世界の諸問題と統一運動シリーズ15


男女の結婚の価値を守る統一運動

 結婚は男性と女性の間でなされるもの、という常識がいま大きな挑戦を受けています。LGBTの権利擁護という名目の下に同性間の結婚を合法化しようという動きが世界的に広がり、その波が日本にも押し寄せてきているのです。今回は同性婚合法化の動きを概観し、伝統的な結婚の定義を守るための統一運動の取り組みを紹介します。

<世界に衝撃を与えた米国の同性婚合法化>

 2015年6月26日、米連邦最高裁は同性婚を禁じた州法に対して、合衆国憲法に違反しているという判決を下し、これによって全米50州で同性婚が合法化されました。それまで米国では、2004年のマサチューセッツ州を皮切りに、10年あまりで7割以上の州で同性婚が合法化されていましたが、州憲法を改正してまでそれをかたくなに拒否してきた州に対して、連邦最高裁から合法化が要求されたのです。オバマ大統領(当時)はこの判決は「アメリカの勝利だ!」と宣言し、大統領府はホワイトハウスを虹色にライトアップして祝意を表したほどでした。

ホワイトハウス

2015年6月26日、全米50州で同性婚を合法化する判決が出たことを祝い、ホワイトハウスが虹色にライトアップされた。

 この判決は世界に衝撃を与え、同性愛者たちは大喜びしました。しかし、同性愛行為に対する世界各国の法律は現時点でも大きく異なっています。同性愛に対して好意的な国には、①同性婚が認められている国と、②パートナーシップ法によって同性カップルに結婚と同等の権利が与えられている国があります。中立的な国においては、③同性愛行為に対する罰則規定はないものの、同性婚は認められていません。否定的な国においては、同性愛行為そのものに対して④軽い刑罰がある国、⑤重い刑罰がある国、⑥終身刑となる国、⑦死刑となる国までが存在しています。同性愛行為に否定的な国にはイスラム諸国やアフリカの国々が多く、好意的な国には西欧と米国を中心とする先進国が多いことと、国連やオリンピック委員会などの国際機関が性的マイノリティーの人権擁護を推進しているため、日本はどうしても容認する方向に傾く圧力を受けやすいのです。

<同性婚合法化運動の背景>

 それではなぜここにきて、同性婚の合法化が急速に進むようになったのかを、米国の事例を中心に分析してみましょう。一つの大きな理由は、同性愛者の権利擁護グループが一致団結し、長期的な戦略と潤沢な資金で「結婚」という権利を勝ち取るための戦いを展開したからです。彼らは政治の場でそれを実現できなければ、裁判を通じてその実現を目指しました。しかし、同性愛者がどうして自分たちの関係を「結婚」であると認めさせたいと思うようになったかについては、より深い分析が必要です。

 1950年代から80年代までの同性愛の活動家は、結婚に対して表だった関心を示していませんでした。 彼らは自由を欲していたのであり、同性愛を犯罪とする法律をなくすことや、職場での差別がなくなることを求めていたのです。彼らにとって結婚とは、人間の性欲を制限し自由な性関係を妨げるものでした。あるレズビアンは、「レズビアンやゲイであることの利点の一つは、結婚しなくても済むことだ」と言いました。同性愛者の解放運動家は、数十年間にわたって「反婚姻」だったのです。

 一方で、結婚を支持する勢力は、性行為の目的は繁殖であり、それは一夫一婦の枠の中で行われるべきだと主張していました。伝統的なアメリカ社会においては、結婚は神からの祝福とみなされ、生涯持続すべき関係であると同時に、子供を中心に展開するものと考えられていました。そして国家も、夫婦が子供を産み、次世代の市民や労働力を育てるという観点から、結婚に格別の地位や恩恵を与えたのです。

 しかし、1960~70年代にかけて米国で起きた「性革命」により、一夫一婦の関係で貞操を守るというモラルが崩壊し、離婚や婚前交渉が当たり前になり、シングルマザーが急増しました。こうした文化的変化の中で、「性交渉は婚姻関係に限られるものであり夫婦は結婚したら子供を作るもの」という社会的通念さえも揺さぶられたのです。一方、結婚制度で変わらなかったのは、その恩恵でした。すなわち婚姻は政府からの恩恵を受け、所有権や健康保険、税金、相続その他で法律上有利だったのです。その結果、結婚によってもたらされる権利や恩恵が、同性愛者たちにとって魅力的なものになったのです。

<同性婚合法化に反対する統一運動>

 2015年4月1日に施行された渋谷区の「パートナーシップ条例」は、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認める証明書を発行する制度を導入するもので、同様の制度が全国各地に広がりつつあります。これは日本における同性婚合法化に向けた第一歩となる恐れがあり、もはやこの問題は「対岸の火事」ではなくなっているのです。

 統一運動は、神は人間を男と女に創造し、両性が結婚して子供を産み増やすことが神の祝福であるという信仰にもとづき、同性婚の合法化に明確に反対しています。LGBTの方々に人権があるのは当然ですが、同様に「結婚は男と女がするもの」と信じる人々の信教の自由や言論の自由が否定されてはなりません。またLGBTの方々の人権を守ることと結婚の定義そのものを変えることは別の次元の問題であり、両者を混同してはなりません。平和大使協議会では、「家庭ビジョンセミナー」などを通してこの問題について解説し、伝統的な結婚の定義を守るための闘いを展開しています。

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