信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。
日本、宗教、そして統一教会の解散: とある対談
11/06/2023
10月1日に東京で開催されたシンポジウムでは、日本と欧米における宗教と「カルト」に対する異なるアプローチという大きな枠組みの中で、この件が議論された。
マッシモ・イントロヴィニエ著
「ビター・ウィンター」は、2022年7月8日に安倍晋三元首相が暗殺された直後から、現在は世界平和統一家庭連合と呼ばれている統一教会に関する日本の論争を取り上げてきた。安倍氏は山上徹也という男に殺された。山上は統一教会への過剰な献金のせいで母親が2022年に破産したと主張し、安倍氏がこの宗教運動に関連する団体を支援していることを罰するつもりだった。
山上の発言は、2023年10月12日の政府による家庭連合の解散請求、そして現在係争中の裁判へとつながる一連の出来事の引き金となった。
日本の状況を観察する外国人として、私や他の学者たちは、私たちが信教の自由の原則に反する措置だとみなす背景も理解、研究されるべきだと気づいた。特に、1995年にオウム真理教という宗教団体が地下鉄サリン事件を含むいくつかの犯罪を犯して以来、多くの日本人にとって新興宗教運動は、そして時には宗教一般も、(有益な)資源というよりもむしろ問題として認識されている。
「カルト」が「洗脳」を用いて「被害者」をコントロールするという理論が、欧米では新宗教運動を研究する学者の大多数から、また米国などでは裁判所から、疑似科学的なものとして否定されている事実は、日本では一般には知られていないようだ。欧米で見られた、メディア界に広がっていた「反カルト」論に対する多くの学者による反対運動でさえ、日本では類似したものは見られなかった。日本の学者たちがまだオウム真理教の悲劇に影響されていたからかもしれない。
このような理由から、「ビター・ウィンター」はワシントンを拠点とする国際宗教自由円卓会議の後援を受けて、10月1日に東京で、選定された学者、宗教活動家、記者を対象とした非公開のシンポジウムを開催し、ヨーロッパとアメリカの学者一人ずつ、即ち筆者とウェスタン・ワシントン大学のホリー・フォーク氏が、「カルト」をめぐる世界的な論争について一般的な考察を述べた。
国際宗教自由円卓会議の共同議長であり、米国際宗教自由委員会(USCIRF)の元議長であるナディーン・マエンザ氏と、(国際宗教自由円卓会議とは別組織である)国際宗教自由サミットの共同議長であるカトリーナ・ラントス・スウェット氏が、シンポジウムにビデオメッセージを寄せた。
続いて、(自身は家庭連合の会員ではないが)家庭連合の代理人弁護士の一人である中山達樹氏が家庭連合に関する法的問題の説明を行った。
(社会学部を卒業し)受賞歴のあるジャーナリストの福田ますみ氏は、この事件を調査し始めた当時、特に宗教運動に同情的ではなかった記者としての視点から、家庭連合への反対運動について論じた。そして彼女は、旧統一教会に対する反カルト運動は政治的動機に基づくものであり、しばしば誤った情報に基づいていると結論づけた。
シンポジウムは確かに有益だった。欧米の学者たちは、日本人の講演者たちからそれまで知らなかった事件の詳細を学び、おそらく日本の参加者たちは、欧米の学者や宗教的自由の活動家の大多数が、新宗教運動に対する反カルト論に反対している理由をよりよく理解することができたことだろう。
対談は続く。
以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。