世界の諸問題と統一運動シリーズ13


日韓の和解と友好を促進する統一運動

 日本と韓国は一衣帯水の隣国であり、北朝鮮による核の脅威から両国の平和と安全を守るためにも、戦略的な協力関係を結ばなければなりません。しかし両国間には根強い相互不信と敵対感情が横たわっており、「近くて遠い国」と言われています。今回は日韓の「歴史問題」の背景を解説し、両国の和解と友好を促進するために統一運動が尽力してきたことを紹介します。

<日韓の「歴史問題」論争におけるすれ違い>

 日韓で論争される具体的な問題には竹島(独島)問題、「慰安婦」問題、「歴史認識」問題などがありますが、これらの問題の根底にあるより根本的な問題が、1965年の日韓国交正常化の際に結ばれた日韓条約の問題であり、さらに遡れば1910年に締結された日韓併合条約をどうとらえるか、という問題に行きつきます。日本の保守的な人々と韓国人の間で行われる典型的な論争は以下のような感じになります。
韓:「日本は植民地支配に対して過去の清算をすべきだ」
日:「過去の清算は、日韓国交正常化のときに終わっている」
韓:「被害にあった韓国人は、日本政府から補償を受けていない」
日:「1965年に有償2億ドル、無償3億ドルの経済協力金を出した」
韓:「経済協力金は補償ではないから、償ったことにならない」
日:「そもそも日本は韓国と戦争をしていないので賠償は必要ない」
韓:「現実に、被害にあった人々は補償を受けていない」
日:「それは韓国政府の責任であって、日本政府の責任ではない」
韓:「韓国は日本に対して被害に対する賠償請求権がある」
日:「日本は韓国に莫大な資産を残してきたのでそれで相殺される」
韓:「日本は韓国を植民地にすることによって莫大な搾取をした」
日:「むしろ日本は国家予算を韓国に投入して近代化させた」
韓:「日本は過去の罪を認め、誠意ある謝罪を行うべきだ」
日:「歴代首相が謝ってきた。何度謝れば気が済むのか」
韓:「それは政治的発言に過ぎず、法的には罪を認めていない」
日:「法的問題は1965年の日韓条約ですべて解決している」
韓:「そもそも1910年の日韓併合条約は、武力を背景に結ばれたので無効である」
日:「日韓併合条約は、国際法上有効であり、合法的に結ばれた」

<日韓条約が残した課題>

 日韓国交正常化交渉は、1952年2月に始まって1965年6月にようやく成立しました。当時は東西冷戦下にあり、東アジアにおける自由主義陣営の連帯は両国の重要課題であると同時に、アメリカの強力な後押しの下で行われたにもかかわらず、交渉に14年もの歳月を要したのは、歴史認識の問題で揉めてたびたび交渉が頓挫したためでした。

 李承晩政権下で始動した第一次日韓会談では、韓国側は「植民地支配は不法である」として、その被害補償の請求権を主張しました。これに対し日本側は、「韓国を合法的に領有、統治しており、賠償金を支払う立場にない」とし、逆に韓国独立に伴い遺棄した在韓日本資産の返還請求権を主張したために、交渉は決裂しました。

 平行線をたどっていた交渉が一気に進んだのは、1961年に韓国に朴正煕政権が誕生し、日本の岸信介元首相との協力関係の下で、より現実的な政治決着に向けて動いた時でした。自由主義陣営の結束を課題としていたアメリカが、日韓交渉の長期化を懸念して両国に圧力をかけてきたことも背景にありました。

 この過程で韓国政府は請求権に基づく賠償ではなく、「経済協力」という名目で日本からお金を受け取り、自国のインフラを整備して北朝鮮との競争に勝つという道を選択したのです。そして国家として総額でお金を受け取ったうえで、個人に対する補償は韓国政府が行うこととし、韓国併合条約の有効性に関しては、双方が都合よく解釈できる「玉虫色の決着」によって、日韓条約は成立したのです。しかし、このことは韓国の国民にきちんと説明されなかったために、「歴史認識」問題はその後も両国間の課題として残されることとなりました。

 その後、「椎名声明」(1965年)「河野談話」(1991年)、「村山談話」(1995年)、小渕恵三首相の「日韓共同宣言」(1998年)など、日本側は何度か「反省」と「お詫び」の意を表明していますが、それによって両国間の課題が解決したというにはほど遠い状況にあります。

<日韓の和解のために尽力した統一運動>

 日韓関係が断絶状態になれば利益を得るのは北朝鮮と中国であり、中国主導の南北統一への道を開くことになります。これ以上日韓関係が悪化するのは両国を含む自由世界全体の利益に反するため、少なくともいたずらに「反日感情」や「嫌韓感情」を煽るような発言は慎むべきです。

 両国の関係を改善するためには、歴史的問題に対する理解を深めるという知的側面と、友好関係を築くための努力という情的側面の両方が必要です。相手の立場に立ってものを考える「共感力」と共に、最後は怨讐をも許して愛するという「宗教性」がなければ根本的な解決に至ることはできません。

日韓指導者友情の集い

韓国人と日本人の姉妹結縁を行った日韓指導者友情の集い(2005年)


韓日・日韓カップル

韓国人と日本人のカップル:1988年10月30日(6500双国際合同結婚式)

 統一運動はこれまで「日韓指導者友情の集い」や「日韓姉妹結縁」などの行事を通じて、継続的に両国の友好親善に尽力してきました。さらに、日本人と韓国人の「国際祝福」を推進し、1万組以上の日韓・韓日カップルを誕生させました。韓国人と日本人が真の夫婦愛によって怨讐を越え、その両親が「共通の孫」を持ち、親戚になることによって、両国間の溝を埋める道を開いてきたのです。

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