神道と再臨摂理シリーズ04


 「神道と再臨摂理」シリーズの第4回目です。今回から「記紀」に記された神道の神話について解説します。神話が扱っている主な出来事は以下の通りです。
①日本列島の誕生(伊邪那岐と伊邪那美)
②黄泉の国の訪問(伊邪那美の死と夫婦の別れ)
③三貴子の誕生(天照大御神、月読命、須佐之男命)
④誓約(うけひ)と罪の起源(天照と須佐之男)
⑤天岩戸ごもり
⑥八俣大蛇退治(須佐之男命)
⑦天孫降臨(邇邇芸命)
⑧海の国訪問(神武天皇の誕生)
⑨神武東征

 このすべてを紹介することはできないので、①②③④⑤を紹介することにします。読みやすくするために、神話の正確な表記やその意味の解釈などにはこだわらず、「どんな物語なのか」を分かりやすい言葉で表現してみたいと思います。

伊邪那岐と伊邪那美

①日本列島の誕生(伊邪那岐と伊邪那美)
 はるか昔のことです。高い高い空の上から、神様たちは下界を見下ろしていました。下界は生まれたばかりで、海の上を何かがどろどろ、ふわふわしていて、まったく固まっていませんでした。「このままではいけない・・・。」神様たちは下界をどうにかしようと、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)に天沼矛(あめのぬぼこ)という矛を授けて、下界をしっかり固め、国造りをするよう遣わしました。

 伊邪那岐命と伊邪那美命は、雲の上の天上から海へとつながっている天浮橋(あめのうきはし)の上から、矛の先でどろどろになっている下界をかき混ぜました。矛の先でかき混ぜるたびに、コオロ、コオロ、コオロと大きな音が響いてきました。そして矛をそっと引き上げると、ポタッ、ポタッと矛の先から落ちたしずくが固まって、一つの島が出来上がりました。この島はオノコロ島と呼ばれています。そして伊邪那岐命と伊邪那美命は、初めてできたその島へと降りて行ったのです。

 伊邪那岐命と伊邪那美命は、オノコロ島に降りて、大きな神聖な柱を立て、その柱を中心に大きな御殿を建てて結婚をしました。最初にお産みになった蛭子は、不完全な体であったため、仕方なく舟に乗せて流してしまいました。どうして失敗したのか、伊邪那岐命と伊邪那美命は神様に相談し、そして初めて完全な形で生まれたのが、立派な淡路島でした。淡路島に続いて、四国や九州、本州と、つぎつぎと島が生まれました。

 島ができると、伊邪那岐命と伊邪那美命は人々の暮らしに役立つ神様たちを産み出しました。石や土、家、海、川、風、山の神様などを産みましたが、火の神様「迦具土(かぐつち)」が生まれるときに、伊邪那美命はその火によって大やけどを負ってしまいます。大やけどを負った伊邪那美命は、その後も、尿、糞、吐しゃ物から、鉱山、水、食べ物の神様などを産みました。

②黄泉の国の訪問(伊邪那美の死と夫婦の別れ)
 火の神様「迦具土(かぐつち)」の出産によって大火傷をしながらも、たくさんの神様を産み続けた伊邪那美命の体は、どんどん弱っていきます。伊邪那岐命は一生懸命に伊邪那美命を看病しましたが、遂に伊邪那美命は亡くなってしまったのです。「愛するお前の命を、一人の子の命と引き換えにしてしまった。」嘆き悲しんだ伊邪那岐命は、伊邪那美命の体に寄り添い、涙を流して泣きました。伊邪那岐命は悲しみのあまり、伊邪那美命を焼死させてしまった迦具土を切り殺してしまいました。

 愛する妻である伊邪那美命を失ってしまった伊邪那岐命は、悲しみに暮れます。しかし、我慢できなくなった伊邪那岐命は、地の底にある死者の国である黄泉国(よみのくに)へと伊邪那美命を迎えに行こうと考えました。地の深い深い底にある黄泉国へとたどり着いた伊邪那岐命は、扉の奥にいる伊邪那美命に向かって、一緒に地上に帰ってきてくれるように優しく呼びかけました。「愛する妻よ、私とお前の国造りはまだ終わっていない。どうか、一緒に地上に帰っておくれ。」

 しかし、中から聞こえてきたのは伊邪那岐命の悲しそうな声でした。「どうしてもっと早く来てくれなかったのですか。私は既に黄泉国の食べ物を食べてしまい、地上へは戻れないのです。でも、愛するあなたのために、地上に帰っても良いかどうか、黄泉国の神様に尋ねてみます。それまで待っていてください。」

 伊邪那美命の言葉を聞いて、伊邪那岐命はじっと待ち続けました。しかし、いくら待っても伊邪那美命からの返事はありません。待ちくたびれてしまった伊邪那岐命は、櫛を折って火をともし、黄泉国へと伊邪那美命を探しに行くのです。扉の奥は真っ暗な闇が続いていました。そこで伊邪那岐命の目に飛び込んできたのは、恐ろしい鬼たちが取り付いた伊邪那美命でした。

 「待っていてと言ったのに。あなたは私に恥をかかせましたね。」醜く変貌してしまった自分の姿をみられた伊邪那美命は、神の毛を逆立てて激しく怒りました。「伊邪那岐様を捕まえなさい!」すると、鬼たちは一斉に伊邪那岐命を捕えようと追いかけてきました。伊邪那岐命は地上に向かって必死になって逃げて行きました。凄まじい勢いで迫ってくる鬼たちに、伊邪那岐命は櫛や髪飾りを投げつけしました。すると、櫛や髪飾りは筍や野葡萄に変化し、鬼たちはその実を食べ始めたのです。そして、黄泉の国の入口までたどり着いた伊邪那岐命は、そこにあった桃の木から桃を三つ取り、投げつけてやると、鬼たちはみな逃げて行きました。そのすきに伊邪那岐命はなんとか逃げ切ることができたのです。

 恐れた伊邪那岐命は、大きな岩で地上と黄泉国の出入り口を塞いでしまいます。岩の向こう側から、伊邪那美命の声が聞こえてきました。「これからは、あなたの国の人間を毎日千人ずつ殺します。」すると伊邪那岐命は、「それならば、地上では毎日千五百人ずつ子供が生まれるようにする。」と答えました。

 伊邪那岐命は、「最後は喧嘩別れになってしまったけれど、振り返ってみると、国を造り、様々な神様を産むことができたのも、あなたがいたからです。」と静かに言いました。すると伊邪那美命は、「私もあなたと一緒に国を造り、神様を産むことができて、本当に幸せでした。」と答えたのです。そして「ありがとう」と言葉を交わし、伊邪那岐命と伊邪那美命はお別れをしました。

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