日本の大学による宗教迫害の実態を国際会議で発表しました。
「グローバル化を背景とした宗教:地中海と世界」をテーマに、新宗教研究センター(CESNUR)の国際会議がモロッコの地方都市エル・ジャディーダにあるチュアイブ・ドゥッカイ大学で9月20日~22日の日程で開催されました。本当はこの報告は私の論文がCESNURのウェブサイトにアップされてからしようと思っていたのですが、思いのほか時間がかかっているので、それを待たずに私のブログにアップすることにしました。
CESNURはこれまでヨーロッパと北米を中心に国際会議を開催してきましたたが、昨年は初のアジア進出で台湾が会場に選ばれました。今年はイスラム圏のアフリカに進出しようということで、比較的安全な国モロッコが選ばれたようです。しかし運悪く、預言者ムハンマドを侮辱するアメリカ人監督製作の映画がネット上で拡大することにより、イスラム圏の反米感情が高揚。リビアで米大使が殺害される事件まで起こりました。モロッコでは暴動などなかったのですが、中には恐れをなして参加をキャセルした者もいたと聞きます。そんなわけで、今年の参加者は約70名と小規模な会議になりました。
統一教会に関連するプレゼンとしては、9月21日9:15からのセッション6:「統一教会の分裂?」と、同日11:15からのセッション10:「日本とアメリカにおけるカルト論争」というタイトルの2つの分科会がありました。セッション6では、外部の宗教学者であるジェームズ・ビバリー氏が文鮮明師の逝去を前後する後継者争いの出来事について解説しました。現役の教会員であるダン・フェッファーマン氏(ICRF会長)は、内部の視点から、この分裂の持つ神学的な意味について解説しました。
セッション10では、ベルギーの人権団体「国境なき人権」のウィリー・フォートレ代表が、「日本:棄教を目的とした拉致と拘束」と題するプレゼンを行い、日本における統一教会とエホバの証人の信者に対する拉致監禁・強制棄教の問題について報告しました。彼は結論として、自らの調査に基づいて拉致監禁・強制棄教が実在することを確認できたこと、それが違法であること、日本政府が自国の市民の人権を守るために責任を果たしていないことなどを強調しました。
私のプレゼンは、「日本の大学のカルト対策」をテーマにしたもので、CESNURを含め、国際的な学会で日本の大学による宗教迫害の実態が報告されるのは今回が初めてとなりました。私のプレゼンの後、早稲田大学CARP代表が学生の立場で現状を訴えました。信教の自由の国アメリカで育った彼女は、日本の大学が宗教をあからさまに迫害しているのを見て非常に驚いたと述べました。それでも自分の大学はまだマシなほうで、他大学の友人の中には教授や友達から陰湿ないじめや嫌がらせを受けている者もいると訴えました。
私のプレゼンを論文化したものは、近いうちにCESNURのウェブサイトのサイバー議事録に掲載されるでしょう。”Anti-Cult Measures” by Japanese Universitiesというタイトルで掲載される予定です。以下のサイトに注目してください。
http://www.cesnur.org/2012/el_cyberpro.html
それより一足先に、英語の原文と、筆者自らが日本語訳したものをこのブログにPDFでアップすることにします。
(日本語のものは誤字があったので修正しました 2012年10月4日14時)
Uotani paper (English) 魚谷論文(日本語)
また、日本語の論文は当ブログにも掲載しましたのでご覧下さい。