札幌第二次「青春を返せ」裁判の判決を検証する<第1回>


2012年3月29日、札幌地裁で統一教会を脱会した元信者らが、教会を相手取った民事訴訟(第二次「青春を返せ」訴訟)の判決が下された。原告は教会の元信者と親族ら63人で、請求額は約6億6500万円。これに対して札幌地裁は統一教会に対して、元信者らに2億7800万円の損害賠償支払いを命じる判決を下した。

この判決に対して統一教会は以下のようなコメントを発表している。

原告らの大半が1980年代から1990年代に勧誘され入信した信者らが、拉致・監禁等により脱会し、その後集団で訴えた事案です。本件裁判で当法人は、原告らが信者らの任意の組織に於いて、ビデオセンターに始まる教育を受け、その後自由意思に基づき、信仰を持ち、献金を行ったり物品を購入したり、また、信者組織の活動に専従(献身)するに際して、関係した信者らが強制、強要した事実は一切なく、いずれも原告ら自らの自由意思によるものである点を、証拠を示し主張しました。

しかし裁判所は原告ら主張にかかる、当初は宗教性を秘匿されていて、受講を受ける中で辞めるに辞めることができなかったなどとの原告らの主張を認定し、原告の総額6億6500万円にものぼる賠償請求の内、約2億7100万円を認容する判決を下しました。

札幌の事件につきましては、今後主張が認められなかった点につき、高裁に於いて争ってまいりますので、今後とも皆様のご支援の程、よろしくお願い致します。

これら裁判は,信者本人の自由意思に基づく、入信や献金、信仰活動に関して、親族等の反対により反対牧師らの脱会説得を受ける等して信仰を失った後に、「自由意思を阻害されて入信させられ、献金や活動をさせられた、また、霊界の恐怖や先祖因縁の恐怖により、畏怖誤信せられた結果として違法に献金等をさせられた」ものとして訴えてきた事案です。

この判決は、原告ら主張の外的な面に重きを置き、当法人が主張した信仰の価値について理解を示さず、或いは偏見を持って裁判所が原告の主張を認めるという、極めて杜撰な判決内容と言わざるを得ません。

1987年に始まった第一次札幌「青春を返せ訴訟」では、大部分の原告が拉致監禁・強制改宗によって教会を離れたという事実が、統一教会の代理人による反対尋問の過程で明らかになったことは既にこのブログで紹介した。2012年3月に札幌地裁で判決が下された第二次札幌「青春を返せ訴訟」では、原告63名のうち、40名が元統一教会信者で、その他はその親族たちである。判決文によると、元信者40名中31名が「近親者の保護による脱会」をしており、物理的な拘束の程度こそ不明だが、自発的な脱会ではなかったことは明白である。第一次訴訟の状況から推察して、この大半は物理的な拘束下で脱会を決意した可能性が極めて高い。

拉致監禁の問題は看過できない問題ではあるが、それはひとまず置いたとしても、この札幌地裁判決の内容は、宗教に対する驚くべき無知と偏見に基づいたものであることが、判決文を読むことを通して明らかになったので、それをこのブログで少しずつ明らかにしていきたいと思う。

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