2024年6月12~15日にかけて、フランス西部ボルドーで「新宗教研究センター」(CESNUR)の国際会議が開催された。6月13日に行われた、第8セッション「統一教会と日本・まさに起きていることは何か?」では、宗教法人・世界平和統一家庭連合(家庭連合、旧統一教会)が解散命令を請求されている日本の事案に焦点が当てられた。このシリーズでは、第8セッションの7つのプレゼンテーションの内容を紹介する。第7回目の今回は、世界平和統一家庭連合の欧州中東リージョン会長であるマイケル・バルコム氏のスピーチである。
司会のアイリーン、ありがとうございます。最後の発表者としてお話しします。昼食後の眠くなる時間ですので、手短にしようと思います。2点だけお話しします。これまでの発表者が話してくれたことをまとめるつもりはありません。まず人口動態に関連したお話をします。
ご存知の方も多いと思いますが、日本と韓国は民主国家の中で最も出生率が低い国です。実際、韓国では出産可能年齢の女性1人当たりの子どもの数はわずか0.7人です。それほど悪い数字には聞こえませんが、計算すると、100年後、現在100人いる人口が4人になってしまいます。日本は韓国より少しましですが、このまま何も変わらなければ、100年後、現在100人いる人口が9人になってしまいます。
私は42年前に美しい日本人女性と出会い結婚しました。私たち夫婦には5人の子どもと3人の孫がいますが、妻の実家に行くたびに過疎化の形跡を目の当たりにします。かつては稲が豊かに実っていた田んぼが今は空っぽです。日本の農家の厳しい生活に取り組もうとする若者がいないからです。
長年にわたり、私たち統一教会のコミュニティは、他の移民コミュニティと同様に、過疎化問題の解決策の一部を提供してきました。なぜなら、私たちの家庭は、他国から配偶者を迎え、国や文化の壁を越え、大家族になる傾向があるからです。
家庭連合が行う異文化間の結婚は、かつて敵対した国家同士にあった国や文化の障壁を取り払う大きな役割を果たしました。しかし最近の危機と、メディアや政府による容赦ない攻撃の嵐は、我々の二世・三世といった若い世代の確信に深刻な影響を及ぼしていると言わざるを得ません。
正直に申しますと、二世・三世たちは、私たちが持つ結婚や家庭の伝統から自由になりたいという誘惑、またお聞きになったように職場や住居の賃貸等で差別され、教会から離れたいという誘惑に襲われています。
フェイクニュースやAIメディアが溢れる時代に、彼らはすでに十分に混乱しています。日本国内の他の移民たちや信仰共同体も同じ問題に直面しています。これは文化の問題なのです。日本人と外国人を片親ずつ持つ子どもたちは、日常的にハーフ、つまり日本人の半分、市民として半分、人間として半分と呼ばれています。
このような習慣は非常に問題です。正直、このまま二世を失い続ければ、我々は存亡の危機に直面します。実際、日本は例外ではないのです。日本は島国です。新しいアイデア、新しい文化、新しい伝統に対して門戸を閉ざし続ければ、暗澹たる未来が待っています。
私がお話ししたい2つ目のポイントは、本会議のテーマである宗教運動や新宗教運動が社会に果たす役割に関連するのですが、一つの逸話をご紹介します。2000年、家庭連合の創始者である文鮮明師と韓鶴子夫人は国連に赴き、国連は危機に瀕していると述べました。宗教的情熱が高まりを見せ、紛争が引き起こされているのに、解決の糸口が見いだせないでいたからです。
これは9.11以前、ISIS以前、アルカイダ以前のことです。文鮮明師は、非常に先見の明があったと思います。文鮮明師は、宗教指導者の知恵を活用して、暴力や戦争に発展する前に問題に対処する精神的な評議会を国連に導入すべきだと提案しました。
文師はプライベートな場で、これは宗教指導者たちにとっても良いことであると述べました。国連の平等主義的な枠の中で、彼らは宗教上の些細な相違を超えて、どのように協力し合えるかを考えることになるからです。
文師の提案は採択されませんでした。フィリピンと他の数カ国が支持しただけでした。しかし私は希望を失っていません。国連だけでなく各国政府の良心として、宗教には重要な役割があると思うからです。
私は今日、イギリスから来ました。最近数カ月間、政府による権力濫用の事例を数多く耳にしました。ここフランスでは聞いていないかもしれませんが、「郵便局員の冤罪」問題がスキャンダルとなっています。1000人ほどの人が起訴され刑務所に送られました。まさに政治家の腐敗、権力濫用です。
信仰を持つ者が声を上げなければ政府が権力を濫用してしまうのです。私は米国市民でもあります。11月に大統領選挙が行われますが、大西洋の向こうの米国が誰を大統領に選ぶのか気がかりです。
欧州での総選挙結果も気になります。極左と極右候補者が立候補しています。宗教者は道徳的義務を果たし良心の働きをしなければなりません。
家庭連合の指導者であるマザー・ムーンは、鉄道の終着駅の喩えを使います。私たちのホテルはボルドー中央駅のすぐ隣にあります。列車が入って来る音を聞きながら、この喩えをずっと考えていました。列車は異なる場所から出発してこの駅に到着するのですが、それは重要ではありません。
しかし、一旦ボルドーに到着したら、列車を降りて新しい方向に進まなければなりません。その新しい方向とは、共に働き、共に声を上げ、道に迷った社会や国の良心となることだと思います。
そのためには、どの宗教も排除されたり、迫害されたり、疎外されたりしてはなりません。誰しも自身の良心を自由に語ることができなければなりません。そうでなければ、預言者イザヤが言ったように、”彼らは平和、平和と叫ぶが、平和はない!”のです。
私たちが今日ここに集まった理由は、日本政府による扱いに対して不平を言うためだけではなく、警告を発するためです。なぜなら、間違いなく我々の次には他の誰かが同じ目に遭うからです。皆さんはこの言葉をご存知と思います。「次に彼らはユダヤ人を狙った。私はユダヤ人ではないので声を上げなかった。」(マルティン・ニーメラーの言葉)
ありがとうございます。
このスピーチの英語のオリジナル動画日本語字幕付きは、以下のサイトで見ることができます:https://www.youtube.com/watch?v=sC1GFNRGqTc&t=2s