日本の大学による「カルト対策」 CESNUR 2012レポート


魚谷俊輔

Universal Peace Federation – Japan

 

2011 年12 月31 日に公表された国境なき人権による報告書「日本:棄教を目的とした拉致と拘束」(英語版日本語版)は、 日本における統一教会信者に対する拉致と棄教の強要に関する基本的な事実を明らかにした。 本論では、 日本の統一教会信者が経験しているもう一つの深刻な宗教迫害について明らかにしたい。この迫害のタ ーゲットは若い大学生たちであり、彼らを迫害しているのは大学当局である。

注:大学のキャンパスにおける統一教会信者に対する迫害には長い歴史がある。それは1970 年代に遡るが、 当時の迫害者は大学当局ではなく、主に学内の左翼学生であった。それは共産主義者ないし社会主義者 たちと統一教会信者との思想的対決の一環であった。今日、学内の左翼勢力はほぼ消滅したが、大学当 局は宗教系の大学サークルに対する管理を強化している。

初めに、アメリカ国務省が発表した国際宗教自由報告書2011 年度版の日本の部分から一節を引用したい (http://www.state.gov/j/drl/rls/irf/religiousfreedom/index.htm?dlid=192631)。「統一教会はまた、日本全 国の大学で行われたカルト防止ワークショップおよび運動が、同教会の関連団体に近づかないよう学生 に呼びかけており、同教会の会員である学生にとっては厳しいキャンパス環境が生まれる一因となった と主張した」(http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20120730-01.html:日本語訳は駐日米国大 使館のウェブサイトより)。アメリカ国務省は、日本の大学によるこれらの「カルト対策」を、「宗教的 な帰属、信条、または実践に基づく、社会的な侵害または差別」の一例として報告した。

「カルト対策」の名目のもとに、大学のキャンパスにおける宗教系サークル及びそのメンバーに対する 敵対的なキャンペーンが、2006 年以来、全国的に行われてきた。ターゲットとなっている団体はいくつ かあるが、中でも最も多くの被害者を出しているのが、統一教会系の学生組織である全国大学原理研究 会(CARP)である。この「迫害」は、程度の差こそあれ全国で少なくとも60 の大学に見られる。

CARP に対する組織的な対策は、以下のようなカテゴリーに大まかに分けられる:

1. 看板、パンフレット、ポスター、小冊子、ウェブサイト、e-mail、学内放送などによる、全学生に対 する公的な警告

2. 入学時のオリエンテーション、カルト対策講座、一般授業の中での教授・教職員による注意喚起

3. 尋問、脱会の強要、恒常的な監視など、様々な形でのCARP メンバーに対するアカデミック・ハラ スメントと威嚇

4. 学生の両親と統一教会に反対する牧師の連携促進、「脱会カウンセリング」を目的とした牧師との面 会強要、または学生の拉致の幇助

キャンパスにおける「カルト対策」の看板、ビラ、ポスターの例をいくつか紹介したい。

写真1は、千葉大学(国立)の「カルト対策」看板である。この看板には赤い丸に斜線の入った道路標 識が見られるが、それは「カルト禁止」を意味している。

注:千葉大学のこの看板は、2007 年4 月以前に設置され、2012 年9 月の時点でまだ設置されている。CARP は学内で活動を許可されていない。

写真2と写真3は、大学の掲示板に貼られている「カルト対策」のビラである。写真2は龍谷大学(私 立)のもので、「No! カルト」と言っている。写真3は首都大学東京(公立)のもので、「カルト教団 に注意しましょう」と言っている。

注:龍谷大学のこの「カルト対策」ビラは、2010 年10 月15 日に撮影された。CARP は学内で活動を許可 されていない。

注:首都大学東京のこの「カルト対策」ビラは、2011 年12 月8 日に撮影された。CARP は学内で活動を 許可されていない。

岡山大学(国立)は、CARP に近付かないよう学生たちに指導する「警告ポスター」を配布し、統一教 会に入信すれば、「精神的・身体的・経済的に深刻な被害を受けます」と公言した。(写真4)同大学は、 2006 年より前にこのポスターを公式ウェブサイトに掲載した。2010 年12 月29 日、統一教会は同大学 に対して正式に抗議の文書を送った。その結果、このポスターは2011 年3 月にウェブサイトから削除さ れた。

写真5は、反統一教会組織である「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が作成した「反統一教会」ビラで ある。それは統一教会とCARP を名指しで批判しており、多くの誇張に満ちた軽蔑的な情報を提供して いる。例えば、これらの団体のメンバーは「マインドコントロールされており」、「教会のロボット」で あると言っている。このビラは同組織によって全国の多くの大学に配布され、新入生に手渡されたり、 大学の掲示板に貼られたりしている。

入学時のオリエンテーションにおける「カルトに対する注意喚起」は、日本の大学で広く用いられてい る方法である。写真6と写真7は、2010 年4 月17 日に京都大学(国立)において大和谷厚教授によっ てなされたパワーポイントのプレゼンを示している。タイトルは「キャンパスにおけるカルトの実態」 となっている。このプレゼンは、キャンパスで問題になったカルトの名前を列挙しており、オウム真理 教、統一教会、CARP、その他のグループを挙げ、これらの宗教団体に関わらないよう学生に呼びかけて いる。

注:日本の新入学の時期は4 月である。

注:その他に、JMS(韓国発祥の新宗教)、親鸞会と顕正会(仏教系の団体)が挙げられている。

日本で最も活動的な反統一教会弁護士の一人である山口貴士氏は、「カルトの危険」について警告するた めに2011 年と2012 年に名古屋大学(国立)に招待された。彼は統一教会に関して「カルトの中のカル ト」と発言し、同教会はなすことすべてが違法であると言った。

注:彼は、「統一教会の伝道活動は違法であり、教会の合同結婚式は違法であり、教会の献金集めも違法で あり、教会が行っている『霊感商法』も違法である」などと言った。教会が幾つかの民事訴訟で敗訴し たのは事実が、教会の行為一般が違法であると描写するのは極めて不当である。

「カルト対策」を必須科目に指定する大学も存在する。大阪大学(国立)では、全新入生が大和谷教授 による、「生活環境論」という誤解を招くようなタイトルが付けられた講義に参加することが求められて いた。彼は、単位取得に必要なこの講義において、特定の宗教を批判し、学生たちは「カルト」に対す る自らの考えについてレポートを提出することを義務付けられた。そして、これらのレポートは大学内 のCARP メンバーを特定するために利用された。CARP メンバーは彼の研究室に呼び出され、脱会・棄 教を迫られ、さらには仲間の名前を密告するよう尋問されたのである。しかしながら、2 年前にこの「生 活環境論」を担当する教授が変わり、大阪大学の状況は改善された。

2011 年4 月、とりわけ強力なカルト対策で有名な千葉大学(国立)は、学生サークルの勧誘行為に関す る、以下のような申し合わせを発表した:

1. 千葉大生の勧誘行為は、学内外において大学の許可が必要。(強調筆者)

注:このことは、千葉大学が学外における学生の活動にも干渉することを意味する。

2. それに反した場合、担任と担当委員が学生を指導する。

3. それでも改善しなければ保護者に連絡する。

4. さらに改善が見られなければ、外部の専門家と連携して指導にあたる。

2011 年9 月、広島大学(国立)学生支援課の職員である田中氏が、少なくとも5 名の同大学のCARP メ ンバーの保護者に電話をした。彼は電話で保護者に対し、「おたくのお子さんが宗教団体に関わっている ようですが、ご存知ですか?」と語った。彼は保護者に対して、子供が宗教団体に関わってい ることを警告したのである。この5 名の学生のうち、3 名は統一教会の二世信者であった。通常、大学は 誰がCARP の学生であるかは判別できるが、一世信者と二世信者を区別するのは容易ではない。

注:ここで言う一世とは、両親は統一教会とは関わりがなく、統一教会に回心した者を指す。通常、その 両親は悪い噂のゆえに子供がCARP に関わることに反対する。二世とは、教会の中で生まれ、両親の信 仰を受け継いだ者を言う。この事件は、二世メンバーの親たちによってCARP と統一教会に報告された。

一世メンバーの親と二世メンバーの親の反応は、正反対であった。二世メンバーの場合、親たちは大学 が学生の個人的な事柄に対して干渉することに腹を立て、大学に対して苦情を申し立てた。ある一世メ ンバーのケースでは、学生の両親は大学からの電話によって動転し、息子を故郷に連れ戻して軟禁状態 に置いた。学生の父親は息子に対して、CARP を辞めるか大学を辞めるかの二者択一を迫った。両親に 依存している若い学生として、彼はCARP を辞めるという選択をせざるを得なかった。

2011 年6 月25 日、反カルト団体の一つである「日本脱カルト協会」の公開講座が京都で行われた。こ の公開講座は、強制下における「脱会カウンセリング」を行うことで有名な、熱心な反統一教会のキリ スト教牧師である高山正治牧師を招聘した。彼の講演のタイトルは「宗教者と大学の連携」であった。 彼は講演の中で、自分は大阪大学、岡山大学、愛媛大学、島根大学、同志社大学の職員と連携して、大 学生の「脱会カウンセリング」を行ってきたと公言した。これらの大学は、彼の脱会カウンセラーとし ての活動領域である西日本に位置している。彼の教会は岡山県にある。驚くべきことに、岡山 大学の公式ウェブサイトは、高山牧師の教会のウェブサイトにリンクを張っており、同大学と彼の教会の強いつながりを示唆している。

注:このリンクは2006 年から存在した。2010 年12 月29 日、統一教会は大学に対する公式な抗議の文書 を送った。リンクは2011 年3 月にウェブサイトから削除された。

大学によるカルト対策の最後の手段は「学内拉致」である。これに関する3 つの例を挙げたい。2002 年 に岡山大学のI さん(女性)が、家族を含む15 人によって学内で拉致された。2006 年9 月、大阪大 学大学院のN 君が、研究棟の玄関で両親を含む6 名によって拉致された。彼は監禁され、統一教会に反 対する牧師による脱会カウンセリングを受けた。彼は一週間監禁された後に脱出した。2008 年8 月、名 古屋大学のK 君が、両親を含む15 名によって、同大学の理工学部の研究室から拉致された。彼は監禁さ れ、1カ月間に及ぶ脱会カウンセリングを受けた。

注:2002 年は岡山大学CARP における拉致のピークの年であった。この年に少なくとも7 名の岡山大学 CARP のメンバーが拉致された。

実際に拉致を行うのは学生の家族だが、迅速で有効な「学内拉致」を実行するためには、指導教官や担 当教官の協力が必要である。名古屋大学のK 君の場合には、彼の指導教官と両親が事前に会って、拉致 の段取りを相談していたのである。

日本の大学は、なぜここまでやるのであろうか? 大学が「カルト」と闘う動機とは何か? この現象 の社会的背景について説明したい。

・日本では少子化によって学生数は減少しており、そのため大学は学生の確保に躍起になっている。 大学は生き残りをかけて闘っているのである。大学の経営陣は、質が良く就職率が高い学生を生み 出しているというポジティブなイメージを宣伝する必要がある。

・ ほとんどの国で成人年齢は18 歳だが、日本では20 歳である。したがって、日本の大学はその他ほ とんどの国に比べて、「親代わり」の役割をより大きく果たしていると言える。

・日本の大学生の精神年齢は以前に比べて低下したと見られているため、大学は学生の面倒をよく見 ることが期待されている。「学生支援」が強化され、大学は学生を守るために、「リスクのない」キ ャンパス環境を確保しようと努める。

・このような社会的背景が、反カルト組織によって、キャンパスにおける「カルトの危険性」を宣伝 するために利用されているのである。「カルトの予防」は有益なリスク管理であると大学に認識され ている。

・その結果、少数派の宗教と関係のある大学サークルに所属する学生が迫害されるのである。

この現象のキープレイヤーについて説明しよう。文部科学省は、日本のすべての大学を所管している官 庁である。文科省そのものが大学における「カルト対策」を推進しているという確たる証拠はないが、 ありうることではある。

日本学生支援機構(JASSO)は、文科省の管轄下にある独立行政法人である。その主な業務は奨学金の 貸与であったが、近年は事業を拡大し、大学の「カルト対策」を指導・支援することに携わるようにな った。2005 年より、日本学生支援機構は「カルト対策」の実施状況を調べるアンケート調査を行っている。『大学と学生』は、日本学生支援機構が発行する月刊誌であるが、その2010 年9 月号にはキャンパ ス環境の中で「カルトの勧誘」から学生を守ることの重要性を強調した論文が3 つ掲載された。奨学金 を貸与する組織が、特定の宗教を容認できないとする活動に携わるのは不適切である。

この日本学生支援機構による半公式的な政策に裏打ちされて、全国的なカルト対策が大学のキャンパス で始まったのである。言い換えれば、日本学生支援機構がカルト対策に取り組まなかったら、国立大学 におけるカルト対策がこれほどまでに広がることはなかったであろう。

「カルト対策」を実施する組織は大学ごとに異なる。キャンパス内に「カルト問題対策会議」のような 専門組織を立ち上げる大学もあれば、学生支援課や保険管理センターにこの仕事を割り当てる大学 もある。いずれにしても、これらの活動は「学生支援」という共通の名目の下に行われている。

注:岡山大学と愛媛大学は公式に「カルト問題対策会議」を設立し、公式ウェブサイトでその方針を告知 している。以下を参照のこと:

http://web.csaa.ehime-u.ac.jp/karuto/karuto_page/karuto_2.html

http://kymx.adm.okayama-u.ac.jp/hp/s_center/cult_00.html

日本の大学が「カルト対策」を宗教迫害だと認識していないことを理解することが重要である。彼らはそ れを「学生支援」だと思っているのである。言い換えれば、彼らはそれを学生の安全とトラブルの防止 のために行っているのである。しかしながら、「学生支援」の目的は学生を助けることにある。それは一 定のルールのもとに行われなければならないし、「学生支援」が学生を傷付けるというような状況は避け なければならない。「それは本当に学生のためになっているのか?」が問われなければならないのである。 文科省、日本学生支援機構、および国立大学は「中立」であるはずの組織である。それらは公的機関な のであるから、少なくともいかなる宗教団体に対しても中立でなければならない。しかしながら、この 現象のキープレイヤーの中には、政治的指向性を持った団体がいくつか存在する。 日本脱カルト協会(JSCPR)は1995 年11 月に設立された。その目的は、「カルトの活動を研究し、カ ルトに関する情報を交換し、より優れた脱会カウンセリングの技術を追求すること」にある(同協会の ウェブサイト英語版より)。 同協会の代表理事は西田公昭博士であり、彼は日本における「マインドコ ントロール理論」の第一人者として知られている人物である。そしてその他の理事の多くが反統一教会 の活動家、弁護士、学者、および新宗教運動の元信者らによって構成されている。同協会には幾人かの 学者たちも加入している。彼らは自らの大学で「カルト対策」を実践しており、彼らの「カルト対策」 を推進するために日本学生支援機構の発行する雑誌に寄稿している。日本脱カルト協会が日本学生支援 機構に圧力をかけて日本の大学における「カルト対策」を促進していることは明らかである。

全国カルト対策大学ネットワークは、2008 年に恵泉女学園大学の川島堅二教授によって設立された。このネットワークは、実際上は大学の教員や職員がカルトに関する情報と、それを阻止するための予防策に関する情報を交換するためのメーリングリスト・システムである。現在(2012 年7 月10 日の時点)、 151 の大学がこのネットワークに加入している。

注:川島教授は日本脱カルト協会の理事であり、このネットワークの発起人のほとんどが同協会の理事ま たはメンバーである。したがって、この2つは双子組織のようなものである。

反統一教会組織の全国霊感商法対策弁護士連絡会は、2006 年12 月に国立大学協会およびその他3 つの 大学協会に宛てて、要望書を提出し、大学がカルトに対して組織的な対策を講じるよう要請した。

注:この要望書は、反社会的宗教団体に関するビラの作成と配布、専門家の講演会による啓蒙活動、大学 間の情報の交換と共有の勧めから始まって、「カリキュラムに、反社会的宗教団体の問題点、勧誘方法な どについてのガイダンスを実施して注意喚起につとめてください」と要求するものになっている。これ らが広範なカルト対策の基本的な内容となっている。

2007 年3 月、日本学生支援機構は大学と外部機関の連携を深めるための新しいプログラムをアナウンス した。それは事実上、大学が学外の反カルト組織、さらには強制下で「脱会カウンセリング」を行う 反統一教会の牧師たちと連携する道を開いたのである。

注:このプログラムは、「大学における学生相談体制の充実方策について-『総合的な学生支援』と『専門 的な学生相談』の『連携・協働』」と題する日本学生支援機構の報告書の中で言及されている。

これら大学における「カルト対策」のキープレイヤーを理解すれば、それが本質的に反カルト組織と大 学のコラボレーションであることが理解できるであろう。

日本の大学によるこれらの「カルト対策」は、数多くの法的問題を引き起こす。

1. それらは信教の自由の侵害である。なぜなら大学の教授や職員は学生に信仰告白を強要しているばかりか、グループを脱退するよう学生に圧力をかけているからである。

2. それらは憲法の定める政教分離の原則に違反している。なぜなら、多くの国立大学があからさまに いくつかの宗教団体を迫害しているからである。

3. それらは学問の自由、すなわち大学生が当局による報復を恐れることなく信念を持ち、自らの考え を述べる権利に対する侵害である。

最後に、日本における我々の運動が講じた対策について説明したい。

初めに、CARP の学生代表が30 以上の大学で立ち上がり、大学当局による行き過ぎた違法な「カルト対 策」に対して抗議するための渉外活動を開始した。2011 年1 月、彼らは自分の大学の学生支援課宛に文 書を送り、「カルト対策」に関する多くの質問をした。2011 年3 月、彼らは大学の学長に宛てて学生 の精神的苦痛を引きこす「カルト対策」をやめるよう要請する文書を送った。CARP 代表による渉外の 努力の結果、いくつかの大学では状況は徐々に改善された。しかし、いくつかの大学はこれらの訴えに 対してまったく聞く耳を持たなかった。

注:彼らは「学生支援に関する質問状」と題する文書を送った。大学から文書で回答を受けた者はほとん どいなかった。彼らが学生支援課を訪れて質問した際には、大学職員の答えは「答える必要はない!」(島 根大学)とか、「大学の管理運営に関わることなので答えられない!」(大阪大学)といったものであっ た。

第二に、CARP 学生の父母たちも立ち上がった。千葉大学においては、CARP 代表による渉外活動によ っても大学の態度を変えさせることはできなかった。2012 年2 月、迫害を受けたCARP 学生の父母3 組が「千葉大学の人権侵害から子弟を守る親の会」を設立し、大学の代表者との面会を求めた。大学を 交渉のテーブルにつかせるには多くの時間と努力を要したが、最初の会合が今年の8 月16 日に行われた。 これはほんの始まりに過ぎない。

第三の方法は、民事訴訟の提起である。2012 年5 月17 日、佐賀大学(国立)に通う統一教会信者の女 子学生が自らの元指導教官と佐賀大学を訴えた。彼女に何が起こったのであろうか? 彼女の指導教官で あった森准教授は2 月20 日に彼女を研究室に呼び出した。彼は一方的に統一教会の教義を批判した。彼 女が統一教会の二世信者であることを知り、彼は彼女の両親の信仰を非難し、両親の教会内における結 婚を「犬猫の結婚」と言って侮辱することさえしたのである。彼女は担当教官の暴言によって精神的な 苦痛を受け、弁護士を通して公式な謝罪を要求した。彼女の指導教官も大学も彼女の要求に対して真摯 に対応しなかったため、最終的に彼女は損害賠償請求訴訟を起こしたのである。この裁判は始まったば かりで、現在係争中である。

私は、この状況は日本およびその高等教育機関にとって恥ずべきものであると思う。それは停止されな ければならない。しかし、この問題はまだ国際的によく知られていない。私はCESNUR の新宗教研究 者たちがこの問題に関心を持ってくれることを望む。そしてその中の誰かが日本を訪問し、大学生と大 学の職員にインタビューし、この問題に関する報告書を書いてくれることを望むものである。

カテゴリー: 魚谷レポート パーマリンク