アイリーン・バーカー『ムーニーの成り立ち』日本語訳01


謝辞

本書は、大学教師が何年間も図書館にこもりっきりで、学問的研究として行ってきたような研究の一結果ではない。この研究は、私に話したり、手紙を書いたり、あるいは文献を送ったりして手助けをしてくれた文字どおり数百人の多忙な人々の支援と、協力があればこそ実行することができたのある。

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(訳注:ロンドン大学を構成する一校で、社会科学を専門にする)のスタッフ研究基金から受けた経済的援助に感謝する。このゆえに私は、研究する許可を得るために統一教会と交渉している間でさえ、仕事を始めることができた。またそれゆえに、研究が正式に終了したあとの半端な欠陥を補充することも可能だった。北欧研究委員会に対しては、スカンジナビアには新宗教運動が存在しない(当時、私はそう信じていた)ことを調査する機会を得たことに感謝する。それは希なことであるに違いないが、空白を調査するための資金を与えられることになって、私が最も感謝する出来事となった。しかしながら、研究資金の大半は英国社会科学研究会議から出た。同委員会には、単に資金面だけでなく、常に職員の方々が喜んで貴重な援助と理解を私に与えてくれたことに、最大の誠意を込めて感謝したいと思う。

いくつかの写真は私自身で撮ったが、大部分のものを撮ってくれたK・エディに感謝する。そしてまた、概説統一原理レベル4(ニューヨーク、世界基督教統一神霊協会、1980年)から、その写真やイラストを転写する許可を与えてくれた統一教会にも感謝したい。

研究のために貢献してくれた友人や見知らぬ人々のすべてに感謝を述べるのはとうてい不可能なことだが、感謝を述べなければならないある部類の人々がいる。第一に、アンケートに答えてくれた非ムーニーの方々全員である。そのアンケート用紙は主要な対照群においては36ページの長さに及んでいる。第二に、ムーニーの父母の方々に感謝したい。その中の何人かは今や私の友人であり、彼らの子供たちがもっている背景がどのようなものであるかを理解するために助けとなった。また私は多くの元ムーニー、「カウンセラー」、そして新宗教ならびにそれが社会とそのメンバー双方に及ぼす影響についての懸念を表明してくれた様々な組織や人々に感謝したい。これらの人々の多くは時間を惜しみなく使って、ムーニーたちとのみ話したのでは得られなかった情報や視点を私に与えてくれた。

例えばリストをチェックしたり無数の形態からデータをコピーするなどの、より単純な仕事のいくつかについては、ジュディス・バーカー、レイチェル・バーカー、ベルナデーテ・オッキーフ、サラ・メロー、マーティン・シールス、そしてルス・タイラーなど多くの人々のお世話になった。2人で2万ページ以上ものアンケートに符号を付けたガイ・デビッドソンとウイリアム・ケニー・CPの援助なしには、私はその作業に全く対処できなかったであろう。後者は私の研究のチーフ・アシスタントとして、主要アンケートのレイアウトや符号一覧表の制作においても、知恵とユーモアをもって私を助けてくれた。マージ・ブラックウッド、シンディ・セラント、ジョゼフィン・ジョンストン、イザベル・メトリス、セルマ・オーブリアン、そしてジーン・リドヤードの皆さんは忍耐をもって、陽気にかつ有効的に事務的負担を軽くするのを助けてくれた。ペニー・メイジは数百ものデータ・カードを根気よく記録した。そしてチャールズ・シャープとアン・マックグローンには、私がそうしたかったことの(ほとんど)すべてをコンピュータにやらせる能力をもっていたことに対して、心からの感謝と深い称賛を贈りたいと思う。

私の研究と重複する研究を行った人々や、資料とアイデアの双方を交換するのを私が楽しんだ人々が何人かいるが、ジェームズ・ベックフォード、デヴィッド・ブロムリー、カーレル・ドベラエル、スティルソン・ユダ、エドワード・レヴィン、ウォーレン・ルイス、ジョン・ロルフランド、キャシー・マッカン、ゴードン・メルトン、マイケル・マイクラー、ジェームズ・リチャードソン、トマス・ロビンズ、アンソン・シュープ、ロドニー・スターク、デヴィッド・タイラー、そしてロイ・ウォリスの皆さんに特に感謝したいと思う。また数年にわたって一連の暫定的論文に関して論評してきたロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの宗教社会学科・大学院セミナーの多くの同僚たちや院生たちにも感謝したいと思う。そのような討論は、私の研究の生のデータを系統立て、分析し、明瞭化するのを助けるために重要な役割を果たした。フィリッパ・イングラム、ジェニー・メロー、アン・トゥロゥレスなど多くの友人たちは、本の草稿を読んでくれた。私(そして疑いもなく読者)は、本文の中に紛れ込んでいた、決して適切とは言えないい社会学的専門用語のいくつかを削除するのを助けてくれた彼らに感謝したい。また、エリザベス・ブラントには丹精のこもった原稿整理をしてくれたことに感謝したいと思う。知的には、ドナルド・マックレーの学識と助言に大変お世話になった。ブランアン・ウィルソンは、変わることなく助言と激励とインスピレーションと友情を私に与えることを惜しまなかった。

もちろん、私の研究にとって最も重要な要素はムーニーたち自身の協力であった。彼らは、私が彼らの生活の中に入って、時にはたいていの人が非常に私的で個人的な事柄だと考えるようなことに関しても、細かく観察したり質問したりすることを許してくれた。彼らの世界観を私に理解させようと数年間試みたのちにも、私が彼らの信仰を共有し得ないという事実を、彼らのほとんど全員が敵意も恨みもなく認めてくれた。私が書いたことは多くのムーニーたちにとって不適切であったり、落胆するようなものであるだろうということを私は知っているが、彼らあるいは彼女たちの世界を一見することを助けてくれた一人一人に心からの感謝を表したいと思う。およそ20人ほどの、私にとって特に重要であり続けた統一教会信者たちがいる。私は、名前を列挙して彼らを当惑させようとは思わない。彼らは自分自身でその人たちが誰であるかを知っている。しかしながら私は、提供された情報のゆえにではなく、私への理解のゆえに、マイケル・マーシャルとジョランダ・スモールズの二人に特別の感謝を捧げたいと思う。

最後に、私自身の家族について述べなければならない。数年間、家の中は多くのアンケートや新聞の切り抜きで散乱したままであった。電話は数時間も鳴り続け、それはちょうど、私たちが食事のために座っている時に起こるように思われるのが常であった。見知らぬ人々(ムーニーたち、ムーニーの親たち、「反カルトの人々」、あるいはテレビ取材班)が玄関に来たが、彼らはしばしば改宗させようとする情熱や感情的苦痛を伴って来たり、考えられないくらい技術的な質問をしたりした。私の夫や子供たちは、(ちょうどムーニーの家族のように不平を言い)何日も、時には何週間も見捨てられてきた。しかし、私はいつも家に戻りたいと願っていた。

1984年4月に出版された“The Making of A Moonie: Brainwashing or Choice?“の表紙

1984年4月に出版された“The Making of A Moonie: Brainwashing or Choice?“の表紙

アイリーン・バーカー

ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス

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