道徳言論を推進する統一運動
今日メディアは「第四の権力」と呼ばれ、非常に大きな影響力を持っています。メディアは社会を良い方向へと導いていくための大きな潜在能力を持っている半面、不正確な報道、誤った情報、偏った編集により、腐敗を促進させる力ともなります。今回は言論分野における統一運動の取り組みを紹介します。
<民主主義社会におけるメディアの役割と課題>
新聞やテレビなどのメディアは「民主主義のインフラ」と言われています。それは選挙における選択に必要となる公平で幅広い情報を有権者に提供する役割が、メディアに求められているからです。しかし、メディアはこの役割から逸脱する誘惑に常にさらされています。
一つ目の誘惑は、「御用ジャーナリズム」になってしまうことです。メディアが政府の顔色を常に窺い、政府の言うがままになってしまえば、権力を監視するというメディアの重要な役割を果たせなくなってしまいます。全体主義や共産主義の国には言論の自由は事実上存在せず、メディアは政府のプロパガンダの道具になってしまっています。
二つ目の誘惑は、過度に反権力になることです。これは権力を監視するというメディアの役割の延長線上にある問題ですが、政権を打倒することがメディアの目的となってしまえば、やはり行き過ぎと言わざるを得ません。これは共産主義思想が入った「左翼メディア」に顕著な傾向です。
三つ目の誘惑は、センセーショナリズムに陥ることです。報道された内容が事実かどうかよりも、センセーショナルな記事の方が新聞が売れるという現実があるため、マスコミが商業主義に陥ればすぐにこうした方向に流れてしまいます。
そして今日、「メディア不信」が世界的なテーマになっています。「フェイクニュース」(米国)、「うそつきプレス」(ドイツ)、「マスゴミ」(日本)などという闘争的な言葉で既存のメディアを攻撃する現象が広がっています。ネットによる情報発信が急速に普及したことも、伝統的なメディアの信用失墜の原因になっています。
<世界言論人協会を創設した文総裁>
文鮮明総裁は、メディアの自由と責任を擁護するために1978年に世界言論人協会を設立しました。同協会の使命について文総裁は、第一に「表現の自由が存在しない地域において、世界的な報道の自由、言論の自由、そして人間の神に対する関係の自由な表現を求める闘争に支援と指導を与えること」であり、第二に「既に自由な報道が存在している地域において、報道に携わる者たちの倫理的な行動を促し、奨励すること」であると語っています。
同協会が主催する世界言論人会議は、これまで世界各地で開催されてきた国際会議で、世界中から優秀なジャーナリスト、政治指導者、学識経験者、各国政府の要人等が集まり、現代社会におけるジャーナリズムのあり方について討議してきました。
1990年4月11日に第11回世界言論人会議がモスクワで開催された際には、文総裁はゴルバチョフ・ソ連大統領(当時)と単独会見し、ペレストロイカとグラスノスチを支持するとともに、ソビエト連邦の各共和国の自由独立を阻止しないように進言。同時に韓ソ首脳会談の実現と両国の国交樹立を提案しました。冷戦を終結に導いた文総裁とゴルバチョフ大統領の会談は、世界言論人会議をきっかけに実現したのです。
<道徳言論を推進する言論機関の設立>
文総裁はまた、世界各国に道徳言論の模範となる言論機関を設立してきました。1975年に創刊された日本の総合日刊紙「世界日報」は、その先駆けです。同紙は「自由言論、責任言論、道徳言論」をモットーとし、唯物論に立脚したヒューマニズムを克服し、愛国心を涵養し、正しく世界の動きをとらえた国際報道に徹することにより、クオリティーペーパーとしての地位を確立してきました。世界日報は、共産主義との戦いで多くの実績を挙げたことにより、日本の保守派から高い評価と支持を受けるようになりました。
1981年に米国の首都ワシントンで唯一の保守系新聞であった「ワシントン・イブニング・スター」紙が経営難で廃刊した際には、文総裁は「自由主義世界の首都を代表する新聞社が容共リベラルの『ワシントン・ポスト』のみというのは報道の公正さに欠けるだけでなく、アメリカの健全な世論形成に悪影響を及ぼす」として、1982年5月17日に日刊紙「ワシントン・タイムズ」を創刊しました。
ワシントン・タイムズは共和党をはじめとする保守層から絶大な支持を受け、「レーガン大統領が朝起きて真っ先に読む新聞」として知られるようになりました。2007年5月17日に行われたワシントン・タイムズ創刊25周年祝賀行事でブッシュ第41代米国大統領は、「私がワシントン・タイムズの創設者であるレバレンド・ムーンと、この新聞を立ち上げた彼のビジョンに感謝しなければ、私は不注意のそしりを免れないでしょう。彼なくしてワシントン・タイムズはありえなかったし、ワシントン・タイムズの存在しないワシントンやアメリカは、想像したくもありません。」と述べました。
1989年2月1日には、韓国の保守系日刊全国紙「世界日報(セゲイルボ)」が創刊されました。同紙は、日本の世界日報および米国のワシントン・タイムズ紙と姉妹紙関係にあると同時に、ワシントンD.C.、東京、ウィーン、パリに特派員を配置している他、全世界の100カ国近くに海外通信員を置くなど、その世界志向的な報道姿勢が高く評価されています。韓国の世界日報紙は、2019年2月に創刊30周年を迎えました。