「脱会カウンセラー」と「作られた被害者たち」


これまで、統一教会信者に対する親族による拉致監禁、ならびに「脱会カウンセラー」と呼ばれる専門家らによる信仰破壊活動に関する事件は、監禁から脱出した信者らの証言によって明らかにされてきた。その一部は拉致監禁を実行した親族や「反対牧師」を相手取った民事訴訟によって法廷で事実として認定された。例を挙げれば、富澤裕子さんは2000年に勝訴し、寺田こずえさんは2004年に勝訴している。[1]

しかし、統一教会に反対する一部のキリスト教牧師、職業的脱会屋、反統一教会の弁護士たちは、統一教会の主張する「拉致監禁」は、あくまでも「保護説得」あるいは「救出」であり、反社会的団体である統一教会に入ってしまった子供を両親が心配するあまり、やむにやまれず取った行動であると主張する。

彼らは、統一教会を脱会した多くの元信者が、統一教会を相手取った損害賠償請求訴訟、いわゆる「青春を返せ」訴訟を起こしていること、そしてそれらの民事訴訟の一部で原告が勝訴していることを、統一教会が反社会的団体である根拠に挙げている。しかし、こうした訴訟は、強制改宗によって教会を去った元信者を原告に立て、統一教会を相手取った訴訟を起こすことを通して、統一教会の社会的評判を落とし、窮地に追い込もうとする統一教会反対派の戦略に基づくものである。

そこで私は、こうした訴訟の原告たちは、真正な自発的な被害者ではなく、強制改宗あるいはディプログラミングによって生み出された「作られた被害者たち」であると主張する。こうした事実は、「青春を返せ」裁判において原告らが法廷でなした証言や陳述書から立証される。本論では、「青春を返せ」裁判の原告たちの裁判調書や陳述書をもとに、以下のことを立証する:

①   教会を訴えた元信者たちの大部分が、教会を脱会する際に家族から物理的な拘束を受けていた。

②   脱会を決意するにあたっては、「脱会カウンセラー」と呼ばれる第三者の介入があった。

③   「脱会カウンセラー」の話の内容は神学的・教義的な事柄であり、彼らの目的は信者たちの統一教会に対する信仰を棄てさせることにあった。


[1] 富澤裕子さんは1997年6月に拉致され、15か月にわたって合計三か所のアパートに監禁された。プロテスタント牧師の高澤守は、彼女が監禁された部屋を訪問し、彼女の信仰を破壊しようと試みた。寺田こずえさんは韓国人と結婚し、韓国に住んでいたが、2001年10月に日本の実家に帰省した。彼女が滞在中に、親族らは彼女を拉致し、66日間にわたって監禁した。プロテスタント牧師の高澤守は、監禁部屋を頻繁に訪問し、脅しと侮辱によって彼女の信仰を破壊しようとした。

作成日付

原告

被告

請求認容額

裁判所

事件番号

2000.8.31

富澤裕子

高澤守(キリスト教牧師)

原告の親族等

損害賠償55万円

鳥取地裁

平成11年(ワ)第72号

2002.2.22

富澤裕子

高澤守(キリスト教牧師)

原告の親族等

損害賠償15万円

広島高裁

松江支部

平成12年(ネ)第98号

2004.1.28

寺田こずえ

高澤守(キリスト教牧師)

原告の親族等

損害賠償20万円

大阪地裁

平成14年(ワ)第4326号

2004.7.22

寺田こずえ

高澤守(キリスト教牧師)

原告の親族等

損害賠償20万円

大阪高裁

第9民事部

平成16年(ネ)第686号

 

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