:序論

11/11/2024 Patricia Duval

日本政府は宗教法人の解散を請求することで、明らかに国際法に違反した。

パトリシア・デュバル著*

5つの記事の1つ目
2024年9月25日、ジュネーブで開催された国連人権理事会第57回会期のサイドライン・イベントとして行われた日本の信教の自由の危機に関する特別ブリーフィングに出席したパトリシア・デュバル氏(矢印で表示)。撮影:ピーター・ゾーラー。

このシリーズでは、日本政府が宗教法人世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会;以下、理解しやすいように「統一教会」または「教会」または「UC」)の解散を求めて提訴した訴訟が、日本の国際人権公約に適合しているかどうかを検証する。

私はこの事件を、個人の宗教や信念を表明する権利の制限とみなし、以下の点について述べたいと思う:

・「法律で定める制限」という要件に適合していないこと
・この基本的権利を制限するための「公共の福祉」及び「社会規範」の概念が不明確かつ不適切であること
・解散命令請求が根拠とする不法行為裁判では、強制的脱会説得を受けた元信者らが提訴した事件に対して、民事裁判所が、宗教法人による精神操作や不当な影響が存在するとの先入観に基づいて判決を下しており、不公正であること

2023年10月13日、日本で宗教法人を監督する文部科学省(文科省)は、統一教会に対する解散命令請求を申し立てた。

文科省の解散命令請求は、宗教法人法第81条1項に基づくものである。同条項は、宗教法人が法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為を行った場合、裁判所はその宗教法人の解散を命じることができる旨規定している。

文科省は以下の主張を行っている:「昭和55年頃から令和5年頃までの間、統一教会信者が、多数の者に対し、相手方の自由な意思決定に制限を加えて、相手方の正常な判断が妨げられた状態で献金又は物品の購入をさせて、多数の者に多額の損害を被らせ、(対象者である新規信者の)親族を含む多くの人々の平穏な生活を害する次のような違法行為をした。」

文部科学省東京本省。Credits.

この主張に続けて、統一教会信者による献金勧誘行為について、信者が因縁について話して対象者に不安を抱かせ、過度の影響を与えて彼らの自由意思を侵害し、「社会規範」に違反する金額の献金を勧誘したと主張している。

文科省の主張の根拠は、統一教会が敗訴した32件の不法行為事件に基づいている。これら判決において裁判所は、統一教会の献金勧誘行為が社会通念に違反し、または、社会的相当性を逸脱するとして不法行為を認定し、献金した者に対する損害賠償責任を認めた。

文科省は特に、献金勧誘行為について審理し、「社会一般的にその行為者の自由な意思に基づくものとはいえない」と判示した2008年1月15日付東京地裁判決に言及している。

これらの判断に基づいて文科省は、統一教会信者が「親族を含む多くの人々の平穏な生活を害し」、著しく公共の福祉を害した(宗教法人法第81条)と結論付けている。

文科省が主張するこれらの根拠は、国際人権法や日本が締結した条約に反している。

市民的及び政治的権利に関する国際規約(以下、「自由権規約」または「国際自由権規約」と言う)の第18条3項は、宗教や信念の自由に対する制限可能事由を限定列挙している:「3項 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。」

2024年8月4日、宗教の自由の侵害に抗議する家庭連合信者の福岡でのデモ行進。

第一に、宗教法人を解散することによって統一教会信者の宗教を表明する権利を制限することが法律(上記宗教法人法第81条)に基づいているとするならば、この法律は「法令に違反」という要件を規定しているが、「社会規範違反」は「法令の違反」には含まれない。

したがって、統一教会に対する宗教法人解散命令請求は、自由権規約第18条3項に規定する「法律で定める」との要件を充たしていない。

第二に、「公共の福祉」の保護は、厳格に解釈されるべき自由権規約第18条3項が規定する制限可能事由に含まれていない。公共の福祉は、個人の選択に基づく宗教や信念の自由に関しては、不適切な制限事由である。また、宗教活動は社会規範によって評価されるべきではない。

家族を含む他者の平穏な生活を妨害することは、宗教や信念を表明する権利に対する正当な制限事由ではない。

したがって、特に宗教法人に対する解散命令請求の理由とされることがあってはならない。解散命令請求は、法人にとって死刑に等しい極端な処分なのであるから、宗教団体においてはなおさらである。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e8%a8%b4%e8%a8%9f%ef%bc%9a%e6%b3%95%e7%9a%84%e5%88%86%e6%9e%90-1%ef%bc%9a%e5%ba%8f%e8%ab%96/?_gl=1*10pfrb3*_up*MQ..*_ga*MTY1NjU3Mjg3Ni4xNzM0MTkwMDc5*_ga_BXXPYMB88D*MTczNDE5MDA3OS4xLjEuMTczNDE5MDA4Ny4wLjAuMA..

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ49


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。このサイトにフランスの弁護士であるパトリシア・デュバル氏の報告書が掲載された。このたびマッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

日本と統一教会:デュバル・レポート5 国家主導のディプログラミング

10/11/2024 Patricia Duval

Table of Contents

1.両親が新宗教運動のメンバーである子供たちは、学校で反カルトの「カウンセラー」によって対処される。
2.精神操作
3.家族の崩壊
4.国家主導のディプログラミング
5.結論

両親が新宗教運動のメンバーである子供たちは、学校で反カルトの「カウンセラー」によって対処される。

パトリシア・デュバル著*

*2024年9月22日に国連の複数の事務所に送られた報告書

5つの記事の5つ目 1つ目、2つ目、3つ目、4つ目の記事を読む

日本の学校で配布されているパンフレットには、子どもたちが「宗教活動等への参加を強制されたり、『地獄に落ちる』などと脅されたり」することも虐待にあたると説明されている。

精神操作

統一教会に対する不法行為訴訟はすべて、不当な影響力と精神操作という概念に基づいている。

これらすべての訴訟において、裁判所は統一教会が不当な影響力を持っているとした上で、献金勧誘行為や伝道が「社会的相当性」を欠き不法行為に当たるとする判決を下すため必要なあらゆる要素を見つけ出そうとして事件を審査する。

この精神操作理論には科学的根拠がなく、欧州人権裁判所が2010年6月10日の判決「エホバの証人モスクワ支部対ロシア」(IC-302/02、2010年6月10日)が詳細に判示したとおり、国際的な学者たちは否定している。

この訴訟では、ロシアの裁判所がエホバの証人に解散決定を下したことに対して、同団体のモスクワ支部が欧州裁判所に申立てをした。

裁判所は、心理的圧力と「マインド・コントロール」の技術を受けたために国民の良心の自由の権利が侵害されたというロシア当局の主張の正当性を特に審査した。

裁判所は、当該宗教団体の信者がロシアの裁判所で、自らの宗教を自由かつ自発的に選択し、したがって自らの意志でその教えに従ったと証言したことに注目し、何が「『マインド・コントロール』を構成するかに関して、一般的に受け入れられている科学的な定義はなく、国内の判決ではその用語の定義は示されなかった」と認定した(§128および129)。

したがって、裁判所は「この点に関するロシアの裁判所の判断は、事実による裏付けのない憶測に基づいている」と裁定し、ロシアがエホバの証人の信教の自由に対する侵害を認定した。

民主主義国家におけるこのような進化にもかかわらず、日本はこの誤りであることが証明された理論を復活させ、ロシアがエホバの証人に対して行ったと同じように、この理論を用いて統一教会を解散させようとしている。

日本当局は今や、統一教会の解散を契機に、宗教界から新宗教運動を排除するために、この理論に基づいて法制度全体を構築した。

これには、将来提訴するかも知れない信者(そうするように説得されたときには、ということを暗に意味)を「被害者」概念に含めたという事実も含まれている。彼らはまだ被害者であることを自覚していないだけだとみなしているのだ。

新宗教運動の信者の自由意思を無効にすることは、彼らが新しい信仰を受け入れる選択の自由を否定し、宗教の選択に関しては、彼らを意思無能力であるとみなすことに等しい。

この理論を用いると、国家は「公共の福祉」を守るという名目で、国民に代わって宗教を選択できることになる。

これは、新しい宗教・信念に対する日本国民の信教の自由、思想信条の自由を侵害するものであり、日本が署名し批准した国際条約の下における宗教問題に関する中立義務に明白に違反する。

家族の崩壊

同様の論理と不当な影響力の概念に基づき、寄付に関する新法では、家族は、信者である親族に代わって寄付を取消す権利が認められている。日本弁護士連合会の会長によると、家族は統一教会が家族関係を破壊したと主張して損害賠償を求めて訴訟提起することもできるという。

日本統一教会の「ハッピー・ファミリー・プログラム」は、夫婦と親子の関係を改善することを目的としている。出典:世界平和統一家庭連合。

欧州人権裁判所は、上記の事件において、エホバの証人が家族を破壊していると主張するロシア政府からの同様の主張に直面した。

これに対して裁判所は以下のような判決を下した。「それにもかかわらず、宗教的な事柄への自己献身が信者の独立した自由な決定の所産である限り、そしてその決定について他の家族がどれほど反発していたとしても、その結果生じた不和について、宗教が家族を破綻させたと解釈することはできない。しばしば、真実はその逆である。宗教を信じる家族が自分の宗教を表明し実践することに対して、宗教を信じない親族がこれを認めたり尊重することに消極的であったり、反発することが紛争の原因なのである」(§111)。

これはまさに、家族によって拉致、監禁され、棄教するまで反統一教会の教え込みを強要された何千人もの日本人信者の場合と同じであった。

この活動を何十年も放置した後に、日本は今や、そのような行為を犯した家族に訴訟を起こす機会を提供しようとしている。彼らは、そもそも家族の崩壊は親族が統一教会に入信したことによって引き起こされたのだと主張して、損害賠償を請求するであろう。

そして、これはすべて統一教会の資金でまかなうことが可能である。なぜなら、解散が決定したときには差し押さえられた資産から損害賠償が支払われるのであり、「債権者」、つまり今後数年間に生じるであろうすべての請求者に支払われるからである。

このことは以下の疑問を生じさせる。日本では成人した市民は、家族が反対する場合、新宗教に入信する権利があるのだろうか?

事実は、彼らにはその権利がないことを物語っており、これはまた、国際文書によって保護されている信仰を選択し、それに従って生きる権利に対する露骨な違反となる。

国家主導のディプログラミング

自由権規約第18条第2項は、「何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ、又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない」と規定している。

棄教を強制することは、日本が締結した条約の下では明らかに禁じられている。

違法な拉致及び強制説得というスキャンダルが明るみになり、12年間の監禁から解放された後に衰弱して傷病に陥った後藤徹氏の写真が公開された後、日本政府は現在、拉致という厄介な要素を伴わない新しい形の「ディプログラミング」を計画しようとしているようだ。

ディプログラミングのための12年間の監禁から解放された後藤徹氏

しかし、第18条第2項で述べられている「強制」という言葉は、身体的な拘束を指すだけでなく、信仰に反する強制的な「カウンセリング」などの心理的な圧力を指すこともある。

2024年1月19日、日本の主要新聞の一つである「日本経済新聞」は、同日に開催された「『旧統一教会』問題に係る被害者等への支援に関する関係閣僚会議」と題する閣僚会議について報じた。

会議では、令和5年12月に成立した特別措置法(令和5年法律第89号)に基づく支援策がまとめられた。新たな支援策は、同法にすでに盛り込まれている資産の移動監視や損害賠償請求の法的支援に加え、被害者救済に重点を置いたものとなっている。その後、政府は支援策の骨子をホームページで公表した。

この救済措置は統一教会に特化したもので、二世信者や統一教会信者の子供など、「被害者」または被害者であることをまだ認識していない潜在的被害者に提供される特別な「カウンセリング」に関連するものだ。政府は、統一教会の元信者や批判的な背教者が講師となり、政府の相談窓口の対応者に「助言と指導」を提供するという新しいシステムを確立した。

このシステムは、「マインド・コントロール下にある被害者は悩みに気付かない場合も多い。元信者たちが相談員への講習で自身の経験を踏まえ知見を伝える。」という考えに基づいている。

背教者による研修は、「児童相談所や精神保健福祉センターなどの相談員が問題に取り組みやすくなる」ことを目的としている。

この計画は、統一教会の信者とその子供たち、つまり2世信者にカウンセリングを提供し、彼らに操られていることを気づかせ、教会に敵対するよう仕向けるために特別に練られたものだ。

特に、政府は「宗教2世の子どもや若者が相談しやすいよう学校に配置するカウンセラーやソーシャルワーカーを拡充する」予定だ。

政府のウェブサイトに掲載された計画によると、法務省は「『人権教室』の開催校数(小学校から中学校、高校まで)を拡大し、小中学生に『こどもの人権SOSミニレター』を配布する」としている。

もしこの人権教室が統一教会から脱会した背教者により訓練されたカウンセラーによって行われているのであれば、その内容は推測に難くない。SOSミニレターは子供たちに配布され、当局に「SOS」を送ることができる封筒である。

「SOSミニレター」。虐待の一例は「親から宗教を理由に学校の行事に参加させてもらえない」である。

政府は、児童・生徒からの支援要請を募り、彼らが家を出られるよう支援することを計画している。新たな措置では、彼らに「親など信者から離れて一時的に住める場所を確保したうえで生活の再建をしやすくする」としている。

政府は問題を抱えた子どもたちの救済を口実に、学校で「脱会カウンセリング」を実施し、二世信者に信仰を棄てて家族から逃げるよう圧力をかけている。これが、日本が今年1月に計画した新しい形の「ディプログラミング」である。

親の信仰に反対するよう子供たちに教え込むこの制度化された「カウンセリング」は、自由権規約第18条第1項に基づく信仰の自由の権利の侵害であるだけでなく、児童の権利に関する条約(CRC)の第14条第1項「締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する」に対する違反でもある。

それはまた、自由権規約第18条第4項「この規約の締約国は父母及び場合により法定保護者が、自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する」に従って、親が自らの信仰に基づき子を教育する権利を完全に侵害するものである。

それはまた、CRC第14条第2項「締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する」に対する違反でもある。

政府が統一教会向けに新調した計画には、こども家庭庁が「宗教の信仰等に関係する児童虐待等への対応に関するQ&A」に基づいて児童相談所で支援を提供することも含まれている。

彼らがここで言及しているQ&Aとは、厚生労働省が2022年12月27日に公表した、宗教的信仰に関連する児童虐待に関するガイドラインのことである。

ここで、これらのガイドラインに関するエホバの証人の報告書と、特別報告者が日本政府に送った、この問題に関する懸念を表明する書簡を参照して頂きたい。

日本における信教の自由の危機に関するエホバの証人の報告。

結論

「洗脳的伝道」は、日本で統一教会の信仰に基づく活動を差別するために作られた概念である。

社会的相当性という基準は、日本の裁判所が、信仰の伝播や教会の制度維持のための献金の勧誘などの統一教会の活動を、「反社会的」で不法行為にあたると判断するために用いてきたし、現在も用いている。

これが、今度は政府が「公共の福祉」の名の下に教会の解散を請求するために用いられた。

解散が差し迫っている中、2つの特別法を新たに制定することにより、日本当局は教会の活動を妨害し、ディプログラムされた信者からの損害賠償請求を促進することで、教会の資産の略奪を計画しようと試みた。

不当な影響力の理論により、信仰に満足している信者らは宗教活動に関する法的能力を否定され、その家族には、彼らに代わって寄付を取り消す権利と、家庭崩壊を申し立てて損害賠償請求訴訟を起こす権利が与えられる。

日本政府は数十年にわたって統一教会信者に対する違法なディプログラミングを是認してきたが、今や全体主義国家のように、子供たちを再教育し、両親から離反させようとしている。

こうした人権侵害はすべて、日本の統一教会信者と二世信者にとって悲劇をもたらす。

もし日本当局による差別的、抑圧的な措置という憂慮すべき傾向を止めるために何も対策が講じられなければ、この宗教運動は消滅し、信者は他国に移住するか、強制されて信仰を放棄することを受け入れざるを得ない運命にある。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ48


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。このサイトにフランスの弁護士であるパトリシア・デュバル氏の報告書が掲載された。このたびマッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

日本と統一教会:デュバル・レポート4 新法の制定

10/10/2024 Patricia Duval

安倍元首相暗殺後、「物議を醸す」宗教が献金を集める自由を制限する法律が制定され、宗教の自由がさらに危険にさらされた。

パトリシア・デュバル著*

*2024年9月22日に国連の複数の事務所に送られた報告書

5つの記事の4つ目 1つ目の記事、2つ目の記事、3つ目の記事を読む

日本の岸田首相がフランスのマクロン大統領と会談。日本の反カルト運動はますますフランスのそれに似てきている。Credits.

解散請求ならびに不法行為訴訟と並行して、条文には明記されていないものの、統一教会を特に標的とした2つの新しい法律が可決された。1つは「寄付の不当な勧誘」を防止するためのもので、もう1つは被害を訴える人々の損害賠償請求を支援し、解散請求の対象となった宗教法人の資産を凍結するためのものである。

「不当寄付勧誘」に関する2022年12月の法律

2022年12月16日、既存の消費者契約法の一部を改正し、「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(令和4年法律第105号)(以下「不当寄付勧誘防止法」)が施行された。

この法律の第3条第1項は、寄付を募る者は寄付者の「自由な意思を抑圧」しないよう注意する義務があるとしており、これは不当な影響力という曖昧で差別的な概念を法律に明記するために採用された規定である。

新法には、宗教的な寄付に特化した規定が含まれている:「第四条 法人等は、寄附の勧誘をするに際し、次に掲げる行為をして寄附の勧誘を受ける個人を困惑させてはならない。…六 当該個人に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、当該個人又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、その重大な不利益を回避するためには、当該寄附をすることが必要不可欠である旨を告げること。」

統一教会による「因縁話」など、寄付しようとする個人への説明において地獄やカルマに言及することは、寄付金を募るために個人を困惑させているとみなされる可能性がある。

カトリック教徒や仏教徒にはそのような慣習があるが、言うまでもなくこの規定は伝統的あるいは「社会的に受け入れられた」宗教に適用されるのではなく、侮蔑的に「カルト」というレッテルを貼られた新宗教運動、より具体的には統一教会にのみ適用されるものである

第4条に該当し、寄付者が「困惑」していたことが判明した場合、寄付は取り消される可能性がある。地獄やカルマについて教えられて困惑していた場合、寄付者が寄付の意図を表明したときから撤回できるまでの期限が5年から10年に延長される。

さらに、同法は寄付者が民法上の扶養義務を負う夫、妻、子、または尊属、兄弟姉妹などに対して定期金債務を負う場合、その債権者(扶養を受ける親族)からも寄付の取消ができることを定めている。最後に、新法は日本司法支援センターからの特別な支援(法律相談のあっせん)と、利用しやすい相談システム(これらの特定の被害者のためのホットライン)を通じて、寄付者が取消しと損害賠償を獲得するためのサポートを提供する。

「不当な勧誘」があった場合、所轄省庁は宗教団体にそのような寄付の勧誘をやめるよう命じることができ、命令に従わなかった場合、関係者は懲役刑に処せられる。

これらすべての措置により、新宗教運動が寄付を募るのは非常に危険なものとなる。なぜなら、寄付者が後になってカルマや天罰についての説明で不安になったと訴えた場合、刑事罰の対象となるからである。

しかし何よりも、この国家的制度は、国家が相談料を支払う弁護士の助けを借りて、教会に寄付した人々に、寄付を取り消し、損害賠償を請求するよう扇動することを目的としている。

2017年に東京を訪問した統一教会のリーダー韓鶴子博士。情報源:世界平和統一家庭連合。

2023年12月の「特定不法行為」等被害者特例法

2023年12月30日、令和5年法律第89号が成立した。それは「特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律」と呼ばれる。

この法律には、「特定不法行為の被害者」の救済のための日本司法支援センター(法テラス)の運営に関する特別規定と、「宗教法人の財産の処分及び管理」に関する特別規定が含まれている。法律第89号は、日本の当局者によって「特定不法行為被害者法」または「特別措置法」または「特別法」とも呼ばれている。

これは特に統一教会を標的として採択されたもので、以下の2つの目的がある:

– 1つ目は「特定の不法行為の被害者」が損害賠償を求めて訴訟を起こすのを支援すること、そして

– 2つ目は政府から解散請求を受けた宗教法人の資産を監視することであり、つまり、現時点でこの状況にあるのは統一教会だけである。

「特定不法行為」とは、具体的な解散命令請求の原因となった不法行為をいう。すなわち、文部科学省の解散請求につき、「寄付者の正常な判断を妨げる」行為により寄付金を募り、公共の福祉を害するような不法行為である。

法律第89号の規定により、解散請求がなされた宗教法人は、「指定宗教法人」と「特定指定宗教法人」の2つに分類される。

「相当多数の」被害者がいる場合、「指定宗教法人」に指定される:「第7条第1項 所轄庁は、対象宗教法人が次のいずれにも該当すると認めるときは、当該対象宗教法人を指定宗教法人として指定することができる。1 当該対象宗教法人に係る特定不法行為等に係る被害者が相当多数存在することが見込まれること。2 当該対象宗教法人の財産の処分及び管理の状況を把握する必要があること。」

そして、もしある法人が「指定宗教法人」になっており、その財産が散逸するおそれがある場合は、「特別指定宗教法人」となる(第12条)。

「特別指定」のリストに載った団体は、解散前に資産を処分した疑いのある団体である。彼らに対する監視は強化され、被害者側の弁護士が資産や口座にアクセスしやすくなり、債権を担保するための法的措置がとりやすくなる。

歴史的に、すべての宗教は信者から搾取して私腹を肥やしていると反対者から非難されてきた。これはフランス革命時代の版画で、貴族に支えられた司祭が貧しい農民に乗っている。司祭は農民からの寄付によって太った金持ちになった。Xより。

これらの規定に基づく文部科学省による指定宗教法人及び特別指定宗教法人の指定について明確化するため、政府は令和6年2月15日に「特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律に基づく指定宗教法人及び特別指定宗教法人の指定に関する運用の基準」を定めた。

同運用基準によれば、「特定不法行為の被害者」とは、損害賠償を請求する法律上の権利を有する、又は有し得る者である。特定不法行為の被害者は、特定解散命令請求の際に請求者が認知した被害者に限らず、請求の時点では把握されていなかった同種の行為による被害者も含まれるという。

また、これには賠償請求等を行う意向がいまだ明確でない者も含まれる。これは、今後名乗り出る可能性のある潜在的な被害者を意味する。

また運用基準は、「相当多数の被害者」については、個々の事案に即して個別具体的に判断するとしているが、一般的には数十人程度で十分であるとしている。

第7条第1項第2号の要件について、運用基準は、被害者が相当多数存在することが見込まれるような宗教法人であれば、一般的には、財産処分・管理の状況の把握の必要性が認められると規定している。

要するに、第7条1項に基づき、解散命令請求の対象となる宗教法人に、まだ請求を行っていない全会員を含め、数十人の被害者または潜在的な被害者がいる場合には、その宗教法人に組織的な資産秘匿の疑いがあることになり、第7条2項に基づいてその財政状況を監視する必要があるということだ。

したがって、統一教会は政府によって指定宗教法人とみなされており、その資産は裁判所による解散命令の決定が出るまで監視下にあることは間違いない。

実際のところ、金融機関は海外送金やその他の送金に消極的になっている。

被害者側の弁護士、すなわち反統一教会の全国弁連は、損害賠償請求に向けて教会の資産の行方を注視している。日本弁護士連合会も、2023年12月14日に施行された特定不法行為等被害者特例法(法律89号)について、「また、法テラスの業務の特例については、既に法テラスを利用して全国統一教会被害対策弁護団等に依頼している方も含めて、多くの方々が公平に償還免除の対象になるように柔軟な運用をすべきである。さらに、特定不法行為等に関する民事事件手続の対象範囲についても、いわゆる献金等による経済的損害の回復に限るのではなく、家族関係の崩壊に伴う家事事件その他関連する民事事件も幅広く対象とするべきである。」との談話を発表している。

したがって、日弁連は反統一教会の全国弁連の闘いを支援しているのである。弁護士の依頼人である潜在的な被害者は、教会を訴えるための費用を免除される。彼らの「負担」が軽減されるのは、教会から資産を奪う原告を増やすためだ。

これらの弁護士は寄付金の返還を求めるだけでなく、親族が新宗教に改宗したことによって家族が分裂したことに対する損害賠償を請求するよう、家族を扇動している。

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