BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ04


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

安倍暗殺:統一教会はヘイトスピーチと差別の犠牲者である

08/31/2022MASSIMO INTROVIGNEA

元総理が殺されたのち、統一教会の信者たちは殺害の脅迫を受け、職場や学校でいじめられている。

マッシモ・イントロヴィニエ

7本の記事の4本目

家庭連合韓国集会
日本のメディアによる中傷と差別に抗議するために韓国で行われた統一教会・家庭連合の集会

もしあなたがこれまでに殺害の脅迫を受けたことがあるなら(私は経験がある)、それが楽しいものでないことを知っているだろう。最初は、それを単に悪いジョークだと片づけるが、そのうちに、世界はクレージーな奴らであふれており、その中には危険な人物がいるかもしれないとあなたに教える小さな声が聞こえるようになるだろう。夜、怪しい音が聞こえるたびに、あなたは心の片隅で、ついに狂った奴が自分を殺しに来たのではないかと疑ってしまう。

これは、安倍晋三元首相が暗殺された後、統一教会・家庭連合の信者たちの一部が経験していることだ。暗殺者は、20年前に彼の母親が統一教会に捧げた過度の献金で破産してしまったと主張しており、教会に関連する団体の行事にビデオで参加したり、メッセージを送ったりした安倍を成敗するつもりだったという。

犯人を非難するのでもなく、そして彼の弱い心を刺激したかもしれない広く流布された反統一教会キャンペーンを非難するのでもなく、日本の特定の弁護士やメディアは、むしろ被害者の側を裁いている。彼らは、統一教会のような「カルト」は公然と恥をかかせられ、罰せられるべきだと示唆した。

2011年に私は人種差別、外国人排斥、宗教的な不寛容および差別と闘うために、欧州安全保障協力機構(OSCE、米国とカナダも参加国)の代表を務めた。私のポートフィリオで重要だったのは、ヘイトクライムとヘイトスピーチだった。

OSCE代表団
2011年にウクライナを公式訪問したOSCE代表団。アディル・アフメトフ(左)はイスラム嫌悪、マッシモ・イントロヴィニエ(中央)は人種差別、外国人排斥、宗教的不寛容、アンドリュー・ベイカー(右)は反ユダヤ主義と闘うことがミッションであった。

宗教的マイノリティに対するヘイトスピーチを聞いた者すべてがヘイトクライムに関与するわけではないが、中には実行する者もいる。日本では統一教会に対する憎しみが広まり、一部信者に対する殺害の脅迫をもたらしている。

これらの事件を報じる日本メディアの記事は、読者のためにコメント欄を設けており、殺害の脅迫を付け加えるコメントを投稿した者もいた。私は、日本の警察が、これらの投稿に注意を払うよう希望する。私たちは現在、安倍を暗殺した人物が、ソーシャルメディアに侮辱や脅迫を投稿することによって統一教会ヘイターとしてのキャリアをスタートさせたことを知っている。その物語がどんな結末を迎えたか、私たちは皆知っている。

ヘイトスピーチはその性質上、蔓延していくものだ。一旦、メディアやインターネットを通して拡散されると、その影響はもはや制御不能である。日本の統一教会信者は、路上での侮辱、職場での嘲笑、学校でのいじめを報告しており、さらには離婚に直面した者もいるという。私たちは言葉による暴力が、身体的暴力や殺人にまでエスカレートしないようよう希望し、祈ることしかできない。ヘイトスピーチの致命的な影響は決して過去のものではない。毎月、ひょっとすると毎週かもしれないが、パキスタンではアフマディー教徒が殺されている。彼らは、メディアや、多数派宗教の説教者によるヘイトスピーチの標的とされた宗教運動のメンバーだ。

またヘイトスピーチは差別の素地を作る。その差別とは、マイノリティ集団のメンバーを標的として、彼らを二級市民とする法律のことだ。それはすでに、日本の統一教会に対して起きつつあることだ。世界のすべての民主主義国家と同様に日本でも宗教への寄付は非課税だが、統一教会への寄付は「本当の」宗教ではなく、詐欺的「カルト」に捧げられており、セールスに対して支払われた対価とみなして課税するべきだと主張されているのである。

韓国における統一教会抗議集会
韓国における統一教会抗議集会

日本人がなにか新しいものを発明したわけではない。現在、日本の一部でモデルとして称賛されているのは、「カルト」に対抗する奇妙な公式政策をとっているフランスだ。同国はかつて、「カルト」のリストに含まれるエホバの証人や他の団体への寄付が、贈与(Gift)ではなく、商品やサービスへの支払いであり、課税する必要があると主張した。しかし、欧州人権裁判所はそれを認めず、寄付を販売に対する支払いとして再定義することは、フランス当局が嫌悪し、「カルト」としてラベルを貼った宗教団体を差別するための手段にすぎないと裁定した。フランスは、エホバの証人と他二つの宗教運動が既に支払った税金に加えて、弁護士費用と損害賠償金を返還しなければならなかった。

日本は欧州人権条約に加盟していないが、第18条(注1)に類似の規定を持つ世界人権宣言に署名している。国連は1993年に出された「総評22号(General Comment No.22)」と呼ばれる公式解釈において、「第18条は伝統的宗教にだけ適用されるのではない」と述べている。国連は「それらが新しく設立されたものであるとか、もともと優勢な宗教コミュニティにとって敵意の対象となるかもしれない宗教的マイノリティの側であるなどの事実を含めて、あらゆる宗教や信念を差別するいかなる傾向」に対しても、警告を発した。

日本の統一教会の信者たちに対する、さらなるメディアの不寛容と行政上の差別を防ぐ道は、大規模な連合を構築することだ。誰の目にも明らかなのは、当局に、どの宗教が良くて、どの宗教が悪いか、あるいは「カルト」であるかを決定し、彼らが悪と定めた宗教の寄付を本当の献金ではないと宣言して課税する権限を与えることは、すべての宗教団体にとっての脅威であるということだ。それは世俗国家であるとされている機関を、新しい異端審問所に変えてしまう。

一部の日本メディアは統一教会が「普通の」信仰をもつ宗教ではなく、その創始者である文師について奇妙な主張をしていると異議を唱えている。そこで私の出番である。私もまた、その創始者について誇大な主張をする宗教を信じている。その名前はキリスト教だ。キリスト教徒として、私は2000年前に犯罪者として処刑されたユダヤ人が、今日もなお生きていると信じている。また私は、彼が処女である母親から生まれ、死者を蘇らせたと信じている。確かに、これは統一教会のメンバーが文師のためになしているどんな主張よりも誇大なものだ。

(注1):世界人権宣言第18条:「すべて人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有する。この権利は、宗教又は信念を変更する自由並びに単独で又は他の者と共同して、公的に又は私的に、布教、行事、礼拝及び儀式によって宗教又は信念を表明する自由を含む。」

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。
https://bitterwinter.org/%e5%ae%89%e5%80%8d%e6%9a%97%e6%ae%ba%ef%bc%9a%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e3%81%af%e3%83%98%e3%82%a4%e3%83%88%e3%82%b9%e3%83%94%e3%83%bc%e3%83%81%e3%81%a8%e5%b7%ae%e5%88%a5%e3%81%ae%e7%8a%a0/

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