実況:キリスト教講座25


キリスト教と日本人(13)

それでは、文化庁が発行している『宗教年鑑』の中で、信徒数の多いプロテスタント教会としては、どのような教団が記載されているのでしょうか? 以下に上位7教団とその信徒数を挙げてみます。

1.末日聖徒イエス・キリスト教会:126,856
2.日本基督教団:119,747
3.日本バプテスト連盟:35,802
4.セブンスデー・アドベンチスト教団:15,255
5.イエス之御霊教会教団:14,396
6.インマヌエル綜合伝道団:12,322
7.日本同盟基督教団:12,300
※平成26年版『宗教年鑑』より(平成25年12月31日現在)

なんと、『宗教年鑑』によると日本最大のプロテスタント教会はモルモン教ということになります。これを見たら正統派のクリスチャンは怒るかもしれませんが、どういうわけかモルモン教はプロテスタントの仲間に入れられており、エホバの証人は入っていません。その理由はよく分かりませんが、実は日本におけるエホバの証人の信者数は2014年時点で約21万人と言われており、もしプロテスタントの仲間に入れればモルモン教を抜いて堂々の第一位ということになります。ですから、日本においては「正統派」を自認する日本基督教団が、自分よりも大きなモルモン教やエホバの証人をつかまえて「異端」と呼んでいるという、まるで笑い話のような状況になっているのです。もし正統と異端を民主主義的に決めるとしたら、日本基督教団側の主張はまったく成り立たなくなってしまいます。しかし、そうした「巨大な」基督教団も、日本の仏教教団に比べればはるかに小さく、どんぐりの背比べのような状況です。

日本の仏教の信者数を宗派別に整理すると以下のようになります。

1.浄土系:1712万人
2.日蓮系:1326万人
3.真言系:922万人
4.禅系:315万人
5.天台系:312万人
6.奈良系:71万人
※平成26年版『宗教年鑑』より(平成25年12月31日現在)

トップ争いが1000万名単位と10万名単位で二ケタ違うのですから、最初から勝負になりません。

話をキリスト教会に戻すと、日本のプロテスタント教会の第3位といわれる日本バプテスト連盟でさえ約3万6千名です。これは明らかに統一教会よりも小さいと言えます。4位以下になるともう2万人を切っていて、かなり小さな教団であることが分かります。しかも、この数字がすべて定期的に礼拝に参加している信徒数であるとは限りません。

このプロテスタントの枠には統一教会も入っていません。したがって、文化庁が発行している『宗教年鑑』からは統一教会の信徒数は分かりません。統一教会は文化庁に対して、信徒数約60万人と報告しているという話を聞いたことがありますが、これは名簿上の数であって自覚的に信仰を持っている食口の数でないことは明らかでしょう。定期的に礼拝や集会に参加したりして、自覚的に教会につながっている成人食口の数は約7万数千人と言われています。このように「実数」で勝負したとしても、統一教会は日本のキリスト教会の中ではかなり大きな教団であることが分かります。

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このグラフは、キリスト新聞社が発行している『キリスト教年鑑』に掲載されている、信徒数の多い「正統的」キリスト教会の上位10教団です。カトリックが40数万の信徒を抱えて第一位であることは変わりありませんが、礼拝参加数はその4分の1の約10万人に過ぎません。第二位は日本基督教団で、信徒数は約17万名。しかし礼拝参加者数は5万数千名ということになります。第三位は日本聖公会ですが、信徒数が約5万人であるのに対して礼拝参加者数は8千名に満たないという異常に低い数字になっています。こうした数字を見ると「信徒数」がどのくらい現役の信者の「実数」を表しているのか疑わしく思えてきます。4位以下はいかなる数字においても統一教会よりも明らかに小さい教団です。信徒数1万名ほどで10位に入ってしまうというあたりが、日本のキリスト教会の弱小ぶりを表しており、日本のキリスト教伝道がいかに厳しかったかを物語っていると言ってよいでしょう。数値の出ているすべての教団が前年比マイナス成長となっている点も、日本のキリスト教会が全体的に衰退している証拠です。

さて、こうした客観的なデータの中に日本統一教会というものを位置付けてみると、だいたいどのくらいに位置することになるのでしょうか? まず、正統と異端を分ける・わけないにかかわらず、日本で最も大きなキリスト教会がカトリックであることは疑いがないでしょう。「正統な教団」だけの中に位置づければ、カトリックに次ぐ第二位は日本基督教団で、第三位が統一教会ということになります。次に、「異端」と言われている教団も含めれば、第二位はエホバの証人、第三位はモルモン教、第四位は日本基督教団、第五位が統一教会となります。こうして見ると、統一教会は日本のキリスト教の中にあってかなり大きな存在であることが分かります。反対牧師を擁し、統一教会を異端視している教会の多くも、実は我々よりもはるかに小さな教団なのです。

日本基督教団と統一教会をより細かい数字で比較すると、いろいろと面白いことが分かってきます。日本基督教団における「信徒」の定義は、「洗礼を受けて教会に加えられた者。教会または伝道所に所属し、その会員名簿に登録された者」となっています。したがって、洗礼を受けただけでその後は教会に来なくなった者も、名簿に名前さ残っていれば信徒数にカウントされることになります。この数が2013年の時点で174,695名となっています。より実数に近い信徒数を把握するために日本基督教団では「現住陪餐会員」の数をカウントしており、その定義は「教会籍を置いている教会に定期的に出席している教会員」となっています。その数は同じく2013年の時点で86,131名です。これは統一教会における現役の信者の実数と言われている「在籍信徒数」とさほど変わりません。そういう意味で、信徒数という意味では日本基督教団と統一教会はほぼ互角と言ってもいいかも知れません。

逆に、両者で大きく違う数が教会の数です。日本基督教団には1716の教会があるのに対して、統一教会の教会数は286しかありません。信徒数を教会数で割ったものが一教会当たりの信徒数になるわけですから、日本基督教団は一つひとつの教会がとても小さく、逆に統一教会は一つの教会が大きいことになります。一教会当たりの平均礼拝数は、日本基督教団の場合には33名とこじんまりとしているのに対して、統一教会の場合には130名とかなり大きくなります。教会ごとに牧師や教師を置くことを考えると、統一教会の方がコストパフォーマンスの良い効率的な運営をしていると言えるかもしれません。(統一教会のデータは2015年のもの)

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