BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ37


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

日本は国家主導のディプログラミングを導入しようとしているのか?

02/06/2024 MASSIMO INTROVIGNEA

1月19日の閣議で、背教者である元メンバーの助けを借りて、統一教会の現役信者を「カルト」からの脱会に導くことを目的とした提案がなされた。

マッシモ・イントロヴィニエ

統一教会の背教者や反対者と会う日本の大臣や政治家
統一教会の背教者や反対者と会う日本の大臣や政治家の絵画的表現(AI生成アート)

すべては2022年7月8日の安倍晋三元首相暗殺事件から始まった。犯人の男は、安倍氏が統一教会(現在は世界平和統一家庭連合と呼ばれている)のイベントにメッセージを送ったので、彼を成敗したかったと主張した。暗殺者は、同教団の信者である自分の母親が2002年に破産したのは、教団への過度な献金のせいであるとし、それゆえに自分は統一教会を憎んだと語った。

暗殺者を非難するのでもなく、あるいは彼の弱い心を刺激したかもしれない反カルトのプロパガンダを責めるのでもなく、メディアは全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)に煽られて、統一教会に反対するキャンペーンを開始した。全国弁連は1987年に左翼弁護士たちによって設立された反カルト組織であり、彼らによれば、その意図は日本の統一教会の関連団体による反共キャンペーンの成功に歯止めをかけることにあったという。

全国弁連とメディアが極めて悪意に満ちたキャンペーンを仕掛けた結果、2023年に岸田政権は家庭連合に対する宗教法人解散命令を裁判所に請求することを決定した。同時に政府と議会は、「カルト」全般および特に統一教会に対する新しい法律を制定し、指示や規則を出した。一つは、「論争のある」宗教団体への献金を、単に献金者が洗脳によって操られたと主張すれば簡単に取り戻せるようにした。洗脳は信憑性を失った理論だが、日本政府はこれを採用したようだ。

もう一つの命令は、宗教団体が未成年者に「教えを吹き込む」ことを禁じている。その規定は明らかに統一教会だけでなく、エホバの証人や保守的なクリスチャングループをも標的にしたものだ。三番目の法律は「カルト」の「被害者」に対する支援を提供する。最近の運用基準案では、非常に広範な「被害者」の概念を提示しており、それには自分は被害者ではないと主張する人々も含まれてしまう。ここでも、その理由は「洗脳」である。実際の運用においては、家庭連合の信者はすべて、運動の中にいて完全に幸福だと言っている者も含めて、「被害者」になるのだ。

この日本の長編物語では、しばしば偏見、頑迷さ、宗教の自由に反する措置の蔓延が底をついたかと思うと、翌週または翌月には政府がさらに悪い新しい何かを提案しているのを発見するだけである、という印象を受ける。

洗脳のイメージ
1950年代に「洗脳」という概念がアメリカのプロパガンダによって導入され、なぜソ連や中国が戦争捕虜や反対者の「脳を変化させる」ことができたのかを説明した。(1950年代のプロパガンダポスターのAI生成による制作)。この疑似科学的な理論は後に「カルト」に適用された。

4000人以上の統一教会のメンバーが「ディプログラミング」と呼ばれる犯罪行為に遭った。すなわち、彼らは拉致され、監禁され、信仰を放棄し教団を去ることに同意するまで、身体的・心理的な暴力にさらされた。日本の最高裁は2015年に、この行為は違法であると宣言し(2014年の高裁判決を支持)、12年以上にわたり監禁されていた統一教会メンバーである後藤徹に対する莫大な賠償金の支払いを認めた。

その後もいくつかの事件が発生したが、一般的な法的コンセンサスは、ディプログラミングは日本で非合法化されたというものだった。これは、前世紀から犯罪であるとみなしていた世界のほとんどの民主主義国に比べると、やや遅れてのことであった。

しかし、現在、日本では国が主導するディプログラミングの再導入が検討されている。これは広範な「被害者」の概念が提示されていることと、日本政府が洗脳という疑似科学的な理論を支持していることから導かれる論理的な帰結である。もし日本の統一教会メンバーのすべてが「被害者」であり、彼らが「洗脳」の影響下にあるために自分たちが「被害者」であることに気付いていないとするならば、唯一の「救出」方法はディプログラミングである。

これは民主主義国では新しいことだが、中国やロシアではそうではない。“Bitter Winter”などの人権メディアは、中国で定期的に行われている国家主導のディプログラミング(もともとアメリカのディプログラマーたちはここで助言を受けた)や、ロシアでロシア正教会が政権と協力して運営している「カルト信者」の「リハビリテーション・センター」について報じている。

しかし、日本は「カルト」のメンバーに強制的「カウンセリング」、すなわちディプログラミングを受けさせる最初の民主主義国になるであろう。1月19日、「旧統一教会の被害者支援に関する関係閣僚会議」について計画する閣議が行われた。(「旧」とあるのは、現在は家庭連合と呼ばれるため)。日本の主要新聞の一つである「日経新聞」が議論の内容を報じ、その後、政府は自身のウェブサイトで草案の主要なポイントを発表した。

議事録の中で気になる点は3つある。まず、政府が「背教者」(すなわち敵対的な)元信者たち(おそらく「全国霊感商法対策弁護士連絡会」によって選ばれ、当局に紹介された者たち)と協力することが提案されている。その中には統一教会を離れた元二世信者も含まれる。「日経新聞」がまとめたように、彼らは「研修の講師として相談窓口の対応者に助言・指導する。・・・被害者への適切な支援に繋げる」。これらのいわゆる「被害者」は、家庭連合の現役信者である。さらに、「マインドコントロール下にある被害者は悩みに気づかない場合も多い。元信者らが相談員への講習で自身の経験を踏まえ知見を伝える。」と書かれている。

小川さゆり
「小川さゆり」(仮名:スクリーンショット)は、日本の統一教会の最も有名な元二世信者の「背教者」である。彼女の物語は、受賞歴のあるジャーナリスト福田ますみ氏によって否定された。

第二に、政府の支援のもとで背教者の元信者から訓練を受けたこれらの「カウンセラー」は、自分が「被害者」であるという自覚のない「被害者」に対して、「サポート」を提供するであろう。これはディプログラミングの洗練された隠喩にほかならない。彼らはまた、家庭連合に喜んで留まっている二世信者にも同じ「サポート」を提供し、彼らが通う学校に直接働きかけ、同じ「サポート」を受けさせるであろう。それは彼らが「洗脳されている」という主張のゆえである。

第三に、「収入が少なく住む場所に困っている」宗教二世らに、「シェルター」を造るという奇妙な提案がなされている。貧困のゆえにホームレスになっている家庭連合の二世信者の事例は報告されていないので、これは実在しない問題である。しかし、あからさまに語られたこの手段の真の目的は、二世信者を「親など信者から離れて」住まわせ、彼らが「カウンセリング」を受けて「生活の再建」をしやすくするためなのである。

これらの「シェルター」は、中国共産党が「カルト信者」とその子供たちをディプログラムする「愛の家」に非常によく似ている。彼らはここで「カルト」を否定し、「共産党を固く信じ、党を愛し、党に従う」ように教え込まれるのである。

この比較は驚くべきものではない。事実、日本共産党の公式ウェブサイトによれば、2023年10月16日に「盛山正仁文部科学大臣が日本共産党書記局長の小池晃氏の参議院事務所を訪れ、統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散命令を東京地裁に請求したことを報告した。小池氏は政府与党に対して、現役信者に対するケアに責任を持つよう求めた。」とある。この「ケア」が何を指しているかは容易に推測できる。おそらく小池氏は、中国の「愛の家」という良き見本を大臣に教えたのであろう。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。

https://bitterwinter.org/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AF%E5%9B%BD%E5%AE%B6%E4%B8%BB%E5%B0%8E%E3%81%AE%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%82%92%E5%B0%8E%E5%85%A5%E3%81%97%E3%82%88/

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