BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ63


2025年4月16日

信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本統一教会:学者・櫻井義秀氏の批判に対する記念碑的な反論

02/25/2025 Masaki Nakamasa

元統一教会信者である日本の学者が、統一教会信者の魚谷俊輔氏の大著を書評し、櫻井氏の見解を批判する。

仲正昌樹

魚谷俊輔氏と彼の新著『反証 櫻井義秀・中西尋子著「統一教会」』

日本の新宗教研究では、大本教、天理教など戦前弾圧や厳しい統制を受けた神道系の教団や、公明党を通じて政権に参加している創価学会など、(日本に土着した主要な宗派の系譜に連なる)仏教系の教団については、ある程度の研究の蓄積があり、研究者たちも中立的な態度を取ろうと努力しているように思えるが、安倍元首相殺害事件以降、話題になっている「統一教会(世界平和統一家庭連合)」は、60年以上にわたって日本で活動しているにも関わらず、反対運動に関わっている活動家(「カルト」専門家)による研究が多く、学問的に意味のある研究はほとんどなかった。

唯一学者による本格的な研究と言えるものとして、櫻井義秀氏(北海道大学教授)と中西尋子氏(大阪公立大学研究員)による『統一教会 日本宣教の戦略と韓日祝福』(2010)があるが、櫻井氏は自ら反統一教会的な啓蒙活動に関わっており、学問的に信頼できる中立的な叙述とは言えなかった。安倍元首相以降の一連の統一教会をめぐる騒動を受けて、櫻井氏が急遽単独で執筆した、新書『統一教会』(2023)では、元信者(を名乗る人間)のブログの内容を出展を明示せずそのまま資料として利用するなど、杜撰さが指摘されている。

魚谷俊輔氏が今回出版した『反証 櫻井義秀・中西尋子著「統一教会」』は、櫻井氏が統一教会問題の権威と見なされるきっかけになった、前掲共著『統一教会』に対して、神学を学んだ信者の視点から徹底的に反論を加えることで、日本社会で流布する「統一教会」像の歪みを正そうとするものである。信者の立場からの反論なので、価値中立的とは言えないが、櫻井氏のアプローチがどのような意味で学問的客観性を欠いており、この教団、延いては、紛争の火中にある新宗教について真に学問的に価値ある研究をするには、どういう準備、方法が必要か考えるうえで重要なヒントを提供している。

魚谷氏の『反証』は、櫻井氏の記述に対し、統一教会の教義、宣教戦略、入信までのプロセス、経済活動、組織の概要など、かなり詳細に反論を加えているが、主眼が置かれているのは、宗教社会学者である櫻井氏の研究手法である。櫻井氏は基本的に、脱会した元信者からの資料と証言に基づいて記述している。脱会者の中でも、脱会カウンセリングを受けた人たち、従って、脱会後、反統一教会の団体やディプログラマー等と繋がり、教団に対して強い反感を持っている可能性が高い人たち、アメリカの社会学者ルイス・コーザーが「背教者(apostate)」と呼ぶ人たちである。櫻井氏は、現役信者に対する聴き取りや、教団の儀礼・生活への参与観察といったことは行っていない。

櫻井義秀教授

櫻井氏はそうなった理由として、「統一教会が極めて社会的問題性の強い団体であり、研究者として教団と適切な距離がとれないこと、教団からの研究者に対するコントロールも予想されること」を挙げている。これに対して魚谷氏は、英国のアイリーン・バーカー、ジョージ・D・クリサイディス、イタリアのマッシモ・イントロヴィニエなど、海外の研究者が教団と適切な距離を取りながら参与観察を行い、学会でも高く評価されている研究書を出していることを引き合いに出し、櫻井氏の前提に疑問を呈している。また、「研究者に対するコントロール(圧力)」に関しては、その団体に都合が悪いことを書かせないようにする圧力がかかる恐れはどの宗教団体の調査にもつきまとうことであって、やってみない内から、圧力を恐れて諦めてしまうのは研究者の姿勢としておかしいことを示唆している。

私個人にとって興味深いのは、脱会者の証言をベースに研究した櫻井氏が「脱会者」である元信者をどのように分類し、どういうタイプにアプローチしているか、という点である。私自身、統一教会の「脱会者」だからである――私が入信していた期間は、1981年4月から92年10月までである。櫻井氏の分類では、「脱会者」は大きく、①自発的脱会者と、②強制的脱会者に分かれる。この二つはそれぞれ二つのサブグループに分かれる:①-i)自然脱会者、①-ⅱ)脱会カウンセリングを受けた脱会者、②-i)教団により強制的にやめさせられたもの、②-ⅱ)ディプログラミング等外部からの介入行為により強制的に脱会させられたもの。

この分類だと、私は一応①-i)(自然脱会者)に入る。櫻井氏によると、このサブカテゴリーに属する人の大半は、セミナー等の受講の段階でやめた人であり、正式な教会員となった後、ついていけなくなった人も含まれるが、正確な人数は分からないとしているが、私の場合は後者である。櫻井氏は、自分の調査の主な対象は①-ⅱ)であり、①-i)に出会うのは容易ではないと明言している。理由は、悪名高い統一教会の信者だったと公言する人がいるとは思えないからだという。

「公言する人がいるとは思えない」という点については、私自身の立場から異議を唱えたい。私は大学教員になった(1998年1月)直後から、様々な媒体で自分が元統一教会信者であることを公言しており、『統一教会』の初版が刊行される半年前に、『Nの肖像』(2009)という自伝的著作を出している。櫻井氏が普段から元信者が開設しているウェブサイトやブログをチェックしていれば、そのことを知らないはずがない。しかし、彼から私に対して元信者として証言してほしい、と問い合わせてきたことは一度もない。私が統一教会の負の側面ばかり強調せず、教義や実践については出来るだけ自分の知っている範囲で中立的に伝えようとし、自分自身の問題も告白していたからではないかと思う。自分と同じ大学教員という立場の人間から話を聞いておいて、自分の主張に合わないからといって無視すると、面倒そうなので最初から避けたのではないか、と思う。

千葉で信教の自由を訴える家庭連合の信者たち、2024年7月。

話を魚谷氏の『反証』自体に戻そう。同氏も櫻井氏が自分から元信者ですと名乗り出る人がいないと最初から決めつけて、①-i)の自然脱会者を探し出して会おうと努力していないことを問題視している。櫻井氏は調査対象についての記述の文脈のある個所で、「自然脱会の場合、統一教会への思いは両義的であることが多く、再び統一教会へ戻る元信者もいるので、統一教会に対して批判的な立場から調査を行う筆者とは利害関係において合致しない」と本音を吐露してさえいる。つまり、彼は統一教会批判を目的として、それに都合の良い材料だけ集めているわけである。

櫻井氏は①-ⅱと②-ⅱで表現を変えているが、いずれも他者から心理的な強い働きかけを受けてやめた人である。魚谷氏が指摘するように、脱会時にそうした「再教育」を受けているか否かで、自らの回心体験をどう描くかに大きな違いが出てくることが海外での比較的研究から知られている。魚谷氏はトルーディ・ソロモンやスチュアート・ライト等の実証的研究を引きながら、ディプログラミングを受けた人では、そうでない人に加えて、自分が「洗脳」あるいは「マインド・コントロール」を受けたと証言する割合が顕著に高くなることを指摘している。

魚谷氏は更に、櫻井氏が利用した対統一教会裁判での脱会者の証言から、彼らが「監禁」状態で説得を受けたケースが多いことを指摘している。彼らは①-ⅱのカテゴリーに属し、教会にとって有利な発言をする理由のない者たちである。それは異常な事態であるが、この点について櫻井氏は特に問題と考えていないようだ。

中西氏のパートは、教会で国際祝福結婚をして韓国人の男性と結婚し、韓国に移住した日本人女性信者を調査対象にしたものである。それは現役信者を調査対象にしたものであるため、櫻井氏担当部分に比べて学問的に評価できる部分もあり、その点は魚谷氏も認めている。聴き取り調査を行った対象が38人と比較的少数であったにもかかわらず、櫻井氏や他の反統一教会活動家によって作られた“分析”枠組みに無理に当てはめて、早急に結論を出していることを魚谷氏は指摘している。彼女は、教団内における日韓の信仰観・結婚観の違いを論じているにもかかわらず、これら二つのグループの比較対照を行っていない。実際、彼女は日本在住の日本人信者に対するインタビューを行っていない。

魚谷氏のこうした批判に応える形で、日本の宗教学者から党派性に囚われない統一教会研究が行われることを望みたい。現状であれば、多くの現役信者や自然脱会者が喜んで協力するだろう。

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仲正昌樹(1963年2月22日生まれ)は日本の哲学者・思想史家。金沢大学人間社会学域法学類教授。専門分野は思想史、基礎法学、文学一般。広島県呉市に生まれ、1981年に東京大学教養学部理科I類に入学。そのころ統一教会に入信し、東京大学原理研究会(CARP)にて活動していた。1992年に統一教会を脱会し、ドイツに留学。1998年から金沢大学法学部助教授、2008年に法学類教授となる。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
日本統一教会:学者・櫻井義秀氏の批判に対する記念碑的な反論

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ62


2025年4月9日

信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本は家庭連合への迫害をやめるべき:IRFサミット2025からの声

02/18/2025 Marco Respinti

ワシントンDCから、日本政府がもはや無視できない権威ある妥協なき言葉が発信された。

マルコ・レスピンティ

イベントを紹介するカトリーナ・ラントス・スウェット氏とブラウンバック大使。写真はピーター・ゾーラー氏撮影。

約10年前に発足した国際宗教の自由サミット(IRF)は、現在では世界各地で定期的にイベントを開催する権威ある確立された機関となっている。元米国国際宗教自由特使のサミュエル・ブラウンバック氏とラントス人権正義財団の代表カトリーナ・ラントス・スウェット氏が共同議長を務める同サミットは、2018年に当時のマイク・ポンペオ国務長官が立ち上げた宗教の自由推進閣僚会議に間接的に由来している。また、グレッグ・ミッチェル氏が設立してその議長を務め、米国国際宗教自由委員会(USCIRF)元委員長のナディーン・マエンザ氏が統括する国際宗教自由(IRF)事務局とも連携して活動している。

実際、IRFサミットは、宗教、信条、信念の自由(FoRB)を支持する指導者、宗教指導者、専門家、学者、活動家、メディア関係者、政治家が定期的に集まる世界最大のサミットである。2025年2月4日-5日にワシントンDCで開催された最新のサミットで、IRFサミット、カリフォルニア州マリブのペパーダイン大学、ワシントンDCに拠点を置く宗教の自由研究所の共同の取り組みにより、2025年春にケニアで開催されるアフリカ初のサミットが発表されたことは、非常に意義深いことである。

2月4日から5日にかけて米国で開催されたイベントでは、多数のパネルと講演者が参加し、宗教または信条の自由が危機に瀕しているか、深刻に脅かされている世界のさまざまな地域に焦点を当てた。何度も繰り返し言われてきたように、あらゆる信仰とあらゆる人々に完全な自由が与えられるまで、一般大衆に情報を提供し、政治家を励まし、苦しんでいる人々を助けるために、あらゆる可能な努力を続けることが決議された。

危機に瀕している地域の中で、日本は、自由と法の支配に基づく民主的な体制にもかかわらず、深刻な脅威が少数派グループを危険にさらしている国として、特に取り上げられた。結局のところ、左翼政治家、陰謀を企む裁判官、共謀するメディアの集団から「宗教的すぎる」とか「保守的すぎる」という理由で歓迎されない人物は、どんな理由であれ攻撃されるのである。

これは現在、エホバの証人と統一教会(現在は世界平和統一家庭連合と呼ばれている)が直面しているケースである。問題はこれらのグループに限ったことではない。一部の人々はこれらのグループを不当に「異端」と定義したり、軽蔑的で避けるべき用語である「カルト」を使ってレッテルを貼ったりするかもしれない。この問題は日本政府の一般的かつ根深い態度に関するものであり、日本政府はますます自らの権力を無制限で抑制されていないものと認識し、犯罪を行っていない人々やグループの生活に恣意的に干渉することが権利の一部であると考えるようになっている。被害者を加害者に変えてしまう見事な論理の逆転を操り、あらゆる種類の国内法および国際法に違反して、日本政府は2022年7月8日の安倍晋三元首相(1954-2022)の暗殺を受けて、(不当で疑問の余地のある方法で)宗教法人としての家庭連合の解散を請求した。

家庭連合の事件が日本において特に悪質であったため、IRFサミット2025において、2月4日にワシントン・タイムズ財団とユニバーサル・ピース・フェデレーション(UPF)がスポンサーを務める特別なディナー・イベントが開催された。イベントは式典で幕を開け、さまざまな宗教の代表者が神への感謝の気持ちとして水瓶に一緒に水を注いだ。代表者はユダヤ教を代表するラビ・ジーヴ・ウルフ・ルービンズ、キリスト教を代表するアキレ・アコラツェとジョン・E・ハリソン・シニア牧師、イスラム教を代表するイマーム・ラシャド・アブドゥル・ラーマン、仏教を代表するカトゥガストータ・ウプラタナ師、ヒンズー教を代表するシャシ・チョプラ牧師、シク教を代表するアジャイ・パル・カルサであった。

多様な信仰の代表者が集まり、共同声明に署名した。写真はピーター・ゾーラー氏撮影。

ブラウンバック大使、カトリーナ・ラントス・スウェット氏、ワシントン・タイムズの取締役会長トーマス・マクデビット氏、UPFインターナショナルおよびワシントン・タイムズ財団会長マイケル・ジェンキンス氏の挨拶に続いて、ニュート・ギングリッチ元米下院議長が聴衆にこのテーマについて解説した。ギングリッチ氏は録画メッセージを通じて、日本における家庭連合の解散は日本の対米関係を深刻に損ない、共産主義の中国に不当な利益をもたらすことになるだろうと述べた。日本の家庭連合の田中富広会長は、日本政府の民主的な性格とは裏腹に、家庭連合に対する迫害の頑固さを強調した。この件に関する重要な報告書の著者であるフランスの弁護士パトリシア・デュバル氏は、この事件の重要なポイントを網羅したスピーチを行った。

これらすべてが、筆者が司会を務めた「日本が宗教の自由の危機を乗り越えるのを助ける」と題したパネル・ディスカッションへと聴衆を導いた。デュバル弁護士、日本の中山達樹弁護士、日本の家庭連合の法務副局長の近藤徳茂氏、そしてラントス・スウェット氏が、日本の状況を評価する正しい枠組みを探りながら、私の質問に答えた。

マルコ・レスピンティ氏が司会を務めたパネル・ディスカッション。写真はピーター・ゾーラー氏撮影。

全員が、現在日本で起きている出来事は、事実と法律の両面で正当性のない、前例のない迫害に等しいと結論付けた。これらの出来事は、法的規範と常識の両方に違反している。政府が家庭連合を解散するよう要請した背景には、政治的およびイデオロギー的な理由がある。もし日本政府がこの醜悪な試みに成功すれば、日本の民主主義は大きな打撃を受けるだろう。またそれは、他の民主主義国にとっては不吉な前例となり、自国民に深刻な損害を与えるような宗教または信条の自由に対する干渉をするよう、日本から奨励されることになるかもしれない。

元米国下院議員ダン・バートン氏はさらに聴衆に語りかけ、米国政府は日本に対しマイノリティ・グループや家庭連合に反対するすべての行動をやめるよう説得するために全力を尽くすべきだと強調した。彼のスピーチに続いて、ブラウンバック氏、ラントス・スウェット氏、ジェンキンス氏が締めくくりの発言を行い、その後、すべての講演者(ドナルド・J・トランプ大統領の宗教顧問であるポーラ・ホワイト・ケイン牧師は直前に出席できなくなり、ポーラ・ホワイト・ミニストリーズのチーフ・オブ・スタッフであるトッド・ランプヘール牧師が代理で出席)が壇上に上がり、「人権と信教の自由に関するインパクト・ステートメント」に署名した。この声明は、宗教または信条の自由を保護する普遍的な必要性を回復し、再確認する文書である。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
日本は家庭連合への迫害をやめるべき:IRFサミット2025からの声

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ61


2025年4月2日

信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本の統一教会:緊急の対応を要する宗教の自由の危機

02/14/2025 Patricia Duval

国連の介入により大規模なディプログラミングが終結した後、日本は統一教会を破壊するための新たな方法を考案し、その過程で他の宗教を危険にさらした。

パトリシア・デュバル

*2025年2月4日にワシントンDCで開催された国際宗教自由サミット2025のイベント「日本が宗教の自由の危機を克服するのを助ける」で発表された論文。

サミットで講演するパトリシア・デュバル

私が12年ほど前に日本統一教会を擁護し始めたとき、日本で信者の「ディプログラミング」が頻繁に起こっていると聞きました。

家族が親族を拉致し、信仰を棄てるまで何ヶ月も、時には何年も監禁したという話は数多くあります。監禁中にプロのディプログラマーが介入し、統一教会の信仰は聖書に反していると信者に強制的に「説得」したという話もあります。

異端裁判や迫害を思い起こさせるこの行いは、警察や司法当局などの当局から介入を拒否され、暗黙の承認のもとに行われました。日本では40年以上にわたり、約4,300人の信者がディプログラミングの対象となりました。

2014年に国連の自由権規約人権委員会からこの活動を終結させるよう要請された後、日本は新たな形で教会に対する戦いを続けました。

ディプログラミングの成果は、ディプログラムされた信者が教会に対して起こした不法行為訴訟の積み重ねを通じて、国家当局によってその結実を見ようとしています。それは教会の解散という最終目標です。

これらすべてを行ったのは一体誰でしょうか? それは「全国霊感商法対策弁護士連絡会」という、極左の無神論を信奉する弁護士の団体であり、彼らは初期の教会が共産主義に反対していたことから、統一教会の撲滅を目的としていることを公言していました。これら弁護士たちは、ときには家族をディプログラマーに紹介することもあり、最終的に信仰を棄てた信者とその家族をそそのかして、教会を相手取って損害賠償請求訴訟を起こさせました。

彼らは消費者法に基づいた論理で、宗教的な献金を消費者問題として捉え、献金の勧誘を「洗脳的伝道」として扱うよう裁判所を説得しました。

ワシントンでプレゼンテーションをするパトリシア・デュバル

2022年7月、安倍元首相が教会に賛同的だったことに憤慨した男に銃撃されて以来、メディアではスケープゴート化やヘイトスピーチが蔓延しました。

この波に乗って、政府は教会が敗訴したさまざまな不法行為訴訟により、公共の福祉を著しく害したと主張して、教会の解散を請求しました。これらの不利な不法行為判決のすべてにおいて、裁判所は社会規範に反したことを理由として判決を下しました。

しかし、唯物主義や無神論のロビー活動が活発な国において、宗教的信仰や実践の分野における社会規範とは何なのでしょうか?

さて、今日の日本のこうした社会規範には、児童を保護するために発行された公式ガイドラインも含まれており、その中では子どもを宗教活動に参加させることは児童虐待の一形態であると述べられています。

エホバの証人からの警告を受けて、4名の国連特別報告者が日本当局に公開書簡を送り、これらのガイドラインに対する懸念を表明しました。

現在、日本当局は、偏った不法行為訴訟に基づき、教会が「公共の福祉」を著しく害したと批判して、教会の解散を請求しています。

しかし、国連の自由権規約人権委員会は日本に対し、公共の福祉を理由に宗教や信念の自由を制限するのをやめるよう一貫して求めてきました。

政府はさらに、自由意志の侵害という曖昧で恣意的な概念を容認する、いわゆる「不当な寄付勧誘」を犯罪とする新しい法律を制定しました。

この法律は特に統一教会を対象に制定されたとアナウンスされていますが、将来的には他の教団がターゲットになって適用されることは間違いありません。

この状況には早急な対応が必要です。日本は美しく自由な国ですが、宗教または信条の自由を尊重するというコミットメントを思い出す必要があります。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
日本の統一教会:緊急の対応を要する宗教の自由の危機

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ60


2025年3月26日

信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

世界の宗教の自由コミュニティが集まり、日本における宗教の自由の危機を非難

2/17/2025 Biter Winter

年末が近づく中、学術、人権、宗教の各界で活動するリーダーたちが集まり、このアジアの国で起きていることに対する懸念を表明した。

ビター・ウィンター

2024年12月9日、名古屋市のNiterra日本特殊陶業市民会館で国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が主催したイベントに参加した人々。“Bitter Winter”のマルコ・レスピンティ担当ディレクターが講演を行った。

[プレスリリース] 2024年12月31日、宗教または信条の自由(FoRB)の分野で活躍する世界各国の相当数のリーダーたちが、「日本における宗教の自由の危機」に関する声明に署名した。彼らは、2022年の安倍晋三元首相暗殺後、宗教または信条の自由と宗教的マイノリティに敵対する勢力が、この事件を利用して保守的な宗教や「カルト」という烙印を押された団体を弾圧したと指摘した。当初は統一教会(現在は世界平和統一家庭連合〔FFWPU〕として知られている)が標的とされていたが、キャンペーンはエホバの証人やその他の団体にも拡大された。

宗教的マイノリティが寄付を募り、信仰を子供に伝える権利を制限する新たな法律や規制が制定され、国連特別報告者4人の声明という形で、国連がこれに異議を唱えた。12月31日の文書はまた、宗教または信条の自由に関する国連特別報告者のナジラ・ガネア氏が「この潜在的な違反について彼女の事務所が受け取った報告書を調査するために日本を訪問する機会を要請したが、彼女は要請に対する回答を受け取っていない」と懸念を表明している。

署名者らは、重大な罪を犯した宗教団体の解散を認める日本の宗教法人法が、寄付に関する民事訴訟(刑事訴訟とは対照的に)で敗訴したという事実に基づき、犯罪を行っていない統一教会/家庭連合の解散を求める訴訟を政府が起こせるように斬新な形で再解釈されたと指摘している。署名者らは、この裁判は今日の世界の民主主義国における最も深刻な宗教の自由の危機の中心にあると述べた。

署名者らは、宗教または信条の自由の観点から2024年を特徴づける2つの事実を挙げた。1つは否定的であり、もう1つは肯定的である。1つ目は、民主主義制度が一般的に尊重され、賞賛されている国である日本における、宗教または信条の自由に対する前例のない攻撃である。2つ目は、日本における宗教または信条の自由の状況と危機に対する共通の懸念を表明する学者、人権活動家、宗教指導者の大規模な連合が結成されたことである。この連合は希望の兆しである。それは現在、日本の宗教指導者に戦いに加わるよう呼びかけている。

人権と信教の自由に関するインパクト・ステートメント

日本における信教の自由の危機

2022年7月8日、日本の安倍晋三元首相が暗殺された事件は世界に衝撃を与えた。 何百万人もの人々がこの悲劇的な損失と恐ろしい犯罪を悼んだ。 しかし、私たち、以下に署名する学者や人権活動家は、信教の自由を憂慮する者たちであり、複数の宗教の代表者であるが、様々な勢力がこの暗殺事件を利用して、いかに民主主義国家日本における宗教信者の重要な人権を解体し始めようとしているかを目の当たりにして、さらに憂慮を深めている。

安倍首相は山上徹也という男に暗殺された。 彼は、安倍首相が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体に協力していることを罰したいと主張した。 この暗殺者は家庭連合を憎んでいたというが、それは彼の母親が信者であり、その宗教への惜しみない献金が一因となって2002年に破産宣告を受けたからであるとされている。メディアではあまり触れられていないが、2009年に山上氏の母親の献金の半分が、互いに合意した和解の一環として、彼女に返還されたという事実がある。また、彼女の息子であり暗殺者である山上徹也氏は、この宗教運動のメンバーではなかったし、実際に上記の和解を受け入れる声明に署名している。

安倍氏暗殺の結果として、統一教会に対する古くからの、主に政治的動機に基づくキャンペーンが突然復活した。 「カルト」という大衆には受けるが非科学的な用語に頼ったこれらの努力は、エホバの証人のような宗教を含む他のグループも標的にした。 このキャンペーンは、「カルト」が会員に献金するよう圧力をかけているという疑惑や、こうした運動の2世信者はまともな教育を受けていないという疑惑に焦点を当てた。 1980年代に統一教会の反対派によって作られた蔑称である「霊感商法」が頻繁に言及された。この論争は、小型の多宝塔や印鑑、その他の工芸品など、霊的な幸運をもたらすと紹介された品々の販売を指しており、このような販売は、統一教会のメンバーが所属する会社によって行われていた。安倍氏暗殺の頃には、こうした販売はほとんどなくなり、苦情はほんの一握りになっていたが、いわゆる「霊感商法」の事例は、何年も、あるいは数十年も前のことであるにもかかわらず、いまだに裁判沙汰になっている。2世信者には良い教育機会が与えられなかったという主張については、否定的な経験を報告した人たちの声だけがメディアや政治家の耳に入り、新宗教運動の中で幸せに育ち、喜んでそこに留まった何千人もの人たちは無視された。

安倍氏暗殺後、3種類の法的措置が導入された。第一に、宗教法人の解散に関する法規定が解釈変更された(そして新解釈は遡及適用された)。 安倍氏暗殺事件以前は、重大な犯罪を行った宗教法人だけを解散させられる、と解釈されていた。今、政府は家庭連合の解散を求めるために、これまでの解釈を覆し、民事訴訟で敗訴しただけで解散できると主張している。この最低限の解散根拠が裁判所によって支持されれば、どの宗教も解散を免れないことになる。

第二に、「物議をかもす」団体が寄付を募る可能性を制限し、そのような運動に寄付した人やその相続人、親族がお金を取り戻すのを容易にする新たな規定が導入された。

第三に、「物議を醸す」宗教運動の2世信者のいわゆる収奪と、いわゆる 「子供への宗教的虐待」に関するQ&A形式のガイドラインが発表された。ガイドラインのいくつかの条項は統一教会とは関係なく、エホバの証人や他の保守的なキリスト教団体を標的にしている。例えば、未成年者が誕生日を祝えないようにすること(エホバの証人に典型的な習慣)、告白室での対話の中で性に関する罪が話し合われる場合に未成年者を告白に参加させること(ローマ・カトリック教会では通常行われている)、未成年者に地獄について教えたり、中絶はいかなる状況でも認められないと教えたりすること(保守的な福音主義キリスト教の教派では通常の教え)などが虐待とみなされる。

私たちは、家庭連合だけでなく、新宗教運動だけでなく、すべての宗教を脅かす措置に懸念を表明する。多くの宗教団体が民事訴訟に巻き込まれる可能性があり、民事訴訟で敗訴しただけで解散になるのであれば、誰も安全ではない。「物議をかもす」団体や「反社会的」団体の定義はない。このようなレッテルは、あらゆる宗教に対して、その反対者たちによって使われ、キリスト教や仏教のような大きな伝統の正当な構成要素である少数派グループに対しても頻繁に使われる。宗教団体への献金に対する一般的な疑念は、「洗脳」や「精神操作」という、西洋の宗教学者が40年以上も前から否定してきた理論に基づいている。「子どもへの宗教的虐待」に関する曖昧な規定は、多数派が共有する価値観とは異なる価値観を未成年者に教えるすべての保守的な宗教の子どもたちの社会化を対象としている。

私たちは、安倍氏暗殺によって生じた強い感情は、それが理解できるものであっても、日本における人権を侵害する立法、行政、法的措置につながるものであってはならないと信じている。 民主主義国家は、いかなる宗教に対しても、自由に活動し、寄付を集め、その信仰と道徳的価値を次世代に伝える権利を恣意的に害してはならない。

日本における信教の自由に関する最近の動きとして、オックスフォード大学教授であり、宗教および信仰の自由に関する国連特別報告者であるナジラ・ガネア博士、教育に対する権利に関する特別報告者ファリダ・シャヒード氏、意見と表現の自由に対する権利の促進と保護に関する特別報告者アイリーン・カーン氏、平和的集会及び結社の自由に対する権利に関する特別報告者クレマン・ニャレツォシ・ヴール氏は、子どもを指導する親の権利に関する自由権規約違反と思われる質問について説明を求める国連勧告を発表した。勧告は2024年4月1日に日本に直接送られ、60日間の回答期間が設けられた。それに対する回答がないまま60日間の期間が過ぎた後、勧告は2024年7月1日に公表された。

特別報告者は、「厚生労働省は、2022年12月27日、『宗教上の信条等に関連する児童虐待への対応に関するQ&A』を公表した……このQ&Aガイドラインは、2022年7月8日に安倍晋三元首相が暗殺された事件を受けて、一部の宗教団体の活動が殺人の動機として挙げられたことから、一部の宗教的・信条的マイノリティに対する監視や汚名が高まったことを背景に作成された。このガイドラインは2022年10月に日本脱カルト協会(JSCPR)と協議して作成されたが、同協会の会長は宗教団体による新たなタイプの児童虐待の認定を求め、以前からエホバの証人やその他の宗教的または信仰的マイノリティを誹謗中傷する公の発言を行なっていた。

ガネア博士は、この違反の可能性について彼女の事務所が受け取った報告書を調べるために日本を訪問する機会を求めている。しかし、彼女の要請に対する回答は得られていない。
法の適正手続きを重視する民主主義国家である日本が、国際法を遵守し、信教の自由や基本的人権の問題について透明性を求める要請を尊重することは重要である。

しかし、本件では、特別報告者の要請が、上記の「宗教上の信条等に係る児童虐待への対応に関するQ&A」の公表に関連してなされたものであり、この公表が、その後、エホバの証人をはじめとする宗教的・信条的マイノリティに対するヘイトクライムやヘイトスピーチの増加につながったと報告されていることは明らかである。

さらに、2024年9月、人権専門家として尊敬されているフランスのパトリシア・デュバル弁護士が、報告者事務所に日本に関する報告書を提出した。彼女は、ある少数派宗教に対する数十年にわたる宗教差別のパターンを強調しており、このパターンは、国連勧告で提起された問題の重要な背景を構成しているが、ほとんど気づかれていない。

私たちは、日本の宗教指導者であるあなた方に、信教の自由を守ることを奨励し、偉大な日本という国家が、すべての信仰に対する信教の自由を確認した日本国憲法と同様に、国連の市民的及び政治的権利に関する国際規約ならびに人権宣言に対して現在なしている誓約を守り続けるよう求めるために、この手紙を書いている。

「次は誰が犠牲になるのか?」を冷静に問うべき時である。そして、ナチズムの悲劇に直面したドイツのルター派牧師マルティン・ニーメラーの「まず、彼らは社会主義者を狙ったが、私は声を上げなかった。私は社会主義者ではなかったからだ。次に彼らは労働組合員を狙ってきたが、私は声を上げなかった。私は労働組合員ではなかったからだ。その後、彼らはユダヤ人を捕まえに来たが、私は声を上げなかった。私はユダヤ人ではなかったからだ。そして、彼らは私を狙ってやってきた。私のために声を上げてくれる人は誰も残っていなかった」という有名な言葉を誰もが思い出すべきだ。

インパクト・ステートメント署名者
コラ・アラピンニ、信教の自由財団顧問兼運営局長
アレッサンドロ・アミカレッリ、信教の自由のためのヨーロッパ連盟会長、ローマおよびトリノ、イタリア
ダグ・バンドウ、『American Conservative』誌コラムニスト、ワシントンDCおよびカリフォルニア州弁護士会員
ニコル・バウアー、オーストリア・グラーツ大学宗教学助教授
ルイジ・ベルツァーノ、イタリア、トリノ大学文化・政治・社会学部教授
サム・ブラウンバック、国際宗教自由サミット共同議長
ダン・バートン、世界平和議員連合共同議長、米下院議員(1983~2012年)
プレスコット・バトラー、ニュージャージー州アーヴィントン、ユナイテッド・メソジスト教会牧師
ニール・クリスティ、宗教ナショナリズム・プロジェクト事務局長
フランチェスコ・クルト、Fedinsieme(Faith Together)会長、トリノ、イタリア
ラファエラ・ディ・マルツィオ、イタリア、ローマ、宗教・信仰・良心の自由研究センター所長
コール・ダラム、ユタ州プロボ、ブリガムヤング大学法学・宗教学名誉教授
ウィリー・フォートレ、「国境なき人権」理事、ブリュッセル、ベルギー
ヤン・フィゲル、元EU域外宗教・信仰の自由促進特使、スロバキア、ブラチスラバ
ホーリー・フォーク、ワシントン州ベリンガム、ウェスタン・ワシントン大学グローバル人文学・宗教学准教授
エドソン・ガレアノ、アッセンブリー・オブ・ゴッド教会司教、ブラジル
Y・フィク・フドック、正義のために立ち上がるモンタニャール共同設立者
マッシモ・イントロヴィニエ、CESNUR(新宗教研究センター)マネージング・ディレクター、トリノ、イタリア
マイケル・ジェンキンス、ワシントン・タイムズ財団会長
カトー・セイ、サイエントロジー教会理事、オーストラリア
カロリナ・マリア・コトコフスカ、ポーランド、クラクフのヤギェウォ大学文明比較研究センター助教授
カメリア・マリン、ソテリア・インターナショナル副所長、デンマーク、コペンハーゲン
グレッグ・ミッチェル、国際宗教自由事務局創設者兼CEO
ターニャ・グエン・ドー、ティエンナム修道院の友人たち
ハンス・ヌート、ジェラール・ヌート財団理事長、ランゲンブーム、オランダ
マルコ・レスピンティ、ビター・ウィンター誌主任編集長
アーロン・ローズ、宗教の自由ヨーロッパフォーラム会長、ウィーン、オーストリア、1993-2007年国際人権ヘルシンキ連盟専務理事
ジェームズ・T・リチャードソン、ネバダ大学名誉教授(社会学・法学)、ネバダ州リノ
ベルナデット・リガル=セラール、フランス、ボルドー・モンテーニュ大学北米研究・宗教社会学名誉教授
トーマス・セロヴァー、世界平和教授アカデミー会長、元カナダ・サスカチュワン大学宗教学准教授
タリブ・M・シャリーフ、ナショナル・モスク、イマーム、ワシントンDC
ロジータ・ショリテ(リトアニア、ヴィリニュス、難民の宗教的自由のための国際監視所所長
G・アウグストゥス・スターリングス・ジュニア大主教、イマニ・テンプル、ワシントンDC
グレゴリー・H・スタントン、ジェノサイド・ウォッチ創設会長
カトリーナ・ラントス・スウェット、人権と正義のためのラントス財団会長、国際宗教自由サミット共同議長
マイケル・サイクス、ユナイテッド・ミッショナリー・バプテスト教会牧師、ニュージャージー州 E.オレンジ
スー・テイラー、サイエントロジー教会全米事務局広報部長
ティエリー・ヴァレ、良心の自由のための団体と個人の連携会長、フランス、パリ
マリア・ヴァルデ、ブエノスアイレス大学哲学文学部人類学研究所、アルゼンチン
トーマス・G・ウォルシュ、HJ国際平和・公共リーダーシップ大学院学長、ニューヨーク
キャサリン・ウェッシンガー、ルイジアナ州ニューオーリンズ、ロヨラ大学H.ジェイムズ・ヤマウチ師宗教史特別教授
以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/世界の宗教の自由コミュニティが集まり、日本に/?_gl=1*o5j7u9*_up*MQ..*_ga*MTQ2MDc0MjcxNC4xNzQxMjcwMzc3*_ga_BXXPYMB88D*MTc0MTI3MDM3Ny4xLjEuMTc0MTI3MDM5MS4wLjAuMA..

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ59


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。
このサイトに「BITTER WINTER」の主任編集長を務めるマルコ・レスピンティ氏が「メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし」と題するシリーズ記事が掲載された。その内容は2024年12月に国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が主催した講演ツアーにおける彼のスピーチである。私は彼の同時通訳を担当した。このたび、マッシモ・イントロヴィニエ氏とマルコ・レスピンティ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

広島から人権を求める叫びが上がる―それは宗教の自由から始まる

01/03/2025 Marco Respinti

その市は平和が常に主張されるべきであることを知っている。宗教または信条の自由もまた、日本および世界中で同様に主張されるべきだ。

マルコ・レスピンティ

2024年12月7日に日本の広島にある平和記念公園で行われた演説のダイジェスト映像は、ソーシャルメディアで公開されている。

1945年8月6日に最初の原子爆弾が爆発した地域に唯一残された建造物である原爆ドーム (広島平和記念碑) にいるマルコ・レスピンティ。

日本の広島市にある平和記念公園と、ここで起こった惨劇を伝える資料館を、心から感動しながら訪れています。世界的に有名でありながら、あまりに忘れられがちなことは、広島が1945年8月6日に、人間を殺害する意図で史上初の原子爆弾が投下された場所だということです。原爆は一瞬で10万人近くの命を奪い、被害は今日まで続いています。人類が引き起こした史上最悪の大惨事の一つです。この場所が深く証明しているように、人間は人生においてその心と腕を善と美のために捧げれば、素晴らしいことを成し遂げることができる一方で、善と美に背を向ければ、恐ろしい罪を犯すことができる存在なのです。

この爆弾はアメリカ人によって投下されたので、20世紀アメリカの最も偉大な精神の持ち主の一人であるアメリカ人作家ラッセル・カーク(1918-1994)の言葉をここで引用するのは、まさに適切だと思います。1945年10月14日の手紙の中で、彼はこの悲劇的な出来事について、彼の友人であり同僚であるウォーレン・L・フライシャウアー(1916?1982)に次のようにコメントしています。「我々が野蛮な状態に陥るのに、そう長くはかからないだろう。我々は、自身の帝国内の野蛮人なのだ。」

国際宗教自由連合(ICRF)の招待を受けて、私は講演ツアーでこの美しい国の4つの主要都市を訪れています。

広島の文化交流会館で講演するマルコ・レスピンティ。2024年12月6日。

原子力は、常に平和目的にのみ世界中で使用され共有されるべき素晴らしい資源です。しかし今日、日本を破壊した爆弾とは比べものにならないほど破壊的で致命的な爆弾を製造するために原子力が使用されていることは、依然として全世界にとって絶え間ない脅威です。しかし、良いニュースは、80年以上も核兵器の恐ろしさをたゆまず訴え続けてきた日本原水爆被害者団体協議会が、今年2024年にノーベル平和賞を受賞したことです。「日本被団協」として知られ、1956年に結成されたこの団体は、あの惨劇の生存者を代表しています。

爆弾が投下される様子。広島平和記念資料館で悲劇を再現したビデオより。写真はマルコ・レスピンティが撮影。

私は、1945年8月9日に広島で、そしてその三日後に長崎で、耐え難い犠牲を払った人間の不条理の犠牲者を悼みながら、核兵器廃絶のために声を上げ続けてきたこれらの人々に敬意を表します。

核兵器の廃絶を通して平和を常に訴え続けなければならないのと同様に、宗教または信条の自由についても、この国および世界中で妥協することなく主張し続ける必要があります。実際、私たちが声を上げなくなった途端、宗教の自由は失われてしまいます。

私は外国人です。この国、その文化と伝統、そしてもちろん国民を深く尊敬しています。誰かを批判したり、法律や政治に干渉したりするつもりはありません。しかし、ここ日本でも宗教の自由が失われる危険にさらされています。日本当局による世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令の請求は、この団体だけでなく、国内のすべての宗教団体に対する政府の規制を強化するものです。

世界中のあらゆる人権の基盤である宗教の自由を声高に訴える必要があります。皆さんも私と一緒に、すべての人の宗教または信条の自由を守るこの仕事に参加してくださるよう、心からお願いします。教皇ベネディクト16世の有名な言葉にあるように、「宗教の自由は平和への道」なのです。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%E5%BA%83%E5%B3%B6%E3%81%8B%E3%82%89%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E3%82%92%E6%B1%82%E3%82%81%E3%82%8B%E5%8F%AB%E3%81%B3%E3%81%8C%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%82%8B%E2%80%95%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E5%AE%97%E6%95%99/

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ58


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。
このサイトに「BITTER WINTER」の主任編集長を務めるマルコ・レスピンティ氏が「メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし」と題するシリーズ記事が掲載された。その内容は2024年12月に国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が主催した講演ツアーにおける彼のスピーチである。私は彼の同時通訳を担当した。このたび、マッシモ・イントロヴィニエ氏とマルコ・レスピンティ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし4 存在しない犯罪を武器にする

01/03/2025 Marco Respinti

日本国民の権利を守ることは日本の民主政府の義務だが、家庭連合や他の宗教的マイノリティの場合にはそうなっていない。

マルコ・レスピンティ

4つの記事の4つ目。1つ目の記事、2つ目の記事、3つ目の記事を読む。

※本論文は、「日本の信教の自由と民主主義の危機」と題し、国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が2024年12月に企画・主催した会議において、さまざまなバージョンで発表された。この会議では、著者が日本で講演ツアーを行い、6日に広島文化交流会館、8日にビジョンセンター東京京橋、9日に名古屋市のNiterra日本特殊陶業市民会館、10日に福岡のアクロス福岡で講演した。

東京で講演するマルコ・レスピンティ。2024年12月8日

3つ目のポイントは献金に関することです。

2022年と2023年に、日本で「公共の福祉」を害し、「社会的相当性」を欠く宗教団体が献金を募ることを制限する法律と行政上の規制が制定されました。これにより、献金した後に団体を脱退した人や、現役信者の親族が献金の返還を求めることが非常に容易になります。マッシモ・イントロヴィニエは、少し皮肉っぽく、しかし実際には規制の本質を捉えて、以下のように述べています。「日本の新しい法律によれば、献金をしたときに困惑した場合は、洗脳されていたことが証明されます。困惑しなかった場合は、洗脳が非常に効果的であったことが証明されます。今日に至っても自分は自由意思によって献金したのだと信じているのであれば、これはまだ洗脳下にあることを証明しており、親族があなたに代わって献金の返還を求める行動を取る可能性があります。」

すべては洗脳に基づいており、特定の少数派宗教を「公共の福祉」を害し、「社会的相当性を欠く」ものとして特定します。これらの概念を定義する明確な基準がないため、どの宗教をこうしたブラックリストに載せるべきかは、政府、または政府に助言する反カルトの弁護士によって恣意的に決定されるのです。

パトリシア・デュバル氏は、日本は国連の市民的及び政治的権利に関する国際規約に署名し、批准しており、これを尊重する義務があると指摘しました。「規約第18条3項では、すべての制限は『公共の安全、秩序、健康、道徳、または他の者の基本的権利および自由を保護するために必要なもの』でなければならない」とデュバル氏は書いています。このリストは網羅的であり、他の正当化は認められません。「公共の福祉」はリストに含まれていません」。「社会的相当性」も含まれていません。これらの基準に基づいて特定のグループの「宗教または信条の自由」を制限することは、国際法で禁止されているのです。

4つ目のポイントは、家庭連合や「社会的相当性に欠ける」とみなされる他のグループに属する親に育てられた2世信者に関するものです。安倍首相の暗殺後、日本は「宗教的児童虐待」というカテゴリーを作り出し、保守的または「カルト的な」宗教で育った子供たちはさまざまな形で虐待され、ネグレクトされていると主張しました。この新しいカテゴリーは、2022年に質疑応答の形で公開されたガイドラインに影響を与えました。

これらは非常に広範囲にわたるため、家庭連合だけでなく多くの宗教の「宗教または信条の自由」を脅かすものです。「宗教的児童虐待」とみなされる行為の中には、もちろん「社会的相当性を欠く」宗教に子供を適合させることも含まれ、これは家庭連合を標的としています。しかし、子供の誕生日を祝わせないようにすること(エホバの証人の典型)、告解で未成年が性に関する罪を告白するリスクがある場合に、18歳未満の未成年を告解に送ること(カトリック教会を標的としている)、日本の法律で未成年者の中絶が認められている場合でも18歳未満の娘に中絶しないよう助言すること(これもあらゆるケースで中絶に反対するカトリックと保守的な福音主義者を標的としている)も禁止されています。

このガイドラインは、宗教的・道徳的な理由から、子供たちが学校の友達がよく見ている漫画を読んだり見たりするのを禁じることでさえ、「宗教的児童虐待」とみなしているとして、国際的に嘲笑されています。この国は、子供たちが暴力的で性的に露骨な内容の漫画やアニメを閲覧することを許可しているとして、ユニセフから繰り返し制裁を受けているのです。

宗教より危険ではない?「バイオレンスジャック」は、暴力、さらには人食いや屍姦を描写していると批判されている日本の漫画やアニメの 1 つ。Credit.

最後に、子供たちに永遠の刑罰や地獄について語って怖がらせることが禁止されていますが、これはほとんどのキリスト教会を標的にしているだけでなく、地獄の生々しい描写がよくあるほとんどのヨーロッパの教会や博物館に、日本の親が娘や息子を連れて行くことを禁じることになります。

これらのガイドラインを笑うことは可能ですが、家庭連合、エホバの証人、さらには保守的なキリスト教徒全般が子供を虐待し傷つけているとか、その教育の慣行を規制しなければならないとか、件の反カルト弁護士による損害賠償訴訟に直面しなければならない可能性がある、などと主張するために利用されています。状況は非常に危険であるため、民主主義国に介入することはめったにない国連の関心を免れることはできませんでした。2024年4月30日に4人の特別報告者が署名した文書で、国連は、ガイドラインが「中立性と非差別の原則に反するだけでなく、宗教的または信条的マイノリティに対する偏見と疑念を助長することになりかねない」と非難しました。彼らはまた、標的となったグループに対する辛辣な批判で有名な反カルト主義者が、規制の起草の段階で政府に協力していたことに対して、懸念を示しました。

今年、宗教または信条の自由に関する特別報告者のナジラ・ガネア氏は日本に対し、安倍元首相暗殺後の「宗教または信条の自由」の危機を調査するため、日本を訪問したいと公式に要請しました。「ビター・ウィンター」は11月25日、ジャーナリズムの世界で言うところの「小さな爆弾」を投下した最初の国際メディアとなりました。それは「彼女の要請は国連のウェブサイトに公式に掲載されているが、訪問は予定されていない。これは日本が同意しなかったことを意味する。日本は民主主義国家であり、2011年に特別報告者に対する継続招待を行った国だが、個々の訪問が実際に行われるには確認が必要である。宗教または信条の自由に関する特別報告者による2024年3月の要請の場合には、それが行われなかった」と暴露したのです。日本は何を隠す必要があるのでしょうか?

今日は詳しくは述べることはできませんが、これらの理由やその他の理由から、日本における家庭連合の解散要求は、この国における自由民主主義に対する露骨で不当な侵害行為です。もし「宗教または信条の自由」が、明らかにそうであるように、最初の政治的人権であり、真の民主主義の主要な特徴であるならば、日本における家庭連合に対する解散命令請求は、重大な人権の抑圧であり、民主主義に対する攻撃です。それは自由の解体です。この請求には、私が述べたように、いくつかの宗教を標的とし、日本における「宗教または信条の自由」を厳しく制限する一連の新しい法律と規制が伴っています。また、家庭連合の信者、その友好団体、およびその他の標的とされたグループに対する露骨な差別と暴力行為も伴います。彼らは学校や職場でいじめられ、公共の場でイベントを開催しようとすると差別され、メディアで中傷され、家庭内暴力を含む身体的暴力の危険にさらされているのです。私は今日、世界平和女性連合の勇敢な女性たちに特に敬意を表します。彼女たちは、家庭連合との関係性のゆえに、さまざまな形で中傷を受けてきました。彼女たちが何年も犠牲を払って支援してきたセネガルの学校さえも奪われました。あなたたちは我々の姉妹であり、あなたたちの勇気と苦しみは決して忘れられることはないでしょう。

2024年12月10日に福岡で開催されたイベントで他の講演者と宗教の自由の問題について議論するマルコ・レスピンティ。

繰り返しになりますが、私は外国人であり、日本の熱心な友人でもあります。日本の法律や政治に干渉するつもりはありませんし、私が過去、現在、未来において発するどの言葉も、世界の信教の自由に関する観察者および記者としての私の立場を越えようとする試みであると解釈されるべきではありません。しかし、日本当局はいかなる犠牲を払ってでも、日本国民に真実を伝える義務があります。彼らは国際的な学者の専門知識を学び、それに耳を傾け、専門家の発言に関心を払う必要があります。それが日本には相応しいし、日本国民にも相応しいことです。

日本国民の「宗教または信条の自由」の権利を守ることは日本政府の義務であり、真の民主主義の証です。家庭連合やその他の宗教の信者の「宗教または信条の自由」の権利を侵害することは、これらの団体の信者・非信者を含む、あらゆる宗教的信条を持つすべての日本国民、そして全世界に対する不正行為です。

家庭連合に限らず、宗教に対する攻撃は実際に国内で広がっており、「ビター・ウィンター」は自らの義務として、エホバの証人や福音派、その他の宗教が標的となっているこの憂慮すべき状況を絶えず報道してきました。

最後に、「Bitter Winter」が2023年10月31日に発表した、暗いながらもいまでも有効な緊急声明の言葉で締めくくりたいと思います。これは、政府が解散請求した宗教団体の資産を凍結できるようにするという、またしても危険な提案に反対する訴えでしたが、その言葉は日本の「宗教または信条の自由」の危機全般に当てはまります。そこには、すべての宗教がお互いに対して持つべき感情をうまく要約した詩への言及があります。「Bitter Winter」は、公の場でこの詩を頻繁に使用しています。

「私たちは、日本の政治家と裁判所に対し、解散請求訴訟が提起されている宗教法人の資産凍結を認める法案を拒否し、これらの措置の危険で広範囲にわたる影響と、それらが人権を尊重する民主主義国家としての日本の国際的イメージに消えることのない汚点を付けることを認め、解散請求を再考するよう求めます。私たちは日本と国連の民主的な同盟国に対し、理性、宗教または信仰の自由、および人権の代弁者としてその声を届けるよう求めます。私たちは、日本に存在するすべての教会と宗教に対し、新たな資産凍結法と解散に反対する声を上げるよう呼びかけます。多くのテーマで家庭連合とどれだけ意見が合わなかったとしても、この新法ならびに刑事訴訟ではなく民事訴訟のみで敗訴した宗教団体の解散を許す前例を作ることは、彼らにとっても脅威となることでしょう。すべての宗教に影響を与える厳しい制限を課すことを最終目的とする運動から助命されることを望んで沈黙を続けることは、ルーテル派牧師で反体制派のマルティン・ニーメラー(1892?1984)の有名な詩に描かれている、ナチス時代の平均的で臆病なドイツの聖職者の立場に彼らを置くことになるでしょう。『最初に彼らは社会主義者を連れ去りましたが、私は声を上げませんでした。なぜなら私は社会主義者ではなかったからです。次に彼らは労働組合員を連れ去りましたが、私は声を上げませんでした。なぜなら私は労働組合員ではなかったからです。それから彼らはユダヤ人を連れ去りましたが、私は声を上げませんでした。なぜなら私はユダヤ人ではなかったからです。そして彼らが私を連れ去りに来たとき、私のために声をあげる者は誰一人残っていませんでした。』」

日本にそのような日が来ないことを神に祈ります。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%91%E3%83%B3%EF%BC%9A%E5%AE%B6%E5%BA%AD%E9%80%A3%E5%90%88%E3%81%AB%E4%BF%A1%E6%95%99%E3%81%AE%E8%87%AA%E7%94%B1-3/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ57


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。
このサイトに「BITTER WINTER」の主任編集長を務めるマルコ・レスピンティ氏が「メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし」と題するシリーズ記事が掲載された。その内容は2024年12月に国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が主催した講演ツアーにおける彼のスピーチである。私は彼の同時通訳を担当した。このたび、マッシモ・イントロヴィニエ氏とマルコ・レスピンティ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし3 団体の解散は自由の解体

01/03/2025 Marco Respinti

被害者が加害者として描かれると、巨大な不正は露骨な不条理となる。しかし、それは現代の日本で起こっている。

マルコ・レスピンティ

4つの記事の3つ目。1つ目の記事と2つ目の記事を読む。

※本論文は、「日本の信教の自由と民主主義の危機」と題し、国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が2024年12月に企画・主催した会議において、さまざまなバージョンで発表された。この会議では、著者が日本で講演ツアーを行い、6日に広島文化交流会館、8日にビジョンセンター東京京橋、9日に名古屋市のNiterra日本特殊陶業市民会館、10日に福岡のアクロス福岡で講演した。

福岡で講演するマルコ・レスピンティ。2024年12月10日

私たちはついに問題の核心に到達しました。暗殺者山上が犯罪行為に至ったのは、日本で広まっている統一教会・家庭連合に対するヘイト・キャンペーンに従ったからです。

暗殺者の教会に対する憎悪は、反統一教会活動家によるヘイトスピーチによって煽られたのです。実際、特定の宗教やスピリチュアルな信仰に対する憎悪と恐怖の雰囲気を醸し出し、中傷するプロセス全体における自分たちの責任を隠すために、これらの活動家や「カルト」ハンターたちは、事実を劇的にひっくり返すことに成功したのです。彼らは被害者を加害者に仕立て上げました。安倍氏の事件とその余波において、実際には統一教会が被害者であることは明らかです。

しかし、教会は加害者として描かれ、憂慮すべき結果を生み出しています。ゆがんだ論理は以下のように展開します。もし教会が、教会との曖昧なつながりを理由に著名な政治家を暗殺するほどにその男を激怒させたとしたら、山上の反応は過剰だったかもしれないが、その政治家は当然の運命をたどったのであり、教会が非難されるのは当然である。言い換えれば、その汚れた論理の結論は、暗殺者が実際に復讐を果たすことによって、最終的には日本社会に利益をもたらしたのだから、暗殺者に同情することは可能だ、というものです。

多くの人が心の中では密かにそう思っているのではないかと、私は恐れています。

ここで、もう 1 つだけ、さらに詳しく説明しましょう。確かに、安倍元首相の暗殺はそれ自体、かなり重大な犯罪ですが、中傷と嘘に基づく非難と憎悪の風潮の結果としてそれが起きたと考えると、非常に驚くべきことです。残念ながら、その風潮はまだ終わっていません。統一教会に対する疑惑のレベルは依然として高まっており、甚だしくは、新たな犯罪を引き起こす可能性もあります。

日本で非常に不当なことが行われているという印象を、私は強く受けています。被害者が加害者にされ、今度は他人の行為の代償を払わされようとしています。山上氏の犯罪行為は重大な結果をもたらし、その終わりはまだ見えていません。実際、家庭連合に対する彼の非難の言葉によって火が着いて一連の出来事が引き起こされ、結果的に2023年10月13日に日本政府は教会に対する宗教法人解散請求を出しました。日本では解散には裁判が必要であり、それは現在審理中です。それと並行して、その原因でもあり結果でもありますが、反カルトの弁護士たちは家庭連合に反対する古いキャンペーンをすべて刷新させ、ついでに他の保守的な宗教、特にエホバの証人をターゲットにしました。

2024年12月10日に福岡で行われた家庭連合信者の拉致監禁に関する展示会を訪れたマルコ・レスピンティ。

では、なぜ家庭連合を解散させなければならないのでしょうか? どんな罪を犯したのでしょうか? 家庭連合が安倍元首相を殺害したのでしょうか? もちろん違います。世界中の宗教の自由の擁護者を代表する12のNGOが2023年10月に日本政府の行動に抗議した際、「数十年前の出来事に言及した真実、半端な真実、そして全くの嘘を織り交ぜて」、家庭連合は現在、公共の利益のために解散させる必要がある『反社会的団体』にされてしまっている、と述べています。しかし、この事件はすべて誤った前提と、さらに誤った結論に基づいて構築されており、前述のNGOは家庭連合に対する解散請求を「民主主義国家ではなく、中国やロシアでの慣行を彷彿させる措置」と表現しています。実際、それは「罪状とは釣り合わないし、家庭連合の遵法行動とも一致しない。また、特定の弁護士や政治団体、メディアから不人気な他の宗教的マイノリティーに対して同様の行動を許す道を開くことになる」と述べています。

学者たちはすでに、このあからさまな不正を明らかにするために多大な貢献をしています。パトリシア・デュバルは弁護士であり、パリ弁護士会の会員でもあります。私の友人でもあり、殺人にまで至った深刻な宗教の自由の侵害について、私はジャーナリズムの視点から、彼女は法律の視点から、一緒に調査を行ったことがあります。彼女はフランスのパリにあるソルボンヌ大学で公法の学位を取得しており、国際人権法を専門としています。彼女は、国内および国際のフォーラム、そして欧州人権裁判所、欧州評議会、欧州安全保障協力機構、欧州連合、国連などの国際機関で、宗教的マイノリティーの権利を擁護してきました。

2024年9月25日、彼女は国連のさまざまな人物や機関に、日本における家庭連合の事案に関する報告書を提出しました。この報告書は「デュバル・レポート」として広く知られるようになりました。(有益な要約も出されています)。これは、この事件に関するこれまでで最も完全かつ詳細な分析であり、「ビター・ウィンター」はそれを掲載する栄誉に浴しました。

この「デュバル・レポート」は政治家と一般大衆向けに書かれたものです。デュバル氏はすぐに、この事件のより専門的な法的分析を提示する別の重要な文書を発表しました。「ビター・ウィンター」は、その文書も掲載する栄誉に浴しました。私は、この問題全体をより正当かつ法的に正確に理解するために、デュバル氏の出版物を皆様が読んで研究することを強く勧めます。

デュバル氏は、過去に家庭連合のメンバーが「拉致され、棄教を強要されたこと、すなわちディプログラミング」を指摘します。この状況により、教会は「最も基本的な権利に対する重大な侵害を暴露するため、国連のさまざまな人権機関に詳細な報告書」を送付せざるを得なくなりました。国連の自由権規約人権委員会が日本にこうした行為を終わらせるよう勧告した結果、2014年に東京高等裁判所が下した判決が2015年に最高裁によって確定し、その後はこの醜悪な現象は消滅しました。しかしそれは、(残念ながら韓国を除いて)他の民主主義国よりもずっと遅れてのことでした。

しかし、過去のディプログラミングの副産物として、脱会した家庭連合のメンバーは反カルトの弁護士から家庭連合を損害賠償で訴えるよう求められました。実際、訴えることを拒否した場合、彼らはまだ完全にディプログラムされていないと宣言され、再び監禁されました。これにより、家庭連合に対する民事上の不法行為訴訟が雪崩のように起こりました。

マルコ・レスピンティは、拉致監禁の被害者であった家庭連合のメンバーと面会した。福岡、2024年12月10日。

不法行為とは、もちろん、民事上の法的責任につながる不法行為または権利の侵害のことです。デュバル氏は、家庭連合に対して複数の不法行為訴訟を起こすことは、文字通り教会を破壊することを目的とした戦略の一部であり、宗教の自由に関する国際原則に違反する戦略であると断言します。デュバル氏はさらに、それにより、日本は自ら署名し批准した国連の規約と相容れない宗教の自由に対する制限を導入し続けていると述べています。

基本的に、民事上の不法行為訴訟はすべて、既に信用を失った洗脳理論に基づいています。反カルトの弁護士に指導された原告が、家庭連合への入会や献金を「強制された」と報告する場合、暴力や銃口で強制されたという意味ではありません。原告らは、自発的に入会して献金したことを認めており、その当時は非常に道徳的かつ精神的な理由でそれらの行為を行ったのです。「ディプログラム」され、家庭連合に敵対する弁護士によって反カルトのイデオロギーを植え付けられた後になって初めて、原告らは、自分たちの選択が実際には自由ではなく、「洗脳」の結果であったということを、さかのぼって「理解」したというのです。

米国および欧州人権裁判所では、判事らは既に20世紀から、「洗脳」は科学的に認められた概念ではなく、法廷で用いることはできないとの結論を下しています。世界で最も権威のある大学出版局の一つであるケンブリッジ大学出版局が2022年に出版した、このテーマに関する決定的な要約として称賛されている本の中で、私の同僚であり友人でもあるイタリア人のマッシモ・イントロヴィニエ(新宗教研究センター=CESNURの創設者兼専務理事であり、「ビター・ウィンター」の編集長でもある)は、「カルト」が「洗脳」を用いるという考えは、学者や法廷によって何度も反証されているため、今日では地球が平らであるという理論と同じくらいの信憑性しかないと結論付けています。しかし、フランス、そしてどうやら日本も、それを法律、規制、法的措置の根拠として用いることで、国際的な学者たちによる嘲笑に逆らっているようなのです。

2つ目のポイントは伝道活動についてです。日本では、「宗教または信条の自由」の内容と、「宗教または信条の自由」を保護する国際条約に署名し批准した結果として、日本が自ら引き受け、尊重すべき義務について、誤解が広がっているようです。日本では、家庭連合に対する措置は「宗教または信条の自由」を脅かすものではない、と主張されることがあります、なぜなら宗教法人が解散しても、家庭連合の信者は家庭内や私的な活動においては自分が信じたいものを信じる自由があるから、と言うのです。これは「宗教または信条の自由」に関する誤った考えであり、中国やロシアなどの全体主義政権が自分たちを正当化するためにしばしば言うことと同じです。国際条約で定義されている「宗教または信条の自由」は、個人の権利であると同時に社会的権利でもあります。それには公に礼拝する権利、財産を所有する権利、寄付を募る権利、伝道活動を行う権利が含まれるのです。

日本は、家庭連合(およびエホバの証人などの他のグループ)の場合、伝道は「洗脳」と入会候補者の恐怖心を利用していることに基づいているため、「反社会的」であると主張しています。パトリシア・デュバルが立証したように、伝道する権利のこうした制限は国際法と矛盾するだけでなく、すべての宗教に簡単に当てはまるかもしれません。ユダヤ教徒とキリスト教徒の経典である旧約聖書の「詩篇」111篇には「主を畏れることは知恵の初め」という一文があります。「ウルガタ」として知られるラテン語訳聖書では“Initium sapientiae timor Domini”となります。理想的には、神への愛を動機として善行を行うべきでしょう。しかし、詩篇の作者は人間の本質を知っており、多くの人が少なくとも最初は「神への畏れ」のために悪を行うことを控え、善を行うということを理解していました。これは正常であり、「知恵の始まり」でさえあるのです。あくまで始まりに過ぎないわけではありますが。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e3%83%a1%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%bb%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%bb%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83%91%e3%83%b3%ef%bc%9a%e5%ae%b6%e5%ba%ad%e9%80%a3%e5%90%88%e3%81%ab%e4%bf%a1%e6%95%99%e3%81%ae%e8%87%aa%e7%94%b1-2/?_gl=1*v7j4fj*_up*MQ..*_ga*Mjc4MDUwMDU1LjE3MzYwNzAwNDI.*_ga_BXXPYMB88D*MTczNjA3MDA0Mi4xLjAuMTczNjA3MDA0Mi4wLjAuMA..&gclid=CjwKCAiA-Oi7BhA1EiwA2rIu20TTYmPbDf2umuBZYHKj0P_1KGW9jk5J0Sx3RiKLY61AWBGqLw1vyBoCz_EQAvD_BwE

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ56


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。
このサイトに「BITTER WINTER」の主任編集長を務めるマルコ・レスピンティ氏が「メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし」と題するシリーズ記事が掲載された。その内容は2024年12月に国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が主催した講演ツアーにおける彼のスピーチである。私は彼の同時通訳を担当した。このたび、マッシモ・イントロヴィニエ氏とマルコ・レスピンティ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

メイド・イン・ジャパン:家庭連合の信教の自由なし2 「カルト」という誤った概念を見直す

01/03/2025 Marco Respinti

定義も境界もないこの言葉を、ほとんどの学者は放棄した。それは「他者」を非難するための蔑称としてのみ使われている。しかし、日本では今でも使われている。

マルコ・レスピンティ

4つの記事の2つ目。一つ目の記事を読む。
※本論文は、「日本の信教の自由と民主主義の危機」と題し、国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が2024年12月に企画・主催した会議において、さまざまなバージョンで発表された。この会議では、著者が日本で講演ツアーを行い、6日に広島文化交流会館、8日にビジョンセンター東京京橋、9日に名古屋市のNiterra日本特殊陶業市民会館、10日に福岡のアクロス福岡で講演した。

名古屋で講演するマルコ・レスピンティ。2024年12月9日

統一教会は、1954年に文鮮明師(1920-2012)によって韓国で創設された新宗教運動です。日本をはじめ、多くの国で大きな成功を収めています。日本では、オウム真理教と呼ばれる別の宗教団体が、1995年に東京の地下鉄でサリンガスを使った致命的なテロ攻撃をはじめ、いくつかの犯罪を起こして以来、新宗教運動、そして時には宗教全般が問題視されるようになりました。

オウム真理教によるこれらの犯罪行為は、「カルト的」「狂信的」と呼ばれる信仰に対する民衆の敵対感情を引き起こしました。しかしそれは悪意や無知に基づくもので、ほとんどの場合、それらのグループはまったく平和的であったとしても、しばしば暴力と結び付けられました。これは新しくて、無名で、小さなグループやスピリチュアルな団体に当てはまります。私がいま言ったこれら三つの要素が必ずしも同時に成り立つとは限りません。小さくても有名な「新宗教」は存在しますし、その逆もあり得るからです。

新しくて、有名でない、または小規模な宗教団体も、「カルト」と呼ばれることがよくあります。いわゆる反カルト運動の活動家は、自分たちの運動は「カルト」のみに反対していると主張します。しかし、実際には、これは常に真実であるとは限りません。宗教全般に対する反感は、「カルト」対策から始まるかもしれませんが、すぐに一般化されます。これは、「カルト」自体が問題のある概念であるためです。これは科学的な言葉ではなく、ほとんどの学者は使用を控えています。その意味と境界が明確でないため、この言葉は物事を単純化するよりもむしろ複雑化します。実際のところ、「カルト」と「真っ当な」宗教を区別するものは何でしょうか。誰が、どのような基準に基づいて、線引きするのでしょうか。一連の法令や世俗国家が、その精神性をほとんど理解していないグループの複雑な神学や、典礼や、歴史に介入できるのでしょうか。

「カルト」という言葉は、実際には常に侮蔑的な意味を持ち、個人、組織、機関、または国家が嫌うライバルや人々を指すために使われます。それは常に「他者」を指し、何の証拠もなく人々やグループに向けられます。要するに、「カルト」という言葉の意味は常に、ある宗教的またはスピリチュアルなグループと敵対関係にある個人、組織、機関、または国家が決定するのです。

また、「カルト」は「被害者」を支配するために「洗脳」を行っていると非難されていますが、この概念は、西洋の新宗教運動を研究する大多数の学者や、米国やその他の国の裁判所によって疑似科学であるとして広く否定されています。しかし、これは日本ではあまり知られていないようで、メディアで広まっている「反カルト」の言説に対して学者コミュニティの大部分が反対していることもあまり知られていません。実際、日本ではそのような反応は見られず、ほとんどの宗教学者は、オウム真理教を無邪気に支持していた一部の学者に起こったように、「カルト」と関係付けられることでキャリアが危険にさらされることを恐れています。

また、日本の反カルト運動がまったく何もない所から生まれたわけではないことにも留意しなければなりません。その歴史的背景をここで詳しく説明する時間はありませんが、フランス革命以降、フランス政府は宗教全般、特に制御が難しいとみなす宗教的マイノリティーに対して疑念を抱いてきました。

ジョセフ・フランソワ・シュヴェバッハ(1769-1823)「フランス革命中に冒涜され略奪された教会」Credits.

フランスには、「カルト」と闘い、さらには反カルト・イデオロギーを国際的に推進することを任務とする政府機関があるのです。「The Journal of CESNUR」は、これらの機関と「カルト」に敵対する日本の弁護士たちが、1990年代から会合を始めたことを記録しています。また、日本のジャーナリストである福田ますみ氏の優れた論考の英訳を掲載することにより、これらの弁護士たちの動機が「カルト」を訴えて簡単に金儲けしようという貪欲さにだけあったわけではないという観点も提示しています。彼らのほとんどは社会主義者や共産主義者であり、反共運動で成功を収めていた日本の特定の新宗教、すなわち当時統一教会と呼ばれていた家庭連合を標的にしたかったのです。

安倍元首相の暗殺事件に話を戻しましょう。現場で直ちに逮捕された犯人の山上は、すぐに地元警察に殺人を公然と自白しました。安倍元首相の死亡が公式に宣告されると、山上は正式に殺人罪で告発されました。その後数か月の間に、彼に対する告発はさらに増え、2023年3月30日現在から今日まで、自白した暗殺者に対する告発は合計4件に達しました。同様の過去の事件では終身刑に減刑されたケースもありますが、山上は死刑になる可能性もあります。

ここで注目すべき点が一つあります。殺人犯の山上は、安倍首相の政治的志向、思想、政党に敵対する気持ちはなく、彼の暗殺の理由は直接的にも間接的にも、政治とは関係がないと明言しています。山上は、自分が安倍氏の政治的見解や政策に共感するかどうかは別として、この国の有力な指導者である無実の男性を殺害したのは、統一教会・家庭連合に対する深い恨みと憎悪からであると、明白に述べました。

実際、山上は以前、文鮮明師の未亡人で統一教会の共同創設者である韓鶴子(???)総裁を殺そうとしていたが、彼女に近づくことが困難だったため断念したと供述しました。そこで、彼は統一教会に賛同していることで知られる政治家の安倍氏に標的を変えました。山上は統一教会の信者ではありませんでしたが、彼の母親は信者であると言われています。山上は、教会への過度な献金のために母親が破産し、それが彼と兄弟を飢えに追い込み、弟を自殺に追い込み、彼自身も自殺を試みたと主張しました。

殺人事件から2年以上が経ちましたが、事件には多くの謎が残っています。しかしここで重要なのは、結果として、暗殺者の裁判は未だに始まっておらず、判決も下されていない一方で、家庭連合は被害者ではなく加害者であるかのように、非難にさらされているということです。犯罪者ではなく、家庭連合が罰せられているのです。安倍首相は高い代償を払ったし、家庭連合も高い代償を払っていますが、問題の元凶はあくまでも暗殺者なのです。彼以外の誰も、この凶悪犯罪の責任を負わされるべきではありません。しかし、既に申し上げたように、それとは逆のことが起きているのです。

全体的に論理がゆがんでおり、それは4つの要点にまとめることができます。

まず、暗殺者は統一教会や家庭連合の会員ではなかったし、これまでもそうであったことはないということをもう一度繰り返しておきます。

第二に、彼の母親は2002年に破産宣告をしましたが、彼女の義理の兄が苦情を申し立てた結果、教会員2人が献金の半額を分割で返還しました。

第三に、多くの統一教会・家庭連合の信者が安倍氏を支持し、選挙で投票したことは疑いありませんが、安倍氏自身は統一教会・家庭連合の会員ではありませんでした。安倍氏は統一教会の創設者が創設したNGOであるUPFのイベントに、2021年にオンラインで参加し、2022年にはメッセージを送りました。しかし、アメリカの大統領を務めたドナルド・トランプ氏、欧州委員会の元委員長であるジョゼ・マヌエル・バローゾ氏とロマーノ・プロディ氏、その他さまざまな信条の政治家数十名が同じことをしたのです。私自身も似たようなイベントに出席し、さまざまな立場の政治家のスピーチやメッセージを聞いたことがあります。

第四に、なぜ暗殺者は20年前の2002年に母親が破産したにもかかわらず、2022年に安倍氏を殺害したのでしょうか? 私はもちろんこの犯罪について反カルト運動を非難するつもりはありませんが、「The Journal of CESNUR」は、山上が暗殺前の数年間に反カルトのインターネットフォーラムに参加し始め、それが彼の弱い心を刺激した可能性があることも記述しています。

安倍氏への銃撃後に逮捕される山上。スクリーンショット。

こうした要素を考えると、少なくとも状況は不透明だと言えるでしょう。

これらの4つの点から明らかになることは、一部の西洋の学者が示唆しているように、安倍氏を殺害した山上は、歴史上最も成功した政治的暗殺者の一人であるということです。山上が明言しているテロの目的は、家庭連合を問題にして、できれば壊滅させたいということでした。多くの場合、政治的暗殺は裏目に出て、犯罪者はその目的を達成できませんが、現時点では山上は驚くほど成功しています。もちろん、彼が成功しているのは、いくつかの嘘で犯罪を曖昧にしているからです。

もちろん私は山上氏の検察官ではありませんし、そうなるつもりもありません。この名誉ある国の法廷に何かを期待しているわけでもありません。私はただ観察者、記者として自分の仕事をしようとしているだけです。私が「嘘」という言葉を使ったのは、山上が主張する家庭連合の罪という話は明らかに虚偽であり、その事実はさまざまな方法で証明できるからです。今日の私たちの議論のため、そして何よりも真実のために、私はいま、この暗殺者が誤った結論に至った心理的メカニズムについて少し考えたいと思います。

前述のように、暗殺者が犯罪を犯した理由は、統一教会の教えが、彼が非難する行動に彼の母親を導いたためであり、それゆえに統一教会とそれに賛同した政治家さえも罰する必要があると彼は判断しました。基本的に、暗殺者は統一教会・家庭連合を邪悪な「カルト」だと考えています。

この言葉を定義した国際的な反カルト運動にとって、統一教会は典型的な、そしてステレオタイプ的な「カルト」だったことは確かです。辞書に載っている「カルト」の定義は統一教会には当てはまりません。しかし、反カルト運動が日本を含む世界を乗っ取り、「カルト」に関する独自の定義とリストをメディアに押し付けているので、こうした興味深いけれども、政治的には不適切な状況が起きているのです。 欧米では、学界、裁判所、そして少なくとも一部の良質なメディアは、この侮蔑的で差別的な用語を放棄しています。しかし、日本ではそうではないようです。2022年12月13日、欧州人権裁判所は、これまでの判例を大幅に修正し、「トンチェフ他対ブルガリア」の判決において、国や地方自治体は、公文書やキャンペーンで宗教的マイノリティーを差別するために「カルト」という言葉やその他の類似表現を使用することはできないと判示しました。その言葉が本質的に差別的であり、暴力を生み出す可能性もあるからです。私が知る限り、大きな国際的関心を呼んだこの判決も、日本ではほとんど議論されたことがなく、言及されることさえありません。この国では、当局が宗教的マイノリティーを「カルト」や「反社会的」組織と呼んで差別するという、危険な道を歩み続けているようです。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e3%83%a1%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%bb%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%bb%e3%82%b8%e3%83%a3%e3%83%91%e3%83%b3%ef%bc%9a%e5%ae%b6%e5%ba%ad%e9%80%a3%e5%90%88%e3%81%ae%e4%bf%a1%e6%95%99%e3%81%ae%e8%87%aa%e7%94%b1/?_gl=1*ogjotm*_up*MQ..*_gs*MQ..*_ga*MzQ5NzU5NDgyLjE3MzYwNjk0NDU.*_ga_BXXPYMB88D*MTczNjA2OTQ0NC4xLjEuMTczNjA2OTQ1Ny4wLjAuMA..&gclid=CjwKCAiA-Oi7BhA1EiwA2rIu20TTYmPbDf2umuBZYHKj0P_1KGW9jk5J0Sx3RiKLY61AWBGqLw1vyBoCz_EQAvD_BwE

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ55


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。
このサイトに「BITTER WINTER」の主任編集長を務めるマルコ・レスピンティ氏が「メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし」と題するシリーズ記事が掲載された。その内容は2024年12月に国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が主催した講演ツアーにおける彼のスピーチである。私は彼の同時通訳を担当した。このたび、マッシモ・イントロヴィニエ氏とマルコ・レスピンティ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

メイド・イン・ジャパン:家庭連合に信教の自由なし1 最初の政治的人権の否定

01/03/2025 Marco Respinti

信教の自由とは、信じるか信じないかの自由だけではなく、信じるか信じないかに応じて人生を生きる自由でもある。しかし、日本ではそれが制限されている。家庭連合の事例。

マルコ・レスピンティ

4つの記事の1つ目。

東京で講演するマルコ・レスピンティ。2024年12月8日

※本論文は、「日本の信教の自由と民主主義の危機」と題し、国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会が2024年12月に企画・主催した会議において、さまざまなバージョンで発表された。この会議では、著者が日本で講演ツアーを行い、6日に広島文化交流会館、8日にビジョンセンター東京京橋、9日に名古屋市のNiterra日本特殊陶業市民会館、10日に福岡のアクロス福岡で講演した。

国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会から、この美しい国を再び訪問するという光栄な招待を受け、心から感謝しています。2024年7月22日、私は「信教の自由と民主主義の未来」というテーマで集まったICRF日本委員会の総会でスピーチをするという栄誉に浴しました。私はそれ以前にも、美しい日本の国を訪問する機会がありました。今回、ICRFから、日本の4カ都市で、再び「日本の信教の自由と民主主義の危機」というテーマで、講演ツアーを行うよう依頼されました。これは、この問題がまだ継続している証拠です。私にとってこの数日間は、同じテーマについて講演している仲間、友人、弁護士、専門家、活動家、その他の講演者たちから、日本と信教の自由についてさらに学ぶ素晴らしい機会です。

まず、日本とその歴史、文化に対する深い共感と尊敬の気持ちを表明したいと思います。また、活気ある民主主義国家としての日本を尊敬しています。日本は多くの苦しみを経験してきた国です。その中には他の国々が幸運にも逃れることができた、前例のない大惨事も含まれています。

私は外国人であり、日本語を話すことはできません。私は客人であり、もちろん日本を裁く資格はありませんし、そうするつもりもありません。しかし、一つだけ確実に知っていること、そして普遍的なことがあります。それは、健全な社会の極めて重要な要素であり、真の民主主義の特徴は、すべての人に対する宗教、信念、信条の自由であるということです。国際条約ではこれをFoRB、「宗教または信条の自由」と呼んでいます。これは実際に重要です。厳密には「宗教」とは言えない実践であっても、それは「信条」の表れであり、したがって「宗教または信条の自由」によって保護されています。私はこの声明をさらに推し進めたいと思います。すべての人に対する「宗教または信条の自由」は、最初の政治的人権であり、それは生存権に次いで重要な権利なのです。

人間は創造主によって、ある侵すべからざる権利を与えられています。第一は生存権です。生命がなければ人間は存在しません。第二は、人生で最も重要な疑問に自由に答える権利です。それは神が存在するかしないかに関する疑問です。ここでいう神とは、至高の存在、秩序の原理、究極の宇宙の力、どんな名前をつけてもいいと思います。人間がその決定的かつ最終的な疑問に自由に答えられるとき、究極的な意味で、実際に本当に自由なのです。

信教の自由とは、信じるか信じないかの自由だけでなく、それに従って人生を生きる自由でもあります。信じるか信じないかは、人生をどう生きるかに直接関わります。それは(誰もその権利を制限できない)私的な領域だけでなく、公的な領域にも関わります。私がすべての人のための「宗教または信条の自由」を、人間の基本的権利であるだけでなく、最初の政治的権利として定義するのはこのためです。「ポリティクス」すなわち政治、という言葉は古代ギリシャ語の「ポリス」から来ていて、それは「公的な領域」を意味します。

モーゼス・ジェイコブ・エゼキエル(1844-1917)、宗教の自由の像、フィラデルフィア、Credits.

さらに、「宗教または信条の自由」から、その他すべての人権が生まれます。実際、人間にその究極的で決定的な、個人的かつ公的な疑問に答える自由が与えられれば、それに従って生活し、それが含意するすべての自由と権利を享受することができます。表現の自由、結社の自由、教育の自由は、重要な個人的・公的権利ではありますが、本来それらは「宗教または信条の自由」の次に列挙されるべきものであり、そこから派生したものであるとさえ主張することができます。

したがって、「宗教または信条の自由」はすべての人間に関わるものであり、健全な社会の主役となり、民主主義の真の建設者となるべきものです。「宗教または信条の自由」は、直接的または間接的に、常にあらゆる場所で問題になっています。それは人類の歴史を通じてそうでした。「宗教または信条の自由」が人々の公的生活のあり方やその他すべての人権に直接的または間接的な影響を与えたために、社会や帝国、国家や政治共同体が、建設と破壊、発生と消滅を繰り返してきたのです。

もう一度はっきり言わせてください。「宗教または信条の自由」は常にすべての人に関わるものです。それは個人レベルだけでなく、社会全体、そして全人類に関わるものです。たった一人でも「宗教または信条の自由」を十分に享受できない人間がいれば、その損失の結果はすべての人間に及ぶことになります。これは、宗教の自由の問題がすべての問題の中で最も深刻な問題であることを示しています。

学者たちは、「宗教または信条の自由」は、今日の世界で最も脅かされている人権であるとしています。

「宗教または信条の自由」は、あまりにも多くの国で脅かされています。そこでは、憎悪、イデオロギー、権力欲によって、社会的一体性、平和、調和が損なわれています。私たちはそのような国を、非民主主義国家と呼んでいます。私たちは、その国の政治体制がどうあれ、民主主義というものを以下のように理解しています。それは当局が「ポリス」における生活に人々が参加し、共通の善を目指していけるように、権力を適切に行使することなのです。

しかし残念なことに、民主主義国家であっても、国民の「宗教または信条の自由」が縮小される可能性があり、実際に縮小されています。迫害は、財政レベル、行政レベル、組織レベル、文化レベルなど、さまざまな形で現れる可能性があります。「宗教または信条の自由」を制限または否定する民主主義国家は不完全な民主主義国家です。それらは実質的な改革が必要です。

信教の自由の侵害に反対する国連。1960年代のポスターからAIが作成したもの。

私たちは、日本でも今日、「宗教または信条の自由」が縮小、あるいは脅かされていると理解しています。

信教の自由を専門とするオンライン日刊誌「ビター・ウィンター」では、私が主任編集長を務める栄誉に浴しており、この立場で私は、この国でこの問題について学び議論し、懸念を抱く観察者としてこの雑誌に寄稿してきました。「ビター・ウィンター」はここ数年、日本における信教の自由の困難を取り上げてきました。2022年7月8日に奈良県橿原市で安倍晋三氏(1954-2022)が暗殺されて以降、その困難は大幅に増大しました。

2006年から2007年、そして2012年から2020年まで日本の首相を務めた安倍氏は、元海上自衛隊員の山上徹也(41歳)に射殺されました。この悲劇的な事件の後、現在は世界平和統一家庭連合と呼ばれている統一教会をめぐる論争が始まりました。このスピーチでは、今後はこの教団の名称を単に「家庭連合」と呼ぶことにします。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ54


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。このサイトにフランスの弁護士であるパトリシア・デュバル氏の二つの報告書「法的分析」が掲載された。このたびマッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

日本における統一教会訴訟:法的分析5:伝道活動と献金勧誘の権利

11/15/2024 Patricia Duval

伝道活動を行い、献金を募る権利は、宗教または信念の自由の不可欠な要素である。これを不当に制限することは国際法に違反する。

パトリシア・デュバル著*

5つの記事の5つ目。

家庭連合・統一教会に対する解散命令請求訴訟を起こした文部科学省(東京)への入口。Credits.

自らの信仰を広め、伝道する権利は、宗教的信仰を表明する権利に内在する権利であり、保障されることを、ここで強調する必要がある。

宗教または信念の自由に関する特別報告者であったハイナー・ビーレフェルトは、人権理事会への2012年中間報告書の一部を「非強制的な説得によって他者を改宗させようとする権利」に充て、「一部の国は、コミュニケーションによる啓蒙活動に厳しい立法上または行政上の制限を課している。こうした事態は、それ自体が宗教または信念の自由の不可分な一部を構成している非強制的な説得によって他者を改宗させようとする権利を不当に制限する可能性がある」と報告した。(太字強調は筆者)

特別報告者はさらに、「こうした制限の多くは、甚だしく差別的な形で概念化され、実施されている」とし、「一般的に布教活動に従事しているという評判の宗教団体の会員はまた、妄想にまでエスカレートし得る社会的偏見に直面する可能性すらある」と述べた。(2012年8月13日付 A/67/303、太字強調は筆者)

文科省が解散命令請求の根拠として引用した32件の不法行為事件のうちの一つである平成15年5月13日付東京高等裁判所の判決は、以下のように判示した:「原告らを段階を踏んだセミナー(修練会)やトレーニング等に参加させ、統一原理に対する理解を徐々に浸透させ、さらには教義の実践と称して具体的な伝道活動や経済活動に従事させ、その過程で自らが勧誘された過程や、自らが現に行っている活動に多少の疑問を呈するようになっても、信仰を止めることによって自己及び家族の現世での救済が得られなくなるという心理を持たせることによって統一協会からの離脱を困難にする契機を有するものであったということができる。」(東京高等裁判所〈6頁〉は新潟地裁平成14年10月20日〈147頁〉を支持、太字による強調は筆者)

前述の通り、地獄や救いの概念は伝統的な宗教にも見られるものであり、これらの信仰によって宗教を離れることが困難だとしても、信仰の伝播における強制にはならない。

罪人を地獄に送ろうとする悪魔。北マケドニア、クリヴァ・パランカのオソゴヴォ修道院のフレスコ画。撮影: マッシモ・イントロヴィニエ。

統一教会信者が新規来訪者をセミナーや研修セッションに招き、「教義である統一原理に対する理解を徐々に浸透させる」ことが、「非強制的な説得」に該当し、正当な伝道活動であることは疑いようがない。

したがって、これらは自由権規約第18条の下で、宗教や信念の表明の一部として保障されている。

また、宗教機関を設立・維持するために献金を募る権利も同様である。

国連総会は1981年11月25日、「宗教または信念に基づくあらゆる形態の不寛容および差別の撤廃に関する宣言」において、この権利を明示した。(国連総会決議36/55)

宣言は次のように述べている:「第6条(b):思想、良心、宗教または信念の自由の権利には、『適切な慈善または人道機関を設立し、維持する自由』が含まれる。第6条(f):思想、良心、宗教または信念の自由の権利には、『個人や機関からの自発的な財政的その他の貢献を求め、受け取る自由』が含まれる。」

したがって、統一教会の信者が教会の運営のために寄付その他の貢献を求めることは、強制や暴力を伴わない限り、完全に正当である。

実際、本件で暴力を行使したのは統一教会ではなく、信者を棄教させ、教会を訴えることによって脱会の証を立てるよう強制した強制的脱会説得専門家らだ。

裁判所は教会に対する判決において、偏見に基づき、献金勧誘を利益獲得動機だけに基づくものとし、信仰の伝播を精神操作の手段とみなし、献金勧誘対象者を欺くための隠れ蓑だと決めつけた。

2024年7月13日から15日にかけて、日本国内および海外合わせて130か所で、日本の信教の自由を求める街頭演説が家庭連合の信徒によって一斉に行われた。

そして、日本政府は文部科学省による解散命令請求を通じて、中立義務に違反し、統一教会信者の信仰表明の権利を、「社会的相当性」を欠くとして故意に侵害した。

結論として、詳述した理由により、文部科学省が提起した世界平和統一家庭連合に対する宗教法人解散命令請求は却下されるべきである。

同請求は多くの点で国際人権法に違反しており、基本的な権利・自由を保障するために日本が締結した条約を侵害するものである。

注:この法的分析は、著者が以前に「Bitter Winter」で5回に分けて発表したレポート「日本と統一教会:デュバル・レポート」と併せて読む必要がある:

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e8%a8%b4%e8%a8%9f%ef%bc%9a%e6%b3%95%e7%9a%84%e5%88%86%e6%9e%90%ef%bc%95%ef%bc%9a%e4%bc%9d%e9%81%93%e6%b4%bb/?_gl=1*1fj2zup*_up*MQ..*_ga*NDIzNDI4Mzc2LjE3MzQyMzI4Njg.*_ga_BXXPYMB88D*MTczNDIzMjg2Ny4xLjAuMTczNDIzMjg2Ny4wLjAuMA..

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