BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ28


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。

政府が解散請求した宗教法人の資産凍結法案:日本のすべての信仰に対する危機

11/07/2023 BITTER WINTER

提出された法案は、直接的には「被害者」と「損害」についての賛否の分かれるデータに基づいて統一教会を標的にしているが、これは将来に暗い影を落とす不公正な原則を確立することになる

ビター・ウィンター

国会議事堂
新しい法案が審議される日本の国会 Credits

私たちは、解散請求された宗教法人に対して、解散訴訟の判決を待つことすらせずに、その資産を「保全」または凍結し、それらを管理する管理人の任命を認める新法が日本で可決される可能性について懸念を表明するために、この緊急声明に署名します。この法律は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を標的としており、政府は訴訟を通じてこの団体を日本の宗教法人として解散させようとしています。

私たちは家庭連合を長年知っており、日本における家庭連合の問題についても認識しています。 私たちは家庭連合の日本人会員の一部が、過去に他の信者や一般の人々に対して献金や特定の工芸品の購入を求めるために不当な圧力を加えたとして提訴されたことを承知しています。

私たちはまた、日本の家庭連合が過去の問題を正そうと誠実に努力し、一定の成果を上げたことも承知しています。安倍晋三元首相が暗殺される以前は、2010年代及び2020年代に起きた事象に対する苦情の数は、それ以前の数十年にまでさかのぼった数に比べて大幅に減少していました。

私たちはまた、これに類似した問題は古い宗教にも新しい宗教にも存在することを知っています。ほとんどすべての教会や宗教は、ある国において、または歴史上のある段階において、何らかの形で過度に積極的に金銭的貢献を求めているとして非難されたことがあるのです。

資産凍結法の支持者らは、「被害者」の利益を守るためにそれが必要であり、それがなければ決して返金されないだろうと主張しています。しかし、私たちは、数百件の訴訟がすでに解決済みであることを知っています。メディアで流布されている民間統計にもかかわらず、また一部の主張が数十年前に起こったとされる出来事について述べていることを考慮しなかったとしても、係争中の訴訟の数は比較的限られているのです。またそれは、提案されている措置の範囲と釣り合いがとれません。

この措置は、被害者とされる人々を保護するというよりはむしろ、日本の家庭連合を即座に破綻に追い込み、必要な資源を奪うことによって、解散請求訴訟に対する有効な防御の構築を阻止することを目的としているようです。それはまた、家庭連合は解散しても信教の自由を享受し続け、宗教法人としての非課税の地位を剥奪される「だけである」という主張が嘘であったことも証明しました。実際、資産凍結と管理人の任命を要求したことは、反対派の真意は家庭連合が日本で通常の活動を継続できないようにすることにあったことを示しています。

家庭連合を清算し、その資産を凍結すれば、メディアや一部の弁護士、政治団体に不人気な他の数多くの宗教運動に対しても同様の行動を起こす道を開くことになるでしょう。すでに日本では他の宗教団体を非難し、同様の措置を求める声が聞かれます。

学者たちは、宗教に反対するキャンペーンが、比較的小規模で不人気なグループを標的にして、どのように始まるかを研究してきました。彼らに対する対策はメディアによって支持され、世論によって称えられます(もちろん、これらのグループに関する世論の考えは主に同じメディアによって形成されています)。しかし、これらの措置は前例となり、すぐに他の数多くの宗教に対して適用される原則を確立します。

サム・ブラウンバック大使とカトリーナ・ラントス
元米国際宗教自由大使のサム・ブラウンバック氏と、米国際宗教自由委員会(USCIRF)」委員長を二期務めたカトリーナ・ラントス・スウェット氏(Xより)。彼らは二人ともこの嘆願書にサインした。

私たちはこのプロセスがロシアと中国で進行しているのを目撃してきました。どちらもエホバの証人や「反社会的」とみなされる他の宗教の信者を標的にし始めたのですが、徐々に政権が潜在的反体制派であるとみなしたすべての宗教家へと抑圧を拡大していきました。

私たちは日本とその美しい民主主義をこれらの全体主義的で抑圧的な政権と比較するつもりは決してありません。 しかし、私たちの経験が示しているのは、共産主義も含め、これらの政権で権力を握っているイデオロギーは、しばしば民主主義国家でも作用しているということです。日本の統一教会に対する反対の政治的ルーツの一つに、統一教会の保守的な思想や積極的活動をターゲットにした共産主義運動があったことは、この問題を研究している学者によって認められています。

私たちは、日本の政治家と裁判所に対し、解散請求訴訟が提起されている宗教法人の資産凍結を認める法案を拒否し、これらの措置の危険で広範囲にわたる影響と、それらが人権を尊重する民主主義国家としての日本の国際的イメージに消えることのない汚点を付けることを認め、解散請求を再考するよう求めます。

私たちは日本と国連の民主的な同盟国に対し、理性、宗教または信仰の自由、および人権の代弁者としてその声を届けるよう求めます。

私たちは、日本に存在するすべての教会と宗教に対し、新たな資産凍結法と解散に反対する声を上げるよう呼びかけます。多くのテーマで家庭連合とどれだけ意見が合わなかったとしても、この新法ならびに刑事訴訟ではなく民事訴訟のみで敗訴した宗教団体の解散を許す前例を作ることは、彼らにとっても脅威となることでしょう。

すべての宗教に影響を与える厳しい制限を課すことを最終目的とする運動から助命されることを望んで沈黙を続けることは、ルーテル派牧師で反体制派のマルティン・ニーメラーの有名な詩に描かれている、ナチス時代の平均的で臆病なドイツの聖職者の立場に彼らを置くことになるでしょう。「最初に彼らは社会主義者を連れ去りましたが、私は声を上げませんでした。なぜなら私は社会主義者ではなかったからです。次に彼らは労働組合員を連れ去りましたが、私は声を上げませんでした。なぜなら私は労働組合員ではなかったからです。それから彼らはユダヤ人を連れ去りましたが、私は声を上げませんでした。なぜなら私はユダヤ人ではなかったからです。そして彼らが私を連れ去りに来たとき、私のために声をあげる者は誰一人残っていませんでした。」

2023年10月29日

マルコ・レスピンティ:宗教の自由と人権に関する日刊誌“Bitter Winter”の主任ディレクター

ティエリー・ヴァッレ:CAP-LC(良心の自由のための団体および個人の連携)会長

マッシモ・イントロヴィニエ:CESNUR(新宗教研究センター)の共同創設者兼運営責任者

エリック・ルー:EIFRF(欧州超宗派信教の自由フォーラム)議長

フランシスコ・クルト:フェデキンシエメ(共に信仰)共同創設者

アレッサンドロ・アミカレリ:信仰の自由に関するヨーロッパ連合会長

アーロン・ローズ:FOREF(欧州宗教の自由フォーラム)会長

ハンス・ヌート:宗教または信仰の自由のためのジェラルド・ヌート財団理事長

ウィリー・フォートレ:国境なき人権共同創設者・理事長

サム・ブラウンバック大使:国際宗教自由サミット共同議長

カトリーナ・ラントス・スウェット:国際宗教自由サミット共同議長

ラファエラ・ディ・マルシオ:宗教・信仰・良心の自由研究センター運営責任者

ロシタ・ソリテ:避難民の宗教の自由国際観測所会長

カメリア・マリン:ソテリア・インターナショナル副理事長

イバン・アルホナ・ペラド:生活・文化・社会向上財団会長

アーノスト・リベズニー:ローマ教皇の騎士・淑女・紳士たちの世界大信心会

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。

https://bitterwinter.org/%E6%94%BF%E5%BA%9C%E3%81%8C%E8%A7%A3%E6%95%A3%E8%AB%8B%E6%B1%82%E3%81%97%E3%81%9F%E5%AE%97%E6%95%99%E6%B3%95%E4%BA%BA%E3%81%AE%E8%B3%87%E7%94%A3%E5%87%8D%E7%B5%90%E6%B3%95%E6%A1%88%EF%BC%9A%E6%97%A5/

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