Moonism寄稿シリーズ07:2020年5-6月号


 私がこれまでに「UPFのビジョンと平和運動」と題してWorld CARP-Japanの機関誌『Moonism』に寄稿した文章をアップする「Moonism寄稿シリーズ」の第7回目です。World CARP-Japanは、私自身もかつて所属していた大学生の組織です。私が未来を担う大学生たちに伝えたい内容が表現されていると同時に、そのときに関心を持っていた事柄が現れており、時代の息吹を感じさせるものでもあります。今回は、2020年5-6月号に寄稿した文章です。

第7講:若者たちの結婚を推進する統一運動

 現在わが国では、急激に少子高齢化が進むとともに、次世代を生み育てる社会の基礎単位である家庭の崩壊が広く蔓延しています。それは内的には「家庭が大切である」という価値観の衰退として、外的には家庭そのものが縮小していく少子高齢化と人口減少の問題として表面化しています。日本の「国難」と言われる少子高齢化の最大の原因は、若者たちの未婚化・晩婚化です。今回はこの問題に統一運動がどのように貢献していけるかについて説明します。

<少子高齢化の主因は若者の未婚化>
 厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が発表した日本の将来推計人口によると、2015年に1億2709万人だった総人口は、2053年に1億人を割り、2065年には8808万人に減少すると予想されています。そして単に人口が減るだけでなく、65歳以上の高齢者が占める割合は、2015年の26.6%から38.4%に上昇するなど、「超高齢社会化」の到来を予想しています。2019年の出生数は90万人を割り込み、合計特殊出生率(一人の女性が生涯に産む子供の数の平均値)は1.42に留まっています。人口維持に必要な合計特殊出生率は2.07と言われており、この数字に遠く及ばない以上、日本の人口は減り続けるしかないのです。わが国のこの数字は、世界最低水準となっています。

 少子高齢化は人口減少と労働力の低下に直結するため、まさに日本の国力を減退させる「国難」といえますが、その主要な原因ははっきりしています。日本ではまだ婚外子の割合は低く、子供は結婚により生まれてくる場合が大半であることから、子供が生まれない主因は若者たちの未婚化・晩婚化にあるのです。

 2015年に行われた国勢調査のデータによれば、30~34歳の未婚率は男性で47.1%、女性で34.6%となっています。1960年にはこの数字が男女ともに10%以下だったことを思えば、現在の30代前半の若者がいかに結婚していないかが分かるでしょう。50歳まで一度も結婚をしたことがない人の割合を示す「生涯未婚率」は男性で23.4%、女性で14.1%にのぼりました。前回の2010年の結果と比べて急上昇し、過去最高を更新しました。最近は生涯結婚しない人も増えていることから、「非婚化」という言葉も使われています。

<若者たちはなぜ結婚しないのか>
 若者たちが結婚しない理由については、内閣府が発表した『平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書』で実施した20~30代の未婚者に対するアンケート調査が参考になります。選択肢を複数回答できる調査で若者たちが多く選んだ理由は、①適当な相手にめぐり合わない(54.3%)、②自由や気楽さを失いたくない(27.2%)、③結婚後の生活資金が足りない(26.9%)、④趣味や娯楽を楽しみたい(23.7%)などでした。一番大きな理由は出会いに関するものですが、②と④は価値観やライフスタイルに関する問題で合計すれば事実上の二番となり、経済的な問題が三番目に来ることが分かります。

 若者たちが結婚について不安に感じることとしては、「生活スタイルが保てるか?」「余暇や自由時間があるか?」「お金を自由に使えるか?」などが上位に上がりますが、これは若者たちの間に個人主義的な価値観が蔓延していることを物語っています。結婚すれば多少はこうしたことを犠牲にしなければならないわけですが、それ以上に結婚で得られる「一緒にいる幸せ」や「分かち合う喜び」に対する魅力を強く感じれば結婚するはずです。しかし、今の若者は結婚に対してそこまで強い動機を持てないでいるのです。

<「出会い」がなくなったのはなぜか?>
 それでは「出会い」の問題はどうでしょうか。国立社会保障・人口問題研究所の主任研究官である岩澤美帆氏、三田房美氏が発表した論文「職縁結婚の盛衰と未婚化の進展」(『日本労働研究雑誌』2005年1月号)によると、1970年代以降底なしに進む未婚化の原因を夫婦の出会い方の側面から分析すれば、初婚率低下の最大の原因は見合い結婚の減少にあるという結果が出ています。ここでの「初婚率」は1000名の未婚女性に対して年間何件の結婚があるかを計算した数値ですが、1960年代前半には恋愛結婚が35件、見合い結婚が29件という数字でした。これが2000年以降には恋愛結婚が38件、見合い結婚が3件となっています。つまり、恋愛結婚の数は微増であるのに対して、見合い結婚が激減したために、全体としての初婚率を大きく押し下げているということなのです。

 実は、恋愛結婚の件数は1970年代前半に一度56件まで上昇していますが、その後徐々に下降しています。この間に恋愛結婚が減った主な要因は、職場で出会って結婚する「職縁結婚」の減少にあると分析されています。高度成長期の企業は社員を家族のように扱う「日本的経営」が特徴でしたが、その頃の女性従業員は労働力というよりは男性従業員の配偶者候補として雇用されていた側面があったのです。つまり、当時の職縁結婚は当事者の意識においては恋愛結婚なのですが、企業が事実上のマッチ・メイカーとして機能していたということです。しかし、女性の雇用形態と企業文化の変化により、いまでは企業がこうした役割を果たすことはなくなりました。

<若者たちの結婚を推進する運動が必要>
 こうした事実から分かることは、若者たちの未婚率がここまで上昇したのは若者たちだけの責任ではなく、彼らを取り巻く大人社会にも原因があるということです。伝統的な日本の社会には、若者たちの結婚をサポートする共同体意識が存在していました。例えば「結婚してこそ一人前だ」「早く身を固めたらどうだ」と語る説教おじさんや、出会った若者にどんどん縁談を勧めるマッチングおばさんのような人がいて、若者たちの結婚を後押ししてきたのです。

 こうした文化が失われた現代日本において、統一運動は若者たちの結婚を強力に推進する貴重な存在と言えます。マッチングと祝福は言ってみれば「神を中心とするお見合い」のようなものです。そして信仰共同体としての統一運動は若者たちに結婚と家庭の意義を教育するだけでなく、具体的に相手を探して結婚まで導いていくマッチ・メイカーとしての役割を果たしています。そしてより社会に開かれた活動として、若者たちに結婚の意義を啓蒙するセミナーなどを開催しています。こうした活動が、「国難」を解決する処方箋となっていくでしょう。

祝福式写真①

祝福式写真②

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