神道と再臨摂理シリーズ05


 「神道と再臨摂理」シリーズの第5回目です。先回から「記紀」に記された神道の神話を紹介しはじめました。先回は、①日本列島の誕生(伊邪那岐と伊邪那美)と②黄泉の国の訪問(伊邪那美の死と夫婦の別れ)を扱ったので、今回はその続きとして③三貴子の誕生と、⑤天の岩屋戸ごもりを紹介します。

三貴子

③三貴子の誕生
 黄泉国から戻った伊邪那岐命は、黄泉国の汚れを落とすために、川で体を洗い、海で禊をしました。すると、左の目を洗ったときに、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が生まれ、右の目からは月読命(つくよみのみこと)、そして鼻を洗ったときに須佐之男命(すさのおのみこと)が生まれました。

 伊邪那岐命は天照大御神に「国を栄えさせ、人々を幸せにするように。」と伝え、着けていた首飾りを渡し、安心してすべてを任せることにしました。そして伊邪那岐命は最初に作った立派な島、淡路島の多賀の地でお休みになることにしたのです。

誓約

④誓約(うけひ)
 伊邪那岐(いざなぎ)が須佐之男(すさのお)に海原の支配を命じたところ、須佐之男命は伊邪那美(いざなみ)がいる根の国(黄泉の国)へ行きたいと泣き叫び、天地に甚大な被害を与えました。伊邪那岐は怒って「それならばこの国に住んではいけない」と彼を追放します。須佐之男は、姉の天照に会ってから根の国へ行こうと思い、天照が治める高天原へ昇っていきます。すると山川が響動し国土が皆震動したので、天照は須佐之男が高天原を奪いに来たと思い、武具を携えて彼を迎えます。

 須佐之男は天照の疑いを解くために、「誓約(うけい)」という占いをしようといいました。そこで二神は天の安河を挟んで誓約を行います。まず、天照が須佐之男の持っている十拳剣(とつかのつるぎ)を受け取って噛み砕き、吹き出した息の霧から三柱の女神(宗像三女神)が生まれました。次に、須佐之男が、天照の「八尺の勾玉の五百箇のみすまるの珠」を受け取って噛み砕き、吹き出した息の霧から五柱の男神が生まれました。これにより須佐之男は「我が心清く明し。故れ、我が生める子は、手弱女を得つ。」と勝利を宣言したというのが古事記の記述です。女神を生んだことによって須佐之男の潔白が証明され、占いに勝ったという点が特徴的です。

天岩戸

⑤天岩戸ごもり
 「天岩戸(あまのいわと)」に関する本物の神話には、かなりグロテスクな描写もあるのですが、そこは省いて童話風にお伝えします。

 高天原にはたくさんの神様たちが暮らしていましたが、その一人が天照(あまてらす)という太陽の神様です。天照には須佐之男(すさのお)という弟がいました。この須佐之男はたいそう暴れん坊の神様で、いつもほかの神様たちを困らせていました。「また須佐之男がわしの家を壊したぞ。」「天照様、どうか須佐之男を追い出してください。」

 しかし天照はいつも須佐之男のことをかばってあげるのでした。「須佐之男にはきっと何か考えがあるのです。許してあげましょう。」天照が優しいので、須佐之男はますます調子に乗りました。そうしてある日のこと、天照たちが機織りをしている小屋までも、須佐之男がメチャクチャに壊してしまい、そのショックで機織りの娘が死んでしまいました。

 これには天照も我慢が出来なくなり、天岩戸という洞窟に入ると、入り口を大きな岩で塞いでしまいました。そして、岩戸の中に閉じこもったきり、外へ出て来なくなってしまったのです。「天照様、出てきてください。」他の神様がどれだけ呼んでも、天照は知らんぷりをして、返事をしてくれません。

 さて、太陽の神様である天照が隠れてしまったせいで、外はすっかり真っ暗になってしまいました。「こんなに暗くては何にもできはしない。」「ずっと暗いままでは、どんな悪い者がやってくるか分からない。」神様たちがすっかり困っていると、知恵の神様が言いました。「そうだ、わしにいい考えがある。」

 しばらくすると、岩戸の外から賑やかな音楽が聞こえてきました。神様たちの楽しそうな笑い声もします。「あら? 外は暗いはずなのに、いったいどうしたのかしら?」気になった天照は、ほんの少し戸を開けてみました。すると、たくさんの神様が集まって賑やかに歌ったり踊ったりしています。「まあ、あんなに楽しそうに何をしているのかしら?」

 すると、ある神様が答えました。「あなた様より偉い神様が現われたので、みんなそれを喜んでいるのです。」「まあ、私より偉い神様ですって?」びっくりした天照は、思わず岩戸から顔を出します。そのとき、外にいる神様が天照にさっと鏡を出しました。「まあ、この方がその偉い神様なのね。」鏡に映った自分を偉い神様だと思った天照は、その顔をもっとよく見ようと、もう少し扉を開けました。

 扉を開けた天照を、隠れていた力持ちの神様が引きずり出しました。天照が外に出ると、みんなは大喜び。「ああよかった。天照様、もう閉じこもったりしないでください。」こうして、外は元通り明るく輝きだしました。須佐之男は罰として高天原を追い出されてしまったということです。

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