BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ131


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。今回から日本の宗教学者である大田俊寛氏が寄稿した記事を5回シリーズでアップする。

オウム事件後の日本における「マインド・コントロール幻想」1.オウム真理教の学術的研究

Sep 23, 2025 by Toshihiro Ota | Documents and Translations, Japanese

「カルト」が「洗脳」を行っているという理論は、世界的には信用を失っているが、日本では奇妙な成功を収めている。その事態について、日本人研究者が考察する。

大田俊寛

*2025年3月20日、パリのアジア東洋フランス研究所(IFRAE)が主催したシンポジウム「オウム事件が日本社会に遺したもの:地下鉄サリン事件から30年」における論考

全5本の記事の1本目

1995年、オウム真理教による地下鉄サリン事件後の救出活動。

この発表では、オウム真理教の内外に蔓延した「マインド・コントロール幻想」について考察します。全体としては、以下の四つの部分から構成されます。

 (1)私の経歴・オウム研究の概要
 (2)MKウルトラとその影響
 (3)オウムにおけるマインド・コントロール幻想
 (4)反カルト運動におけるマインド・コントロール幻想

まず最初に、私自身のプロフィールと、オウム真理教研究の経緯について、簡単にお話ししましょう。

私は1974年に、福岡県で生まれました。ちょうど20歳になった頃に、1995年3月の地下鉄サリン事件が起こっています。当時の私は、東京郊外にある大学で宗教学を専攻し始めたところでした。都心ではいつテロが起こるか分からない状態となり、緊迫した空気が流れていたことを覚えています。

その頃、私が最初の研究対象に選んだのは、「グノーシス主義」でした。グノーシス主義は、2世紀頃に登場したキリスト教の異端思想です。実は私は、語学が大変に苦手なのですが、苦労してコプト語を勉強しつつナグ・ハマディ文書を読解し、2007年に博士号を取得しました。グノーシス主義についての研究は、2009年に『グノーシス主義の思想——〈父〉というフィクション』というタイトルで書籍化されています。

『グノーシス主義の思想——〈父〉というフィクション』(2009)

最初の研究を終えた後、第二のテーマとして選んだのが、オウム真理教でした。先に述べたように、オウム真理教は、私が20歳の頃に無差別テロを遂行した宗教団体であり、日本の宗教学者として無視することができなかったからです。

また私は、グノーシス主義の研究を通して、西洋の宗教やオカルティズムの歴史を一通り知るようになっており、そうした知識を用いながら、オウムについて思想史的に解明することができるのではないか、と考えました。こうして2011年に出版されたのが、『オウム真理教の精神史——ロマン主義・全体主義・原理主義』という書物です。

サブタイトルに示されているように、この書物では、オウムに対して、反近代主義の立場を取る三つの思想潮流に照らして考察しています。

まず第一にロマン主義は、近代の主流思想である啓蒙主義に対抗しようとする思想です。啓蒙主義が理性的な「光」を重視するのに対して、ロマン主義は情動的な「闇」を重視しました。そして人間は、闇の領域を探求することにより、真実の自己を発見することができる、と説かれたのです。同書では、ドイツ・ロマン主義に端を発し、アメリカのニューエイジを経て、日本にそうした「闇の思想」が流入した経緯について概観しました。

第二に取り上げたのは全体主義であり、その代表例に当たるのは、ナチズムの体制です。ナチズムにおいては、アドルフ・ヒトラーというカリスマ的な指導者への崇拝のほか、優秀人種と劣等人種の相克という二元論的な世界観、親衛隊やゲシュタポによる秘密警察的な支配、といった特色が見られました。麻原彰晃がヒトラーを崇拝していたこともあり、オウムの体制には、ナチズムと類似した点が数多く見受けられます。

第三に取り上げたのは、原理主義です。西洋では16世紀に宗教改革が起こり、その影響から近代以降は、多くのキリスト教徒が自ら聖書を読むようになりました。結果として彼らのなかから、聖書に記された終末論を文字通りに受け止め、それをもとに現代の事象を読み解こうとする人々が現れました。「キリスト教原理主義」と呼ばれる流れであり、オウムに見られた先鋭的な終末論は、こうした思想に由来すると考えることができます。

『オウム真理教の精神史——ロマン主義・全体主義・原理主義』(2011)

以上が『オウム真理教の精神史』の概要です。私はその二年後の2013年に、同書の補論として『現代オカルトの根源——霊性進化論の光と闇』という本も出版していますので、それについても簡単に触れておきましょう。

私は2012年、ある雑誌の企画で、オウムの上級幹部の一人であった上祐史浩(じょうゆう・ふみひろ)という人物と対談したことがあります。その際に上祐氏は、実はオウムの幹部のあいだでは、教団の最終目標について早期の段階で麻原から知らされており、それは「種の入れ替え」と呼ばれていた、と話してくれました。

「種の入れ替え」というのは、一般的にはあまり聞き慣れない言葉です。私もその場では意味が分からなかったのですが、改めて調べ直したところ、神智学で提唱された「霊性進化論」に由来する言葉であることが判明しました。それによれば、修行を積んで霊性を高めていく人間は、やがて神的な存在に進化していきます。ところが他方、物欲にまみれて堕落していく人間は、動物に落ちるというのです。その世界観を簡略的に図式化すると、下のようになります。

「霊性進化」に関する神智学の図式

日本では神智学の歴史に関する一般向けの書物が存在しなかったため、私は『現代オカルトの根源』において、そのテーマを取り上げました。すなわち、神智学の創始者であるブラヴァツキー夫人に始まり、ルドルフ・シュタイナー、エドガー・ケイシーといった系譜を経て、霊性進化論の思想がオウムに流れ込んだことを論じたのです。そしてオウムの最終目標は、ハルマゲドンを引き起こして動物に落ちた人間たちを粛清し、霊的に進化した神々の王国を建設することにあった、ということを示しました。

『現代オカルトの根源——霊性進化論の光と闇』(2013)

以上のように、私は基本的に、思想史の観点から宗教について研究しており、オウムに対してもその方法を適用しました。今から振り返ってみても、この時期の私の研究は極めて正当なものであり、特に修正すべき点は見当たりません。私の著作は、一般読者からは概して好意的な評価を受け、オウムについて初めて腑に落ちる説明を受けた、という感想が寄せられることも少なくありませんでした。

とはいえそれは、一般読者からの反応であり、オウム問題の専門家、なかでも「反カルト」の立場を取っている人々からの反応は、まったく異なっていました。彼らは私の書物を黙殺するか、ときに不快感を漏らす、といった態度を見せていたのです。

その理由には、思い当たる点がありました。実は日本では長いあいだ、「カルト」に関しては、「洗脳」や「マインド・コントロール」といった理論で説明することが主流となっていたのです。下に示したのは、そうしたテーマを論じた数多くの書物の一部です。そのほかにも、テレビ・新聞・ラジオ・インターネットといったさまざまなメディアのなかで、「洗脳」や「マインド・コントロール」は、あたかも自明の事実であるかのように語られてきました。

「洗脳」や「マインド・コントロール」について論じた多くの書物

ところが、それに対して私は『オウム真理教の精神史』のなかで、こうした概念をまったく用いず、むしろ批判的に言及しました。そのことが、「反カルト」の立場を取る人々にとっては受け入れがたかったものと思われます。

「洗脳」や「マインド・コントロール」とは、きわめて多様な仕方で語られてきた概念であり、厳密な定義が存在するわけではありません。ともあれ、取りあえず簡略的に規定すれば、まず洗脳とは「科学的な仕方で意識を消去すること」、そしてマインド・コントロールとは「科学的な仕方で意識を書き換え、他者を操作すること」を意味します。

果たしてこのような技術は、本当に存在するのでしょうか? もし洗脳やマインド・コントロールが科学的な仕方で可能になったとすれば、何よりも精神医学の分野で革命的な変化が生じているはずですが、そのような話は聞いたことがありません。21世紀前半の現在、洗脳やマインド・コントロールという技術は、どう考えても明確な仕方では存在していないのです。

現在の私は、洗脳やマインド・コントロールについて、科学的理論ではなく、厄介で危険な「幻想」であると捉えています。そしてその幻想は、オウムという教団の内部のみならず、日本社会の全体に蔓延し、複雑な相互作用をもたらしてきた、と考えられます。そこでこの論考では、こうした幻想の来歴から、日本のオウム事件に及ぼした影響に至るまでを、手短に論じてみることにしましょう。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

https://bitterwinter.org/%e3%82%aa%e3%82%a6%e3%83%a0%e4%ba%8b%e4%bb%b6%e5%be%8c%e3%81%ae%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e3%80%8c%e3%83%9e%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%89%e3%83%bb%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%83%88/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ130


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

マザー・ハンの拘束:韓国における宗教と理性の不浄な戦い

Sep 26, 2025 by Massimo Introvigne | Documents and Translations, Japanese

法的根拠は存在しなかった。容疑の内容は非現実的で、政治的動機に基づいている。これは汚職事件ではない——粛清である。

マッシモ・イントロヴィニエ

ソウル龍山駅の大型スクリーンに映し出された韓鶴子総裁の報道。写真:マッシモ・イントロヴィニエ。

韓国はまたしても、「刑事司法を装った政治的粛清」という長く続いてきた物語に新たな一章を加えた。今回の主人公は、世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)の指導者であり、信徒から「ホーリーマザーハン」と呼ばれる、82歳の韓鶴子総裁である。韓総裁の逮捕は単なる法的な誤りではない。これは反汚職を装った、宗教の自由に対する国家的な攻撃であり、全面的な「宗教ジェノサイド(religiocide)」である。

抗議は必要であるが、それだけでは不十分である。いま求められているのは事実を見極める明晰さだ。本誌『Bitter Winter』は、この不条理を次の三つの問いに沿って検証する。1. 韓鶴子総裁の拘束に法的根拠はあったのか。2. 韓総裁は具体的にどのような容疑をかけられているのか。3. これは単なる犯罪事件なのか。それとも政治的・宗教的粛清なのか。

1. 拘束の法的根拠

韓国でも多くの民主国家と同様に、起訴前の拘束が正当化されるのは、「海外逃亡の恐れ」または「証拠隠滅の恐れ」がある場合に限られる。では、この基準を現実に照らしてみよう。

海外逃亡の恐れ?

韓鶴子総裁は82歳で心臓手術からの回復途中にあり、すでに3月から出国禁止措置がとられている。空港に向かって疾走するという状況は、到底考えられない。

証拠隠滅の恐れ?

逮捕を認めたソウル中央地裁のチョン・ジェウク判事が強調したのはこの点である。しかし、韓総裁の自宅や教団事務所はすでに繰り返し家宅捜索を受けており、検察は紙切れ一枚から全てのハードディスク、データ1バイト(byte)に至るまで押収済みである。彼女に残されたものといえば、せいぜい記憶くらいだろう。

結論として、この逮捕状は全く根拠のないものだ。法的要件は満たされていない。

2. 容疑の内容

次に、容疑の内容である。特検は4つの容疑を挙げている。その他の2件——保守派の国民の力党への教団信者の入党や、同党幹部で逮捕された権性東(クォン・ソンドン)院内代表への資金提供——についても未だ捜査は続いているが、今回の拘束令状には含まれていない。

これらの追加容疑も懸念すべきである。なぜなら、宗教者を含むすべての市民が、自ら選択した政治家や政党を支持するという、憲法で保障された権利を侵害しかねないからである。韓総裁が家庭連合の信者11万人を国民の力に入党させたとする主張は、韓国における実際の会員数を上回っている。また韓国メディアが報じる「100万人超」という数字には、信者ではない賛同者やUPFの「平和大使」も含まれている。

権性東(クォン・ソンドン)院内代表。

ここでは、拘束令状に記載された四つの容疑に絞って取り上げたい。

容疑1:クォン議員を介した贈賄

検察は、韓総裁が元教団幹部(すでに起訴され家庭連合から追放されている)に指示し、権議員を通じて国民の力党と尹政権に1億ウォンを渡したと主張している。この金額は国際メディアで韓国ウォンのまま報じられることが多く、読者に強い印象を与えるかもしれない。しかし米ドルに換算すれば、わずか7万3千ドルにすぎない。韓国の政治家が安上がりだとしても、汚職がはびこり巨額の賄賂が飛び交うこの地域で、G20のメンバーである一国の与党と大統領をたった7万3千ドルで買収できると考えるのは、あまりにも非現実的だ。

しかも、その使途とされるのは通信社の買収やカンボジアでの事業利権だという。だが、いずれも実現していない。さらに検察は、その資金が尹大統領の就任式でのVIP席確保に充てられたとも主張している。しかし、トランプ前大統領をはじめ各国の首脳を招いて国際会議を主催してきた人物が、国内の式典の座席欲しさに重罪を犯すなど、笑い話にしかならない。

容疑2:大統領夫人への贈答品

4万2千ドル相当のダイヤモンドのネックレスと、1万4千ドル相当のシャネルのハンドバッグ2点が、占い師を介して尹大統領夫人に贈られたとされている。韓総裁は関与を否定し、それは幹部が独断で行ったことだと主張している。驚くことではないが、その幹部は自らの不正の責任をすべて彼女に押し付けようとしている。しかも、その金額は韓国で通常問題となる巨額の贈賄とは比べものにならないほどわずかである。高麗人参茶を付け加えたとしても、政治スキャンダルというよりは、せいぜい高級品の買い物程度である。

容疑3:横領

検察は、韓総裁が教団資金を、贈答品の購入を含め私的な活動に流用したと主張している。しかしこれは「自分の財布から盗んだ」のに等しい。家庭連合のような宗教運動(あるいはさらに大規模な宗教団体)では、個人の財産と組織の財産の境界はしばしば曖昧になる。献金者は韓総裁をメシア的存在として深く尊敬しており、教団への献金と韓総裁への献金を区別していないと考えるのが自然だろう。

容疑4:証拠隠滅

2022年、韓総裁は、大統領夫人にバッグや宝石を贈ったとされる同じ幹部に対し、自身のラスベガスでのギャンブルに関する証拠を隠すよう指示したとされている。ギャンブルの話は、統一教会の歴史を知らない人々にはもっともらしく聞こえるかもしれない。だが、その疑惑の始まりは実に50年ほど前にさかのぼる。

ギャンブルは韓国人にとって、国内(江原道旌善郡の江原ランドカジノを除く)でも海外でも違法とされている。とはいえ、10年以上前に米国で行われたギャンブルについて、なぜ韓総裁が2022年に韓国内で証拠隠滅を図ったとされるのか、その理由はいまだ不明である。そもそもこの話は、反カルト派の書籍やウェブサイトで半世紀にわたり繰り返し拡散されてきた。しかも、韓国の検察が韓総裁が隠そうとしたと主張する文書は、既に韓総裁や教団に対抗するライバル勢力によって公開され、法廷で利用されている。

文鮮明師自身も、1979年10月7日の広く知られた説教でこの問題に触れており、その記録は今も教会がオンラインで公開している。その中で文師は、ラスベガスのギャンブル界と関わろうとした意図をはっきりと述べ、たとえ賭博界のような相手にも救いのメッセージを伝えようとしたことを強調している。「宗教者が悪から逃げたら、一体誰が悪を洗い流す責任を負うのか?」

罪人と交わりつつ福音を伝えるという伝道の方法は、確かに誤解や疑念を招きやすい。実際、イエスも取税人や遊女と食事をしたことで非難されたように、このやり方を疑問視する人もいるだろう。

しかし、今回の韓国での事態の焦点はそこではない。重要なのは、韓総裁は違法行為までしてギャンブルの話を隠す必要は全くなかったという点だ。この話はすでに40年以上前から知られ、反対者たちによって繰り返し利用されてきた。では、なぜ韓総裁はすでに掘り起こされ、検証され、記録まで残っている話を今になって葬る必要があるのか。

失脚した尹錫悦大統領と妻の金建希夫人。

3. 背景

これは韓総裁だけの問題ではない。尹前大統領や国民の力党を支持したとされる宗教指導者たちに対する大規模な粛清である。スイスの学者エイドリアン・ガッサーの最近の研究によれば、反共と同性愛の反対を主張した尹前大統領には、複数の宗教団体からなる連合が強力な支持を送っていたという。皮肉なことに、その支持者の一部は反カルト活動家だった。だが今や、彼らはかつて異端として非難した人々と同じ牢に入るかもしれない。

家庭連合と、もう一つの韓国を代表する新宗教運動である新天地も、主要な標的となった。新天地は、大統領選の予備選で尹氏を支援する目的で、数千人の信者を国民の力党に入党させたとして新たに非難を受けている。現在の与党である共に民主党の議員の中には、国民の力党が宗教団体や「カルト」のフロント組織として機能しているとし、解党を求める声すら出ている。

世界最大のペンテコステ派教会である汝矣島純福音教会の李永勲(イ・ヨンフン)牧師や、世界バプテスト連盟の元会長であり極東放送(Far East Broadcasting Company)の金章煥(キム・ジャンファン)牧師も捜索対象となり、それぞれの教会や事務所が家宅捜索を受けた。

汝矣島純福音教会で説教する李永勲牧師。写真:マッシモ・イントロヴィニエ

彼らは、尹大統領を支持していた元海兵隊第1師団長のイム・ソングンにロビー活動を行ったとして非難されている。イムは、2023年の水害救助活動でチェ・スグン1等兵が死亡した件について、過失致死の罪に問われている。チェ1等兵は、適切な安全装備を与えられないまま任務に就かされたとされている。

釜山セゲロ教会のソン・ヒョンボ牧師は、信者を動員して国民の力党を支持させたとして、公職選挙法違反の疑いで逮捕された。

共通点は何か。彼らはいずれも尹氏を支持していた。そして今、全員が標的にされている。この弾圧はあまりにあからさまで、トランプ大統領も韓国における「教会への悪質な強制捜査」と非難した。そして彼の言うことは間違っていない。問題はハンドバッグやネックレスではない。狙いは、誤った候補を支持した宗教者の声を封じることにあるのだ。

韓国には、歴代大統領を起訴し投獄してきた伝統がある。しかし今回新しいのは、その「国技」に宗教的な要素が加わっていることだ。尹氏の台頭を支えたのは、福音派やペンテコステ派、さらには一部の新宗教運動といった保守的な宗教勢力の連合体だった。ところが今、左派政権はそのすべてを標的にしている。

2021年、汝矣島純福音教会の創設者の葬儀で、金牧師は当時検事総長だった尹氏の頭に手を置き、事実上、国民の力党の大統領候補として支持を示した。ところが今、その行為は家宅捜索と逮捕という形で返ってきている。

家庭連合が尹大統領のための一枚岩の政治マシンだったという作り話も取り下げるべきだ。事実はそうではない。確かにこの組織は、反共主義や伝統的な家族観といった点で国民の力党といくつかの保守的価値を共有していた。しかし、その支持は決して一枚岩でも、無条件でもなかった。地域の当教団指導者たちは多様な政治的立場を持ち、韓総裁の行事には歴史的に国民の力党だけでなく共に民主党の代表も招かれてきた。そこにあったのは党派性ではなく、むしろ包摂性だった。

しかしいまの風潮では、「ニュアンス」は罪とされる。それが限定的であれ偶発的であれ、国民の力党に対するわずかな過去の同情も、いまや反逆と見なされてしまう。特検のメッセージは明白である:「過去に間違った政党と握手を交わしたなら手錠をかける」。過去の関係を理由にした遡及的な連座責任が新たな司法基準となってしまった。

車椅子に乗って拘束審査に臨むマザーハン・韓鶴子総裁。スクリーンショット

もしこれが韓総裁ひとりの問題だったら、懐疑的な人々も贈賄疑惑にこだわっただろう。しかし、この大規模な弾圧は真実を露わにした。これは政治的かつ宗教的な広範な粛清である。そして、有罪率95%を誇る韓国の検察のもとでは、生存そのものがかかっている。それは、健康上の理由から収監で命の危険にさらされている韓総裁だけでなく、宗教の自由や民主主義という、より広範な問題の明暗が懸かっている。

国際社会の抗議は不可欠だが、冷静で的を射たものでなければならない。韓総裁を拘束する法的根拠は存在せず、容疑は非現実的で政治的動機に基づいている。これは汚職事件ではなく粛清である。

世界は、迫害(persecution)を起訴(prosecution)と取り違えてはならない。今韓国の民主主義と宗教の自由そのものが裁かれている。そしてその判決は、国境を越えて広く響き渡ることになるだろう。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/mother-han-arrested/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ129


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日韓国での宗教ジェノサイド:信仰の暗殺

Sep 25, 2025 by Massimo Introvigne | Documents and Translations, Japanese

私は韓国に、単なる視察でなく立ち上がるために来た。家庭連合に対する攻撃は、その本質を正しく呼ぶべきである。これは「宗教迫害」である。

マッシモ・イントロヴィニエ

韓鶴子総裁

正直に言おう。もし韓鶴子総裁が逮捕されるなら、それは一人の女性の逮捕を意味するのではない。それは宗教を十字架にかける行為である。かつて統一教会として知られた世界平和統一家庭連合は今、ただ調査を受けているのでなく、包囲され追い詰められている。宗教を根絶しようとする意図的な企て、「宗教ジェノサイド(Religiocide)」が今まさしく起きている。宗教ジェノサイドとは、以前にも同じようなパターンを見てきた学者たちによって付けられた言葉である。

これは賄賂(わいろ)の話ではない。政治献金の話でもない。法律の細かい話でもない。これは宗教そのものの「抹殺」である。

韓国で起きていることは、韓国で始まったのではない。その始まりは日本にある。3月、東京地方裁判所は、数十年前の民事訴訟と「社会的相当性」という曖昧な概念を理由に家庭連合の解散を命じた。これは決して公正ではない。それは「清算」であり、もしこの決定(抗告中)が支持されれば、家庭連合は法人格を失い、資産は没収され、声を奪われることになる。家庭連合が最大の宣教的成功を収めた日本は、今やこの運動を公的生活から抹殺しようとしている。この運動の友人であった安倍晋三氏の暗殺事件が口実として利用されたが、暗殺者が信者となったことはなかった。真の動機はもっと深く、左翼弁護士、反カルト活動家、そしてプロテスタントのディプログラマーたちが、憎悪という共通の目的を見出して続けてきた数十年にわたるキャンペーンなのである。

キャンペーンはついに韓国にも広がり、攻撃はさらに根深くなっている。特検は韓鶴子総裁が不名誉な元大統領夫人・金建希(キム・ゴンヒ)に豪華な贈り物を渡して賄賂を行ったとして逮捕を求めた。しかし20人の証人は、これは教会幹部一人による不正行為だったと証言している。トランプ大統領をはじめ、数多くの大統領や首相の支持を得てきた韓総裁が、大統領就任式の出席のために韓国の指導者に賄賂を渡す必要があるなどという発想は、信じ難いだけでなく、侮辱的ですらある。

二つ目の告発は、韓総裁が政治献金や選挙支援、さらには信者を党員として組織することで、保守派の「国民の力」党を支援したというものだ。仮にそれが事実であったとしても、それは犯罪ではなく、憲法で保障された権利である。ところが韓国政府はいま、宗教による政治活動そのものを犯罪化しようとしており、その結果、家庭連合だけでなく、尹錫悦前大統領や「国民の力」を支持した他の宗教指導者たちまで投獄している。これは法の執行ではなく「粛清」である。

この宗教ジェノサイドの首謀者は誰なのか?日本と同様に、韓国でも三つの勢力が結託している。第一に、家庭連合を異端とみなし「羊泥棒」と呼ぶプロテスタントの根本主義者。第二に、家庭連合が反共産主義を掲げ家庭を重んじる姿勢を嫌悪する左派知識人や政治家。第三に、韓国と日本の反共産主義的な宗教運動を弱体化させるために、反カルト運動を裏から支援している中国共産党工作員である。

皮肉なことに、反共を掲げてきた福音派が、いまや親中派の活動家と手を組み、同じ宗教運動を破壊しようとしている。まさに悪魔と取引をしたようなものであり、その代償は韓国で彼ら自身に跳ね返っている。家庭連合への迫害を称賛しながらも、保守派の「国民の力」を支持していた福音派指導者たちは、今や自らも投獄されているのだ。

誤解しないでほしいが、これはスキャンダルではない。スキャンダル化である。また、これは起訴(prosecution)でなく、迫害(persecution)である。韓総裁への告発は正義ではなく、殲滅(せんめつ)を目的としている。その目的とは、韓国で家庭連合の首を締め、日本でその運動を破産させ、海外のメディアキャンペーンでその物語をさらに膨らませることにある。

しかし歴史は私たちに、宗教ジェノサイドは失敗することを教えている。ローマのカタコンベからシベリアの強制収容所に至るまで、迫害された宗教は滅びなかった。むしろ立ち上がり、成長し、そして耐え抜いてきたのである。

私が近ごろ韓国にいる理由は、単に視察するためでも、立ち上がるためだけでもない。苦しむ人々を慰め、そして次のことを思い起こさせるためである。——これは終わりではなく、むしろ始まりにすぎない。家庭連合はこれまでも幾多の嵐を乗り越えてきた。今回も必ずや乗り越えるだろう。ローマ時代の迫害は当時の皇帝——現在論争を呼んでいる韓国の大統領よりもはるかに大きな権力を持っていた——に、殉教者の血は信仰の種となり、迫害の炎はしばしば信念をより鋼(はがね)のように鍛えるのだということを教えた。

迫害する者たちは心すべきである。組織を解散させることはできるかもしれない。指導者を投獄することもできるかもしれない。しかし、信者の心に生きる信仰を殺すことはできない。

宗教を殺すことはできないのである。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

https://bitterwinter.org/south-korea-religiocide/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ128


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本における統一教会反対運動 
3.なぜいま解散命令なのか

Sep 11, 2025 by Shunsuke Uotani | Documents and Translations, Japanese

原因としては、新宗教運動に共感する学者の不在と冷戦後の政治状況などが挙げられる。

魚谷俊輔

3本の記事の3本目

オウム真理教事件が日本の宗教学者のコミュニティに影響を及ぼした劇的な変化に関する説明。

日本における統一教会の問題で特異な点の一つは、本来なら統一教会に対して客観的な研究を行い、中立的な発言をする宗教学者がいないということである。分かりやすく言えば、日本にはアイリーン・バーカー博士のように実際に参与観察をして統一教会について研究し、正確な情報を発信する宗教学者がいないのである。

日本の宗教学の歴史の中には一時期、信仰者に対する「体験的身体的理解」や、信仰者の内面を共感的に捉えようとする「内在的理解」などの手法がもてはやされた時代があった。これは研究主体とその対象という二分法を克服し、研究対象に認識主体が接近しようという動機に基づくものであり、両者ともに宗教的世界に対して極めて好意的な姿勢を示していた。

ところが、こうした手法でオウム真理教の研究に関わった宗教学者たちが、オウムの中に潜む闇を見抜くことができなかったことが批判されるようになり、こうした研究手法は「宗教に対してあまりにも肯定的すぎる」と批判されて大きく躓くこととなったのである。オウム事件が日本の新宗教研究に残したトラウマはあまりにも大きく、いまだにそこから立ち直っていないと言っても過言ではないほどである。(拙著『反証 櫻井義秀・中西尋子著「統一教会」』、p.751-2を参照)

こうした状況の中で、物議をかもしている新宗教団体と適切な距離を取ることが日本では大変難しくなっている。たとえ学問的には適切な距離を取って調査研究を行ったとしても、それを世間一般や反カルト主義者から「適切な距離である」と評価してもらうことが、日本社会においては難しいのだ。

日本女子大の教授であった宗教学者の島田裕巳は、過去にオウム真理教に対して好意的な評価をしたということで、地下鉄サリン事件後に大学から休職処分を受け、最終的には辞職に追い込まれた。

同じように、もし日本の宗教学者が統一教会に入り込んで情報提供してもらい、それをもとに統一教会について客観的な記述をしたら、「統一教会に対して好意的すぎる!」「統一教会の広告塔!」などと、反対勢力から一斉にバッシングを受けかねないので、宗教学者はうかつに手を出せないのである。

島薗進は、オウム事件後に立場を変えた日本の新宗教運動学者の一人。スクリーンショット。

日本では宗教学者にも「政治的正しさ」が要求され、そこには学問の自由や独立性は事実上存在しない。これがオウム真理教事件以降に日本における新宗教研究が事実上死滅してしまった大きな原因であった。あからさまに批判的な立場をとる以外に、物議を醸している新宗教を調査研究することを世間は許容しないのである。

最後に、なぜいま解散命令なのかについて考えてみたい。統一教会に対する反対運動は長年にわたって粘り強く行われ、統一教会の社会的評判を落とすことに成功してきた。しかし、全国弁連が統一教会を解散させるべきであるとどんなに政府に要求しても、日本政府が統一教会を本気で解散させようとしたことはなかった。なぜなら、教会もその指導者も、何の罪にも問われたことがなかったからである。

こうした状況を一変させたのは2022年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件である。この事件の犯人は統一教会の信者ではなかったが、彼の母親は信者である。この事件が引き起こした一種のパニックによって、当時の岸田文雄首相が判断を誤り、教会にもその指導者にも有罪判決がないにもかかわらず、解散命令請求に踏み切った。これが現在の状況の直接的な原因である。

しかし、そこに至るには歴史的な背景があった。最も重要な要因は冷戦の終焉である。日本の有名な宗教学者の一人である島田裕巳は、統一教会を冷戦時代の宗教であると分析した。世界に起きる出来事を神の側とサタンの側の対決であるととらえ、共産主義をサタンの側であると解釈する統一教会の神学は、冷戦時代には説得力があった。彼は以下のように書いている。

「保守勢力と勝共連合は、反共運動を展開するという点で共鳴し、特に、国内で共産党を批判し、その勢力を抑えることを目指してきた」(島田裕巳『新宗教戦後政争史』、朝日新聞出版、2023年、p.23)

しかし、1991年にソ連が解体され、冷戦構造が終わりを迎えると、自民党を含む保守勢力にとって、勝共連合と統一教会の存在意義は相対的に低下した、と彼はいうのである。

自民党は基本的に保守政党だが、その中でもより保守的な派閥とよりリベラルな派閥がある。安倍氏が率いていた「清和会」は最も保守的な派閥であり、勝共連合と歴史的なつながりがあった。安倍氏の祖父である岸信介首相は勝共連合の発起人の一人であり、1973年に文鮮明師と直接会談したこともある。安倍家と統一教会には、三代にわたるつながりがあったのである。

文鮮明師(1920-2012)と岸信介氏 (1896-1987)

一方、岸田氏の所属していた「宏池会」は自民党の中でもリベラルな派閥であり、「清和会」とは歴史的に党内のライバル関係にあった。安倍氏が暗殺された時点で安倍派は約100名の国会議員を擁していたのに対して、岸田派は40名程度であった。岸田首相は、安倍氏の意向を無視しては政権運営ができないため、安倍氏に依存すると同時に疎ましく思うという複雑な関係にあったのである。それが安倍氏の死去によって状況が一変した。

ある自民党所属の地方議員は、岸田首相が統一教会と関係断絶を宣言し、解散命令にまでもっていった動機を以下のように分析している。

「安倍氏が銃弾に倒れたとき、確かに岸田首相はショックを受け、残念だと思ったであろう。しかし他方で、『これで安倍派の影響力を削ぐことができる。あわよくば安倍派を消滅させてしまって、自分のところで相当数取り込むことができる。あるいは安倍派の弱体化ができる』と勘違いして、特に家庭連合と関係の深かった安倍派の政治家の力を削ごうとしたのではないかと思っている。」(中山達樹編『統一教会の「解散命令」に異議あり』、グッドタイム出版、2025年、p.88-89)

岸田氏の政治的思惑に関する説明

歴史的な統一教会反対運動には、宗教的動機、イデオロギー的動機、親子関係などの複雑な要因が絡み合ってきた。しかしながら、こうした反対運動そのものが統一教会の解散を実現したのではない。純粋な法理によれば、統一教会を解散させる根拠はない。安倍晋三元首相暗殺事件以降の解散命令への動きの主な要因は、政治的なものであった。そして、自民党政府が統一教会を解散させるという決断をした背景には、安倍氏が死んで彼の派閥が大きく衰退することにより、自民党自身が変質し、左傾化してしまったという事情がある。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

https://bitterwinter.org/anti-anification-church-movement-in-japan-3/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ127


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本における統一教会反対運動 2.左翼勢力

Sep 10, 2025 by Shunsuke Uotani | Documents and Translations, Japanese

統一運動の一角をなす国際勝共連合は、社会主義者と共産主義者を大いに動揺させ、反発を招いた。

魚谷俊輔

3本の記事の2本目

1970年に東京の武道館で行われた世界反共連盟(WACL)の大会

3番目の勢力は、共産党や社会党に代表される左翼勢力だ。統一教会が共産主義に反対する保守勢力であったため、彼らはイデオロギー的対立を動機として統一教会に反対してきた。彼らの台頭は、統一運動の一つである国際勝共連合の活動と切っても切れない関係にある。日本共産党をはじめとする左翼勢力と勝共連合は不倶戴天の敵であった。

韓国と日本に国際勝共連合が創設されたのは1968年であり、その2年後の1970年に武道館で開催された「世界反共連盟(WACL)大会」を支援して成功を収めるなど、目覚ましい活動を展開するようになる。その後も街頭で「勝共理論」の講義を継続的に行い、勝共運動は大学のキャンパスにおいても共産主義との「思想戦」を展開していった。

勝共連合の路傍講義

そして1972年には共産党の宮本顕治委員長(当時)に対して「公開質問状」を送付し、あるテレビ局に「日本共産党」対「国際勝共連合」の公開理論戦を提案した。勝共連合は単なる「右翼団体」とは異なり、共産主義理論を理路整然と批判し、代案を示すので、共産党からは手強い相手であると目されていた。そのため、この公開理論戦は共産党が拒否することによって実現しなかった。(国際勝共連合、『勝共連合かく闘えり』、世界日報社、2025年、p.17-43を参照)

日本共産党の宮本顕治委員長(1908-2007)

1978年には、勝共連合の選挙キャンペーンの結果、京都で28年間続いた共産党系の府知事が落選するという「事件」が起きた。これを受けて宮本顕治共産党委員長(当時)は、「勝共連合退治の先頭に立つことは、後世の歴史に記録される聖なる闘いである」(「赤旗」1978年6月8日)というコメントを残している。(『勝共連合かく闘えり』、p.43-50を参照)

共産党のキャンペーンカーの前で宮本委員長を批判するビラをまく勝共連合の若い活動員

勝共運動をさらに躍進させたのは、スパイ防止法制定運動であった。冷戦体制下の1970年代、「米ソデタント」の流れの中で、民主主義勢力と共産主義勢力の攻防は、これまでのあからさまな軍事力による対立から、スパイ工作活動が主流になっていった。しかし、日本には外国からのスパイを取り締まる法律がなかったので、スパイが自由に活動できる「スパイ天国」の状態にあった。そこで、勝共連合はスパイ防止法制定運動を積極的に支援し、1986年末までに全国の地方自治体の過半数でスパイ防止法制定促進決議を採択し、1986年11月に国会に法案を上程するに至った。(『勝共連合かく闘えり』、p.88-114を参照)

情宣車からスパイ防止法の制定を訴える国際勝共連合の梶栗玄太郎理事長

こうした展開に危機感を抱き、スパイ防止法制定を阻止するために結成されたのが、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」(全国弁連)である。全国弁連は、「レフチェンコ事件」によって危機感を募らせた左翼勢力によって組織され、スパイ防止法制定運動の支援組織である国際勝共連合と統一教会の壊滅を目的として、「霊感商法」反対キャンペーンを展開するためにつくられた組織であった。(『勝共連合かく闘えり』、p.115-121を参照)

「レフチェンコ事件」とは、元KGB少佐で対日スパイ工作を行っていたスタニスラフ・レフチェンコが起こした事件である。彼は1979年に米国に亡命し、米国の下院情報特別委員会で自らのスパイ活動に関して証言した。この証言の中で彼は、ソ連のスパイとして活動した日本人26人の実名とコードネームを公表し、その中には日本社会党の大物代議士も含まれていた。勝共連合はこのレフチェンコ証言を大きく取り上げて、スパイ防止法の制定を訴えた。(『勝共連合かく闘えり』、p.94-96を参照.)

1983年5月、社会党機関誌「社会新報」に、「レフチェンコ事件は国際勝共連合とCIAが仕組んだ謀略」との記事が掲載された。これが全くの事実無根であったため、勝共連合は社会党と党機関紙編集長を訴える裁判を起こした。このとき、社会党の代理人を務めたのが山口広弁護士であり、彼は後に全国弁連を立ち上げるときの中心人物となっている。全国弁連を構成したのは主に共産党・社会党系の弁護士たちであった。

レフチェンコ事件から全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)に至るまで

この裁判は結局、勝共連合側の勝利的和解に終わった。しかし、こうした闘争の延長として、「統一教会による霊感商法」に反対するキャンペーンが左翼系弁護士によって行われるようになったのである。(『勝共連合かく闘えり』、p.97-121を参照.)

これら三つの勢力、すなわちキリスト教の牧師、反対父母の会、そして左翼勢力には以下のような共闘関係があった。

統一教会信者の親は、反対牧師に報酬を払って指導を仰ぐ。反対牧師は親に具体的な拉致監禁のやり方を指導し、親が子供を監禁したら、監禁現場を訪問するなどして信仰を棄てるよう説得する。

その信者が説得を受け入れて信仰を棄てれば、親の目的は達成されるが、それで終わりではない。元信者は反対牧師の活動に協力させられ、さらには左翼弁護士を紹介されて、統一教会を相手取った損害賠償請求訴訟を起こすよう説得される。こうして起こされた訴訟の代理人を左翼弁護士が務めることにより、彼らは弁護士として報酬を得ると同時に、統一教会の社会的評価にダメージを与えることができる。(拙著『反証 櫻井義秀・中西尋子著「統一教会」』、p.566を参照)

さらに、こうした訴訟の情報はマスコミを通して社会に宣伝され、親の不安を煽るために利用される。このように反対運動は、両親、牧師、弁護士、マスコミなどが、それぞれの立場と職能を生かして統一教会を窮地に追い込もうとする、プロ集団のネットワークになっている。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e5%8f%8d%e5%af%be%e9%81%8b%e5%8b%95%ef%bc%92%ef%bc%8e-%e5%b7%a6%e7%bf%bc%e5%8b%a2%e5%8a%9b/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ126


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本における統一教会反対運動 1.キリスト教の牧師と反対父母の会

Sep 9, 2025 by Shunsuke Uotani | Documents and Translations, Japanese

統一教会を異端とみなす牧師と、自分の子供が洗脳されたとみなす親たちが初期の反対運動を形成した。

魚谷俊輔

3本の記事の1本目

統一教会反対運動の三大要素

日本における統一教会反対運動は、大きく分けて三つの勢力からなっている。それらはキリスト教の牧師、反対父母の会、左翼勢力である。これら三つの勢力は、もともとお互いに接点がなく、それぞれバラバラに統一教会に反対してきたが、1980年代初頭より「統一教会潰し」という目的のもとに結束し、いまやスクラムを組み反対運動を展開している。(拙著『反証 櫻井義秀・中西尋子著「統一教会」』、世界日報社、2024年、p.564-565を参照). この三つについてこれから詳しく説明したい。初回の記事においては、キリスト教の牧師と「反対父母の会」について論じ、2本目の記事では左翼勢力について論じることにする。

1番目の勢力は、キリスト教の牧師たちである。彼らの反対の動機は、異端との闘争にある。彼らの視点からは統一教会は異端の信仰であるため、その信仰を棄てさせなければ救われないと考えている。日本において拉致監禁を伴う強制改宗(ディプログラミング)を最初に行ったのは、日本イエス・キリスト教団荻窪栄光教会の森山諭(もりやま・さとし)牧師であった。彼の教会はホーリネス運動の流れを汲み、日本福音同盟に加盟している。最初の監禁説得が行われたのは、1966年早春のことだった。

森山牧師は著書の中で、統一教会に反対する動機を、次のように説明している。

「彼らがキリスト教を名乗らなければ、問題にする必要もありません。しかし、彼らがキリスト教を名乗り、文鮮明を再臨のキリストに担ぎあげ、聖書をでたらめに解釈して人々を惑わすので、放っておけないのです。」(森山諭『現代日本におけるキリスト教の異端』、ニューライフ出版社、1981年、p.132)

森山牧師は1976年に八王子の大学セミナーハウスで「異端問題対策セミナー」を開催し、それまでの10年間の経験を元に、身体隔離を手段とした脱会説得法を他の福音派の牧師たちに伝授した。その後、強制改宗事件が増加するようになる。

森山牧師と彼が1976年に指導した牧師たち

森山牧師とその薫陶を受けた牧師たちは、聖書を文字通りに解釈する「福音派」のグループに属していたが、統一教会に反対する牧師たちは必ずしも福音派というわけではなく、自由主義神学を信奉する、日本基督教団の牧師たちもいる。その中にはキリスト者でありながら左翼的な思想を持つ人物もおり、一口に「反対牧師」と言っても、その神学的・思想的傾向は必ずしも同じではない。

日本基督教団はさまざまな教派が集まって成り立っている教団であり、世界でも数少ない合同教会の一つである。この日本基督教団に左翼思想を持つ人々が入り込むようになり、1980年代には教団執行部を乗っ取るようになった。これらの左翼思想を持つ人物たちは、毛沢東の「造反有理」の言葉にちなんで「造反派」と呼ばれる。その造反派の人物によって、1988年3月、反統一教会声明が出されたのである。(梶栗玄太郎編『日本収容所列島』、賢仁舎、2010年、p.183)

日本基督教団に属する反統一教会の牧師たち

2番目の勢力は、「反対父母の会」であり、正式名称を「全国原理運動被害者父母の会」という。日本における初期統一教会の活動は「原理運動」と呼ばれていた。これは、CARP(大学連合原理研究会)という学生団体が大学で活動を広げ、学生たちの間で「原理」を信奉する運動として広く知られるようになったことに由来している。

統一教会に自分の息子・娘が入信した親たちの立場からは、我が子は統一教会にだまされているか、洗脳されているとしか考えられなかったので、「子供を返せ!」と叫びながら反対運動をするようになった。

統一教会に対する「反対父母の会」が結成されるようになった背景には、マスコミの報道がある。1967年7月7日付の朝日新聞夕刊に、「親泣かせの原理運動」という見出しの記事が掲載され、これによって不安をかきたてられた統一教会信者の親たちが、やがて「反対父母の会」につながって教育されるようになった。

1967年の朝日新聞記事「親泣かせの原理運動」

「反対父母の会」の活動内容は、㈰統一教会に関する悪い情報を社会に宣伝する、㈪統一教会信者の父母に連絡を取り、統一教会に対する否定的な情報を提供する、㈫「保護」(実際には監禁)して脱会させなければ子供の人生が台なしになると親を説得する、㈬強制改宗を行う牧師や脱会屋を紹介する、などである。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ125


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

12年以上脱会屋に監禁された旧統一教会信者・後藤徹氏の自伝が出版

Feb 21, 2025 by Tatsuki Nakayama | Documents and Translations, Japanese

旧統一教会が解散になると、忌まわしき「ディプログラミング(拉致監禁・強制改宗)」がまた引き起こされる

弁護士 中山達樹

全国拉致監禁強制改宗被害者の会の後藤徹代表が、自伝『死闘』の出版記念講演で自身の体験を語った(写真:世界日報)。

後藤徹氏(61歳)は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者を標的として行われた拉致監禁・強制改宗の被害を受けた者で構成される全国拉致監禁・強制改宗被害者の会代表として、自伝『死闘 監禁4536日からの生還』を出版した。

本書で後藤氏は、親族や脱会屋によって12年間監禁された経験と、解放後に始めた訴訟につき触れている。後藤氏は、家庭連合を異端視するキリスト教の牧師や脱会屋・宮村峻氏の指導を受けた親族により、31歳から44歳までの12年5か月間、マンションで監禁された。

監禁された東京都杉並区のマンションから解放されたちょうど17年目にあたる2025年2月10日、家庭連合の信者・後藤氏は約300人の聴衆を前に、自伝の出版を発表する記念講演を行った。

後藤氏は講演の中で、強制改宗を目的とした信者の拉致監禁を「全ての自由を奪う、戦後最悪の人権侵害」と説明した。実際、後藤氏は19度にわたり選挙権を行使できなかった。監禁当初の6年間は、監禁場所の住所 -それが東京なのか何処なのか- すら知らされなかった。自伝出版にあたり、「信仰の自由というものが一体どういうものか、考えるきっかけになれば」と語った。

講演会には家庭連合の田中富広会長も招かれ、「絶対に許せないのは、人間として断ち切れない親子の情が悪用されたことだ」と強調した。監禁被害者は、加害者が親であるだけに、加害者を完全に憎むことすらできなかった。愛と憎しみのはざまで、悶え苦しんだのである。田中会長は「この本で後藤さんの『死闘』を追体験できる」旨を語った。

また、田中会長は「仮に家庭連合が解散になったら、その瞬間にまた拉致監禁が起こるでしょう」と強い懸念を表明した。2015年、後藤徹氏が脱会屋らに民事裁判で勝利後、家庭連合信者に対する拉致監禁は激減した。しかし、家庭連合が解散になった場合、信者の親族は家庭連合を「反社会的だ」と感じ、違法な拉致監禁により信者を「保護」(実際は監禁)しようとするおそれが高い。拉致監禁の悪質性・非人道性は、日本ではまだ十分に認識されていないからである。そのため、この本は、拉致監禁問題に詳しくない人に広く読まれてほしい。

講演では、日本基督教団の元牧師で、現在は独立系牧師の岩本龍弘氏が祝辞を述べ、統一教会を攻撃するために拉致監禁(同教団は「保護説得」と主張)を計画・助長してきた日本基督教団の古くからの党派的な立場を強調した。

反カルト「ジャーナリスト」の鈴木エイトに対し名誉毀損訴訟で後藤氏を代理して勝訴した徳永信一弁護士は、「この『死闘』は、アウシュビッツ収容所体験につきV.E.フランクルが著した名著『夜と霧』の日本版である」と述べ、長期監禁から解放された直後の後藤氏の姿が「現代のホロコースト」と呼ばれることを彷彿とさせた。

田中富広家庭連合会長(前列右端)、後藤徹氏(前列右から2番目)、徳永信一弁護士(左から3番目)及び中山達樹弁護士(左端)は、拉致監禁・強制改宗の違法性を訴えるべく行進した(写真:世界日報)。

講演後、参加者は後藤氏が監禁されていたマンションまで約3kmのラリー行進を行い、後藤氏を先頭にして「信教の自由と基本的人権を守ろう」「家庭連合信者に対する拉致監禁・強制棄教は犯罪だ」などのスローガンを叫んだ。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ124


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

不自然な同盟:中国、日本、韓国、そして世界的な反カルト十字軍

Sep 12, 2025 by Massimo Introvigne | Documents and Translations, Japanese

韓国で開かれた「秘密」のシンポジウムで、日本の反カルト学者と韓国のキリスト教系「異端」ハンターたちが、中国共産党の高官と結託した。

マッシモ・イントロヴィニエ

韓国で行われたシンポジウムの様子。出典:Weibo

世界がますますイデオロギーの対立によって分断されるなか、奇妙で憂慮すべき同盟が形成されている。そこでは、キリスト教の根本主義者が、過激な世俗主義者や宗教弾圧の推進者と手を結んでいる。その具体的な証拠が、最近韓国・大田(テジョン)の木原(モクウォン)大学で開かれた国際シンポジウムである。この会議は韓国内ではほとんど秘密裏に進められたが、中国共産党の統一戦線工作を担う大規模なプロパガンダ組織「中国反邪教協会」が、数日後、誇らしげに公表した。表向きのテーマは「異端」や「カルト」との戦いだが、実際の目的は、左派的な世俗主義に異を唱え、中国共産党の脅威となる宗教的マイノリティを抑圧することにある。

中国共産党は、この会議に強力な代表団を送り込んだ。メンバーには、湖北省反邪教協会理事の徐涛(シュー・タオ)、かつては新宗教運動を研究する欧米の学者と対話していたものの、現在では完全に中国共産党の弾圧政策に歩調を合わせている中国人民公安大学(公安当局直属の大学)教授の張春麗(チャン・チュンリー)、さらに遼寧省瀋陽にある東北大学副教授の陳徳全(チェン・ドーチュエン)の名が含まれていた。

世界最大の反カルト組織を名乗る中国反邪教協会は、単なる共産主義正統派の監視機関ではない。それは、中国共産党のイデオロギーの枠外で活動する宗教団体を非合法化し、解体するために作られた「武器化された官僚組織」である。中国国内での主な標的は、法輪功や全能神教会といった新宗教運動だ。これらの団体の信者たちは、信仰を理由に拷問され、投獄され、命を奪われた者もいる。

中国の専門家が韓国での弾圧に関与していることは注目に値する。これは、最近発足した左派寄りの韓国政府による統一教会や他の保守的宗教団体への大規模な取り締まりと歩調を合わせている。

この集まりには、韓国、日本、ドイツのキリスト教牧師や学者たちも積極的に参加していた。本来なら、いかなる道徳的基準から見ても宗教の自由を守るべき立場にあるはずの人々が、その抑圧を企てる側に加わっていた。

韓国側の代表団は「世界反異端協会」に率いられ、中国の情報機関と協力してきた数多くの経緯がある。彼らの使命は何か。それは反共産主義を掲げる統一教会や、全世界にいる中国人を改宗させることで中国共産党を揺るがす、新天地をはじめとする新宗教運動の信者たちに対して嫌がらせを行うことにある。さらに彼らは海外にも出向き、民主主義国家の政府に対して、亡命を求める全能神教会信者を中国に送還するよう働きかけている。しかし、その先に待つのはほぼ確実な迫害である。これは単なる脅しではない。国連拷問禁止委員会も、送還された全能神教会信者が中国で拷問や非人道的な扱いを受ける危険があると明確に警告している。

出席者の中には、長年にわたり統一教会(現・世界平和統一家庭連合)に反対し、その日本の法人格解散を求める動きを支持してきた研究者・中西尋子の姿もあった。中西は、反カルト研究者の櫻井義秀と共著で、統一教会を批判する論争的な書籍を出版している。

韓国でのこの集まりに中西が参加したのは偶然ではない。むしろ象徴的な意味を持っている。日本の反カルト学者が、弾圧に関する中国当局者や韓国の反カルト活動家と肩を並べたことにより、以下の二点が確認される。第一に、日本における反統一教会キャンペーンは国内問題にとどまらず、中国も関与していること。(中国が唯一の支持者ではない)。第二に、同じ思想体系が今や韓国の統一教会や他の宗教的マイノリティに対しても利用され、中国と日本の支援を受けて展開されている、という点である。

ドイツの福音派護教家であるシモン・ガーレヒトも出席したことは、ある傾向を際立たせた。その傾向とは、「自分は正統信仰を守っている」と信じ込んでいる、善意ではあるが世間知らずなヨーロッパのキリスト教徒が、実際には中国が主導する世界的な宗教弾圧キャンペーンを支援する役割に利用されているという現象である。皮肉なことに、かつて自らの信仰伝統が迫害を受けていた福音派の牧師たちが、いまや認可されていない聖書研究を行ったという理由でキリスト教徒を投獄する政権の関係者たちと肩を並べているのだ。

これは神学上の論争ではなく、地政学的な動きである。中国共産党は、宗教を支配することがすなわち思想を支配することだということを、以前から知っていた。海外のキリスト教研究者や牧師と手を結ぶことで、国内弾圧に道徳的な正当性を獲得すると同時に、その影響力を民主主義国家にまで広げているのだ。

明確にしておきたいのは、「カルト」という言葉は決して中立的な用語ではないという点だ。それは武器であり、独裁政権やその協力者が用いるとき、排除、投獄、抹消の手段となる。国際社会の宗教自由コミュニティは、この卑劣な同盟に断固として立ち向かうべきである。

宗教の自由は、政府から与えられる特権ではなく、人間の尊厳に根ざした普遍的な権利である。それを「正統性」の名のもとに裏切ることは、信仰の核心そのものを無視することに等しい。そして、弾圧の体制と手を結ぶ道を選んだキリスト教の牧師や学者たちに対して、歴史は決して寛容ではないだろう。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

https://bitterwinter.org/%e4%b8%8d%e8%87%aa%e7%84%b6%e3%81%aa%e5%90%8c%e7%9b%9f%ef%bc%9a%e4%b8%ad%e5%9b%bd%e3%80%81%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%80%81%e9%9f%93%e5%9b%bd%e3%80%81%e3%81%9d%e3%81%97%e3%81%a6%e4%b8%96%e7%95%8c%e7%9a%84/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ123


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

コンセンサスのカルト:日本の反カルト活動家の中国および欧米とのコネクション

Oct 2, 2025 by Massimo Introvigne | Documents and Translations, Japanese

日本における「カルト」反対派は、安倍晋三元首相の暗殺のはるか以前から、中国や欧米の反カルト運動とネットワークを築いていた。

マッシモ・イントロヴィニエ

櫻井義秀

2007年12月、中国・深?で興味深い会合が開かれた。中国社会科学院・世界宗教研究所が主催した「第1回カルト研究国際シンポジウム」である。この会合は「カルト」という難題について学術的な議論を交換することを約束していた。しかし現地に行った欧米の学者たちがすぐに気づいたのは、それが実際には学術会議というよりも、あらかじめ演出された道徳劇であったという点だ。そこでは中国政府が「公共秩序の守護者」として登場し、宗教的少数派は弾圧すべき「悪役」として描かれていた。

出席者の中には、日本の社会学者・櫻井義秀の姿もあった。彼の発表「The Cult Problem in Present-Day Japan」(現代日本におけるカルト問題)は、単なる分析ではなく、弾圧のための青写真を提示するものだった。ダグラス・E・カワン、レベッカ・ムーア、アイリーン・バーカーといった欧米の学者たちが、宗教の自由に関する多様な視点を誠実に提供しようとする一方で、櫻井は中国側の主張と違和感なく調和しているように見えた。欧米の学者たちは、この会議が新宗教研究の学術的シンポジウムというよりも、反カルト集会に近かったことを報告している。欧米の参加者たちが「韓国の基督教異端・似而非研究対策協議会会長の李大福牧師が、各種の異端に対して45分間にわたる激しい非難演説をする」といった場面に戸惑った一方で、櫻井はそれに対して異議もなく、同調しているようだった。

櫻井の論文では、日本における「カルト的」脅威が列挙されている。オウム真理教、統一教会だけでなく、ハレルヤコミュニティーチャーチ、真光元神社、ホームオブハートといった小規模な団体まで含まれていた。だが注目すべきなのはそのリスト自体ではなく、提示された「処方箋」である。櫻井は、日本人が「カルト」に取り込まれやすい要因は「脆弱性」にあるとし、それに対処するための社会的対策や政府の介入が必要であると呼びかけている。

櫻井は、自身の論文全体を通じて、まるで歴史的な叙事詩の一登場人物の偉業を語るかのように、自分自身を三人称で大げさに表現し、時間をかけてアメリカ人学者らの異議を退けている。北海道の研究室でアメリカ外交の謎を解き明かしたような自信をもって、彼はこう記している。「アメリカの社会学者たちは、9・11後のアフガニスタンやイラクへの侵攻と、アメリカのナショナリズムや宗教文化との関係についての認識が欠如している。むしろ彼らは、基本的な『宗教の自由』や『宗教的寛容』といった宗教的多元主義によって、ナショナリズムを中和し、宗教的・民族的対立を和らげられると信じている。この信念は学問的理論としては有効かもしれないが、現実には明らかな隔たりがある。この経験は、アメリカが国内政治で用いる言葉と外交実践との間に存在するダブルスタンダードを、改めて確認させるものである。」

櫻井のこの粗雑な反米主義は、冷戦期の宣伝パンフレットを思わせるほど露骨である。それよりも注目すべきは、宗教の自由が対立を和らげる可能性を全面的に否定している点だ。代わりに櫻井は、学者としての確信と外交官めいた虚勢をまといながら、「アメリカの社会学者」本人たち以上にアメリカを理解していると断言している。分析の正確さはともかく、その大胆さは感嘆すべきだろう。

さらに櫻井は、認識の門を閉ざしこう断言する。「西洋の研究者には日本における統一教会の巧みな霊感商法を理解するのは難しい。」この一言で彼は、新宗教を研究する欧米の学者たちを議論の場から手際よく全面的に排除した。彼らこそ、本来反カルト弁護士が広める「霊感商法」という言葉の法的・社会学的な不正確さを指摘できる立場にある。しかし櫻井にとっては関係なく、「日本人でなければ理解できない」??それが彼の論理であった。

安倍元首相暗殺後の日本での反カルト運動について講義する櫻井。

2007年の論文の中で、櫻井は「カルト」信者に対する心理学的な診断を下しているが、それは大半の欧米の新宗教研究者が不快感を覚えるものだった。彼は、「信者は知性の脆弱性を抱え、(中略)常識を欠いている」と記している。だがこれは、あまりに高慢な、ニュアンスを無視した一般化である。

しかし櫻井の真の訴えは、日本政府に向けられている。彼によれば、日本政府はいまだに旧式の、あるいは「アメリカ的」ともいえる理念に縛られているというのだ。櫻井はこう不満を述べている。「行政も司法も動きが遅い。“宗教の自由”という壮大で抽象的な考え方でカルト問題に対処しようとしているからだ」。宗教の自由を「抽象的な考え方」としておとしめ、それを中国という、宗教の自由が抽象どころか公然と抑圧されている国で語ったことは、学術的批判でなく外交的同調と読める。

櫻井は日本について、やがて「これらの弱点を克服する方法が現れるだろう」と読者に保証している。安倍元首相暗殺後の立法や司法の動きを見るかぎり、その「方法」はすでに現れており、しかもそれは、かつて彼が海外で称賛したものと驚くほどよく似ている。

これは現実と切り離された学者の空想などではない。政策提言であり、2022年の安倍晋三元首相暗殺をきっかけに日本の法律に反映された。この事件を機に統一教会への攻撃に再び火が着き、2025年3月には一審判決で解散命令が下され、全面的な法改正が行われた。櫻井がその積極的な支持者であることは言うまでもない。

2007年当時、欧米の学者たちはまだ希望を抱いていた。カワンとムーアが深?での経験をまとめた報告には、慎重ながらも楽観的な見通しが記されている。私自身も同様の会合に参加し、敬意ある呼びかけによって、中国の政策も角が取れて柔らかくなるのではないかと信じていた。だが2018年には、その希望を完全にすてた。あの会合は学術的な場ではなく、プロパガンダの舞台であり、外国人学者の権威を借りて弾圧を正当化するために仕組まれたものだった。

2017年、欧米の学者が参加したシンポジウムを宣伝する中国のプロパガンダ(写真にはマッシモ・イントロヴィニエ、ホリー・フォーク、ジェームズ・T・リチャードソン、J・ゴードン・メルトンの姿が確認できる)。

私の同僚の多くも同じ結論に至った。学問はうわべに過ぎず、その背後のアジェンダを隠すことはできなかった。欧米の学者たちが深?を訪れ、そのアジェンダに異議を唱えるために参加したのに対し、櫻井はそれを支持するために足を運んでいた。

日本の反カルト活動家たちは、中国との友好関係を継続した。その返礼として、2025年3月、東京地裁が統一教会の解散を命じると、中国反邪教協会は、ただちに裁判所と日本の反カルト活動家の立場を支持する声明を発表した。中国反邪教協会は、自らを世界最大の反カルト団体と称し、統一戦線を通じて共産党と緊密につながっている組織である。反カルト活動家と中国との協力関係により、まるで弾圧が国境や行政組織を越えて用いられる共通の言語になったかのようだった。

パトリシア・デュバル弁護士が2025年8月に行った韓国への事実調査旅行の後に発表した報告によれば、2022年7月22日、安倍晋三元首相の暗殺からまもない時期に、日本の反カルト弁護士・渡辺博が、韓国の反カルト勢力による記者会見にZoomで参加したという。渡辺はそこで、フランスをモデルとした「カルト」規制法を韓国に制定することを訴えた。その後も日本の反カルト活動家たちは、2022年12月と2025年5月に開かれた会合を通じて、統一教会に対する反カルト規制やキャンペーンを韓国に持ち込もうとした。そして遂には両国の反カルト勢力の間で協力協定を結ぶに至った。

興味深いことは、韓国での反カルト法推進イベントに参加した日本の反カルト活動家の一人は、左派系の政治家・有田芳生であった。彼はディプログラマーを擁護し、統一教会の医師・小出浩久が監禁されディプログラムを受けていた際、小出氏に「インタビュー」を行った人物である。「芳生」という名前は日本では珍しいが、共産主義者だった両親がヨシフ・スターリンにちなんで名付けたと本人が語っている。(「家」の履歴書、『週刊文春』、1999年3月11日発行145頁)。

2007年の深?シンポジウムでの櫻井の論文は、突如生まれたものではない。櫻井が宗教的少数派に対する中国のキャンペーンに加わるより前から、日本の活動家たちはすでにアメリカの反カルト勢力と関係を築いていた。その中で最も有名なのは、CAN(Cult Awareness Network=カルト警戒網)と呼ばれる組織である。強制的な「ディプログラミング」を支持したことで悪名高いCANは、20世紀後半の日本における反「カルト」言説の形成に大きな影響を及ぼした。

有望な若手研究者ジャック・パーカーは、近年この環太平洋的な連携について、「Anti-Cultism in Japan: American Influences and Differences in Opposition to Cults」という論文でこのように論じている(『Alternative Spirituality and Religion Review』第16巻1号、2025年)。パーカーはカリフォルニア大学サンタバーバラ校に所蔵される「CANコレクション」の資料を用い、日本の活動家が「マインド・コントロール」や「洗脳」といったアメリカ的なレトリックを多く活用し、それを日本特有の不安や状況にいかに適応させたかを明らかにしている。こうして生まれたのは、戦術はアメリカ的でありながら、文化的枠組みは日本的というハイブリッドなモデルであり、後に中国やヨーロッパの反カルト勢力との連携の基盤となった。

パーカーはこう主張する。日本の反カルト主義は、1995年に地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教をめぐる論争から生まれたものではない。例えば、アメリカのディプログラマーであり反カルト活動家であるスティーブン・ハッサンの代表作『マインド・コントロールの恐怖』は、サリン事件の2年前にあたる1993年にすでに日本で発刊されていた。その翻訳を手がけたのは、アメリカの反カルト会議に何度も参加していた神学者・浅見定雄である。さらに1990年には、アメリカの反カルト団体「American Family Foundation」がパリで開催した会議に、日本で最も悪名高いディプログラマー・宮村峻が出席していた。宮村は後藤徹氏の監禁事件に関与し、この件は2014年の高裁、そして2015年の最高裁において、日本におけるディプログラミングを違法とする判決に至った。

大西洋をまたぐ協力関係において重要な役割を担った人物の一人が、西田公昭である。心理学者であり反カルト論者でもある西田は、日本の政策形成において大きな影響力を持つようになった。2022年の安倍晋三元首相暗殺後、西田は争点となっている「児童の宗教的虐待」に関する規制の策定において中心的役割を果たした。厚生労働省が公表したこのガイドラインでは、親による宗教教育を心理的虐待にあたる可能性があるものと再定義し、子供に地獄について教えること、中絶を思いとどまらせること、誕生日を祝わせないことなどが規制の対象となった。

西田の名は明記されなかったものの、彼の役割は国連の声明の中で明確に批判されている。国連の声明では、日本がエホバの証人をはじめとする少数派宗教を差別的に扱っていると非難している。宗教教育と虐待を混同すること、さらには反カルト論者(事実上、西田)を規制策定の専門家として起用することに警鐘を鳴らし、宗教の自由の保護を求めている。いまの日本社会では、宗教の自由という原則がますます脅かされている。

西田公昭

西田は今も欧米の反カルト活動家とのネットワークを積極的に広げており、正体不明の組織「Invictus」(ラテン語で「不敗」を意味する)にも関わっている。この組織は学術や法的議論の場に「洗脳」という概念を再導入することを目指している。

日本の反カルト活動家たちは、中国やアメリカにとどまらず、さらに連携を広げてきた。20世紀末以降は、フランス政府のMIVILUDES(セクト的逸脱行為関係省庁警戒対策本部=フランスの反カルト政府機関)とも協力している。MIVILUDESは、少数派宗教に対する徹底した監視と規制を長年にわたり推進してきた組織である。

1997年には、「青春を返せ裁判を支援する会」(青春を返せ裁判は統一教会を相手取った訴訟)が発行した反カルト・反統一教会のニュースレターは、「ヨーロッパにおけるカルト研究」という欄で次のように報じている。日本弁護士連合会消費者問題対策委員会に所属する7人の弁護士と2人のジャーナリストが、フランス・ドイツ・ベルギーの反カルト関連の政府機関や民間団体を訪問し、ヨーロッパの反カルト活動家との連携を模索したという。その弁護士の中には、左派系の反統一教会団体「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の中心的な創設者である山口広も含まれていた。MIVILUDESとの接触は現在も続いている。

この日・中・仏の枠組みは、ある特定の宗教集団は本質的に危険であり、制圧すべきだという考えを、対話ではなく法的・行政的な力によって正当化してきた。

櫻井や西田のような学者が国家による弾圧を支持する姿には、どこか皮肉を感じる。本来なら批判的思考や議論を促進するはずの学術機関が、異論を封じ、少数派信仰に汚名を着せるために利用されているからだ。中国、日本、そして今や韓国で現在起きていることは、より広範な傾向、すなわち学問をイデオロギーのために利用することを象徴している。

結局のところ、現代日本における「カルト」問題とは、櫻井が名指しする団体そのものではないのかもしれない。それは「コンセンサスのカルト」そのもの、つまり、学術的厳密さを装って国家のナラティブを無批判に受け入れることなのかもしれない。そして、おそらくそれこそが、あらゆる「カルト」の中で最も危険なものなのかもしれない。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ122


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

韓国における宗教の自由の危機4.中国および日本とのコネクション

Sep 10, 2025 by Massimo Introvigne | Documents and Translations, Japanese

なぜキリスト教の反カルト主義者は、日本の左翼弁護士や宗教を迫害する無神論政権と協力しているのか?

マッシモ・イントロヴィニエ

全4本の記事の4本目 

2018年9月、韓国の反カルト主義者と中国のエージェントがソウルで組織した、全能神教会の難民に反対するデモ。

反カルト運動をめぐる政治は、非常に複雑で、時に混乱を招き、そして極めて矛盾に満ちている。初めの頃は、現代の反カルト運動は主に世俗的なヒューマニストによって主導されていた。フランスの反カルト団体CCMMを設立したロジェ・イコールは、「カルトと宗教の間に根本的な違いは実際にはなく、程度と範囲の違いがあるだけだ…もし私たちに任せられるなら、カルトと大規模宗教に関するこうしたナンセンスな議論に終止符を打つだろう」と説明した。彼はまた、「ムハンマド、キリスト、モーセ」といった人物が、今日の「カルト」指導者の先駆者であるとも述べている(”Les sectes et la liberte(セクトと自由)”, “Les Cahiers rationalistes”, 364、1980年、p.76-8)。

国際的な反カルト運動の著名な人物であるカナダの社会学者スティーブン・ケントは、聖書の預言者エゼキエル、使徒パウロ、ムハンマドといった歴史上の宗教指導者のほとんどが、統合失調症やてんかんといった症状を経験していた可能性があると示唆している。さらにケントは、物質世界を超えた霊や力を信じ、神の助けを祈る人々は、彼が「呪術的」と呼ぶ信仰を抱いており、それが精神衛生上の問題と関連している可能性があると指摘している。ケントは、多くの宗教、たとえ最大規模の宗教であっても、精神疾患を抱えた人々によって創設された可能性があると結論付けている(”Psychobiographies and Godly Visions: Disordered Minds and the Origins of Religiosity(精神伝記と神の幻:混乱した心と宗教性の起源”、Palgrave Macmillan、2025年、p.64, 60, 258)。

しかし、これらの世俗的ヒューマニストたちは、奇跡、涙を流すイコン、そして母なるロシアの神聖性を固く信じるロシア正教会の指導者たちとの協力に反対はしなかった。同性婚といった問題では意見が異なっていたものの、共通の敵である「カルト」に対抗するためには、こうした違いを脇に置いて団結する用意があった。ウクライナ戦争によって状況が変化するまでは、国際反カルト組織FECRISは、イコールの後継者であるフランスの世俗主義者とロシア正教会関係者との緊密な協力関係に基づいて活動していた。

フランスの世俗主義者はリベラルな見解を持ち、ロシア正教会は非常に宗教的である。しかし、彼らは中国の全体主義的で公式に無神論を掲げる政府とも関わり、中国で講演を行ったり、中国政府高官を会議に招いたりした。これらすべては「敵の敵は味方」という考えに基づいていた。これは現実的には、中国の強力な反宗教機関や、プーチンを後ろ盾とするロシア正教会が宗教的独占をライバルから守る取り組みなどによって、西側の民間反カルト団体が容易に操られ得ることを意味していた。

学者たちによって取り上げられることは少ないものの、このプロセスはアジアで数十年にわたって続いてきた。日本と同様、韓国でも根本主義キリスト教の反カルト主義者(理論上は共産主義に反対すべき)、リベラル派教会の一部のキリスト教徒、左派知識人、そして中国の間で、意外な連携が見られる。弁護士パトリシア・デュバルは、日本において社会主義および共産主義の弁護士がプロテスタント牧師(一部はディプログラマーとして活動)と協力し、統一教会の解散という目標のもとに結束し、連携していたことを記録している。統一教会を解散に追い込んだキャンペーンのキープレイヤーは日本共産党だった。さらに、中国共産党の傘下にある世界最大の反カルト団体、中国反邪教協会は、日本の統一教会を解散させるキャンペーンを公式に支持した。

2023年、ジン・ヨンシク牧師率いる韓国の団体「世界反異端協会」が世界ツアーに乗り出し、スペイン、ドイツ、モンゴルなどで講演を行った。彼らは韓国の「カルト」を批判しただけでなく、全能神教会(CAG)や法輪功といった団体に対する中国による弾圧を公然と支持した。これらの団体は主に韓国に逃れてきた中国人で構成されており、規模は小さく、地元の根本主義教会にとって脅威となることはほとんどない。根本主義の牧師たちがこれらの団体に対抗するために多大な資源を投入しているという事実は、中国との密接な関係を示唆している。北京の情報機関と関係があると思われる中国のウェブサイトは、この協会のツアーを定期的に報道し、宣伝している。

ジン・ヨンシク牧師

ヨーロッパでジン牧師の講演会を企画した現地プロテスタント教会は、彼がディプログラマーとして活動し、韓国の最高裁から暴力的なディプログラミングに関与したとして有罪判決を受けていることを知らなかったかもしれない。2020年、人権活動家ウィリー・フォートレは学術研究で次のように記している。「2007年、ジン・ヨンシク牧師は神様の教会世界福音宣教協会の信者を精神病院に送ったとして起訴され、有罪判決を受けた。2008年10月24日の”Newshankuku“に掲載された報道によると、彼は強制棄教の罪で懲役10カ月、執行猶予2年の判決を受けた。2012年、人権活動家に対するジン牧師の告訴に関する調査で、彼が棄教事業で10億ウォン(85万ユーロ)以上を稼いでいたことが明らかになり、世論の激しい反発を招いた。」

ディプログラマー牧師であるジン氏の団体は、日本の反カルト活動家とも強固な関係を築いていた。その中には、仲間であるキリスト教のディプログラマーだけでなく、世俗的で左寄りの「全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)」も含まれていた。人権弁護士パトリシア・デュバル氏が2025年8月に行った韓国への事実調査旅行の後に報告したように、2022年の安倍晋三元首相の暗殺の後に、ジン氏の団体は日本の反カルト活動家と共に、韓国で少なくとも3つのイベントを開催した。安倍首相暗殺から間もない2022年7月22日に、ソウルの韓国プレスセンターで記者会見が行われた。講演者の中には、全国弁連の弁護士である渡辺博(ZOOM参加)と、このシリーズの前回の記事で紹介した悪名高いディプログラマー牧師のオ・ミョンヒョン氏がいた。オ・ミョンヒョン氏は、井邑で新天地の女性信者が元夫に殺害された事件に関与していたが、その元夫は義理の妹も殺害していた。

2022年12月15日、ジン氏はソウルの韓国教会100周年記念館で別の会議を主宰した。この会議の目的は、フランス式の反カルト法を韓国で推進することであり、日本で導入された措置にも触発されていた。渡辺弁護士は再びビデオ会議で参加し、提案を強く支持した。そのときには有田芳生も出席していた。彼は当時、左派系の立憲民主党の元国会議員(2024年に議席を取り戻した)であり、反カルトの立場で知られていた。「芳生(ヨシフ)」という名前は日本では珍しいが、これは共産党員の両親がヨシフ・スターリンに敬意を表して有田に付けたものだ。(これは有田本人が述べている:「家」の履歴書、『週刊文春』、1999年3月11日発行145頁)。有田は、日本におけるディプログラミング活動の擁護者であり、統一教会員の医師である小出浩久氏が監禁されディプログラミングを受けている間に、彼に「インタビュー」を行った。

2025年5月13日にも、ジン氏はソウルで9名の日本人牧師およびディプログラマーらとともに記者会見を開き、その場で「韓国発の異端・似而非宗教団体対策に関する協力協定」を発表した。ディプログラマーのジン氏は、「韓国が日本の先例に倣う必要性が切実に求められています。(中略)韓国でも多くの人が異端の被害を受けていますが、日本とは異なり、韓国には似而非宗教を規制する法律が全くありません。そのような法律が切実に必要です」と強調した。ジン氏は、根本主義キリスト教徒が「異端」を排除できるよう支援する法律を制定するよう政府に要請するとともに、日本人牧師らが自身の国際反カルト団体に加盟すると発表した。

世界反異端協会の起源は、キリスト教異端相談所にまで遡る。この組織は1998年に韓国で設立され、後にキリスト教異端対策委員会と改名された。2012年からは、他国の福音派および根本主義派の牧師が招聘され、韓国の組織に世界反異端協会が加わった。2015年には、オーストラリアに支部が設立された。

世界反異端協会の会合には中国の代表者が参加し、またその逆も行われた。2007年、新宗教運動を研究する欧米の学者たちはまだ、中国当局との「カルト」に関する対話が可能であると期待していた。中には、深?で開催された中国主催の「カルト」に関するシンポジウムに出席した者もいた。彼らは特に、「韓国の基督教異端・似而非研究対策協議会会長の李大福牧師が、各種の異端に対して45分間にわたる激しい非難演説をした」ことに心を痛めた。

中国共産党が韓国の反カルト活動を支援する主な理由は3つあった。第一に、韓国の一部メガチャーチや新宗教団体が中国で秘密裏に、しかし効果的な活動を開始していたこと。第二に、ソ連崩壊後、中国共産党は自らを世界有数の共産主義推進者とみなし、共産主義イデオロギーを徹底的に批判する統一教会のような宗教運動の活動を嫌悪していたこと。第三に、朝鮮海峡に位置する韓国最大の島である済州島への観光促進政策により、中国国民はビザなしでの訪問が可能になったこと。中国で「カルト」として迫害されている宗教団体のメンバーは、この政策を利用して観光客として済州島を訪れ、その後亡命を求めた。彼らは韓国滞在中にインタビューに応じ、ソーシャルメディアで中国による宗教弾圧について投稿した。北京政府は、韓国の反カルト活動家を利用して、これらの「偽難民」を「カルト信者」として中国に送還すべきだと主張し、抗議活動を展開させた。

オ・ミョンオク

オ・ミョンオク氏は、韓国の著名な反カルト活動家であり、雑誌「宗教と真実」を発行している。彼女は世界反異端協会の非公式代表として活動している。ソウルで全能神教会の難民に対する偽の抗議活動を組織するにあたり、彼女が中国工作員と密接な関係にあったことを「Bitter Winter」は報じている。オ・ミョンオク氏自身も中国の工作員である可能性がある。2024年6月14日付のローマ裁判所の判決では、彼女は中国の「特別工作員」とされている。

中国共産党は、世界反異端協会と、注目すべき、そしてやや異例の関係を築いている。この組織は特に進歩的とは言えない。ウェブサイトには、ローマ・カトリック教会が同性愛者に対して「敬意を払っている」と批判し、また世界最大の福音派指導者ネットワークであるローザンヌ世界福音化委員会を、同性愛に対する寛容さを理由に「異端」と非難していることが明記されている。オ・ミョンオク氏は、同性愛者、移民、イスラム教徒を公然と攻撃することで知られている。

ローザンヌ委員会に抗議する韓国の反カルト主義者。スクリーンショット

これは根本主義的なキリスト教徒の間では珍しい立場ではないが、彼らのほとんどは反共産主義である。なぜ彼らは中国共産党とその諜報機関に協力するのだろうか?

韓国の牧師たちはどうなのだろうか? なぜ彼らは、中国の独立系家庭教会に属する福音派の仲間たちを投獄するような、無神論の共産主義政権を支持するのだろうか? 彼らの海外でのプロパガンダ・ツアーには、誰が資金提供しているのだろうか?

オ・ミョンオクのように、中国に勧誘されたり、賄賂を受け取ったりした人物もいるかもしれない。その他のケースに関しては、これもまた「敵の敵は味方」という格言を反映しているのだろう。韓国の反カルト根本主義者による統一教会やその他のキリスト教系新宗教団体に対する長年にわたる敵意は10年以上も続いており、共産主義や中国に対するいかなる批判をもはるかに凌駕している。

左翼知識人や政治家、既知・未知の中国工作員、そして根本主義プロテスタントの反カルト主義者たちが協力し、中国の利益に反するとみられている「カルト」や教会を標的にするという現在の韓国の状況は、リスクが大きい。不安定な東アジアと韓国の政治情勢において、反カルト対策は共産党の利益と北京政府に利益をもたらす可能性がある。文博士(韓鶴子総裁)の事例が示すように、こうした活動は宗教の自由に対する世界的な脅威を増大させる可能性を秘めている。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

https://bitterwinter.org/china-japan-connection/

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