2024年6月12~15日にかけて、フランス西部ボルドーで「新宗教研究センター」(CESNUR)の国際会議が開催された。6月13日に行われた、第8セッション「統一教会と日本・まさに起きていることは何か?」では、宗教法人・世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)が解散命令を請求されている日本の事案に焦点が当てられた。このシリーズでは、第8セッションの7つのプレゼンテーションの内容を紹介する。第4回目の今回は、家庭連合の近藤徳茂法務副局長のスピーチである。
この重要な会議にお招きいただき、大変うれしく思います。本日は、日本の世界平和統一家庭連合(家庭連合)を巡る解散問題と題して語らせて頂きます。
私たちの団体の正式名称は世界平和統一家庭連合ですが、以前の名前である「統一教会」の方がより有名ですので、私のプレゼンの中でも「統一教会」という名称をしばしば使わせていただきます。
これは「消費者法ニュース」という日本の雑誌で、2022年7月に発行されたものです。これは山口広弁護士によって書かれた記事で、彼は反統一教会の弁護士グループである「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の中心的な弁護士です。彼はこの記事の中で、「旧統一教会関連の相談は減りました。その代わりに非常に小さな無名の宗教団体に関する相談が増えています」と明記していました。
ところが、同じ月に安倍元首相銃撃事件が起きると、全国弁連は突然記者会見を開いて、「統一教会は巨悪である」と言って我々の教会を攻撃し始めました。そして彼らはあたかも深刻な被害が今も起きているかのように吹聴したのでした。この記者会見に基づき、メディアは家庭連合が民事裁判で敗訴していることを理由に家庭連合を「反社会的団体」と非難しました。
メディアによる攻撃は家庭連合に対する敵意を醸成しました。右翼の街宣車が教会の周辺を凱旋して「日本から出て行け」と大音量で訴えたり、「カルトは出て行け」といった落書きが教会の壁に書かれたり、脅迫文が教会に送られてくるなどしました。いくつかの地方自治体は、家庭連合ないし関連団体による公共施設の利用を拒否しました。
そしてついに、2022年8月31日、岸田首相は、慎重な調査を経ることもせずに、与党である自由民主党(自民党)が家庭連合と断絶する旨を公言しました。しかしながら、これは自身の内閣の支持率を維持したいという政治的な理由に基づいていました。しかも彼はこれを何の調査もせずに通達しました。これは憲法違反です。
ほとんどの教会員は、一般の企業で働いています。もし自民党の国会議員らが岸田首相による断絶宣言を守ろうとしたら、彼らは接触を持つ全ての人について信仰を確認し、家庭連合信者との関係を断絶しなければなりません。岸田首相は、このあと、この不当極まりない方針の権威を維持するために極端な行動を積み重ねていきました。その中には解散命令に関する法律の解釈変更も含まれています。
そしてついに、政府は家庭連合に対する解散命令を求めて訴えを提起しました。ここで解散請求訴訟における主要な争点をご紹介したいと思います。
法律上の主張においては、政府は宗教法人法上の解散事由である「法令違反」に民法上の不法行為も入ると主張しています。これに対して家庭連合は、法律上の主張においては、以下の反論を行っています。①政府の法解釈は、最高裁で確定した先例に違反する、②家庭連合が不法行為訴訟で敗訴しているのは、社会的相当性の逸脱を理由とするものであり、その違法性は極めて低く解散事由には到底あたらない、③不法行為の成立要件である権利侵害は違法性と解されているが、極めて不明瞭な概念である。このような不明瞭な構成要件によって宗教団体を解散することは適正手続保障に反する。
一方で事実上の主張においては、政府は家庭連合が民事上の不法行為事件で敗訴していること、多くの人々が家庭連合に反対する立場から陳述書を書いていることなどを主張し、解散事由があると主張しています。
それに対して家庭連合は、いわゆる「被害者」はディプログラミングを受けた背教者であり、裁判所は基本的に背教者が主張するナラティブに沿うように判決を書く傾向があることを強調しました。
私たちが過去において民事訴訟で敗訴したことは事実です。そこで、何故日本では裁判官が背教者に有利な判決を下す傾向にあるのか、その理由について述べます。
第一に、日本では背教者の証言に信用性が欠けることについての研究成果がなかったからです。
第二に、日本では宗教団体に高額献金を行う慣行がないからです。
第三に、判事を含め日本人は基本的に神を信じておらず、神の導きを信じていないからです。
そして最後に、判事はメディアから「カルトを擁護した」と非難されることを恐れているからです。
日本における不公正な判決の傾向については関係者の証言もあります。家庭連合に反対する弁護士の一人である伊藤芳朗は、裁判所に提出した陳述書の中で、「『カルト宗教だと負け」という裁判所の枠組みたいなものがある」「他の事件では認められないような請求も相手がカルト宗教だと安易に認められてしまう、という裁判所の傾向がある」と述べました。また、元最高裁判事の瀬木比呂志氏は著書の中で、「日本の裁判官は世論に迎合しようとする傾きがある」と述べています。ここでの世論とはメディア報道のことを指します。
次に、日本における主要メディアの戦略について説明します。はじめに彼らは、センセーションを起こすナラティブを作り出します。次に、彼らは自分のナラティブに沿う情報だけを報道し、彼らのナラティブを否定するような情報は報道しません。彼らからひとたび「悪」のレッテルを貼られると、名誉回復の機会はありません。これが家庭連合が置かれた状況なのです。
ここで、反統一教会運動の背景にある思想的対立について述べたいと思います。
家庭連合やその友好団体である国際勝共連合は、共産主義に反対し、スパイ防止法の制定を促進しようとします。これに対して、日本共産党、主要メディアおよび反対弁護士団体などの左翼勢力は、共産主義思想を支持し、スパイ防止法に反対します。このため彼らは家庭連合・国際勝共連合を迫害するのです。
これまでのところ、反統一教会の戦略は成功してきました。
先ず初めに、メディアが家庭連合に対して過剰な批判報道を行います。これに影響された信者の親族は心配して、信者に対する拉致監禁・脱会強要を行うようになります。こうして脱会した背教者が家庭連合を被告として訴えを提起します。
すると、裁判所もメディアの影響を受けているため、背教者に有利な判決を下します。すると、こうした判決を元にメディアは家庭連合を「反社会的」と報道し、こうしたメディアの報道に影響を受けた政府が、最終的に解散命令請求訴訟を起こすに至ったというわけです。
これが現在の日本の状況です。皆さんがこの状況を理解してくださって、日本と世界における宗教の自由を守るために支援してくださることを希望します。
このスピーチの英語のオリジナル動画日本語字幕付きは、以下のサイトで見ることができます:https://www.youtube.com/watch?v=rBbdUa-ffk4