BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ84


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本:統一教会解散決定における法的問題点 4. 2009年以降、いかに問題がほぼ解決したか

04/25/2025 Nobuya Fukumoto

2009年に教会は「コンプライアンス宣言」を発表した。その結果、安倍元首相暗殺当時には教会に対するクレームはほぼゼロにまで減少した。

福本修也

4本の記事の4本目

2024年7月、京都で宗教の自由を求めて抗議する家庭連合のメンバー。

家庭連合が2009年に行った「コンプライアンス宣言」後について、東京地裁は、裁判件数、及び裁判上・裁判外の和解件数共に減少していることを認めた。しかし、裁判上・裁判外の和解事例においても、不法行為があったものと「合理的な推測」によって認定し、また、判決や和解が存在しない場合についても、顕在化していない不法行為事例があったものと想定した。こうした認定には以下の問題点がある。

裁判における事実認定は証拠によって行われなければならない。しかるに、宗教法人の解散という重大な事案を審判するのに、事実の存否を推測や想定によって認定するというのでは、もはや裁判を受ける権利の侵害である。

消費者庁の2022年9月30日付「旧統一教会に関する消費生活相談の状況について」と題する文書によれば、2012年から2021年までの10年間の全相談件数に占める家庭連合に関する相談件数の割合は0.0095%であり、2022年4月〜6月に関しては0.0033%であった。したがって、相談件数なども殆どなかったと言えるのであり、実際には裁判や和解事案として顕在化していない不法行為事案など存在しない。

一方、2022年7月の安倍元総理銃撃事件以降、家庭連合に対する激しい批判報道が吹き荒れ、自民党が家庭連合との断絶を発表する中、全国で家庭連合に対するクレームが起きた。その結果、全国統一教会被害対策弁護団が結成され、2023年2月から9次にわたる集団交渉の申入れがなされ、元信者ら195人の「被害回復」を名目に、家庭連合に対して損害賠償を求めるに至っている。

ところが同弁護団が9次にわたる集団交渉において各通知人の「被害時期」を一覧表にしたものによれば、上記集団交渉の通知人の中に、2019年以降に入信した者は存在しない。さらに、同集団交渉の事案を分析したところ、その殆どは20年以上前に家庭連合の信者となった者に関する古い事案であり、最古の事案は約60年も前のものであった。全国のメディアがあれだけ煽っても、最近の被害を訴える者など殆どいなかったという事実は、2009年以降の事案で「顕在化していない」事例などないということを意味している。

文科省作成陳述書に捏造があったことは、陳述書作成者やその親族が新たに提出した陳述書等で明らかとなったのみならず、昨年12月に行われた2人の陳述書作成者に対する尋問結果からも明らかとなった。陳述書の記載と矛盾する証言がなされたり、「陳述書には記憶にないことが書かれている」との証言が得られたからである。文科省が陳述書を捏造したのは、文科相自身が、解散事由が存在しないと判断し、証拠を補うために捏造という悪質な手段に頼らざるを得なかった事実を裏付けている。

2024年7月、広島で宗教の自由を訴える家庭連合のイベント。

裁判所は、決定文において、被害を訴える元信者の陳述書(捏造事実の有無を問わず)を証拠として一切引用しなかったが、他方で、前記のとおり和解事実から抽象的な推測により不法行為を認定し、解散事由を認めたのであった。これは裁判として著しく不公正な認定である。

コンプライアンス宣言以前の不法行為を民事判決によって認定することの問題点
・民事手続には刑事手続のような厳格な事実認定はされない
・元全国弁連弁護士自身「カルトだと負け」と証言するほどに民事裁判は不公正
・背教者の証言偏重
・原告の過半数が拉致監禁被害者であることを無視
・1審で適法と判断した行為まで解散事由に
・事案ごとに違法性認定基準が異なる
・社会規範違反を理由に違法性を認定する過去の民事判決は国際法違反

コンプライアンス宣言以降の不法行為を推測等によって認定することの問題点
・裁判件数等が減少している事実を認めつつも、これを補うため、
㈰裁判上・裁判外の和解事案についても「合理的な推測」で不法行為を認定
㈪顕在化していない事案を勝手に想定
・文科省が陳述書を捏造した事実は一切無視

解散が認められるためには、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められなければならない。しかるに、推測では到底「明らか」に認められるとは言えない。

本件決定は、信教の自由に対する事実上の障害を考慮し、解散命令は必要やむを得ない場合にのみ認められると判示する。しかるに、実際には「顕在化していない」不法行為など存在しないことから、解散命令を発すべき必要性・不可避性など存在しない。しかも、2022年12月に献金にまつわる新法が制定され、罰則をもって献金を規制し、家庭連合が新法に適合する改革を行っている以上、家庭連合において問題のある献金受領などできるわけがなく、解散命令の必要性・不可避性は認められない。

解散決定後の記者会見に臨む日本の家庭連合の田中富広会長(右)と法務局の近藤徳茂氏(左)。

結局のところ、裁判所は、法理論を無視し、憲法、国際法、手続法も無視し、違法性認定基準を極限まで広げて過去に遡らせ、推測という信じがたい手法によって不法行為事実を認定して被害を極大化して見せ、これらを根拠に解散命令を下したものであり、今回の解散命令は政府及び偏向メディアによって煽られた世論に迎合して下した「結論先にありき」の不当判決であったと言える。

裁判所が、法の支配、法治主義といった原則を無視して一時的な世論に迎合する判断を下すことがいかに危険なことであるかは明らかである。

保守系言論人の間ではさっそく、今回の判決に対する批判が巻き起こっている。中には、安倍総理をあやめた殺人犯の願望を叶える決定だとして、YouTube 上で怒りをあらわにするジャーナリストも多数いる。今回の解散命令決定を見て学習した模倣犯が国内外で現れ、自らの政治的主張をアピールするために要人をテロの標的にする可能性は高まった。

また、仮に解散命令が確定すれば、解雇されて職を失う家庭連合職員の2000名(扶養家族を含め4000名余り)が路頭に迷うことになる。今の社会情勢で彼らの再就職が極めて困難であることは容易に想像がつく。家庭連合職員の中には出自が信仰に由来する2世公職者も相当数いる。10万人を超える家庭連合の信者は、酷い偏向報道の故に著しい社会的差別と迫害を受け続けており、自殺者まで出ている。もし、解散命令が確定すれば、信者らに対する差別・迫害が今以上に激化し、取り返しのつかない人権侵害が生ずることは目に見えている。しかし、裁判官がこの決定を出すに当たってこれらの深刻な事情を考慮した形跡は全くない。

自らの出世を動機として一時的世論に迎合して解散命令を下した裁判官らは、自らが下した決定によって生じる多大な犠牲・悲劇そして模倣テロの代償をその身に負う覚悟があるのであろうか。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%ef%bc%9a%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e8%a7%a3%e6%95%a3%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e6%b3%95%e7%9a%84%e5%95%8f%e9%a1%8c%e7%82%b9-%ef%bc%94-2009/?_gl=1*10lj1yp*_up*MQ..*_ga*NDMxOTk5MDEwLjE3NDg5MTEzMjQ.*_ga_BXXPYMB88D*czE3NDg5MTEzMjQkbzEkZzEkdDE3NDg5MTE2NTYkajYwJGwwJGgw

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ83


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本:統一教会解散決定における法的問題点 3. 民事訴訟に依拠

04/24/2025 Nobuya Fukumoto

民事訴訟では、刑事訴訟のような厳格な事実認定基準は求められない。そのため、民事訴訟は解散の根拠として用いられるべきではない。

福本修也

4本の記事の3本目

東京地方裁判所が入っているビル。

東京地裁は家庭連合がコンプライアンス宣言を行った2009年より以前の不法行為については、家庭連合が敗訴した民事判決、及び、裁判上・裁判外の和解によって認められると判断した。しかし、和解事実から不法行為を合理的に推測するなど異常なことである。更に民事判決についても解散事由の判断理由とすることには以下の通り問題があったが、いずれも退けられた。

一般的に民事事件では刑事事件におけるような厳格な事実認定は行われない。即ち、刑事訴訟では、「疑わしきは被告人の利益」とされ、有罪立証には「合理的な疑いを容れない程度」の高度の立証が要求されるが、民事訴訟で不法行為の認定は、「証拠の優越」(有力な証拠の程度)で認定され、高度の立証は要求されない。

しかるに、法人に科される刑罰である罰金刑を科す際にも厳格な刑事手続が適用されることを考慮すれば、解散の不利益は罰金刑とは比べものにならないのであるから、解散に際しては当然、厳格な認定基準が用いられるべきである。したがって、民事手続によって認定された過去の民事判決は解散事由判断の証拠とすべきではない。

特に家庭連合を被告とする案件では、いわゆる「被害者」の救済を意識してか、裁判所は「被害者」の供述は採用するが、家庭連合側証人の証言は採用しない。このため全国弁連所属弁護士ですら、裁判には「カルトだと負け」という不文律があると証言するほどであった。

全国霊感商法対策弁護士連絡会の創設者の一人、左翼弁護士の山口広氏。スクリーンショット。

西欧では「背教者」の証言には信憑性がないとの見解が学会では定説となっているが、日本の裁判所はこうした定説を知らなかったため「被害者」の証言を偏重したのであった。したがって、こうした不公正な認定によって得られた過去の民事判決を解散事由判断の証拠とすべきではない。

本件決定は、反対尋問が行われているから公正な認定がなされていると判示するが、反対尋問に対して正直に証言しないことが「背教者」の特徴であり、反対尋問は何ら背教者の証言の真実性を担保するものではない。

文科省が証拠として提出した32件の民事判決の原告らの過半数は拉致監禁の被害者であった。拉致監禁された者は、監禁する側の意向に沿うよう証言せざるを得ない者達であり、そうした者達が原告となった判決を証拠とすべきではない。

また、そもそも、家庭連合に対して政治的に敵対する者がいるからこそ、こうした問題が起きるのであり、反対する者らの反対活動がなければこれほどの「被害者」が生じることなどあり得ない。

文科省が提出する判決には、岡山、神戸における「青春を返せ訴訟」等、1審では勝訴しても、高裁で敗訴したものがある。1審で勝訴したということは、裁判官(地裁判事)が見ても、違法とは認められなかったということである。裁判官の間でも見解が分かれるような行為を解散理由とすべきではない。

東京にある新旧の文部科学省庁舎。

文科省が提出する判決は、事案により違法性認定基準が異なっており、総じて言えば、家庭連合の全面勝訴を防ぐにはどのような違法性認定基準を立てるべきかの観点から基準が設定されている。したがって、こうした判断の結果である民事判決を解散事由の判断資料とすべきでない。

家庭連合の信者の行為に違法性を認定する際、裁判所は、「社会的相当性の逸脱」といった社会規範違反を理由としている。しかるに、社会規範を理由に宗教的表現の自由を制約することは前記国際自由権規約18条3項によって許されておらず、過去の民事判決は全て国際法違反である。したがって、こうした判決をもって解散事由とすべきではない。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%ef%bc%9a%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e8%a7%a3%e6%95%a3%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e6%b3%95%e7%9a%84%e5%95%8f%e9%a1%8c%e7%82%b9-%ef%bc%93/?_gl=1*1w2yl56*_up*MQ..*_ga*NDk3MDkzNzIxLjE3NDg5MTAwNDQ.*_ga_BXXPYMB88D*czE3NDg5MTAwNDQkbzEkZzEkdDE3NDg5MTA4MzMkajYwJGwwJGgw

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ82


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本:統一教会解散決定における法的問題点 2.信教の自由

04/23/2025 Nobuya Fukumoto

裁判所は、判断が信教の自由を侵害するものではないという説得力のない見解を示し、さらに寄付に関する新法を遡及的に適用した。

福本修也

4本の記事の2本目

解散決定後の記者会見に臨む、日本の家庭連合の田中富広会長。

この連載の第1回では、日本が「公共の福祉」を理由に人権を制限しないよう求める国連の3つの勧告について触れた。

しかし、文科省は、この勧告を無視して、「公共の福祉」を理由とする解散命令を申し立てた。即ち、文科省が解散命令申立の根拠条文として挙げた宗教法人法81条1項1号は、「法令違反」のみならず、「著しく公共の福祉を害することが明らかに認められる行為」との要件を含んでおり、「公共の福祉」を理由に解散命令を申し立てたものである。

宗教法人を解散すれば、その宗教施設等を利用し続けることができなくなり、信徒らは、当該施設において宗教的表現を行うことができなくなる。従って、「公共の福祉」を理由に宗教的表現を制約することになり、明らかに国連勧告に違反している。

東京地裁は、解散命令は、信者の宗教上の行為を禁止したり制限したりする法的効果を一切伴わないものと判示しつつ(最高裁決定踏襲)、法人格の喪失により事実上生ずる影響は、法人格を有していたことに伴う反射的利益だと判示した(103頁)。反射的利益だから、制約しても信教の自由や宗教的表現の自由の制約にはならないとの趣旨のようである。

2024年7月21日、長野で宗教の自由を求めて行進する家庭連合のメンバー。

なお、東京地裁は信教の自由に一切の配慮を示していないわけではなく、信教の自由に対して事実上の支障が生じることは認める。その結果、宗教法人を解散するには「必要やむを得ない」ことが必要であるとする(102頁)。しかし、実際には、後記のとおり、必要やむを得ないとは到底言えない本件事案において解散事由を認定しており、これも、信教の自由に対する配慮が欠如しているとの批判をかわすための表向きの判示だと考えられる。

解散事由とされた不法行為を認定する際の違法性認定基準について、東京地裁は昨年最高裁が献金を巡る事件で示した基準を採用した。しかるに、この基準は、最高裁判決自体が明示したとおり、2022年12月に家庭連合に対する批判的な世論の高まりを受けて国会が制定した献金新法(法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律)を参考にしたものであった。

東京地方裁判所が入っている建物。

新法は、献金を受領する法人等に対して、献金を行う者又はその配偶者等の生活の維持を困難にすることがないよう配慮すべき義務を課すという異例のものであった。しかるに最高裁は、同法を参考にした結果、献金により寄付者又はその配偶者等の生活の維持に支障が生じるなどの事情の有無・程度まで考慮して社会通念上相当な範囲を逸脱する場合には違法とする違法性認定基準を採用したのであった。

ところが、こうした高度の配慮義務は新法によって新たに設けられたものであり、新法が設定した義務を過去の行為に遡及させて適用することに対しては、海外の識者からも批判があった。しかるに東京地裁は、この最高裁が判示した違法性認定基準を用いて解散事由の有無を判断したのである。

法律を遡及的に適用

なお、同基準は、法定されていない社会規範である「社会通念」を判断基準としており、こうした違法性認定基準を採用すること自体、前述のとおり国際自由権規約18条3項違反である。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。

https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%ef%bc%9a%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e8%a7%a3%e6%95%a3%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e6%b3%95%e7%9a%84%e5%95%8f%e9%a1%8c%e7%82%b9-%ef%bc%92-%e4%bf%a1/?_gl=1*1saipec*_up*MQ..*_ga*NDk3MDkzNzIxLjE3NDg5MTAwNDQ.*_ga_BXXPYMB88D*czE3NDg5MTAwNDQkbzEkZzEkdDE3NDg5MTAwNjkkajM1JGwwJGgw

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ81


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本:統一教会解散決定における法的問題点 1. 国連勧告の無視害

04/22/2025 Nobuya Fukumoto

この決定は、日本に「公共の福祉」に基づいて権利を制限しないよう求めた国連の3つの勧告を無視した。

福本修也

4本の記事の1本目


解散決定後の記者会見に臨む、反カルト弁護士の阿部克臣氏、山口広氏、紀藤正樹氏。スクリーンショット。

2025年3月25日、東京地方裁判所は、文部科学省が請求した統一教会の日本支部(現在は世界平和統一家庭連合(以下「家庭連合」という))の解散命令に対し、決定を下した。本シリーズでは、日本法の観点から、この判決の問題点を検証する。

民法上の不法行為が解散事由としての「法令違反」に当たるかについて(刑事事件に限定されるか否かについて)、東京地裁は最高裁が過料決定で判示した判断に従った。この結果、要件の曖昧な不法行為を元に宗教法人の解散という重大な不利益を及ぼすことは憲法31条に違反するとの家庭連合の主張は無視された。


「法規範」の概念

不法行為が「法令違反」に該当する理由について、東京地裁は最高裁の判示をそのまま採用し、不法行為に該当する行為は法規範に違反するから法令違反だとした。しかし、上記図にあるとおり、法規範は法令だけでなく不文の法秩序である社会規範を含む概念である。

このため、法規範違反が必ずしも法令違反になるとは限らず、このような解釈は成り立たない。現に、家庭連合がこれまで不法行為を理由に敗訴したのは、法令違反の故ではなく、社会的相当性の逸脱など、社会規範違反を理由とするものであった。

また、宗教法人法81条1項1号に規定する「法令」に関してだけ、他の法条における「法令」とは異なり、通常の「法令」(実定法規)だけでなく、不文の法秩序を含む概念であると解釈するとの趣旨だとしたら、法令解釈の統一性に反し、法的安定性を損なう解釈である。

【参考条文】

宗教法人法81条1項
裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
1号 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。

国連自由権規約人権委員会はこれまで日本政府に対して2008年、2014年、2022年と3度にわたって、「公共の福祉」という曖昧な概念によって宗教的表現の自由を制約してはならないと勧告してきた。これは、国際自由権規約18条3項及び、国連が採用する国際法解釈を前提とする勧告であると考えられる。

同条項は、宗教的表現の自由を制約できる事項を限定列挙した上で、しかも、宗教的表現の自由に対する制約は法律によって規定されていなければならないとする。また、国際法の解釈上、その法律は一般人にとって結果が予測可能な程度に精細に規定されていなければならないとされる。

しかるに、「公共の福祉」なる概念は、同条項が限定列挙する制約事由に存在しないのみならず、内容が不明確であり、国際法上到底、宗教的表現の自由を制約する根拠とはなり得ない概念であった。


日本がいかにして国連の勧告を無視したか。

[参考規定]

国際自由権規約18条3項
宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。

自由権規約人権委員会一般的意見34 (表現の自由に関するもの)
25. 第3項に定められている目的のため、「法律」とみなされる規範は、各個人がその内容に従って自らの行動を制御できるよう十分な明確性をもって策定されなければならず、また一般大衆がアクセスしやすいものでなければならない。法律は、制限の実施にあたる者に対して、表現の自由の制限のために自由裁量を与えるものであってはならない。法律は、制限の実施にあたる者が、どのような表現が適切に制限されるのか、また制限されないのかを確かめられるように、十分な指針を定めていなければならない。
※表現の自由に関する一般的意見であったが、宗教的表現の自由にも当てはまると解釈されている。

自由権規約人権委員会の日本政府に対する勧告(2008年12月18日)
自由権規約委員会の統括所見 日本
10.委員会は、「公共の福祉」が、恣意的な人権制約を許容する根拠とはならないという締約国の説明に留意する一方、「公共の福祉」の概念は、曖昧で、制限がなく、規約の下で許容されている制約を超える制約を許容するかもしれないという懸念を再度表明する。(第2条)締約国は、「公共の福祉」の概念を定義し、かつ「公共の福祉」を理由に規約で保障された権利に課されるあらゆる制約が規約で許容される制約を超えられないと明記する立法措置をとるべきである。

日本の第6回定期報告に関する総括所見(2014年8月20日)
22. 当委員会は、『公共の福祉』の概念が曖昧かつ無限定であり、規約(第2条、第18条及び第19条)で許容される範囲を超える制限を許す可能性があることに対する懸念を、もう一度繰り返し表明する。
当委員会は、前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、第10項参照)を踏まえ、締約国に対し、第18条および第19条第3項に定められた厳格な要件を満たさない限り、思想、良心および宗教の自由または表現の自由に対していかなる制限も課さないよう強く求める。

日本の第7回定期報告に関する総括所見(2022年11月30日)
37 委員会は、以前の勧告を想起しつつ、締約国に対して以下のすべての必要な措置を講じるよう求める。
(a) 「公共の福祉」概念を明確に定義し、「公共の福祉」に基づく思想、良心、宗教の自由及び表現の自由に対する制限が、人権規約で許容された範囲内に止まるよう確保すること

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%E6%97%A5%E6%9C%AC%EF%BC%9A%E7%B5%B1%E4%B8%80%E6%95%99%E4%BC%9A%E8%A7%A3%E6%95%A3%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%B3%95%E7%9A%84%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9-%EF%BC%91/

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ80


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本における統一教会の解散:誤った決定の徹底分析5:信教の自由の侵害

04/21/2025 Massimo Introvigne

この決定は、それが宗教や信念の自由と両立すると主張しているが、そうではない。

マッシモ・イントロヴィニエ

5本の記事の4本目 1本目2本目3本目4本目を読む

2024年8月4日、家庭連合/統一教会は福岡で信教の自由に関するシンポジウムを開催し、1,500人が参加した。

このシリーズの前回の記事では、東京地裁が3月25日に統一教会の解散命令を下した際、2009年の「コンプライアンス宣言」の問題をどのように扱ったかについて論じた。同宣言の後は、過度な献金の訴えはほぼゼロになった。既に述べたように、裁判所自身の統計がこれを裏付けている。しかし、裁判所は、統計データにかかわらず、「コンプライアンス宣言」は問題を「根本的に」解決したわけではないと主張している。

この不合理な結論は、二つの論拠に基づいている。第一に、教会はコンプライアンス宣言の効果を効果的にモニタリングしてこなかったとされている。宣言採択時、教会はKPI(重要業績評価指標)と呼ばれる日本の大企業で一般的に用いられる手法を用いて、その実施状況をモニタリングすることを誓約した。文部科学省が教会に対し、KPIに基づく管理が行われていたことの立証を求めたとき、教会は「KPIの算定基準及び集計結果が記載された表等」を提出した。しかし、裁判所はこれらが不完全であると判断し、全国規模の調査は実施されていなかったと判示している。また、コンプライアンス宣言を遵守しない信者は除名処分を受けると警告されたが、裁判所によれば、「信者の献金奨励行為に関して懲罰処分に及んだ事例はない」という。

しかし、コンプライアンス宣言への重大な違反がなかったため、除名処分がなかったのかもしれない。論より証拠であり、裁判所は、コンプライアンス宣言が非常に効果的であったことを証明する統計データを提示している。

こうした統計にもかかわらず、2009年以降そして今日に至るまで、教会が依然として解散を「必要でやむを得ない」ものにさせるほどの大規模な不法献金勧誘を行っていると裁判所が結論づけることを可能にする第二の、かつ決定的な論拠は、いわゆる「事案(b)および(c)」も関連があると裁判所が判断したことにある。前述のように、これらは示談が秘密裏に行われ東京地方裁判所に提出されなかった事案、および圧力を受けて献金したものの「心理的な障壁」のために訴えを起こさなかった信者の事案である。裁判所は、ほとんど何も分からないこれらの事案が存在すると推測するだけでなく、その相当数がコンプライアンス宣言後および今日に至るまでの献金に関わっていると推測している。

証拠はどこにあるのか? 裁判所は証拠がない事実を認定している。しかし、裁判所は推測の根拠を示している。数字や証拠の有無にかかわらず、教会は依然として多くの日本人から「社会規範から外れた」組織として見なされており、特に「2022年以降」、安倍元首相銃撃事件をきっかけに「社会的に注目される状況と」なった現在ではなおさらだ、と裁判所は主張している。文部科学省が諮問した「専門家」、特に反カルトネットワークの弁護士たちは、すべての教会信者が「直接又は間接に意思決定が抑圧され」ている状況(これも「洗脳」)にあると主張している。

「ネガティブな注目」を集めるため、反カルト弁護士の紀藤正樹氏が教会を激しく非難する。スクリーンショット。

結論として、たとえ「数値的」データが反対の結論を示唆し、その推論が証拠ではなく推測に基づいていたとしても、裁判所は「同宣言の後も、本件問題状況が残存していく状態にあったと考えるのが合理的である」と述べている。

2009年以降、「改善傾向」が見られるものの、教会の「体質」は依然として不変である。裁判所は、組織や信条を含むこの「体質」こそが、不当な献金勧誘を不可避的に引き起こしていると判断し、教会が講じた措置は「根本的なもの」ではなく、「現在においても、なお看過できない程度に残存していると解するのが相当である」と結論付けた。

数字と矛盾し、何の証拠も提示されていない結論が、どうして「合理的」と言えるのかについては、一切説明がない。この狂気に論理を見出すには、反カルトのイデオロギーに頼るしかない。その思想によれば、「カルト信者」は定義上「洗脳されている」ため、統計や証拠を必要とせずに「被害者」とみなすことができるのだ。しかし、日本の教会のケースでは、2019年以降、問題となる事件が一桁台にまで減少していたにもかかわらず、何らかの理由で今再び「相当な」数にまで増加する恐れがある理由について、裁判所は説明していない。安倍元首相暗殺後のキャンペーンや、2023年に施行された宗教団体への寄付金を規制する新法などを経て、教会はこれまで以上に慎重になることが期待されている。

東京地方裁判所が答えた9番目の質問は、統一教会の解散が憲法上の信教の自由の原則に違反するかどうかである。日本が署名・批准している国連の市民的及び政治的権利に関する国際規約に基づく日本の国際的義務については、一切言及されていない。

裁判所は、解散は「専ら宗教法人の世俗的側面(非宗教的側面)を対象とし、かつ、専ら世俗的目的(非宗教的目的)によるものであって、宗教法人及び信者の精神的・宗教的側面に容かいする意図によるものではない」と主張する。「解散命令によって宗教法人が解散しても、信者は、法人格を有しない宗教団体を存続させ、あるいは、団体又は法人を新たに適正な形で結成することが妨げられる効果があるわけではなく、宗教上の行為を行い、その用に供する施設や物品を新たに調えることが妨げられるわけでもない。」

裁判所は、「宗教法人の解散命令が確定したときは、その清算手続が行われ」、不動産や礼拝所を含む財産が没収されるという当面の反論を認識している。裁判所は、その結果として「当該宗教法人に帰属する財産を用いて信者らが行っていた宗教上の行為を継続するのに支障を生じさせることがあり得る」ことを認めている。信者の信教の自由に生じたこれらの「問題」は、「法人格を有していたことに伴う反射的利益に対するもの」と裁判所は主張する。「反射的である」ため、信者の信教の自由に対するこの付随的な損害は、教会を解散することによってより広範な日本人全体の「公共の福祉」を守る必要性よりも軽いものである、と裁判所は考えている。

2024年10月25日、長野で家庭連合/統一教会が主催する信教の自由に関する集会。

これは宗教または信条の自由の本質ではない。しかし、常識はもとより、国際条約は宗教の自由への損害が直接的なものか付随的なものかを区別していない。国際法上、宗教または信条の自由は、明確な理由に基づいてのみ制限が可能であり、「公共の福祉」の保護や、宗教的マイノリティが不人気であること、あるいは「洗脳された」信者の「意思決定プロセスを抑圧している」と非難されているという事実は、その理由に含まれない。

要約すると、この決定は政治的な動機に基づいており、メディアと、メディアを扇動する反カルトロビーによって条件付けられた多数派の意見に屈服しているように見受けられる。それは2009年以前に一部の信者が法外な価格で工芸品を違法に販売していたと述べているが、彼らが教会の意向を受けて活動していたことを証明できていない。最近の最高裁判所の支持を得て、この決定は、解散を決定するためには民事判決ではなく刑事判決が必要であるという、数十年にわたる判例を覆すものである。この決定は、裁判所の判決だけでなく和解にも依拠しており、さらには単なる陳述書や、証拠が全くない、おそらくあったであろうという未報告の事例についての漠然とした憶測さえも頼りにしている。また、2009年のコンプライアンス宣言以降、圧力を受けて献金を行う事件が劇的に減少し、安倍元首相暗殺の頃にはほぼ消滅していたことを認めている。しかし、教会がその体質と教えを根本的に変えていないという事実に基づき、同宣言は十分な効果を発揮しておらず、問題は依然として「おそらく」続いているに違いないという、矛盾した主張をしている。

解散に決定的な影響を与えた後者の論拠は、証拠に基づくものから、教会の本質と神学そのものに対する暗黙の告発へと移行している。反カルト派の教義に従い、教会は本質的に邪悪であり、信者を「洗脳」しているかのように描写されている。そうすることにより、この決定は、宗教団体をその神学、そして安倍元首相暗殺後に社会的憎悪へとエスカレートした、人為的に作り出され政治的動機に基づく敵対的な「社会的注目」を理由に告発するという、禁じられた論拠へと移行している。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e3%81%ae%e8%a7%a3%e6%95%a3%ef%bc%9a%e8%aa%a4%e3%81%a3%e3%81%9f%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%81%ae%e5%be%b9%e5%ba%95-5/

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ79


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本における統一教会の解散:誤った決定の徹底分析4:2009年のコンプライアンス宣言

04/17/2025 Massimo Introvigne

重要な疑問は、事件が2009年以降ほぼゼロにまで減少したかどうかだ。裁判所はこれに異議を唱えたが、裁判所の数字自体がこれが事実であることを裏付けている。

マッシモ・イントロヴィニエ

5本の記事の4本目 1本目2本目3本目を読む

記者会見で判決を批判する世界平和統一家庭連合日本会長の田中富広氏。スクリーンショット。

東京地裁が回答した8番目の質問は、教会が民事上の不法行為を正確にいつ行ったかという点である。これは実に本件の極めて重要な部分であり、判決文の数十ページを占めている。教会側の主張通り、不法な献金勧誘がごく限られた例外を除き2009年に停止していたとすれば、教会自身が既に撲滅に成功した慣行を理由に、2025年に教会を解散することは不合理であることを裁判所は認識していた。

この判決は、1987年以来、ハッピーワールド社(本連載第1回で解説)の不適切行為を抑制するための措置を講じてきた教会が、20世紀初頭の10年間において、「霊感商法」や献金の圧力が信者を刑事事件と民事訴訟の両方のリスクにさらしていることを痛感した経緯を物語っている。裁判所の決定は、教会の信者が敗訴した4件の刑事訴訟(本連載第1回でも解説)が、教会が取った措置の「直接の」原因であると主張しているが、消費者保護を目的として制定された特定商取引法が2008年に改正され、大幅に厳格化されたことも事実である。

裁判所の決定は、その結果として教会が2009年に「コンプライアンス宣言」を発表したと説明している。決定はこれを単一の文書としてではなく、2009年に信者に送られた複数の「公文」、そしてその後数年にわたる説明文書として論じている。これらの指示が完全に有効であることを確認する最新の指示は、安倍首相暗殺事件とそれに続く論争を受けて、2022年に信者に送られた。

裁判所は、これらの指示が包括的かつ適切であったことを認めている。指示には、「献金と先祖の因縁等を殊更に結びつけた献金の奨励行為や勧誘行為をしないこと、信者の経済状況に比して過度な献金とならないように十分配慮すること」など、長文の指示が含まれていた。また、「教理である統一原理を学んだ者から、献金先が統一教会であることを明示して受け取ること」も明記されていた。さらに、精神的に問題のある信者や高齢の信者からの寄付の勧誘を禁じる規定もあった。「高齢者の献金については、本人の意思能力と信仰、生活能力、家族状況などに配慮して、無理な献金による問題が生じないように注意する」とされていた。

これで事件は終結するはずだった。決定によれば、教会は2009年以前に、民事判決(しばしば国際法を無視して下されたものではあったが)では違法とされる手段で献金を募っていたが、同年に組織を整理した。15年以上前に犯し、二度と犯さないことを学んだ罪を理由に宗教法人を解散することは非論理的であるため、教会は解散すべきではないというのが論理的な結論である。

しかし、裁判所はさらに、コンプライアンス宣言が有効であったかどうかを問うている。宣言を出すだけでは不十分であることには我々も同意できる。組織が構成員に遵守を促したことを証明することも必要である。

そこで裁判所は、2009年のコンプライアンス宣言が有効であったかどうかを問う唯一の客観的データ、すなわち民事裁判所の判決が下された事件の数、または和解が成立した事件の数を検証する。重要なのは、判決が下された時期や和解が締結された時期ではなく、献金が行われた時期である点である。コンプライアンス宣言後に判決または和解が成立した事件であったとしても、それ以前に行われた献金に関わるものである場合には、コンプライアンス宣言が執行または尊重されなかったことを証明するものではない。

裁判所の計算方法については異論があるものの、議論の便宜上、私は判事が依拠する数字を用いることにする。32件の民事判決について、裁判所は「2件の原告3人」がコンプライアンス宣言後に行われた献金に関わるものであるが、2014年、すなわち11年前以降の支払いに関するものは一切ないと判示している。

「訴訟上の和解についても同様の減少傾向がみられ」ると裁判所は述べている。前述の通り、これらの和解件数は448件である。裁判所によれば、440件はコンプライアンス宣言前に行われた献金に関するものであり、コンプライアンス宣言後に行われた献金に関するものはわずか8件である。

東京地方裁判所の建物を横から撮影した写真。Credits

訴訟や訴訟上の和解のデータは、コンプライアンス宣言は効果があったことを示しているが、裁判外の示談では「異なる傾向」が見られると裁判所は指摘する。「上記179名につき、当該時期(2010年以降)に被害を受けた(献金の支払等をした)と申告する者の数を時期ごとにみると、平成22年中に被害を受けたと申告している者の数は134名と相当の規模であり、その後しばらくの間は一定程度の数の被害申告があるものの、減少が続き、平成31年以降は、1桁台の人数となっている(平成31年〔令和元年〕及び令和2年がそれぞれ7名、令和3年及び令和4年がそれぞれ3名)。」

信者の行動変容を求める指示が一夜にして効果を発揮する宗教団体を私は知らない。すべての信者に遵守を納得させるには、実質的な時間が必要である。2009年のコンプライアンス宣言後、2010年にいくつかの事件が発生したことは驚くべきことではない。しかし、その後の数年間で事件数は劇的に減少し、2020年、2021年、2022年はそれぞれ3件となった。2010年の事件に関しては、2010年に提起された訴訟のうち、コンプライアンス宣言以前の古い献金に関するものと、2009年後半または2010年に行われた献金に関するものとを区別する必要がある。

裁判所はまた、弁護士から教会に送られた不当な献金勧誘に関する「通知書」の数も「平成21年の156件からほぼ一貫して減少を続け、令和3年には6件となっている。」と自ら認めている。当然のことながら、安倍元首相暗殺後にその数は増加した。裁判所は、「上記の令和4年に送付があったとされる31件の通知書のうち、本件の記録上確認できるのは13件であり、その余の18件の通知書について、被害を受けたと申告されている時期は記録上明らかでなく、また、上記の令和5年に送付された124名の元信者の集団交渉等に係る通知書について、被害があったと申告されている時期も記録上明らかでない。」と述べている。おそらく、安倍元首相暗殺後のメディアキャンペーンによって、一定数の元信者が数十年前の献金に関する通知を送るよう仕向けられたのだろう。

ちなみに、文部科学省が提出した報告書も、その内容は概ねコンプライアンス宣言以前の事案に関するものである。500人の「被害者」のうち、宣言後に献金を行ったと報告したのはわずか19人だった。

判決後に記者会見する、反カルト団体「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の山口広弁護士と紀藤正樹弁護士。スクリーンショット。

東京地裁にとっても、この結論は避けられないものだった。裁判官は「被害申告の数は、コンプライアンス宣言後において減少傾向が続き、近時における数は相当に減少している」と認めている。実際、安倍首相暗殺前には、損害賠償請求はほぼ消滅していた。

ここで改めて、「霊感商法」と不当な献金勧誘は過去の問題であり、教会によって徐々に、そして成功裏に根絶されてきたと結論づけることで、この事件は終結するべきだった。

しかし、裁判所は自らの分析から論理的な結論を導き出そうとしなかった。信じ難いことに、裁判所は、コンプライアンス宣言によって「損害賠償請求件数が大幅に減少」し、ほぼゼロになったにもかかわらず、宣言の効果はなかったと、矛盾する判断を示した。

裁判所自身の統計がその主張と矛盾しているため、判事らは「数字的な側面のみに焦点を当てることは適切ではない」と述べている。裁判所によれば、件数の減少はいかに目覚ましいものであったとしても、「本件問題状況の緩和を直ちに意味するものではなく」、教会が献金者への圧力を避け、解散を免れるために講じた措置が「根本的なもの」であったことを意味するものでもないと述べている。

裁判所がいかにしてこの驚くべき結論に達したのかについては、このシリーズの次の記事で説明することにする。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e3%81%ae%e8%a7%a3%e6%95%a3%ef%bc%9a%e8%aa%a4%e3%81%a3%e3%81%9f%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%81%ae%e5%be%b9%e5%ba%95-4/?_gl=1*39vifu*_up*MQ..*_ga*NDMwNjk1NDc0LjE3NDUxMzA3Mzg.*_ga_BXXPYMB88D*MTc0NTEzMDczNy4xLjAuMTc0NTEzMDczNy4wLjAuMA..

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ78


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本における統一教会の解散:誤った決定の徹底分析3:和解と「顕在化していない」事案

04/08/2025 Massimo Introvigne

不条理なことに、裁判所は、和解、陳述書、さらには請求が存在しない仮想的なケースも解散の理由として考慮すべきであると決定した。

マッシモ・イントロヴィニエ

5本の記事の3本目 1本目2本目を読む

東京都千代田区霞ヶ関一丁目と二丁目の眺め。左側には警察庁(霞ヶ関二丁目)、右側には東京地方裁判所(霞ヶ関一丁目)が建っている。Credits.

3月25日に統一教会の解散命令を下した判決で、東京地方裁判所が答えた9つの質問の詳細な分析を続ける。

裁判所が答えた5つ目の質問は、解散決定を支持するのに十分な件数かどうかを判断する際に、裁判所の判決のみを考慮すべきか、それとも裁判上の和解や裁判外の示談も考慮すべきかという点である。回答は肯定的であり、裁判所は判決と和解を数学的に合計した。

これ自体が問題である。和解は判決とは本質的に異なる。和解では、当事者は互いの主張を譲ることなく、長期にわたる訴訟を回避するための妥協点を見出す。法科大学院の学生なら誰でも容易に理解できると思うが、和解と裁判所の判決を同一視することは全くのナンセンスである。この判例は、宗教法人が将来、民事訴訟で和解を決して行わないよう促すものとなるであろう。なぜなら、和解が将来の解散命令申立ての材料として利用されることを恐れるからである。

裁判所は次に、裁判上の和解と裁判外の示談を区別して、和解件数を算出した。裁判上の和解は100件で、原告は448人であった。裁判外の示談には971人の被害者が関与していた。

判決は、これらの数字は、教会が支払った和解金と、前述のハッピーワールド社またはその法的な代表者であった小柳定夫氏が支払った和解金を合計して算出されたものであることを認めている。教会ではなく小柳氏またはハッピーワールド社が和解の責任を認めた事例は、判決文で「訴訟上の和解をした者の総数448名のうち281名を占め(約62%)」とされている。しかし、本連載第1回で述べたように、ハッピーワールド社の行為が教会の責任であると明確に立証されたわけではない。

裁判外の示談に関して、興味深いことに、判決では、それらすべて(971件)が「平成14年5月22日から令和5年8月31日までの間に成立したもの」と記されており、これは20年前の事例と安倍首相暗殺後に成立した示談の両方が含まれていることを意味する。この事件は、「『カルト』は裁判で必ず敗訴する」という暗黙のルールがほぼドグマにまで高められ、教会にとって示談がより賢明である状況を作り出した。

裁判所が回答した6つ目の質問は、和解に加えて、和解に至らなかった事案において文部科学省が提出した元信者や信者の親族の署名入りの陳述書も考慮すべきかどうかという点である。

実際、裁判所はこれらの陳述書が自己利益を目的とした証拠であり、裁判所や法律の評価、あるいは和解に至る当事者間の対話の対象となっていないことを認識している。裁判所は他の証拠と比較してこれらの陳述書を軽視しているように思われる。

しかしながら、これらの陳述書は判決後に文部科学省のプロパガンダにおいて言及され、重要な役割を果たしている。

パトリシア・デュバル氏がまとめたように、文部科学省はその解散命令請求において、「合計500件の陳述書を根拠としていたが、それらは294人によって書かれたもので、中には複数の陳述書を書いた者もいた。294人の被害者のうち、30人は親族、3人は文部科学省職員2人と反統一教会弁護士会の弁護士1人で、彼らは告発した第三者であった」。また、そのうちの1人は、かつて札幌の裁判で統一教会「側の」証人として証言した現役信者であることが判明した。文部科学省は、献金がどのように行われたかを証明するのに役立ったと主張して、彼女の裁判調書を提出した。もう1つの陳述書は、別の宗教団体の信者によるもので、彼女は自分が統一教会に献金したと誤解していたが、これは事実ではなかった。

こうした供述の証拠価値は極めて低いと見なすべきであり、教会側の弁護士と日本の独立系メディアの双方が、文部科学省による証拠収集方法に疑問を呈した事実は言うまでもない。ある事例では、娘が高齢の母親の陳述書とされているものは虚偽であるとメディアに訴えた。弁護側が陳述書の作成者への反対尋問を許された稀なケースでは、彼らは文部科学省が作成した文書に署名しただけで、内容を漠然としか覚えていなかったことが明らかになった。こうした疑念は日本の国会でも指摘された。

浜田聡参議院議員が2025年3月13日の参議院総務委員会で、この事件における「証拠の捏造と偽造」を非難した。スクリーンショット

7番目に、これは他の民主主義国にとっては奇妙に思えるかもしれないが、東京地方裁判所は、何の証拠もないが存在すると疑われる仮想上の「潜在的な」事件も審理すべきかどうかを真剣に問うた。

実際、裁判所は、(a)、(b)、(c)の3つのカテゴリーに事件を区別している。(a)は、裁判所が法的決定または和解を認識している事件である。(b)は、おそらく秘密保持条項が含まれていたために、報告されなかった和解に関する事件である。(c)は、信者が被害を受け、献金を強要されたと裁判所が推認できる事件である。裁判所は、(b)と(c)の合計は「相当な」ものになるはずだと推測している。

(b)のケースは理論的にはあり得る。しかし、裁判所は、ほとんどの和解が反カルトの全国弁連の弁護士によって成立したことを認めている。彼らは教会の解散を公言している。彼らは和解した事件に関する情報を当局だけでなくメディアにも迅速に提供している。彼らが和解内容を秘密にし、彼らの活動の主目的である和解内容の利用を控えるとは考えにくい。いずれにせよ、裁判所が「相当」の未公表の裁判外の示談が存在すると述べているのは、単なる憶測に過ぎない。

裁判所が(c)の事例も考慮に入れているのは驚くべきことである。私は40年以上にわたり「カルト」の烙印を押された宗教的マイノリティに関する裁判を注視してきたが、自ら「被害者」と表明したことのない「被害者」の「仮定上の」被害が判決の根拠として挙げられた例は、これまで一度もなかった。裁判所は、信者は「心理的な障壁」等の障害の被害者であるため、「違法な献金勧誘等行為により被害を受けた者の全てが弁護士に依頼をするなどして解決を求めるとは考え難く、被害を受けたにもかかわらず被害を訴えない者や、被害を訴えたとしても、弁護士を介した交渉に至らず信者間での何らかの解決をする者がいる可能性がないとはいえない。この点を念頭に置き、…訴訟上の和解及び裁判外の示談において主張されたもの以外に、違法な献金勧誘等行為による顕在化していない被害が存在することは否定されないというべきである」としている。

もちろん、それが否定される可能性はある。裁判所は事実に基づいて判断を下すべきだ。これらは事実ではない。裁判所には判決も和解も、「被害者」の声明さえない。何もないのである。裁判所はただ、献金によって損害を被り、「心理的障壁」のために賠償請求をしていない信者が「相当数」いるのではないかと推測しているだけなのである。

裁判所は(反カルト弁護士と同様に)常に「元信者」と「背教者」という二つの明確なカテゴリーを混同している。前世紀以来、社会学者はすべての元信者が背教者ではないことを明確にしてきた。「背教者」は侮辱的な言葉ではなく、宗教団体を脱退し、公然と戦闘的に反対する人物を指す専門用語である。学者たちは、元信者のうち背教者になるのはごくわずかであることを証明している。ほとんどの元信者は、ただ自分たちの生活を続ける。過去の経験について尋ねられれば、彼らは良い面も悪い面も両方挙げるであろう。彼らは、脱退した団体に反対する運動に参加したり、訴訟を起こしたりすることには全く興味がない。すべての元信者が訴訟を起こすか、「心理的障壁」のために起こさないかのどちらかだと主張することは、一般の元信者と背教者との根本的な違いを無視している。

反カルト団体「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の主要メンバーである紀藤正樹弁護士。スクリーンショット。

裁判所はまた、安倍元首相暗殺事件後、教会に残った人々が職場や学校で差別やいじめを受けているという事実を考慮していない。教会を離れ、背教者となり、教会を訴える人々は、メディアによって英雄視され、称賛されている。現代の日本社会においては、忠実な信者であり続けるよりも、教会を離れて訴える方が、確実に報われることだろう。

この判決は、すべての宗教、特に強力な反対勢力を持ち「カルト」の烙印を押されている宗教にとって、壊滅的な結果をもたらす可能性のある新たな前例となる。実際、「カルト」には自由な信者はいないというのが、反カルトイデオロギーの一部であり、反統一教会の全国弁連の弁護士らが長年主張してきたことである。信者は2つのカテゴリーに分類される。1つは、自分が操られていることに徐々に気づき(あるいはディプログラミングによって理解し)、最終的に「カルト」を脱退して訴訟を起こす者、もう1つは「心理操作」を受けているために自分が「被害者」であることを理解していない者である。これは古くからある洗脳理論であり、米国および欧州の学者や裁判所は、これは疑似科学的であり、新宗教運動の活動を評価するには不適切であると断言している。

この神話は、反カルトの全国弁連、そして東京地方裁判所が「被害者」の数を無制限に増やすことを許しているように思われる。もし彼らが教会を訴え、和解し、あるいは陳述書を提出したなら、彼らは「被害者」である。もし彼らがそうせず、教会に留まり献金を続けることに満足していると主張するなら、それは彼らの場合にはまだ「洗脳」が機能していることを示しているに過ぎない。この誤った論理によれば、教会員は皆「被害者」なのである。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e3%81%ae%e8%a7%a3%e6%95%a3%ef%bc%9a%e8%aa%a4%e3%81%a3%e3%81%9f%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%81%ae%e5%be%b9%e5%ba%95-3/?_gl=1*65o6ud*_up*MQ..*_ga*NTEwNTgxMTI2LjE3NDUxMzA1MDA.*_ga_BXXPYMB88D*MTc0NTEzMDUwMC4xLjAuMTc0NTEzMDUwMC4wLjAuMA..

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ77


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本における統一教会の解散:誤った決定の徹底分析2:民法上の不法行為と「公共の福祉」

04/08/2025 Massimo Introvigne

この決定は、数十年にわたる判例を覆し、刑事上の有罪判決がない場合でも、民事訴訟と社会規範からの逸脱だけで解散できると判示した。

マッシモ・イントロヴィニエ

5本の記事の2本目 1本目を読む

英国公式訪問中の岸田文雄首相(当時)。彼は宗教法人法の解釈を一夜にして変更した。Credits.

東京地方裁判所が統一教会の解散命令を下した決定の検討の続きである。今回は判事が答えた2番目、3番目、4番目の質問を検討する。

2番目の質問は、刑事判決がない場合、民事判決だけで宗教法人の解散を命令できるかどうかである。

裁判所は、日本の判例が一貫してこの質問に否定的な回答をしてきたことを認識している。その後の日本政府もこの解釈を維持した。1994年と1998年には、政府は反カルトの全国弁連による教会の解散を求める圧力を拒否した。2012年には、政府は解散訴訟を開始する意思がないとして全国弁連から訴えられ、勝訴した。安倍元首相暗殺後、当初岸田首相は、教会には刑事判決がないため解散命令を請求することはできないと主張した。しかし、反カルト弁護士によって扇動されたメディアと全国弁連の圧力を受けて、24時間以内に岸田首相は考えを変え、解散を請求するには民事判決だけで十分だと思うと明言した。

東京地方裁判所は、文部科学省から送られた質問に十分に回答しなかったとして教会に課された過料に関する2025年3月3日の最高裁判所の決定に依拠している。その決定で、最高裁判所は、明らかに当時差し迫っていた東京地方裁判所の解散決定に影響を与えることを目的として、民法上の不法行為だけで宗教法人を解散させるのに十分であると判示した。

したがって、東京地方裁判所は、この問題について詳しく説明する必要はなく、単に最近の最高裁決定を引用して、教会は、宗教法人法に規定されている「法令違反」は刑事判決のみとみなされるべきであると主張しているが、「必ずしもそうではない」と述べた。

より正確に言えば、これまでの判例が「法令違反」を刑法などの実定法規の違反と解釈していたのに対し、東京地裁決定は実定法規に定められていないものも含めた規範違反を含むように、広く解釈している。

最高裁も東京地方裁判所も、10年にわたる判例をなぜ覆さなければならないのかを説明していない。宗教法人法のこの常識破りの解釈は、教会を狙い撃ちするために作られたという印象だ。しかし、これは、罪を犯したことは一度もないが、民事訴訟に巻き込まれるかもしれない何百もの他の宗教団体への影響を考慮せずに行われた。日本の著名な仏教僧侶の一人がインタビューで述べたように、この解散論はすべての宗教と寺院を危険にさらしている。

東京地方裁判所が答えた3番目の質問は、「公共の福祉」を害することと「社会規範」に違反することが、宗教団体の解散命令を下す際に考慮すべき基準であるかどうかだった。

その答えは「イエス」である。これは日本の法律に裏付けられた答えだが、裁判所は「社会的相当性を逸脱した」行為や「社会通念上相当とされる範囲を逸脱した」行為を解散事由とみなすと大胆に主張し、一歩先を進んでいるのかもしれない。日本国憲法には第13条があり、「自由及び権利」は「公共の福祉のためにこれを利用する」場合にのみ保障されるとしている。宗教法人法第81条は「公共の福祉」を害する行為を解散事由に含めている。東京地裁は、この判例に従うなら「社会通念上相当な範囲を逸脱する」行為までもが解散事由となり得る判例も挙げている。

東京地方裁判所の外観。Credits.

問題は、1978年に日本が国連の市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)に署名したことだ。この規約には、宗教または信条の自由を制限する根拠となり得るもののリストが含まれている。このリストは、示唆的というよりは限定的なものであり、公共の福祉は含まれていない。パトリシア・デュバル弁護士が指摘したように、国連の自由権規約人権委員会は日本に「公共の福祉」の制限を撤廃するよう繰り返し要請した。日本は一度も従わなかった。つまり、宗教団体は「公共の福祉」という漠然とした概念に基づいて根絶される可能性があるということだ。政府は統一教会の事案で、この概念には「社会規範」、つまり多数派の意見も含まれると解釈した。

これが国際法で禁止されていることは、宗教または信条の自由を保護する自由権規約第18条に対する2013年の総評第22号で、自由権規約人権委員会によって明確に述べられている。「第18条の適用は、伝統的な宗教又は伝統的な宗教のそれと類似する制度的に確立された性格又は慣行を有する宗教及び信念に限定されない。従って委員会は、 あらゆる理由に基づく宗教又は信念に対する差別の傾向を懸念している。あらゆる理由の中には、それらが新宗教であるという事実又は支配的な宗教集団の側からの敵意の対象となりうる宗教的マイノリティであるという場合も含まれる。」

国際人権法は国内法に優先すべきである。このことは、東京地方裁判所決定の2週間足らず前にノルウェーのボルガーティング控訴裁判所によって認められた。同裁判所では、反カルト運動の影響を強く受けた第一審の評決によりエホバの証人の登録が取り消されていた。2025年3月14日、控訴裁判所は登録を復活させ、ノルウェーのノルウェー宗教団体法の条項は、同国が署名・批准した国連条約および欧州条約に従って解釈されるべきであると指摘した。ノルウェー法の条項が国際法よりも抑圧的である場合、国際法が優先されるべきである。

同じ論理に従って、日本の裁判所は、「公共の福祉」と「社会規範」の基準は国際法に反しており、したがって適用できないと判決を下すべきである。残念ながら、自由権規約を尊重するよう求める国連の警告に対する日本の抵抗に、日本の地方裁判所も従っているようだ。

東京地方裁判所が回答した4つ目の質問は、教会が敗訴した民事訴訟の件数が、解散判決を支持するのに十分であるかどうかである。裁判所は32件の敗訴を報告し、この数字は非常に重要であると述べている。

この結論には異議がある。前述の通り、統一教会は1964年に日本で法人化されており、それ以降の32件は平均して2年に1件の割合である。第二に、矛盾したことに、裁判所は、同時期に統一教会が勝訴した「多数の(民事)訴訟」があったという事実は特に重要ではなく、教会に不利な判決を下す法廷の「類型的傾向」を否定するものではないと述べている。判決では教会が勝訴した訴訟の正確な件数は言及されていないが、教会が敗訴した訴訟の原告数は169人、教会が勝訴し「請求の全部棄却」となった訴訟の原告数は80人であったとされる(一部棄却された訴訟もあった)。

つまり、教会は原告のほぼ半数に対して「全面的に」勝訴したことになるが、これはこの国では裁判所が「カルト」と烙印を押された団体に対して偏見を持っていることと無関係ではないようだ。調査ジャーナリストの福田ますみ氏は、反カルトの全国弁連のメンバーだった伊藤芳朗弁護士の発言を報じている。その発言によると、日本では「民事訴訟では、『カルト宗教だと負け』という裁判所の枠組みたいなものがある」「他の事件では認められないような請求も相手がカルト宗教だと安易に認められてしまう」という。こうした偏見にもかかわらず、教会はかなりの訴訟で勝訴した。

東京地方裁判所は、教会が敗訴した訴訟では原告のほとんどが元信者であったのに対し、勝訴した訴訟では原告のほとんど(80件中67件)が信者の近親者等であったと主張して、この反論に答えようとした。しかし、裁判所が審理を求められた事実はどちらも同じであった。

ディプログラミングの被害者・後藤徹氏。Xより。

さらに、裁判所の判決文にはどこにも出てこない言葉が一つある。それは「ディプログラミング」、日本では「強制改宗」(むしろ「強制棄教」というべきである)である。これは、成人の信者が親によって、あるいは親の代理者によって拉致され、監禁され、信仰を放棄させるために、プロの「ディプログラマー」によって心理的圧力やその他の圧力にさらされる行為である。ディプログラミングは20世紀以降、アメリカやヨーロッパの裁判所によって犯罪行為として禁止されている。日本の最高裁判所も2015年にディプログラミングを違法行為と宣言し、後藤徹氏という統一教会の信者が12年以上監禁され、何度もディプログラミングを試みたが失敗に終わった事件に対する2014年の高等裁判所の判決を支持した。

この判決以前は、ディプログラミングによって教会を去った元信者らは、本当に信仰を棄てたことを証明するために損害賠償請求訴訟を提起するよう求められることが常態化しており、もしそうしなければ再び監禁されるという脅迫を受けていた。強制棄教させられた元信者の発言には注意が必要である。教会が敗訴した32件の訴訟では、原告169人のうち121人が強制棄教させられていたようで、これはかなりの割合を占める。民事訴訟のこの本質的な特徴が、裁判所によって無視された。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e3%81%ae%e8%a7%a3%e6%95%a3%ef%bc%9a%e8%aa%a4%e3%81%a3%e3%81%9f%e6%b1%ba%e5%ae%9a%e3%81%ae%e5%be%b9%e5%ba%95-2/?_gl=1*1tw2mw8*_up*MQ..*_ga*MTU0NTE0MDI3MC4xNzQ1MTMwMDg0*_ga_BXXPYMB88D*MTc0NTEzMDA4My4xLjEuMTc0NTEzMDA5Ny4wLjAuMA..

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ76


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本における統一教会の解散:誤った決定の徹底分析1:「霊感商法」と刑事事件

04/08/2025 Massimo Introvigne

この判決は教会の信者(教会自体ではない)に対する刑事判決に言及しているが、それは解散の論拠の一部ではなかった。

マッシモ・イントロヴィニエ

5本の記事の1本目

東京地方裁判所。Credits.

2025年3月25日、東京地方裁判所は、かつては統一教会として知られ、現在でもしばしばその名称(以下、「統一教会」または「教会」という)で呼ばれる世界平和統一家庭連合の日本支部の解散を求める文部科学省の請求を認めた。この請求は、2022年に安倍晋三元首相が暗殺された後、教会の長年の反対者、特に反カルトの全国霊感商法対策弁護士連絡会が扇動したキャンペーンを受けて行われた。暗殺者は、母親が信者である教会に対する安倍氏の友好的な態度を罰したかったと主張した。彼は、母親が教会に多額の献金をしたために2002年に破産したと述べた。

暗殺者は、破産から20年も経ってからなぜ行動を起こしたのかについては説明しなかった。親族の苦情を受けて献金の半分が返金されたという事実にも言及しなかった。全国霊感商法対策弁護士連絡会(「全国弁連」)は、ほとんどが社会党員または共産党員である弁護士グループによって1987年に設立され、教会の関係団体の反共産主義および親米キャンペーンの成功を阻止するという目的を持っていたことを公言していたという、決定的で議論の余地のない証拠がある。

東京地方裁判所の判決は偏っており、疑似科学的なマインド・コントロール理論に基づいており、矛盾している。一言でいえば、それは間違っている。教会を解散させる理由を分析することで、そのことを実証したい。

判決では、教会は1964年に宗教法人として設立され、(信仰だけでは存続できないすべての大規模宗教団体にとって通常であるように)その規則に定められた目的の中に、精神的および社会的目標を支えるために必要な「財務及び業務並びに事業を行なう」ことが含まれていると指摘している。

この事案は、特定の「経済活動」、つまり金銭の収集ならびに商業価値を超える価格での工芸品の販売による献金の勧誘のみに関するもので、裁判所は販売行為も献金とみなしている。安倍首相暗殺後の世論の論争は、厳格で保守的すぎると非難された二世信者の教育、教会が宗教というよりは「カルト」であるということ、そして教会が創設され本部がある韓国の利益を促進するために日本を貶めたという疑惑にも焦点を当てていたが、判決ではこれらの問題はいずれも議論されていない。解散は、不法な献金勧誘のみに基づいている。

裁判所は、いわゆる「霊感商法」に焦点を当てている。これは、全国弁連とその弁護士らが、教会に反対する政治的な動機に基づくプロパガンダを推進するために作った造語である。判決では「霊感商法」を、多宝塔や印章などの工芸品を法外な価格で販売し、「怨恨を持つ先祖の霊の因縁等により不幸が生ずるといった不安を利用して物品の購入をさせる」行為と定義している。裁判所によると、他のケースでは、同じ方法で献金の勧誘が行われた。工芸品の販売と金銭の収集という2つのケースは、裁判所では実質的に異なるとはみなされておらず、一緒に議論されている。

解散の決定を正当化するために、裁判所は9つの質問に対して肯定的に答えなければならなかった。このシリーズでは、それらを1つずつ検証する。

最初の質問は「教会は犯罪行為を行ったか?」である。

裁判所は、教会の信者個人や信者が経営する会社が行った犯罪行為が、宗教法人法第81条第1項第1号にいう「宗教法人の行為」に該当するかどうかを問うている。裁判所が言う「犯罪行為」とは、いわゆる「霊感商法」に関与していた4つの会社の役員らが行った行為である。判決はこれらの犯罪行為に触れているが、解散の論拠には入っていない。判決がなぜこれらの犯罪行為に触れ、数段落を割いて「宗教法人の行為」と断定しているのか不明である。おそらく、このページの目的は、教会が「疑わしい」団体であるという印象を与えることにあるのだろう。

霊感商法」:統一教会の日本人信者(教会自体ではなく)が、幸運をもたらすと主張して法外な値段で販売したと非難された商品。

裁判所は、沖縄簡易裁判所が天守堂という印章販売店の代表、店長、従業員の計3人の被告に対して下した刑事判決(2007年)、新潟簡易裁判所が仏具販売を営む株式会社北玄の代表者を含む3人に対して下した刑事判決(2008年)、福岡簡易裁判所が工芸品や半貴石の訪問販売を営んでいた有限会社サンジャスト福岡の販売外交員に対して下した刑事判決(2009年)、印章などの販売を営む有限会社新世の役員3人に対して下した刑事判決(東京地裁)に言及している。最後の判決は、罰金刑に加え、同社の代表取締役に懲役2年(執行猶予4年)、営業部長に懲役1年6カ月(執行猶予4年)の判決を下した唯一の例である。

さらに、裁判所は、1971年に統一教会の信者によって設立された幸世商事株式会社の活動について長々と論じている。同社は後に「世界のしあわせ株式会社」、そして「株式会社ハッピーワールド」(以下「ハッピーワールド」という)に社名を変更した。同社の事業は、高麗人参茶、高麗大理石壺、多宝塔、印章の販売であった。ハッピーワールドの幹部に対する刑事判決は出なかったが、裁判所は同社を「霊感商法」の主犯であると認定している。

ハッピーワールドが自社製品を販売するために過激で好ましくない行為を行っていたことは事実である。これは、マイケル・L・ミックラーなどの統一教会の信者である学者も著書『統一教会運動』(ケンブリッジ:ケンブリッジ大学出版局、2022年、26ページ)で認めている。しかし、東京地方裁判所が審理する問題は、ハッピーワールドと、刑事裁判所によって代表者が制裁を受けた4つの会社の活動が「宗教法人の行為」、すなわち教会の行為であったかどうかである。

裁判所は、この質問に肯定的な答えが可能であることを示唆するために、日本の最高裁判所の判例との区別をしなければならなかった。1995年に東京の地下鉄でサリンガスを使った致命的なテロを起こした新宗教運動オウム真理教の事件に関する1996年の判決で、最高裁判所は、宗教法人の「役員および幹部」に対する刑事判決のみが、解散事案における「宗教法人の行為」に関するものとみなすことができると述べた。東京地方裁判所は、この判決や同様の下級裁判所の判決は「当該事案(オウム真理教)の事実関係に即して判断をするために上記説示をした」にすぎず、統一教会には当てはまらないと主張している。

しかし、この主張は説得力に欠ける。裁判所は、ハッピーワールドの幹部らが日本の統一教会の指導者らからスピーチや教会の雑誌の記事で賞賛され、そのうちの一つには当時のハッピーワールド社長の「挨拶文」も掲載されていたと報告して、この主張を裏付けようとしているが、これは彼らが統一教会の代表として活動していたことを証明するものではない。いずれにせよ、刑事事件で有罪判決を受けたのはハッピーワールドではなく、別の会社の代表だった。

明らかに、宗教団体のメンバーが犯した犯罪のすべてがその団体の責任であるとされ、解散の根拠として使われるわけではない。さもなくば、小児性愛の司祭に関する事件がローマカトリック教会を解散させる根拠になるであろう。

また、ハッピーワールドに関わる事件は20年以上前に遡る。判決は、統一教会が1987年には早くもハッピーワールドを抑制しようとしていたことを認めている。「その後、ハッピーワールドは、当時の厚生省等に対し、『いわゆる「霊感商法」といわれる誤解を生ずるような物品販売は一切禁止することを昭和62年3月末をもって弊社関連業者に徹底通知』した旨を文書で報告するとともに、利害関係参加人に対し、これらの顛末等を報告する内容の文書を送付し、昭和62年頃以降は被害申告の件数が減少するようになった」と判決は伝えている。結局、ハッピーワールドは営業を停止した。

全国霊感商法対策弁護士連絡会の創設者の一人、山口広弁護士。スクリーンショット。

刑事判決で有罪となった人々の活動が教会の活動ではないという結論を支持するもう一つの論拠は、仏壇や数珠の販売が含まれていたということである。主流派のキリスト教徒はその正統性に疑問を抱くかもしれないが、統一教会はキリスト教系の新宗教運動である。その信者は仏壇や数珠を使用しておらず、これは個々の信者が私的な商業活動としてそれらの販売に積極的に取り組んでいたという事実と矛盾しない。

したがって、「宗教法人の行為」に対する刑事判決はなかったと結論づけることができる。信者個人が、教会を代表して行ったのではない行為に対して、有罪判決を受けたのである。数十万人の信者を抱える宗教団体で、刑事裁判で有罪判決を受けた信者が一人もいないところを探すのは難しいだろう。統一教会の信者に対するこれらの刑事判決の数が、他の大規模宗教の信者よりも多かったという証拠はない。

しかし、前述のように、解散事由となる法律違反を論じる部分では、裁判所は民法上の不法行為の過去の事例のみを検討していることを再度強調しておくことが重要である。過去に商業活動で有罪判決を受けた個人に関する事例については一切議論されていない。これらの刑事事件は背景説明においてのみ言及されているのである。

解散事由の有無を判断する根拠として、これらの有罪判決は考慮されなかった。判決は、明確には述べていないものの、団体が「反社会的」であることを示唆するために、このような事例を持ち出したと推測できる。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E7%B5%B1%E4%B8%80%E6%95%99%E4%BC%9A%E3%81%AE%E8%A7%A3%E6%95%A3%EF%BC%9A%E8%AA%A4%E3%81%A3%E3%81%9F%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E3%81%AE%E5%BE%B9%E5%BA%95/?_gl=1*1ao9cw8*_up*MQ..*_ga*OTU3MDAwOTI4LjE3NDUxMjk2MjM.*_ga_BXXPYMB88D*MTc0NTEyOTYyMy4xLjEuMTc0NTEyOTY5My4wLjAuMA..

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ

BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ75


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

統一教会に対する日本の一審判決:勝者はなく、全員が敗者だ

03/29/2025 Massimo Introvigne

統一教会の解散は、すべての宗教、日本、そして日本の国際的なイメージに損害を与える。宗教の自由を支持するすべての者は、この不名誉な判決に抗議すべきだ。

マッシモ・イントロヴィニエ

東京地方裁判所。Xより。

日本では、東京地方裁判所が3月25日、宗教法人・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散を求める政府の申し立てを認めた。教会側は控訴する意向を表明している。

この訴訟には勝者はおらず、敗者のみである。

疑いなく、統一教会は敗訴した。しかし、統一教会とは何なのか? メディアによる中傷は多くの日本人に、邪悪で反社会的存在、典型的な「カルト」という抽象的で誤ったイメージを植え付けた。しかし、この組織はそれぞれの人生の物語、喜び、悲しみを持つ現実の人々によって構成されている。政府と教会の反対派は、統一教会への献金について不満を訴える数十人の背教した元信者を見つけた。しかし、礼拝所やその他の建物を建てるために献金し、献金に満足している何万人もの人々はどうなのか? 彼らは苦労して稼いだお金を献金したのであり、控訴審と最高裁で判決が確定すれば、彼らの愛と善意によって築かれた財産は没収され、清算人に渡されることになる。

この件に関して広まっている嘘の一つは、教会は免税資格を失うだけだというものだ。これは間違いだ。教会は解散とともに、建物を含むすべての資産を失うことになる。確かに信者は個人の家で礼拝することはできるが、喜んで献金した人々のお金は政府に渡り、教会の過激な反対派を支援するために使われることになる。これが合法的な窃盗でなければ、何なのか私には分からない。

解散請求に抗議してデモ行進する統一教会の信者と支持者たち。

しかし、敗者は他にもいる。日本の著名な仏教僧侶がインタビューで説明したように、仏教寺院を含め、日本では今やすべての宗教が危機に瀕しており、敗者の中にいる。何十年もの間、日本の宗教法人に関する法律は、宗教法人の解散の根拠を刑事判決に限定するように解釈されてきた。当時の岸田首相でさえ、統一教会を解散すべきだと主張する人々に対し、教会は刑事事件で有罪判決を受けたことが一度もないため、それは不可能だと当初は答えていた。しかし、教会に反対する過激な反カルト主義者らによって煽られたメディアの圧力を受けて、首相はすぐに立場を翻し、刑事事件ではなく民事事件で敗訴しただけで解散には十分だと述べた。

残念なことに、日本の最高裁判所はこの解釈を支持したが、これは何十年にもわたる判例を覆すものであり、日本では司法が政府、さらにはメディアに従うことが多いという悲しい真実を裏付けるものとなった。

しかし、統一教会が敗訴した民事訴訟とは何だろうか。政府は32件の訴訟を根拠に、信者に献金をさせたり、幸運をもたらすとされるミニチュアの仏塔や印鑑などの工芸品を高額な値段で購入させたりするために心理的圧力がかけられたとしている(反対派はこれを「霊感商法」と呼んでいる)。しかし、裁判所が考慮しなかった重要な点が3つある。

第一に、こうした事件の多くは、拉致監禁されディプログラムされた後に、訴訟を起こさなければ再び監禁すると脅されて説得された元信者に関するものだ。日本の最高裁判所は2015年にディプログラミングを違法と判決したが、政府はこうした事件に依拠することで、この不快で犯罪的な活動を容認しているようだ。

第二に、2022年に安倍晋三元首相が暗殺されたことで統一教会に対する反対運動が再燃したとき、信者個人や信者の会社(統一教会そのものではない)による「霊感商法」の活動は、ほぼ過去のものになっていた。2009年、統一教会は消費者保護のために制定された日本の法律への「コンプライアンス宣言」を発表し、事実上、いわゆる「霊感商法」は終焉した。統一教会に対する訴訟の99.7%は、「コンプライアンス宣言」以前に起きた事件に関するものだ。解散訴訟で言及された32件の民事訴訟のうち、その宣言後に行われた献金に関するものは1件だけである。

第三に、日本の国会でも提起された、献金を後悔している元信者の証言の一部が政府によって捏造または操作されたのではないかという深刻な疑惑がある。また、統一教会が勝訴した民事訴訟については何も言及されていない。こうした基準と戦術では、いかなる宗教団体への献金もその団体の解散につながる可能性があると僧侶が指摘したのも不思議ではない。

統一教会と日本のすべての宗教団体に加え、この訴訟の主な敗者は日本である。学者たちは、日本には宗教の自由の伝統がないと指摘している。それは憲法に謳われ、それを保護する法律も存在するが、それらは第二次世界大戦後にアメリカの占領軍によって日本に押し付けられたものである。しかし、日本は法律と憲法自体に、当局が将来的に人気のない宗教を根絶できるようにする有害な条項を盛り込むことに成功した。憲法第12条は、権利は「公共の福祉」のために使用される場合に限り保護されると規定している。宗教法人法第81条は、宗教法人の解散事由の中に「公共の福祉を害すること」を含めている。

ワシントンDCで解散訴訟について語るパトリシア・デュバル弁護士。写真はピーター・ゾーラー氏撮影。

1978年、日本は国連の「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」に署名した。そこには宗教または信条の自由を制限することのできる根拠が列挙されているが、その中に公共の福祉は含まれていない。パトリシア・デュバル弁護士が指摘したように、自由権規約人権委員会は日本に「公共の福祉」による制限を撤廃するよう繰り返し要請した。日本は一度も従わなかった。つまり、宗教団体は「公共の福祉」という漠然とした概念に基づいて根絶される可能性があるということであり、政府は統一教会の事案ではその中には「社会規範」も含まれると解釈した。それは要するに多数派の意見ということだ。

いや、国連は国際法を執行するために日本に平和維持部隊を派遣することはない。それは国連の権限ではない。しかしこれは、日本が自由権規約に露骨に違反し、国民の宗教または信条の自由を否定しても、何の代償も払わなくてすむという意味ではない。国際社会ができることは、外交官が「ネーム・アンド・シェイム(名指し非難)」と呼んでいることだ。国連に加えて、米国と国際的な宗教の自由を監視するその機関が、この件で重要な役割を果たす可能性がある。人権と宗教の自由を尊重しない国として特定されることには、常に政治的および経済的コストが伴う。

この件では、多くの敗者の中に勝者がいるようだ。それは、20年間統一教会の解散を求めてきた、反カルト団体「全国霊感商法対策弁護士連絡会」である。この団体の動機は、貪欲さや、反カルト運動の資金や被害者とされる人々の弁護に対する謝礼として、統一教会の資産の相当額を受け取ることで弁護士たちが期待する大儲けだけではない。調査ジャーナリストの福田ますみが示しているように、この反カルト弁護団は冷戦時代の1987年に設立され、「全国弁連の弁護士のほぼ全員が旧社会党と共産党に所属していた。」彼らは、反共主義と親米運動で成功を収めた統一教会を憎んでいたのである。

山口広弁護士。彼は政治的な動機で全国霊感商法対策弁護士連絡会を設立した者の一人である。Xより。

政治的動機を持つ全国弁連は、統一教会に対する中傷やフェイクニュースを広めた主な組織である。彼らは現在自分たちを勝者とみなしているが、歴史と宗教を迫害した人々の運命を振り返るべきだ。紀元2世紀、キリスト教徒が迫害されていたとき、キリスト教護教家のテルトゥリアヌスは「Semen est sanguis christianorum」という有名な文章を書いた。それは「キリスト教徒の血は種である」という意味で、より多くの断固たるキリスト教徒を生み出すというのである。私は日本で、文字通り血と汗と涙で成功した教会を築き上げ、迫害に直面しても毅然と立ち向かう、献身的で英雄的な統一教会員に数多く会った。歴史は、迫害された信者が最後に勝利する例を数多く示している。宗教は、政府、政権、またはその反対者よりも長く存続する傾向がある。歴史は公平であり、迫害された信者が最後に笑うことも多い。

この事件に勝者はいない。あるいは、勝者はただ一人、安倍首相暗殺者の山上徹也だけかもしれない。指摘されているように、彼はおそらく歴史上最も成功したテロリストだろう。テロ行為のほとんどは裏目に出る。もし山上が統一教会を壊滅させるために安倍首相を殺害したのなら、今回のテロは成功である。しかし、政府や裁判所が暗殺者の目的を尊重し実現するような国とは、いったいどのような国なのだろうか。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e3%81%ab%e5%af%be%e3%81%99%e3%82%8b%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e4%b8%80%e5%af%a9%e5%88%a4%e6%b1%ba%ef%bc%9a%e5%8b%9d%e8%80%85%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%8f%e3%80%81/?_gl=1*bhchnl*_up*MQ..*_ga*MTIwMjA2MzI4OS4xNzQ1MTI5MTI0*_ga_BXXPYMB88D*MTc0NTEyOTEyNC4xLjEuMTc0NTEyOTIxOC4wLjAuMA..

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ