Moonism寄稿シリーズ12:2021年3-4月号


 私がこれまでに「UPFのビジョンと平和運動」と題してWorld CARP-Japanの機関誌『Moonism』に寄稿した文章をアップする「Moonism寄稿シリーズ」の第12回目です。World CARP-Japanは、私自身もかつて所属していた大学生の組織です。私が未来を担う大学生たちに伝えたい内容が表現されていると同時に、そのときに関心を持っていた事柄が現れており、時代の息吹を感じさせるものでもあります。今回は、2021年3-4月号に寄稿した文章です。

第12講:地球温暖化問題

 人類が直面する大きな課題の一つが地球環境問題ですが、その中でも深刻なのが地球温暖化であると言われています。今回はこの問題に関する最新の知見を紹介したうえで、UPF創設者である韓鶴子総裁が主導する取り組みを紹介します。

1890年から2020年までの世界の年平均気温偏差

1890年から2020年までの世界の年平均気温偏差

<新たなフェーズに入った温暖化の影響>
 科学者たちはすでに何十年も前から地球温暖化がもたらす影響について警告してきましたが、それは緊急事態を宣言するほどではありませんでした。しかし、いまやこの問題は新たなフェーズに突入し、私たちは人類の未来を左右する決定的な10年に入ったと言われています。すなわち、持続可能な未来を選択することができるか否かは、いまから2030年までの10年間の取り組みにかかっているというのです。

 世界気象機関(WMO)は1月14日、2020年の世界の平均気温が観測史上最高となったと発表しました。これは産業革命以前と比べて約1.2℃上昇したことを意味します。その影響は既に「未来の予測」という段階を超えて、具体的な現象となって表れています。グリーンランドでは氷床の溶解が観測史上最大となり、オーストラリアやアメリカでは大規模な山火事が起こり、シベリヤで永久凍土の融解が始まり、日本では2019年の台風19号が広い範囲で猛威を振いました。最新のシミュレーション研究では、1980年から現在までの気温上昇によって、同じ規模の台風の降水量が10%増加したことが分かっています。スーパー台風は明らかに地球温暖化の産物なのです。

専門家が予測する地球温暖化悪夢のシナリオ

 地球環境問題の専門家たちは、産業革命以降これまでに1.2℃上昇した地球の平均気温は、このままいけば2030年には+1.5℃に達し、そのとき地球は臨界点を超えて暴走し、止められなくなると指摘します。彼らが描く地球暴走のシナリオは、①北極海の氷が融解して気温が上昇、②シベリヤの永久凍土が融解し、中に閉じ込められていたメタンが爆発的に噴出(メタンは二酸化炭素の25倍の温室効果を持つ)、③高温と乾燥によりアマゾンの熱帯雨林がサバンナに変化し、森が蓄えていた二酸化炭素を放出、④南極の氷が融解して海面が1メートル上昇、という順番で起こるとされています。こうした連鎖が繰り返される中で地球の平均気温は上がり続け、2100年には+4℃にまで達する可能性があります。これはまさに悪夢のシナリオです。

<温暖化対策の具体的な取り組みと課題>
 昨年12月、国連のグテーレス事務総長は「簡単に言えば、地球は壊れているのです。人類は自然に対して戦争をしかけています。自然は常に反撃してきます。これは自殺行為です」と、異例とも言える強い言葉で世界に訴えました。日本でも、菅義偉首相が昨年10月に行った所信表明演説の中で、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言しました。

地球環境問題について語る国連のグテーレス事務総長

地球環境問題について語る国連のグテーレス事務総長

 現在、温暖化対策の先頭に立っているのはヨーロッパ連合(EU)です。2019年にEU委員会は経済成長と温暖化対策を両立させる政策である「グリーンディール」を発表し、2030年までに120兆円の投資を行う予定です。EU加盟27か国では2019年の段階で、1990年と比べて温室効果ガス排出量が24%減少しています。2018年と比べても温室効果ガス排出量は3.7%減少していますが、GDPは1.5%増加しているのです。これによって経済成長と温暖化対策を両立させることは可能であることを示せたわけです。

 これでもまだ道半ばです。+1.5℃を超えないためには、いますぐ温室効果ガスの排出を減らし、2030年までに半減させ、2050年には森林などの吸収分を差し引いて実質ゼロにすることが必要とされています。しかし、その道のりは容易ではありません。新型コロナの感染拡大を抑え込むために行われたロックダウンや経済活動の自粛によって削減できた排出量は推定7%であり、いまの社会システムのまま目標を達成するのは難しいのが現実です。そこでEUは、①化石燃料から再生エネルギーへの転換、②産業部門における循環型経済への転換、③国境炭素税の導入、④電気自動車の普及など、社会の仕組みを丸ごと作り変える「脱炭素革命」を起こそうとしています。

 しかし、世界の二酸化炭素排出量を国別割合で比較すると、中国が28.2%でトップであり、アメリカが14.5%で2位です(2017年のデータ)。したがって、この二カ国が温暖化対策に本気で取り組まない限りは、実効性を上げることはできないのが現状です。アメリカでは、温暖化対策に否定的だったトランプ大統領に代わって、「2050年脱炭素」を掲げるバイデン氏が大統領に就任しました。世界が悪夢のシナリオを回避できるかどうかは、これからの取り組みにかかっています。

<地球環境問題に取り組む韓鶴子総裁>
 UPF創設者である韓鶴子総裁は、世界平和の実現に貢献した個人または団体の功績を表彰する「鮮鶴平和賞」を創設し、その第1回受賞者(2015年)に南太平洋の島嶼国キリバスの大統領として気候変動に伴う危機を国際社会に訴えてきたアノテ・トン氏が選ばれました。彼は低平な太平洋の小島嶼国家が海面上昇によって直面している危機について積極的に伝え、国際社会がこの問題に積極的に取り組むように導いてきました。また、韓総裁は環境問題に対する科学的な解決法の開発を全世界に呼びかけるため、2017年に科学の統一に関する国際会議(ICUS)を17年ぶりに復活させました。2017年から昨年まで行われてきはICUSの会議は、一貫して環境問題に焦点を当ててきました。

韓鶴子総裁から鮮鶴平和賞のメダルを授与されるアノテ・トン氏

韓鶴子総裁から鮮鶴平和賞のメダルを授与されるアノテ・トン氏

 昨年9月27日に行われた「第二回神統一世界安着の為の100万希望前進大会」で、韓総裁は以下のように語りました。
「私は、この地球の大陸の40%が砂漠化していくという話を聞きました。胸が痛いことです。生命が生きていくうえで最も貴い空気の供給が脅かされています。ですから私は、13億の人口を持つ中国に対して言いたいのです。多くの人口と面積を持つ中国にあるゴビ砂漠を、科学技術をもって緑地化することができれば、領土を広げるために莫大な資金を投入する代わりに、砂漠を緑地化するのに使うなら、これがどれほど祝福であるかを悟らなければならないでしょう。」

 今後も韓鶴子総裁は、地球環境問題に積極的に取り組まれることでしょう。これまで世界各地で地球温暖化政策を後押ししてきたのは、若者たちのムーブメントでした。未来を担う若者たちこそが、韓総裁と共に先頭に立ってこの問題に取り組むべきでしょう。

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