信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。
血まみれの政権と「飲酒運転者」:ワシントンDCを揺るがすIRFサミット
02/13/2024
今年最大の宗教の自由イベントは、中国とロシアの残虐行為に異議を唱えたが、日本のような民主主義国家が危険な飲酒運転者に見えることも指摘した。
マッシモ・イントロヴィニエ
敵もいれば、友達もいる。しかし、友達が酔って車を運転している場合、止めるよう説得するのが最善の友情だ。この説得力のある比喩は、USCIRF(米国国際宗教自由委員会)の委員長を二期務めたカトリーナ・ラントス・スウェット氏が、他の民主主義諸国が日本に対してとるべき態度を説明するために用いたものである。日本では、統一教会(現在は世界平和統一家庭連合と呼ばれている)に対する誤った反対運動が、同教団の解散命令請求と、あらゆる宗教の自由を厳しく制限する法律や規制につながっている。
ラントス・スウェット氏は、ワシントンDCのワシントン・ヒルトン・ホテルで開催された「国際宗教自由(IRF)サミット2024」の全体会議で、安倍暗殺後の日本の危機について講演していた。そこでは私も話をしたが、元米国国際宗教自由特使のスーザン・ジョンソン・クック氏、ユタ州プロボのブリガム・ヤング大学の法と宗教研究国際センター所長のW・コール・ダラム氏、欧州連合以外の地域における宗教の自由を促進するための欧州委員会元特使のヤン・フィゲル氏もスピーチした。統一教会の信者たちは、ディプログラミング目的の拉致監禁、棄教強要をされた体験を話し、ここ数年日本で彼らを襲った差別について語った。
堀守子氏の証言は特に力強かった。彼女は、統一教会の指導者である韓鶴子総裁によって創設された組織である世界平和女性連合の会長を務めているが、その会員の大部分は統一教会の信者ではない。安倍晋三暗殺後、女性連合は日本の反カルト主義者やメディアから中傷され、同連合の女性たちは一貫して差別されてきた。そして今、日本はその攻撃の矛先をエホバの証人に拡大しており、その次が誰になるかは分からない。
ラントス・スウェット氏は、もう一人の元米国国際宗教自由特使であるサム・ブラウンバック氏とともにIRFサミットの議長を務めている。IRF サミットは、数千人の参加者が集まり、ブースやワークショップを通して数カ国における数多くの異なる宗教が抱える問題を提示する、世界最大の宗教の自由の集まりとして台頭した。
ヤン・フィゲル氏が指摘したように、2024年のIRFサミットは、2022年の安倍暗殺以降に進展があったことを示している。もともと米国では、アジアの重要な同盟国である日本を批判することに一定の抵抗があったが、今では、日本が民主主義世界で宗教の自由に対する最悪の危機を引き起こしたことに、ほぼ疑念の余地はないと考えられている。しかし、それだけではない。宗教の自由に関して言えば、日本は民主主義諸国の中で飲酒運転者のように見えることがあるが、他のドライバーも酔っぱらっていて、その中にはフランスも含まれる。フランスが既に悪法である2001年の反「カルト」法を、さらに悪化させるための改正案を出したことも言及された。
宗教の自由を擁護する世界の関係者のほぼ全員がサミットに出席し、その中にはチェコ共和国のロバート・レハク大使も含まれていた。彼は宗教の自由を支持する37か国の連合である国際宗教または信仰の自由同盟の会長を務めている。マイク・ペンス前米国副大統領、現職の宗教または信仰の自由に関する国連特別報告者であるナジラ・ガニア氏、英国の宗教または信仰の自由特使であるフィオナ・ブルース氏、現職の米国国際宗教自由特使であるラシャド・フセイン氏、現職の米国下院議長であるマイク・ジョンソン氏もいた。さらに、世界中から何百人もの国会議員、宗教指導者、ジャーナリスト、NGOの指導者、学者が集まった。
問題の半分は、民主主義国の飲酒運転者たちである。彼らの宗教的マイノリティに対する弾圧はそれほど血なまぐさいものではないが、それが民主主義社会において起こったという事実が、世界の他の国々にとって悪い手本となっている。宗教の自由の問題の残りの半分は、全体主義体制もしくは十分に民主的とは言えない政権である。日本やフランスには飲酒運転のドライバーがいるが、一方で戦車を運転し、その車輪で意識的に宗教の自由を押しつぶそうとする者たちもいる。これはロシアが不法占領したウクライナの領土における宗教の自由に対する残忍な抑圧を表すのに適切なたとえである。しかしそれは同時に、ロシア本土、中国、北朝鮮、ニカラグアで起きていることをも描写している。多くの証人が、宗教の自由において世界で最悪の国は中国であると指摘している。そうした証人の中には、ルシャン・アッバス氏のようなウイグル人、ベンジャミン・ロジャース氏のような香港の自由を求める活動家、チャイナ・エイドのボブ・フー氏のような迫害されているキリスト教家庭教会の擁護者、法輪功学習者、チベット仏教の信者たちが含まれている。パキスタンは今月の総選挙を心待ちにしているが、この国を完全な民主主義国家とみなすことはできない。なぜなら同国の法律では冒涜行為を死刑で処罰しているし、アフマディー教徒や他の少数派に対する暴力、誘拐、イスラム教への強制改宗が行われ、ヒンズー教やキリスト教徒の少女(多くは未成年)がイスラム教徒との結婚を強制されているにもかかわらず、警察は見て見ぬふりをしているからである。他の地域では、イスラム教徒が差別されたり、反ユダヤ主義がイスラエル政府に対する批判を利用して再び醜い頭をもたげたりしている。ナイジェリアではキリスト教徒が、イランではバハイ教徒が虐殺され続けている。
もちろん、IRFサミット2024で議論された宗教の自由の侵害のすべての事例について一つの記事で言及することは不可能だ。Bitter Winterはいくつかのセッションにおいて、宗教または信仰の自由を人権促進のグローバルな取り組みの中心という正しい位置に置こうとしている国際的な運動にとって、貴重な資源であると認められたことを誇りに思う。そして私たちは、全体主義者の戦車によるウイグル人とウクライナ人の犠牲者、そして飲酒運転者による日本人の犠牲者の声を胸に刻んで、ワシントンを離れる。
以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。