日本における統一教会の実証的研究


それでは次に、日本における実証的データの話に移ります。日本にもアイリーン・バーカーが行ったような調査が少しだけあるのです。日本における実証的データの草分けは、当時国士舘大学の教授を務めていた塩谷政憲氏です。彼は『原理研究会の修練会について』という論文を発表しています。彼は1974年の春に、原理研究会が主催する3泊4日の研修会に自ら参加し、そのときの体験をもとに論文を書いています。ちなみに、彼が論文を書いた当時は「マインド・コントロール」という言葉はなかったため、「洗脳」という言葉を用いられていますが、彼は結論として、「決定的なことは、研修生は修練会に強制的に拉致されてきたのではなく、本人の自由意志によって参加したのであり、中途で退場することも可能だったということである。したがって洗脳させたのではなく、自らの意志で選んだのである。人間をそうやすやすと洗脳することはできない」とはっきり述べています。この論文は、研修会に宗教学者が自ら参加したという点において、最も実証的で重みのあるデータです。

しかも塩谷氏は数もカウントしています。研修会に参加した15名(男子9名、女子6名)のうち、次の7日間への研修会に参加したのは男子2名のみで、全体の約13%に過ぎませんでした。彼は、「したがって、洗脳を思想の強制的な画一化と定義すれば、筆者が体験したところの修練会は、洗脳よりも選抜することの方に結果したといえよう」「参加者15名の反応は人それぞれだったのであり、冷ややかな観察者もいれば、自分なりの判断でもって修練会をとらえた人もいたし、また次の修練会に参加することを表明しないまでも、その三日間の体験を有意義だと感じた人もいたのである」とまとめています。要するに、反応は人それぞれで、強制などできないのです。

ちなみに、統一教会の伝道部で取ったデータを見ても同様のことが言えます。1984年から1993年までの10年間分の東京のある地区の集計データですが、この期間にコース決定が3万6913人あり、2日間の研修の参加率は39%、4日間の研修の参加率は22.4%、最終的に献身した人の割合は当初の3.5%という結果になっています。これはアイリーン・バーカーが出した数字と極めてよく似ています。結局、伝道される確率はあまり変わりませんし、強制的に人を伝道することなどできないのです。また、このデータによれば、修練の過程において大部分の人が去っていることが分かりますので、統一教会の伝道方法は基本的に対象者の意志決定を強制する過程ではなく、教義を受け入れる人を選抜する過程であるという結論を出すのが妥当であると言えるのです。

カテゴリー: 「カルト」および「マインド・コントロール」に関する批判的考察 パーマリンク