日本仏教史と再臨摂理への準備シリーズ03


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 さて、仏教の基本的な世の中に対する認識とは何であるかというと、世の中は苦に満ちているんだということで、「一切皆苦」(いっさいかいく)ということが世界認識の出発になります。よく「四苦八苦」と言いますよね。これは仏教の用語でありまして、まず基本的な「四苦」があります。これは、生きる苦しみ、老いる苦しみ、病の苦しみ、死の苦しみのことを言います。

 さらに、「愛別離苦」(あいべつりく)は愛する者と別れる苦しみ、「怨憎会苦」(おんぞうえく)は憎んでいる対象と出遭ってしまう苦しみ、「求不得苦」(ぐふとっく)は欲しいものを得られない苦しみ、「五蘊盛苦」(ごうんじょうく)は心身機能から盛んに起こる苦しみ、すなわち煩悩が心から湧いてくることによる苦しみのことです。これらを合わせて「四苦八苦」ということで、人生は苦悩に満ちているということが教えの出発点なんですね。

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 それに基づいて、仏教の基本認識である「四諦」(したい)というものが出てきます。一つ目が「苦諦」(くたい)でありますが、これは問題提起に当たりまして、この世界は苦しみの世界なんだということです。「四苦八苦」と言われるように、世の中は苦しみに満ちているということです。

 その次に「集諦」(じったい)というものがあり、それでは苦しみの原因は何かというと、それは執着することであり、煩悩があるから苦しむんだということになります。これが集諦の段階です。

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 その次が「滅諦」(めったい)で、苦しみの原因が煩悩にあるのだから、その煩悩を滅すれば、苦は断たれるんだということです。このようにして解決方法を示すわけです。それではその煩悩を断つにはどうすればよいかと言えば、これが「道諦」(どうたい)ということで結論になります。それは実践が必要だということです。正しい修行をして悟りに至ることによって、苦から解放されるということです。この流れは、極めて合理的としか言いようがありません。

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 その実践方法を具体的に示したのが、この「八正道」(はっしょうどう)と呼ばれるものです。これも非常に有名な仏教の根本的考え方です。①正しく見る、②正しく考える、③正しい言葉を語る、④正しい行いをする、⑤正しい生活をする、⑥正しく努力する、⑦正しく反省して決意する、⑧正しい目標に集中して精神統一する――というのが八つの正しい道なのだというのですが、どれもごく当たり前のことですよね。なにか神秘的なこととか超自然的なことは一切ない、正しく生きればいいんだということを教えているわけです。ですから、これは本当に宗教なのかなと思うくらい、合理的で、哲学的で、英語でいうと、とてもシステマティックな教えであることが、お釈迦様本人の説いた内容を勉強してみると分かるわけです。

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 仏教の結論は、修行すれば解脱できますよ、悟りの世界に至れますよ、ということなんですが、その修行にも、こういう方法でやれば解脱できますよ、という方法論まできちっと整理されているんです。それを「三学」と言います。

 修行の第一段階は何かといえば、「戒(かい)」です。戒めをまず守らなければなりません。あれをしちゃいけない、これをしちゃいけない、という戒めがあります。欲望の赴くままに生きていたのでは解脱できないですから、最初に戒めを守りなさいということです。仏教の戒めには、五戒、八斎戒、十戒、具足戒などがあります。こうした戒めをまず守りましょうということです。それを守ることで、次のステップである「定(じょう)」の修行に入る準備が整うということになります。

 次の段階は「定(じょう)」ですが、これは瞑想のことです。ヨーガとか禅と同じ意味です。精神を統一し、心を乱さず、寂静の境地に入ることで、瞑想をすることが修行の重要なステップになっています。その瞑想をしているうちに、ステップ3の「慧(え)」の段階に進んでいきます。これは、段階を踏んで智慧を完成させることを言います。仏教でいう智慧とは、一切の現象や、現象の背後にある理法を知る心の作用のことをいいます。

 つまり、欲望から解放されて、瞑想をして、深く心が澄んでくると、世の中がどういう原理によって動いているのかが悟れるようになるということです。このようにして悟りに至りましょう、ということをお釈迦様は教えられました。
 
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 それではステップ1の「戒」なんですが、この戒にどのようなものがあるかと言うと、在家信者であるか出家信者であるかによって違い、段階的に戒が厳しくなっていくんですね。最も根本的な戒を「五戒」と言います。①酒を飲んではならない、②嘘をついてはならない、③邪淫をはたらいてはならない、④盗んではならない、⑤無駄な殺生をしてはならない――の五つです。この五つを完璧に守っていらっしゃる方はこの中にいますか? これが出来なかったら仏教徒になれないわけでありまして、それぐらい厳しいものです。

 八斎戒になりますと、⑥快適なところで起居してはならな、⑦歌、音楽、踊り等の娯楽をしてはならない、⑧身を飾りたててはならない――とあるわけですが、ここまでは在家信者が守る戒なんですね。在家信者でもかなり基準の高い信仰生活を要求されていることになります。さらに出家信者になると、⑨金銀財宝に関わってはならない、⑩決められた時間以外に食事をとってはならない――が加わります。当時の修行僧というのは、午前中に一回食事をするだけだったんですね。他の時間はずーっと食事をしなかったわけです。

 そのような禁欲的な生活をして、その上にさらに「具足戒」というのがあってですね、比丘(男性の正式出家者)の場合には250の戒律を守らなければならず、比丘尼(女性の正式出家者)の場合には348の戒律を守らなければなりませんでした。これぐらい厳しい出家者の戒があって、これを守ってはじめて、次の段階である瞑想に入って、最終的に悟れるということでありますから、すごく基準の高い宗教ということになりますね。

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