本日は「オセロ中島知子騒動とマインドコントロール批判」ということでお話をさせていただきます。私はUPF日本事務次長の魚谷俊輔と申します。よろしくお願い致します。
皆様も、このオセロの中島事件というのはテレビの報道とか、週刊誌等で、おそらく知っておられるのではないかと思います。いわゆるお笑いタレントの中島知子さんという人が、霊能者とか占い師とかいう人に騙されて、家賃を滞納する状態になってしまうというような事件なんですけれども、この中島さんの状態に関して、「彼女は女霊能師によってマインドコントロールされているんだ」とか、あるいは「洗脳されているんだ」というようなことが言われまして、大騒ぎになったわけです。
いまは家族によって身柄が奪還されて、家族と一緒に暮らしているという状況でありますけれども、一時期はどうやって、マンションに立てこもっている中島さんを取り戻すのか、というような関心を多くの人が持っておりました。その時から、一方的にこの女霊能者といわれる人が中島さんを「マインドコントロール」しているという前提で、話が進んでいたんですけれども、最近、その女霊能師と言われる人がテレビに出てきて、「いや、逆に私が、中島知子にコントロールされていたんだ」というような発言をして、反論をしたりして、何が真実なのか良く分からないというのが、今の状況です。
さて、この事件が公になって、大騒ぎになった時に、いわゆる専門家と呼ばれるような人々が、次々にワイドショーで発言しました。これはまだ、中島さんが、マンションに立てこもっているような状態の時でありますけれども、2月9日のテレビ朝日のスクランブルという番組で、参議院議員の有田芳生が発言したんですね。「今の中島さんは、どうゆう状況にあるんですか?」という質問に対して、「いま彼女は、強いマインドコントロールの支配の下にあって」という風に、かなり断言的に話をしていたということです。
更に、紀藤弁護士という人も出てきまして、「彼女はいま、依存と恐怖心によって縛られた状態なんです」と、あたかも見てきたようなことを話したわけです。そして更に、「マインドコントロールに詳しい心理学者」ということで、立正大学の西田公昭という教授にテレビ局がインタビューしまして、「あなた、マインドコントロールの専門家なんでしょ? 彼女は一体いまどういった状況なんですか?」と質問すると、彼は、「情報から判断する限り、マインドコントロールされているかもしれない」と、答えたわけなんですね。さすがに彼は学者でありますから、確たる情報がないのに、断言できないと思ったのでしょう。だから「情報から判断する限り、マインドコントロールされているかもしれない」と言ったわけでありますが、「じゃあ、あなたはマインドコントロールの専門家で、どうやったら中島さんのマインドコントロールを解くことができるんでしょうか?」という質問に対してですね、「それはこうです。まず、相手から離さなければなりません。そして、受け皿が必要です。そして、カウンセリングを行う専門家が必要です。そして、同じ経験者のサポートが必要です」というふうに、「こうすればマインドコントロールは解けるんだ」というような方法を、専門家として話したということです。
これらの人々はいずれも、実は統一教会に激しく反対している方々なのでありますが、何のためにテレビに出たのか、ということに関して推測してみますと、こういうことになります。
いわゆる「カルト」や「マインドコントロール」の専門家としての自らの権威を高めるため、ということですね。テレビに出ることによって社会的信用を高めたいという思惑があったと思われます。そして、これがもしかしたら裁判に対して色々な影響があるかもしれないと思ったのかもしれません。
そして、大衆に対する露出度を高くすることによって、「相談窓口」としての営業に利用することができる。「テレビにも出ているマインドコントロールの専門家だから、どんどん私の所に相談に来てください」というような、コマーシャルという意味があるでしょう。
それから、「カルト」や「マインドコントロール」などの概念が風化して忘れられないように、事あるごとに大衆の記憶の中にリフレッシュさせておく必要があるので、この中島知子さんの事件は、それとはまったく関係無いのかもしれないけれども、テレビに出演して、大衆に思い出してもらうというような目的があるのかもしれません。
そして更に、紹介の中に「統一教会や霊感商法の問題に取り組んできた専門家です」と入れてもらうことによって、本来、何の関係もないはずなのに、どさくさに紛れて統一教会の攻撃を行うといったことが、テレビ出演の目的だったのではないかと思われます。
しかしですね、西田公昭はいかにも専門家のように、「こうすればマインドコントロールは解けるんだ」とテレビでコメントしたわけでありますけれども、彼がどのくらい中島さんの状態が分かっているかということについて、本音の発言が、おもしろいことに彼のツイッターの中で出てきております。
これは2月9日ですから、まさに取材を受けたその日なんですが、「某テレビ局に頼まれて、オセロ中島さんの件、検討しましたが、ちっともわからない。どうコメントしたものか」というふうに彼は書いているんですね。ですから本音は、ちっとも分からないわけです。だけど、「マインドコントロールの専門家、日本の第一人者」という立場上、コメントしないといけないので、コメントをしたということになるんですね。
西田公昭という人は、中島知子さんに会ったこともなく、自称占い師に会ったこともないわけですから、本当はコメントなんかできるわけないんです。これは、有田も紀藤も同であるわけでありますが、極めて無責任な発言をしているということになります。
もう一人、山口貴士という弁護士がいます。ツイッターのアドレスがとてもおもしろい名前で、「@otakulawyer」というんですけど、これは、オタク弁護士という意味なんですね。まさに彼のことでありますが、彼はこう言っております。「オセロ中島騒動で、取材を受け、マスコミは、『精神操作された状態(マインドコントロールともいう。)』について、『**すれば解けます。』と簡単な解決方法を探していることが判りました。残念ながら、簡単に解く方法はありません。簡単に解けるという人は、詐欺師か不勉強な人のいずれかです。」
とういうことで、マスコミは「マインドコントロール」を前提として、それがある種のテクニックなら、「どうやったら解けるのですか?」と言うわけでありますが、実は「こうすればマインドコントロールは解ける」というような簡単な方法は、実際には存在しないということを、事情を良く知っている人は分かっているわけです。この山口貴士という人は、事情を良く知っている人の一人なんですね。彼は、12年間監禁された後藤徹さんの事件で、家族側の弁護士をやっているわけなんですね。
彼らの立場からすると、後藤徹さんは「マインドコントロール」されていたわけです。その「マインドコントロール」を解くために、12年間も拘束したにも関わらず、結局解けなかったということでありますから、簡単に解ける方法はない事例として、後藤徹さんの事件ということを、彼の立場から言うことができる。そうしたら、「そんな簡単な方法はありませんよ」という発言になるわけです。
さて、このような発言の無責任さ、ワイドショーに出てきた専門家の無責任さでありますけれども、例えばある人の心理状態に関して、専門家である精神科医や臨床心理士が、本人に直接会って診察やアセスメントをしたこともないのに、マスコミで流れている情報だけを根拠にして、「いまこの人はこういう状態ですよ」と断言したら、それはプロとしての見識や倫理を疑われるであろう、ということになりますね。
この西田にしても、有田にしても、紀藤にしても、一切会ったことがない、情報を色々な所から仕入れているんでしょうけれども、直接会ったわけでもないのに、断言的なことを言っているという意味で、かなり無責任な発言だということができます。
そして、西田公昭は「こうすればマインドコントロールが解けるんですよ」といったことをコメントしておりますが、西田自身は、恐らくやったことはない。恐らく彼にはやる能力がないんだろうと思います。監禁の現場に西田公昭が現れて説得を行ったという話は聞いたことがありません。彼のやっていることは、「マインドコントロール」の理論構築の部分だけだということになります。
結局、山口貴士弁護士が言うように、「マインドコントロール」の解き方が存在しないのは、「マインドコントロール」そのものが存在しないからだということになります。
※映像は魚谷俊輔が2012年3月に統一教会信徒向けにおこなった講義映像であり、記事はその書き起こしです。