BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ81


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。このサイトの運営者であるマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。マッシモ・イントロヴィニエ氏から特別に許可をいただいて、私の個人ブログに日本語訳を転載させていただいている。

日本:統一教会解散決定における法的問題点 1. 国連勧告の無視害

04/22/2025 Nobuya Fukumoto

この決定は、日本に「公共の福祉」に基づいて権利を制限しないよう求めた国連の3つの勧告を無視した。

福本修也

4本の記事の1本目


解散決定後の記者会見に臨む、反カルト弁護士の阿部克臣氏、山口広氏、紀藤正樹氏。スクリーンショット。

2025年3月25日、東京地方裁判所は、文部科学省が請求した統一教会の日本支部(現在は世界平和統一家庭連合(以下「家庭連合」という))の解散命令に対し、決定を下した。本シリーズでは、日本法の観点から、この判決の問題点を検証する。

民法上の不法行為が解散事由としての「法令違反」に当たるかについて(刑事事件に限定されるか否かについて)、東京地裁は最高裁が過料決定で判示した判断に従った。この結果、要件の曖昧な不法行為を元に宗教法人の解散という重大な不利益を及ぼすことは憲法31条に違反するとの家庭連合の主張は無視された。


「法規範」の概念

不法行為が「法令違反」に該当する理由について、東京地裁は最高裁の判示をそのまま採用し、不法行為に該当する行為は法規範に違反するから法令違反だとした。しかし、上記図にあるとおり、法規範は法令だけでなく不文の法秩序である社会規範を含む概念である。

このため、法規範違反が必ずしも法令違反になるとは限らず、このような解釈は成り立たない。現に、家庭連合がこれまで不法行為を理由に敗訴したのは、法令違反の故ではなく、社会的相当性の逸脱など、社会規範違反を理由とするものであった。

また、宗教法人法81条1項1号に規定する「法令」に関してだけ、他の法条における「法令」とは異なり、通常の「法令」(実定法規)だけでなく、不文の法秩序を含む概念であると解釈するとの趣旨だとしたら、法令解釈の統一性に反し、法的安定性を損なう解釈である。

【参考条文】

宗教法人法81条1項
裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
1号 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。

国連自由権規約人権委員会はこれまで日本政府に対して2008年、2014年、2022年と3度にわたって、「公共の福祉」という曖昧な概念によって宗教的表現の自由を制約してはならないと勧告してきた。これは、国際自由権規約18条3項及び、国連が採用する国際法解釈を前提とする勧告であると考えられる。

同条項は、宗教的表現の自由を制約できる事項を限定列挙した上で、しかも、宗教的表現の自由に対する制約は法律によって規定されていなければならないとする。また、国際法の解釈上、その法律は一般人にとって結果が予測可能な程度に精細に規定されていなければならないとされる。

しかるに、「公共の福祉」なる概念は、同条項が限定列挙する制約事由に存在しないのみならず、内容が不明確であり、国際法上到底、宗教的表現の自由を制約する根拠とはなり得ない概念であった。


日本がいかにして国連の勧告を無視したか。

[参考規定]

国際自由権規約18条3項
宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。

自由権規約人権委員会一般的意見34 (表現の自由に関するもの)
25. 第3項に定められている目的のため、「法律」とみなされる規範は、各個人がその内容に従って自らの行動を制御できるよう十分な明確性をもって策定されなければならず、また一般大衆がアクセスしやすいものでなければならない。法律は、制限の実施にあたる者に対して、表現の自由の制限のために自由裁量を与えるものであってはならない。法律は、制限の実施にあたる者が、どのような表現が適切に制限されるのか、また制限されないのかを確かめられるように、十分な指針を定めていなければならない。
※表現の自由に関する一般的意見であったが、宗教的表現の自由にも当てはまると解釈されている。

自由権規約人権委員会の日本政府に対する勧告(2008年12月18日)
自由権規約委員会の統括所見 日本
10.委員会は、「公共の福祉」が、恣意的な人権制約を許容する根拠とはならないという締約国の説明に留意する一方、「公共の福祉」の概念は、曖昧で、制限がなく、規約の下で許容されている制約を超える制約を許容するかもしれないという懸念を再度表明する。(第2条)締約国は、「公共の福祉」の概念を定義し、かつ「公共の福祉」を理由に規約で保障された権利に課されるあらゆる制約が規約で許容される制約を超えられないと明記する立法措置をとるべきである。

日本の第6回定期報告に関する総括所見(2014年8月20日)
22. 当委員会は、『公共の福祉』の概念が曖昧かつ無限定であり、規約(第2条、第18条及び第19条)で許容される範囲を超える制限を許す可能性があることに対する懸念を、もう一度繰り返し表明する。
当委員会は、前回の総括所見(CCPR/C/JPN/CO/5、第10項参照)を踏まえ、締約国に対し、第18条および第19条第3項に定められた厳格な要件を満たさない限り、思想、良心および宗教の自由または表現の自由に対していかなる制限も課さないよう強く求める。

日本の第7回定期報告に関する総括所見(2022年11月30日)
37 委員会は、以前の勧告を想起しつつ、締約国に対して以下のすべての必要な措置を講じるよう求める。
(a) 「公共の福祉」概念を明確に定義し、「公共の福祉」に基づく思想、良心、宗教の自由及び表現の自由に対する制限が、人権規約で許容された範囲内に止まるよう確保すること

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができます。
https://bitterwinter.org/%E6%97%A5%E6%9C%AC%EF%BC%9A%E7%B5%B1%E4%B8%80%E6%95%99%E4%BC%9A%E8%A7%A3%E6%95%A3%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%B3%95%E7%9A%84%E5%95%8F%E9%A1%8C%E7%82%B9-%EF%BC%91/

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