BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ18


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

日本の献金法1 不明瞭な文言

01/31/2023MASSIMO INTROVIGNEA

日本の国会は、「恐怖心」にかられ、寄付者の「自由意思」を抑圧されたとされる不正な寄付に関する法律を可決した。

マッシモ・イントロヴィニエ

4本の記事の1本目

日本の国会での衆参両議院会議
日本の国会での衆参両議院会議。ツイッターより。

2022年12月10日、日本の国会で、「消費者契約法の一部を改正する法律」と「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」が成立した。

これらの法律は、政府や議員らが緊急性の高さを強調したため、異例にも週末に成立した。一体何がそれほど緊急だったのだろうか?

2022年7月8日、日本の安倍晋三元首相が奈良県で暗殺された。殺害したのは、山上徹也という人物だった。彼が安倍元首相を殺害した理由は、国連総合協議資格を有するNGO「天宙平和連合」が主催する2つのイベントに、2021年にはビデオで、また2022年にはメッセージを送ることで参加したことだった。同団体は故・文鮮明師が創設した統一教会(現在、世界平和統一家庭連合と呼ばれているが、メディアは「統一教会」あるいは「旧統一教会」を使い続けており、私もこれに倣うことにする)と繋がりがあった。

山上が統一教会を憎んでいたのは、20年前の2002年に母親が破産し、その原因が現在も母親が会員である統一教会への過度な献金にあると考えたからである。また、山上は文鮮明師の未亡人で現在の統一教会の指導者である韓鶴子博士の暗殺を計画していたが、最終的には安倍首相を殺害したのであった。

キャンペーンの事前準備をして機会を窺っていたのではないかと疑念を抱かざるを得ないほどに、ほぼ一夜にして統一教会の反対派はこの宗教運動に対して大規模かつ前例のない攻撃を開始し、文師の組織のせいでこの犯罪が起きたのだと、ほとんどのメディアと、世論調査を信じるなら日本の世論の大多数を説得した。

山上の母親が統一教会に献金していなければ、息子は統一教会に恨みを持たず、安倍を暗殺することもなかったという、歪んだ論法が用いられたのである。

安倍総理のビデオメッセージ
天宙平和連合主催のイベント「シンクタンク2022」での安倍総理のビデオメッセージ。スクリーンショット。

日本で統一教会関連団体が反共活動を成功させたことに何十年も反感を持っていた日本共産党をはじめ、安倍首相が所属していた与党自由民主党に対する反対勢力がこの流れに乗じた。統一教会に反対する弁護士の反カルト団体である「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は、一夜にして国際的に有名になった。また、元統一教会信者の「背教者」は、その話が明らかに嘘である者も含めて有名人になり、日本の首相に迎えられるまでになった。

こうした扇動は二つの法的取り組みに集約されていった。一つは、統一教会・家庭連合の宗教法人としての地位を剥奪することを目的とし、もう一つは、宗教団体に過度な献金をする人々を保護するために既存の消費者保護法を改正することを目的とした。実は、「霊感商法」という言葉は、左翼メディアや反カルト主義者たちが、幸運をもたらすとか霊的な意味があると信じられている特定の品物を法外な値段で販売していることを暴露するために作り出したものであった。その後、「物品のない販売」、すなわち献金も含まれるようになった。

2022年12月10日、「霊感商法」を糾弾した弁護士らの圧力で2018年にすでに改正されていた消費者契約法がさらに改正され、「消費者やその親族の生命、健康、財産その他の重要事項に対する不安」を利用して締結した契約の効力を、取消し得る行為であると宣言し、契約を解消して返金を受けることを容易にする規定が追加された。なお、契約取消権に関する規定は、新法施行時に旧法で定められた時効期間が既に経過している場合を除き、遡及適用される。

同じく12月10日に成立した「不当な寄付の勧誘の禁止等に関する法律」は、第3条第1項で、寄付の勧誘を受けた場合に「個人の自由な意思を抑圧すること」を違法とし、第4条で寄付が自発的でなかったことを示す6つの状況を列挙していることが物議を醸している。状況1から4は、寄付を勧誘する者が寄付希望者の求めに応じて立ち去らない、寄付希望者本人が圧力に抵抗することが困難な場所に連れて行かれる、電話などで第三者に相談する意思を示したにもかかわらず相談できないなど、身体的暴力に関して規定しているようである。状況5は、昔からある問題で、宗教というより、恋愛関係に関し、特定の寄付をしないと別れると脅迫するケースだ。誰もが理解しているように、これはよくあることであり、防ぐのは難しい。

新法成立が大きく報道された
新法成立が大きく報道された。画面はイメージ。

安倍首相暗殺後の統一教会に関する論争は状況6で扱われているが、これが最も問題である。これは、「霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見」とされるものを根拠に、「個人又はその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、重大な不利益を避けるために寄付することが不可欠である」と説得する場合を詐欺的と見なすものである。この場合、寄付をしなければ「現在または将来」本人や親族に「重大な不利益」が及ぶかもしれないという「恐れ」が寄付者に生じる。

第5条では、寄付者が居住する家屋、寄付者の通常の事業活動を継続するために不可欠な不動産その他の財産を贈与することを禁止している。

残りの部分は、不当な寄付勧誘を行ったとして調査対象となった団体名を日本の当局が公表できること、騙された寄付者が寄付を取り戻すための救済措置など、「関係団体」(全国霊感商法対策弁護士連絡会など反カルト的な思想を持つ団体が含まれるか否かはわからない)の協力を得て、不正な寄付の被害者を支援することについて規定している。この法律は遡及しないが、10年という長い時効が導入されている。第12条では、法律を施行する際に宗教の自由を「考慮」するよう求めているが、これが実際にどのように実施されるかは不明である。

確かに暴力による献金勧誘は許されないため、合理性のある規定もあるが、そのために新法が必要であったのだろうかと思う。同法が寄付一般を規定対象としているとはいえ、宗教に対する献金、そして統一教会をターゲットとして成立した法律であることを忘れてはならない。そのため、非常に問題な点が2点ある。第一は、宗教的な「霊感」と宗教的な「恐怖」に基づく献金を禁止している点である。もう一つは、献金者の自由意思が奪われる可能性があるとしていることである。これらの事柄は新しいものではなく、実際、何世紀にもわたって議論されてきた。次回の連載で再び取り上げることにする。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。

https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e7%8c%ae%e9%87%91%e6%b3%95%ef%bc%91%e3%80%80%e4%b8%8d%e6%98%8e%e7%9e%ad%e3%81%aa%e6%96%87%e8%a8%80/

カテゴリー: BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ パーマリンク