BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ15


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

日本における統一教会危機:信教の自由に対する三つの敵

11/30/2022MASSIMO INTROVIGNEA

日本は数世紀にわたって信教の自由を攻撃してきた勢力と、それを擁護する勢力とが争う主戦場になりつつある。

マッシモ・イントロヴィニエ

*2022年11月12日に清平で行われた「希望前進カンファレンス」に提出された論文

希望前進カンファレンス
「希望前進カンファレンス」でスピーチするマッシモ・イントロヴィニエ

1965年、フランスの哲学者ポール・リクールは現代の西欧世界において宗教に対する広範な敵対感情を引き起こした3名の「疑心の達人」による破壊的な影響に関する本を書いた。それは共産主義の創始者カール・マルクス、精神分析学の創始者ジークムント・フロイト、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェのことである。

マルクスにとって、宗教は「民衆のアヘン」であり、この世ではなくあの世における報酬を約束し、さらに金持ちは地獄に落ちるかもしれないと暗示することによって、貧しい人々を黙らせて革命を防止するための麻薬であった。 そして、貧富の差を取り除くことによって、共産党は宗教を消滅させると言ったのである。

フロイトにとって、宗教は神経学的および心理的問題によって生じた妄想であった。現代心理学がこれらの問題を治療できるようになれば、宗教が必要とされる余地はなくなるだろうと言ったのである。

ニーチェにとっては、宗教が存在するのは国家が強い国民を教育することができないからだった。大多数を占める弱者が、弱くて従順な者たちを称賛する宗教(特にキリスト教)を作り出し、受け入れたのだ。だから新しい国家が子供たちを強靭で無慈悲に教育するようになれば、宗教は従順な者たちと共に消滅するだろう、と言ったのである。

マルクスの理論はソ連共産主義の基礎となった。ニーチェはナチスによってふんだんに利用され、引用された。フロイトは、すでに存在していた世俗的ヒューマニズムに新たな刺激を与え、必ずしも政府を支配できなかったにせよ、多くの西洋民主主義国家で学界やマスコミを支配するようになった。

マルクス、ニーチェ、フロイト
「疑心の達人」: マルクス、ニーチェ、フロイト。Twitterより

共産主義、ナチズム、世俗的ヒューマニズムは互いに異なるイデオロギーであるが、すべて宗教を根絶させようと試み、自分たちの権力に服従する一部の宗教的形態だけを許容する。この三つはいまも生きて活動している。共産主義は世界で最も人口の多い国である中国を支配しており、世俗的ヒューマニズムは欧米の多くのメディア、大学、出版社を支配している。 そしてプーチンのロシアではナチス型の全体主義国家と侵略戦争が復活しているのである。

この三つのイデオロギーの究極の目標は、すべての宗教を滅ぼすことである。しかし、20世紀の悲劇を通して、彼らはこれが決して容易でないことを学んだ。宗教は迫害に対する並外れた抵抗力を持っているのである。

宗教を直ちに根絶させることができない状況に直面すると、この三つのイデオロギーは徐々に前進することにした。彼らはまず、大きくて強い宗教に対しては恐れる必要はないと言って当面は安心させておいて、「良い」宗教はそのままにして、「悪い」宗教だけを破壊すると主張したのである。

中国では悪い宗教は「邪教」と呼ばれている。それは王朝時代の中国において皇帝を支持しない宗教集団を指定するために使われたレッテルであったが、いまや新しい皇帝である共産党を支持しない者たちに対して使われている。ロシアでは、国の厳格な統制をよしとしない集団は「過激主義者」や「解散団体」に指定されている。民主主義国家では、宗教全体を相手にするのではなく、「カルト」というレッテルを貼られた一部のマイノリティー宗教にフロイトのモデルが適用され、「洗脳」によって信者を回心させ、献金を集めていると非難されている。

多くの宗教がターゲットにされたが、特に三つが「悪い」宗教の象徴とされ、特別な憎悪をもって迫害された。統一教会は共産主義を非常に効果的に批判し、国際勝共連合を成功させたことによってターゲットにされた。サイエントロジーはフロイト、精神分析学、精神医学の悪用を批判したことによって攻撃された。そして兵役に服することも投票もしないエホバの証人も迫害された。それは彼らのライフスタイルが、国家による完全支配と軍国主義教育によって強くて無慈悲な世代を作り出すというニーチェの理想とは真逆だったからである。

国際勝共連合創設
1968年に日本での国際勝共連合創設を記念して揮毫する文師。Facebookより

ここまでは西洋について話してきたが、今日最も重要な闘いがアジア、日本で起こっている。日本は西洋の一部ではなくアジアの国であるが、第二次世界大戦で敗北したことにより、信教の自由が民主主義にとって必要であることを認め、過去の過ちを認め、信教の自由を保護する法律を導入しなければならなかった。こうして日本は西洋的な信教の自由の概念を有する東洋の国となり、西欧への架け橋となり、アジア全体のモデルとなった。

しかし、日本でも共産主義をはじめとする破壊的なイデオロギーが作用していた。 彼らは1995年に東京の地下鉄で起きたサリンガス攻撃事件を利用して、「カルト」というレッテルを貼られたすべての運動に対して、オウム真理教による犯罪の責任を負わせたのである。オウム真理教は、反カルト主義者たちの通常のターゲットとはまったく類似点のない特異な団体であり、それさえなければ健全な仏教団体に生じた腫瘍のようなものであると表現した方が適切であろう。いま反カルト主義者たちは、安倍暗殺というもう一つの国家的悲しみの瞬間を巧みに操っている。

現在の反統一教会・家庭連合キャンペーンは、私がいくつかの記事で証明したように、いくつもの明らかに誤った議論と偽りの証言に基づいている。しかし究極的には、それは他の国々で信教の自由に反対する活動をしているのと同じ闇の勢力が、日本でも働いていることを明らかにしている。日本の共産主義者は、文鮮明師が日本において共産主義を阻止し打倒する上で効果的な働きをしたことが許せないのだ。実際に彼らは最近、いまは統一運動との「最終戦争」に入ったと宣言した。日本の極右勢力も時流に乗って同じことを始めたが、その理由は彼らが人種差別主義者であり、リーダーが韓国人であるいかなる運動も嫌悪しているということだけでなく、文師とUPFの業績が民主主義を擁護しあらゆる形態の全体主義を非難しているからでもあろう。日本の一部メディアや弁護士たちの動機は、単なる金儲けを含めて様々であるが、彼らの一部はまた、成功して知名度のあるすべての宗教に対して「洗脳」の非難を行う、国際的な世俗的人本主義のイデオロギーを日本に拡散しようとしているのである。

日本の静岡における国際勝共連合のキャンペーン
日本の静岡における国際勝共連合のキャンペーン。1969年8月。Facebookより。

間違ってはいけない。これは安倍を殺した男に関することではない。また単に統一教会に関することでもない。少なくともそれに限定された問題ではないということだ。これは日本の魂の問題であり、信教の自由に関する世界の未来に関する問題なのである。ある者はそれを「良い」宗教のクラブ(それは将来彼らが攻撃される日までのことに過ぎないのだが)に限定し、曖昧な圧力団体が「カルト」と呼ぶことに決定した「悪い」宗教を排除するように、再定義しようと試みるであろう。

宗教の自由の未来は、日本で何が起きるかによって大きく左右されるであろう。その未来は迫害か自由か? 栄光か恥辱か? 私たちは特定のイデオロギーが彼らの答えを押し付けるのを防ぐためにここに集まった。私たちは自分の声を聴いてもらうために、日本で迫害されている者たちの声を聴いてもらうためにここに集まった。もちろん、私たちは負けるためにここに集まったのではない。私たちが一致団結すれば、私たちが諦めなければ、私たちが戦い続けるなら、いつの日か勝利を祝うことができると私は確信している。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ab%e3%81%8a%e3%81%91%e3%82%8b%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e5%8d%b1%e6%a9%9f%ef%bc%9a%e4%bf%a1%e6%95%99%e3%81%ae%e8%87%aa%e7%94%b1%e3%81%ab%e5%af%be%e3%81%99%e3%82%8b/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ14


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

日本の統一教会に対する壮大な魔女狩り 3. 二級市民を作る

11/15/2022MASSIMO INTROVIGNEA

人気のない教会に関わる者は、政治的な生活や人道支援活動からも排除されて当然だ。

マッシモ・イントロヴィニエ

3本の記事の3本目

国会で演説する岸田文雄首相
国会で演説する岸田文雄首相

本連載のこれまでの記事で説明したように、安倍暗殺後の統一教会解散の試みが懸念の主たる要因であるが、日本に蔓延している不寛容のより広範な風潮を示唆する、別の不愉快な差別行為がある。

2022年10月26日、日本最大の政党であり連立政権の主要な構成要素である自由民主党はそのガバナンスコードを改定し、原則5-4を新設した。それは党所属の国会議員に対して、「社会的相当性が懸念される組織・団体」とはいかなる協力もしないように命じるものであった。同じ日に党所属の全国会議員に送られた添状(Bitter Winterはそのコピーを持っている)の主題は「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との関係遮断について」となっており、標的として白羽の矢が立てられたのは誰であるかがはっきりと示されている。その添状の説明によれば、旧統一教会「及びその関連団体」の「会合・行事などに参加すること」および「祝電・メッセージなどを送付すること」、ならびに「選挙及び政治活動」に対する支援を受けることが禁じられるという。

一方で、二級の日本国民というカテゴリーが作られ、彼らは単に宗教的信仰を理由として、最大政党の政治活動に自由に参加できなくなるであろう。また一方で、政治家が自ら相応しいと判断した会合に参加する自由が奪われるであろう。「関連団体」を含めることにより、添状は暗に「ユニバーサル・ピース・フェレデーション」に言及しており、自民党に所属する日本の政治家たちが、数カ国の大統領、首相、およびその他の著名な指導者たちが定期的にスピーチする会議に参加するのを阻んでいるのである。

山際大志郎経済再生担当大臣は、11年前にナイジェリアで行われた統一教会関連団体の会合に参加したことと、2018年に家庭連合の指導者である韓鶴子総裁と短いミーティングを持ったという理由により、10月24日に辞任に追い込まれた。

山際大志郎
辞任に追い込まれた山際大志郎元大臣。

統一教会の「関連団体」に対する攻撃は、いまやパラノイドの域に達している。メディアと左翼政治家の圧力により、外務省はモザンビークで20年以上にわたって学校を運営してきた宝山さんという女性に対する表彰を取り消した。かつて日本大使がその学校を訪問し、それをアフリカにおける日本国民の模範的なボランティア活動として認めた。その表彰が取り消された理由は、宝山さんが世界平和女性連合(WFWP)の理事の一人だったからである。この組織は統一教会・家庭連合の指導者である韓鶴子総裁によって創設されたもので、国連経済社会理事会の総合協議資格を有し、開発途上国における女性を助ける活動によって広く称賛されてきた。

より一般的に、女性連合は行政による中傷や嫌がらせを受けてきた。例えば、10月28日に女性連合の札幌支部は30年間にわたって協力してきた札幌社会福祉協議会の登録を抹消されたという証拠を私は見た。女性連合は家庭連合の宗教活動には関わっておらず、家庭連合のための献金集めも行っていない。明らかに、国連が承認した組織が、単にその創設者と一部のメンバーが信仰している宗教のゆえに、差別されているのである。

もっとある。不寛容と差別の風潮は、ヘイトスピーチによって加速され、ヘイトクライムを生み出さないはずがなかった。

Bitter Winterは中傷キャンペーンによって刺激された信者でない夫による、家庭連合信者の女性に対する家庭内暴力、若い信者たちに対する学校でのいじめ、成人信者に対する職場での嫌がらせに関する証拠を持っている。教会と牧師に対する脅しがあり、しばしば「韓国の」団体に対する人種差別的な侮辱を伴った殺すぞという脅しが、ソーシャルメディアに載せられた。

日本の統一教会員は恐怖の中で暮らしている。安倍の殺人者である山上徹也自身が、ソーシャルメディアで教会に対する非難を開始し、最終的には暴力行為と殺人に訴えたのである。ヘイトスピーチが続くかぎり、ヘイトクライムからの安全地帯はない。

ほとんどの(幸運なことにすべてではない)日本のメディアによって拡散されたヘイトのレベル、反統一教会派の力、政府がそれを恐れるあまり抵抗不能であるという事実、これらはすべて魔女狩りが警戒領域に達した証拠である。日本における宗教または信仰の自由に対する深刻な侵害を解決し、防ぐためには、危機を国際社会に広く知らせる以外に道はない。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。
https://bitterwinter.org/%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e3%81%ab%e5%af%be%e3%81%99%e3%82%8b%e5%a3%ae%e5%a4%a7%e3%81%aa%e9%ad%94%e5%a5%b3%e7%8b%a9%e3%82%8a%e3%80%803-%e4%ba%8c%e7%b4%9a/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ13


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

日本の統一教会に対する壮大な魔女狩り 2. 教会を破滅させる方法

11/14/2022MASSIMO INTROVIGNEA

日本の統一教会を解散させることを目的に、前代未聞の調査が始まろうとしている。

マッシモ・イントロヴィニエ

3本の記事の2本目

岸田首相
岸田首相、法案が統一教会の「被害者を救済」すると発表。スクリーンショット。

本連載の第1回で、安倍晋三元首相が暗殺された後、日本で統一教会(現在は世界平和統一家庭連合と呼ばれる)に対する不寛容が拡大していることを紹介した。不寛容の政治的役割は、嫌われている少数派グループを対象とした差別、すなわち法的・行政的措置を準備することである。

日本の宗教法人法第81条によると、宗教団体の解散を目的とした裁判に発展する可能性がある場合、当該宗教団体の行政調査(質問権の行使)が認められる。解散が命ぜられるのは、宗教法人が「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」場合であり、宗教法人の典型的な目的から「著しく逸脱」している場合である。質問権の行使は、解散事由の疑いが認められた場合にできるのである。

日本では過去に2件、このような解散の事例があった。いずれも宗教法人が刑事事件で有罪となったケースである。反対派が家庭連合に対しても同様の調査を行うべきだと主張し始めたとき、岸田首相は賢明にも10月18日の衆議院予算委員会で、家庭連合もその法的代表者や指導者も、いかなる罪にも問われていないことを明言したのである。また彼は、民事事件で裁判所が認定した民法の規定違反は、解散事由となる「法令違反」に含まれないことを確認した。

しかし、この発言は統一教会反対派やメディアから猛烈な批判を浴び、その圧力で岸田総理は、翌日の10月19日には前言を翻し、刑事事件だけではなく、民事で不適切な行為があったとして規定違反が認定された場合も、宗教団体の調査・解散は可能であると主張したのである。

首相は、安倍元総理暗殺後に設置された旧統一教会に対する苦情を受け付けるホットラインに寄せられた電話をもとに考えを変えたと述べている。しかしこれらの苦情は、記録はされているが検証はされておらず(その内容が真実であれ嘘であれ、誰でも電話をかけることができる)、政府自身のデータによれば、ほとんどが数年前に起きたとされる事件に関するものだ。一方、安倍元総理暗殺前に消費者庁に提出された旧統一教会に関する苦情は、2012年の229件から2015年以降は100件以下、2021年には30件以下と継続的に減少していた。

こうして文部科学省は、家庭連合に対して質問権を行使し、その後、解散命令を求める裁判を行う可能性があると発表した。解散命令の根拠となる「公共の福祉を害する行為」とは、本連載の第1回で取り上げた「小川さん」の話などから、「霊感商法」の疑いや二世会員への虐待などである。

10月25日、メディアは「文化庁が旧統一教会の解散につながる質問権の行使の前に専門家会議を設置する」と報道した。

専門家会議
家庭連合の解散につながりかねない質問権の行使のため「専門家会議」開催。スクリーンショット。

家庭連合は法律を遵守する団体であり、日本支部はすでに当局のいかなる質問にも答え、要求された文書も提供すると表明している。しかし、私は家庭連合のメンバーではないので、この調査が著しく不公平であり、国際人権法のいくつかの条項に違反していると気兼ねなく表明することができる。

まず、前述したように、安倍元総理暗殺事件以前から、消費者庁は宗教団体の不正行為の可能性に関する苦情を集めていた。2021年には、苦情の98%以上が旧統一教会/家庭連合以外の団体に関するものであった。今、家庭連合が特別視されている理由は、反対派とメディアの圧力が、政府にとって政治と選挙に関わる問題を引き起こしたからに他ならない。しかし、ある団体が嫌われていて、(メディアに操られ、圧力団体に影響されやすい)「世論」がその迫害に賛成しているからといって、迫害が正当化されるものではない。

第二に、圧力を受けて考えを変える前の岸田首相が述べたように、犯罪を犯していない宗教団体を解散させる目的で質問権を行使することは、日本の法制史上前例がなく、自由権規約で定められた宗教・信仰の自由に関して日本が果たすべき義務とも矛盾している。

第三に、家庭連合が特別な敵対的扱いを受けている事実と政治家たちの態度は、家庭連合が公正な扱い及びその弁明に対する真摯な考察をほとんど期待できないことを指し示している。家庭連合は推定無罪であるどころか、初めから有罪であると推定されているのである。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。
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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ12


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

日本の統一教会に対する壮大な魔女狩り  1. 虚偽の証言をする

11/12/2022MASSIMO INTROVIGNEA

いわゆる「被害者」たちは政治家やメディアに対して自らの被害を語る。しかし、その親族たちは、それは真実ではないと主張し(証明する)。

マッシモ・イントロヴィニエ

3本の記事の1本目

安倍首相の国葬
安倍晋三首相の国葬で献花をする日本の岸田文夫首相

2022年7月8日、日本の安倍晋三元首相は、統一教会の関連団体に協力したことを理由に成敗したかったと主張する男によって暗殺された。男は、統一教会が過度な献金をさせることによって母親を破産させたと非難した。Bitter Winterの連載記事が示してきたように、統一教会(現在は世界平和統一家族連合と呼ばれている)は、安倍首相とともに、そのリーダーの殺害を計画していた暗殺者の被害者であった。しかし、反カルトのキャンペーンは、被害者と加害者の立場を逆転させ、この犯罪に対する責任が家庭連合にあるということを、ほとんどの日本のメディアや国際メディアに対して説得してきた。

その魔女狩りは今も続いており、こうしたケースではよくあることだが、背教者の元信者によるフェーク・ニュースによって支えられている。日本のメディアは、岸田文夫首相自身が「小川さゆり」という仮名を使う元信者の女性と会う予定であると報じた。彼女は安倍首相が暗殺された後に、8月23日に立憲民主党が主催した会議や、10月7日に日本外国特派員協会で開催された記者会見などで、統一教会を批判する発言を行った。しかし彼女の語ったストーリーは多くの点で明らかに虚偽である。

小川さんが日本外国特派員協会で記者会見を行った際、彼女の両親と家庭連合は連名で、会見の中止を要請した。その理由は、彼女がすでに多くの場所で語ってきたことが虚偽で中傷的であるという事実と、彼女がTwitterで自身を「解離性同一性障害、うつ病、パニック障害」に苦しんでいると記述していたことから、彼女の精神状態をさらに悪化させる可能性があるという親心からであった。これは、家庭連合が勇敢な証人に会見をやめさせようとした証拠として、記者会見中に提示された。しかし小川さんの母親は、25ページの書類が添付された17ページの陳述書に署名しており、そのコピーはBitter Winter が保管している。そこには彼女についての本当のストーリーが綴られていた。

日本外国特派員協会での小川さんの記者会見の広告
日本外国特派員協会での小川さんの記者会見の広告

これは、単に母と娘の語る内容が矛盾しているということではなかった。母親は娘に対して、彼女の証言を裏付ける銀行口座記録など別の書類を出すように要求した。母親の陳述書における主張は関係する証拠によって確認されているが、彼女は何も証拠を提示できていない。

一言でいえば、小川さんは父が元教会長、母が教会スタッフという統一教会の環境下で成長し、宗教団体への献金のゆえに貧困に苦しんでいたという主張をしている。

彼女は学校で組織的にいじめられていた。また、彼女は厳格な両親によって性に対する恐怖心を植え付けられ、彼女が統一教会員ではない男性と一緒に暮らすことにしたとき、両親と絶縁したと主張した。

彼女は、日本と韓国で統一教会の行事に参加したという。しかし、彼女が教育された教義と儀式の不条理な結果として、精神的問題を発症し、入院しなければならなくなった。学生時代にアルバイトで稼いだ給料を親に没収され、彼女が入院中にその預金を両親に引き出され、そのお金は統一教会へ献金された。彼女はいま、統一教会・家庭連合は悪質な団体であると確信していると主張している。彼女は教団の解散と、フランスの法律をモデルにした反カルト法を日本に導入すべきだと訴えた。

後者の要求は、小川さんが反カルト運動によって指導されていることを証明している。安倍首相暗殺の前に、彼女は「カルト」に反対する運動に関心を示したことはなかったし、フランスの法律については聞いたこともなかったはずだ。彼女の話で唯一真実といえるのは、彼女の両親が統一教会に熱心に奉仕していたということだが、牧師をしていたのは彼女の父親だけであった。

小川さゆり
テレビインタビューでの小川さん。スクリーンショット

彼女の母親は、彼女が学校でいじめられていたという話を聞いたことがなかった。母親は、彼女が優秀な学生の全国大会に出場して受賞したことを証言している。これはのけ者にされ、いじめられた子供の像とはまったくかけ離れている。母親は、娘が結婚するまで純潔を保つという理想に基づいた教育を受けたことは認めているが、彼女が教会外で結婚することを決めたあと、両親が彼女と絶縁したというのは事実でないと主張している。彼女の結婚式で、両親が笑顔でお祝いしている様子を写した写真が存在するのである。

母親によれば、小川さんの家庭は常に貧しかったため、たとえしたくても統一教会に高額な献金をすることはできなかったという。成人した子供とその両親との間の金銭問題は常に不愉快なものだが、娘が高校の時にアルバイトでいくらかのお金を稼いだときに、母親は一度だけ小川さんからお金を借りたことがあると認めている。母親は娘から16万円 (いま小川さんが言っている数百万円ではない) を借りたが、これは統一教会への献金のためでなく、小川さんの兄の学費を支払うために使われた。彼女の主張とは全く逆に、彼女の父親と兄は後に借りた金額をすでに返済し、彼女はそれを受け取っている。また彼女が実家を出て、ボーイフレンドと一緒に暮らすためにお金が必要だった数年間、彼女は家族の口座からより多くのお金を勝手に引き出した。

最も重要なことは、彼女の母親の証言によれば、安倍首相の暗殺が起きる前、そして7月12日の全国霊感商法対策弁護士連絡会の記者会見の以前に、小川さんが統一教会を批判したことは一度もなく、両親に対する愛着と愛情の言葉を語っていたというのである。

2017年9月に至っても、すなわち彼女の証言によれば家庭連合を去った後にも、小川さんは教会行事で歌を歌っており、このことは教会に対する彼女の態度が敵対的ではなかったことを証明している。小川さんが元統一教会信者の活動家であると自己紹介し、虐待と被害に対する補償として両親に金銭を要求し始めたのは、2022年7月以降のことである。

彼女の話は常に変わり続けた。そして彼女は、統一教会の指導者からセクハラを受けたことがあり、そのことを母親に報告したと付け加えたが、母親はそのような話を彼女からは聞いたことはなかったと主張している。また彼女は、両親は明らかに家庭連合が非難されている「霊感商法」または高額献金の被害者であり、一時期統一教会員が多額の献金をしたときに受け取っていた工芸品をいくつか実家で見たと主張した。

しかし母親は、家族が高額な商品を購入するためのお金を持っていなかったことと、既に亡くなった信徒からお金を払わずに工芸品のいくつかを受け継いだことを小川さん自身が知っていると主張している。

小川さんはまた、一夜にして統一教会の問題の専門家になり、彼女が生まれるかなり前に文師が行った説教で、「統一教会に献金するために日本の信者にお金を借金してでも、体を売ってでもするよう」勧めたという言葉を引用した。文師がそのようなことを語ったことはない。彼女が言及した説教は韓国語で行われたものであり、文師は韓国人の男性信者(日本人ではない)に、一般的な韓国の表現を使って、教会の仕事に「身も心も」捧げるように促したのであって、これは売春とは何の関係もない。小川さんは1988年の説教に言及していたが、彼女は1995年生まれだった。明らかに、彼女はその説教を直接聞くことはできなかったし、彼女を「操っている」反カルト運動から聞いたことを繰り返しているに過ぎない。彼女は、父親が自身の説教でこれらの言葉を引用したと主張して、この反論に答えようとした。しかし、彼女の父親はそれをきっぱりと否定し、小川さんが参加していたのは子供や学生向けの礼拝であり、そこでは献金に関わることはまったく語られないと述べている。

小川さんが精神衛生上の問題を抱えていることを思えば、彼女がメディアに嘘を広めた責任は部分的なものに過ぎないと私は信じる。より責任が重いのは、彼女の状態を利用し、統一教会・家庭連合に対するキャンペーンの武器として、彼女を利用した者たちである。

山上徹也
安倍元首相の暗殺者、山上徹也、高校の卒業アルバムから。ツイッターより。

間違ったストーリーが語られるのは、小川さんのケースだけではない。安倍元首相の暗殺者である山上自身の問題は、すべて統一教会への彼の母親の献金のせいにされている。しかし彼女の親戚が統一教会に抗議したとき、統一教会のメンバーが彼女の献金額の50%を、彼女と山上徹也を含む家族に返金し、それ以上の請求をしない旨の承諾書に署名したことは、決して言及されない。また、山上の問題が父親の自殺に由来していることも語られないが、これは母親が統一教会に入信する以前に起こったものであり、教会とは無関係であった。

配偶者が旧統一教会の信徒であり、教会に高額献金したために家庭が崩壊したと主張する、もう一人のいわゆる「被害者」の話は、当の配偶者の話と矛盾している。彼女はしばしば家庭内暴力があったと、まったく異なるストーリーを語っている。このシリーズの次の記事で説明するように、これらのフェーク・ニュースはすべて家庭連合の法的な解散を目指したキャンペーンを促進するために利用されているのである。

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ11


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

統一教会:国連で再び問題にされた日本

11/08/2022MASSIMO INTROVIGNEA

安倍晋三元首相の暗殺後に続いている人権侵害の状況に抗議する声明が新たに自由権規約人権委員会に提出された。

マッシモ・イントロヴィニエ

ティエリー・ヴァッレ
CAP-LCのティエリー・ヴァッレ会長

安倍晋三元首相が暗殺されてから、日本では統一教会・家庭連合の信者たちの宗教・信条の自由に対する侵害状態が鎮静化せず、世界の人権コミュニティも沈黙していられない。

 当初の「提議」に続いて「補足声明」が出され、新たに2通目の「補足声明」がCAP-LC(良心の自由のための団体および個人の連携)から、国連の自由権規約人権委員会(HRC)に発出された。CAP-LCという非政府組織は、国連・経済社会理事会から「特別協議資格」を認定されている。

 今回の「補足声明」によれば、目下日本で起きていることは、日本が「市民的および政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」と、その違反を審査するHRCの権限を認めた「オプション議定書」の両方を批准しながら、それらに違反している新たな証拠を示しているという。

 「Bitter Winter」の研究発表に依拠した「補足声明」は、統一教会(現在は「世界平和統一家庭連合」、FFWPU)の関連団体の行事に参加した安倍元首相を成敗したかった、と主張する山上哲也なる男によって、同元首相が7月8日に暗殺されたと指摘。山上によれば、2002年に彼の母親が統一教会に過度な寄付をした後に破産したことが犯行の動機につながったという。彼はまた家庭連合の指導者・韓鶴子博士の暗殺も企てていた。

 安倍氏とともに統一教会は、あの犯罪の標的であり被害者だった。にもかかわらずCAP-LCによれば、日本国内で数十年間も教会に反対運動をしてきた反カルト勢力は、話の筋を引っ繰り返し、統一教会が被害者ではなく、安倍氏暗殺に何らかの責任を負っているとメディアや政治家の一部を説き伏せた。

 CAP-LCが発出した2番目の「補足声明」では、いわゆる「ローマ・モデル」を引き合いに出している。これは2011年9月12日のローマでキリスト教徒への不寛容と差別の問題を討議した際に、OSCE(欧州安全保障協力機構)が提出し、その後の数年間に学者たちや非政府機関によって承認された見方だ。

 CAP-LCの説明によると、「それは不寛容から差別、差別から迫害に滑り落ちる3段階のモデルだ。人気のない少数派グループへの攻撃は不寛容から始まる。決まり文句で嘲笑され、さらに有害だ、悪だ、人々の幸せや調和の邪魔だ、などと決めつけられる。大概、不寛容はメディアを操れる圧力団体によって広められる。この「ローマ・モデル」によれば不寛容に続いて、法的手続きによる差別が進められる。そこには邪悪な理屈が支配している。特定のグループ・団体が社会と公共の調和を脅かす場合、社会はそれに対して法律上または行政上の措置を採る必要がある。圧力団体が新法を導入し、行政上および法律上の措置を導入する態勢ができて、不寛容の渦巻は差別から迫害へと進む。差別によっても社会的に好ましくない少数派を抑制できなければ、ヘイトスピーチとともに激高した一部の人々が法律を勝手に解釈して、その少数派に身体的暴力を行使するのは珍しいことではない。

2011年9月12日ローマOSCE会議
2011年9月12日、ローマOSCE会議。左から右へ、役職は全て当時のもの。人種差別、外国人排斥、宗教的不寛容と闘うOSCEの代表だったマッシモ・イントロヴィニエ。OSCEのランベルト・ザニエ事務総長、バチカンの国家大司教(現在の枢機卿)ドミニク・マンベルティ。

明らかに「日本の民主的な政府を全体主義の政府と対比できない」と注意書きしながら、CAP-LCは「ローマ・モデル」が言う「不寛容の渦巻」の典型として、ナチスドイツにおけるユダヤ人の状況に触れている。ユダヤ人は「書物や風刺画で攻撃され(不寛容)、法律によって差別され(差別)、遂にアウシュビッツが来た(迫害)。」

 CAP-LCの見るところ、「不寛容は差別と違って、自由権規約違反にならない。国家権力が差別を課し、民間人や圧力団体やメディアが不寛容を拡散する。しかし国家機関が不寛容を促し、名誉と評判に関する権利(自由権規約第17条)、宗教・信条の自由(自由権規約第18.1条)、非差別(自由権規約第26条)などの規定に違反する場合がある」という見解は反駁されるかもしれない。

これらの違反要件に含まれる事実として、統一教会の最も過激な反対者の一人である紀藤正樹弁護士が、同教会を調査する消費者庁の委員会に政府から任命されていた。CAP-LCはさらに岸田文雄首相自ら、統一教会を誹謗中傷する先頭に立っている女性「背教者」に会うと発表することで、彼女の偽情報キャンペーンを正当化した。

 CAP-LCが注目しているのは、問題が実はもっと広範なものだという点だ。反カルト連中と背教メンバーたちによって喧伝された物語は、統一教会側が弁護する機会も許されないまま、当局に鵜呑みにされて伝播されている。これも然るべき手続きを求めている自由権規約第14条に違反している。

 「統一教会(および他の新宗教)に否定的な元信者たちの陳述と、その後の綿密な調査と客観的な分析を通じて明らかにされた実態との乖離は、宗教社会学の諸文献でよく見かけることだ。米国のデビッド・ブロムリー氏と故アンソン・シュープ氏の業績が明らかにしているが、統一教会を去る人々の多くは、家族、友人、メディアそして“反カルト主義者”、さらに監禁など強制手段を駆使する“ディプログラマー”などが混然となった圧力を受けて、一時は肯定的だった教会体験を、否定的に再解釈するようになる。中にはメディアを通じ教会にあけすけな反対を表明して、いわゆる “反カルト運動”に加わるよう説得された人もいる。」

デビッド・ブロムリー
社会学者デビッド・ブロムリーは1998年に、背教者に関する意義深い研究を発表した。

 こうした人々は社会学者が「背教者」と呼ぶ元信者だ。しかしCAP-LCが指摘するように、「ブロムリー氏などの研究によって、特定の宗教を離れる人々のほんの僅かしか“背教者”にはならないことが証明されている。元信者の大半は別の信仰体験を求めて移っていくのであり、離れたばかりの宗教を公に攻撃しないという。“背教者”とは、反カルト勢力に動員され、メディアと接点を持たされた一握りの元信者で、社会学者が”悪趣味な話”と称するものを吹聴し満足している。

 他の国々での先例や学術的批判を無視して、日本の当局者は“背教者”たちを、統一教会に関して免責特権を持った情報源と見なしている。

 CAP-LCは次のように要求している、「国連自由権規約人権委員会は、これまで日本政府が行ってきた家庭連合の調査における重大な欠陥に関して、日本当局の注意を喚起することを真剣に検討し、特に犯罪が確定するまで推定無罪の要件や、適正な手続きを踏む権利、および調査されている人々に突き付けられている証拠などに異議を唱える権利など、FFWPUを扱う将来の取り扱い方について、自由権規約に基づく義務をしっかり遵守するよう求める。」

 「ローマ・モデル」によると、不寛容に続くのは差別、「つまり不人気な少数派を標的にした法律上および行政上の措置」である。そうした措置は目下、統一教会/FFWPUに対する法人解散の訴訟を検討する特別委員会の設置にまでエスカレートしようとしている。

 CAP-LCによると、その委員会の組織のされ方は、「自由権規約第14条に反している」という。家庭連合は推定無罪ではなく(自由権規約第14・2条)、プロセスの当初から有罪と推定されているからだ。

 政府の一部でない政党でも憲法上の役割を担っているのだから、自由権規約の原則も尊重すべきだ。日本では与党の自由民主党が、「活動の社会的相当性が懸念される組織・団体」と協力することを禁止する旨のガバナンスコード改正を行い、この「組織・団体」とは統一教会/FFWPUと、その関連組織を意味すると説明した書簡を、同党の全国会議員に送った。CAP-LCによると、「これは結社の自由に関する自由権規約第22条と、政治参加の権利に関する自由権規約第25条の甚だしい違反だ。」

自民党本部
東京にある自由民主党本部。

 統一教会と密接な関係のあるUPF(天宙平和連合)やWFWP(世界平和女性連合)は、両方とも国連に認知されているが、その創設者と(一部の)信者の宗教的信念を理由に差別されている事実は、自由権規約第2条と第18条に違反している、とCAP-LCは指摘している。

 CAP-LCは結論として、「ローマ・モデルが第3段階と称した迫害は将来やって来る、と述べて終わりたい。目下の差別の段階で統一教会への取り締まりを停止すれば、まだ避けることができる。しかし、それは半面の真実だ。FFWPUはまだ解散させられておらず、信者の誰一人有罪になったり逮捕されていない。しかしヘイトスピーチに煽られた不寛容と差別の雰囲気は、ヘイト犯罪を生み出しやすい」と書いている。CAP-LCは家庭連合の帰依者や施設に対して口頭または身体的な暴力が加えられた事例をリストアップしている。

 「国連人権委員会による介入が、これまで以上に喫緊の事態になりつつある!」と、CAP-LCは結んだ。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。
https://bitterwinter.org/%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%ef%bc%9a%e5%9b%bd%e9%80%a3%e3%81%a7%e5%86%8d%e3%81%b3%e5%95%8f%e9%a1%8c%e3%81%ab%e3%81%95%e3%82%8c%e3%81%9f%e6%97%a5%e6%9c%ac/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ10


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

国連:統一教会に対する人権侵害で被告席に着く日本

10/17/2022MASSIMO INTROVIGNEA

自由権規約人権委員会に対する追加提案がなされる

マッシモ・イントロヴィニエ

自由権規約人権委員会
開会中の自由権規約人権委員会。Twitterより。

国連自由権規約人権委員会は、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)が締約国によって履行されているか否かを監視する機関である。2022年10月10日から11月4日にかけて、同委員会はジュネーブで第136回総会を開催している。この総会で自由権規約の遵守が審査される国の中に、日本がある。

国連経済社会理事会(ECOSOC)の協議資格を持つNGOによって提出され、総会において議論されているの文書の中に、CAP-LC(良心の自由のための団体と個人の連携)によって提出されたものがある。それは日本において安倍晋三元首相の暗殺以降、現在「世界平和統一家庭連合」として知られている、統一教会に対して行われた自由権規約の違反について論じている。このテーマについては一連のBitter Winterの記事で詳細に論じてきた。

安倍は統一教会の信者になったことがない男によって殺された。彼の母親は20年前に破産し、彼はそれが起きたのは母親が教会に対して行った過度の献金のせいであると非難した。彼は安倍元首相が統一教会の関連団体のイベントにビデオを通して参加し、別のイベントに書簡を送ったことを理由に、安倍を成敗しようと決意した。殺人犯はまた、統一教会のリーダーの殺害も計画した。安倍と同様に、統一教会は明らかに事件の被害者であった。

ところが、日本には統一教会に敵対する組織が存在し、彼らはこの宗教団体が殺人に対してなにがしかの責任があるという世論を形成することに成功した。その屁理屈は、もし彼の母親が統一教会に献金をして(2002年に)破産しなかったら、殺人犯は(2022年に)安倍を殺さなかったはずだ、というものだ。

CAP-LCが自由権規約人権委員会に最初の提案を行って以降も、日本における統一教会・家庭連合に対する人権侵害は継続してきた。CAP-LCはこのたび追加提案を行い、その中で「状況は悪化している」と述べた。

提案書の前半部分は、消費者担当大臣の河野太郎氏によって招集された、消費者庁のいわゆる専門家委員会に費やされている。それは既に活動を開始しているが、8名の委員の中に反統一教会の「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の主要メンバーの一人である紀藤正樹氏が入っている。CAP-LCは「弁護士の一人は過去に、統一教会の成人信徒を強制的に『棄教』させる目的で、拉致・監禁という違法行為に従事した『ディプログラマー』を弁護したことがある」と述べている。その一方で、委員会のメンバーには宗教学者は一人もいない。

ソウルでの抗議集会
日本における中傷と差別にソウルで抗議する統一教会の信者

CAP-LCは「必要なら最終的な取り締まりを国務大臣に任じることによって、反対勢力は統一教会問題の『最終解決』を促す手順として同委員会を利用しようとしている」と論じている。提案書はこの目的を達成するために用いられる三つの戦略について述べている。

第一に、「統一教会・家庭連合が団体としても、その全国レベルの指導者たちも何らかの罪に問われて有罪判決を受けたことがなかったとしても」、統一教会・家庭連合の解散を請求することである。

第二に、同委員会は「宗教団体への不当な献金」を制限できる法改正を提案する計画だ。委員の一人、菅野志桜里氏の説明によれば、「まともな宗教団体」と「まともでない宗教団体」を区別するために、献金に関する法改正が必要なのだという。提案書は以下のように説明する。「CAP-LCが数十年近く宗教や信条の自由を擁護してきた経験によれば、例外なく曖昧な言葉使いから差別が助長されていくことを学習してきた。日本の当局は一体、如何なる基準に則って宗教が 『まとも』か否かを決めようとしているのだろうか。宗教が『まとも』だとは、どういう意味なのか。そもそも行政当局に宗教の是非を判定する権限があるのだろうか。」

報告によれば、同委員会は「信者の精神的な恐怖感に訴えて献金を督促したり、個人が合理的な意思決定のできない状態で献金を要求する」ことを禁止する計画であるという。CAP-LCは「『合理的な意思決定』という概念は曖昧なものだ。知的能力に障害がある個人からの献金は、日本の法律でも無効とされる。もし献金した者に知的能力があれば、その個人の意思決定を「不合理なもの」と決めつけることは、すでに信用を失い疑似科学とまで呼ばれた洗脳理論によるか、『まともでない』宗教へのあらゆる献金は当然不合理だと含意することとなり、循環論法に陥る」とコメントしている。

「信者の精神的な恐怖」については、CAP-LCは「永遠の救いを失うかもしれない畏怖感は、一神教の構成要件」であり、他の宗教にも見出すことができると記している。「これは統一教会に特殊なものなどではない。精神的な畏怖が有する健全な意義を説く人々を法律で規制したら、ほとんどの宗教を法律で規制することになるはずだ。」

CAP-LCはさらに、「あまり問われてこなかった疑問の一つは、献金が如何なる目的で使われているかだ。この疑念は無意味なものではない。メディアおよび反対勢力は、統一教会への献金は指導者を富ませているだけだ、という長年の反宗教論争に必ず持ち出される決まり文句を持ち出そうとしている。実際には、統一教会が日本で集めたお金は様々な慈善目的に広く活用されており、その中には、東京にある病院の建設・装備・保守や、日本で起きた津波・地震などの救援活動、さらにはアフリカのいくつかの診療所、その他の慈善事業に活用されてきた。」と述べている。

統一教会攻撃の三つ目のツールは、「両親が教会への信仰を二世の子供たちに教育することは『児童虐待』に当たる、との主張だ。」CAP-LCは、「その証拠として例えば、両親とも教会活動で忙しく子供をほったらかしにしていた事例や、統一教会に両親が関与していたために子供が鬱病を発症した事例が挙げられた。統一教会に所属する別の両親は、娘や息子の恋愛生活に干渉したことで非難された。」と報告している。

CAP-LCは、「『児童虐待』とは身体的または性的暴力を指した、極めて特定された法的用語だ。親が仕事その他の事情で忙し過ぎたとか、子供の恋愛関係を制限しようとするのは、明らかに子女が両親に向って頻繁に発する苦情で、それらが事実だとしても『児童虐待』には当たらない。統一教会について含意されているのは、子供たちを『まともでない』宗教に付き合わせることが自動的に『児童虐待』に相当する、という主張だ。明確なのは、この種の議論はあらゆる不人気な宗教的マイノリティに対しも利用可能だということだ。」と反論している。

実際、CAP-LCは「他の宗教もこのことを認識しつつあり、日本が宗教の自由に関する自由権規約の義務を無視しかねないことを懸念している。」と記している。「日本の統一教会に向けられた差別について我々が自由権規約人権委員会に提出した最初の提言が、ローマ教皇庁外国宣教協会の公式通信社「AsiaNews」を通じて読者に提供されたが、これは非常に重要だと考える。」

AsiaNews
CAP-ILCが自由権規約人権委員会に提出した提言を報道するAsiaNews

新しい提案書の後半部分は、市民がいわゆる「霊感商法」や統一教会によるその他の好ましくない行為に対して苦情を述べることができる、消費者庁が立ち上げた電話相談について言及している。この電話相談は9月30日まで機能する予定であったが、その業務は無期限に延長された。

CAP-LCは、この電話相談の差別的性格を証明するような消費者庁ならびに法務省のデータを引用している。

提案書の説明によると、初めの一連のデータは「2012年から2021年までに消費者省が受け付けた、いわゆる『霊感商法』に関する苦情だが、一般的なものと、統一教会・家庭連合を名指ししたものが併記されている。」これらのデータが示しているのは、「同庁が受けた『霊感商法』への苦情のほんの一部が統一教会関連であったことで、2021年にその割合は1.87%に過ぎなかった。・・・統一教会・家庭連合以外への苦情が全体の98%以上を占めている」。

データはまた、「統一教会が信者たちに現行法規をしっかり理解・遵守させるために採った措置は著しく効果があり、反対派が主張するように単なる表面的なものではなかったこと」を裏付けている。「統一教会に関する苦情は2012年の229件から2015年以降の100件未満に、そして2021年には30件未満にと、一貫して減少していた。」

予想通り、安倍暗殺と全メディアによる反統一教会キャンペーンの後の2022年9月には、電話相談により多くの苦情が寄せられた。9月5日から22日までに受信された1,952件の苦情のうち、1,317件が統一教会に関するものであった。政府によると、70%は「金銭トラブル」に関するもので、「霊感商法」も入っていた。

CAP-LCは、「もし大学生たちが電話サービスで利用されたような手法で調査を実施したら、当然のことながら、彼らの担当教師に嘲笑されるだろう。同サービスはそもそも一方的に質問サンプルを作成しているだけでなく、統一教会の敵対者に容易に操作されやすい。さらに、電話をかけてきた人が名乗る通りの人かどうか、その苦情が真実か、誇張されたものか、捏造されたものなのかを確かめる手段がない。」とコメントしている。

それでも、政府の報告によれば、「電話をかけた人の7.5%が宗教運動内の批判的な信者だと主張し、24%はその運動の元信者であると言い、そして残り、すなわち電話してきた人の大半は親戚や友人、または懸念している一市民だと名乗った。また苦情を申し立てた人の65%は、10年以上前のことか、日付を特定できない事例について報告していた。」

CAP-LCの結論は以下のようなものだ。「電話相談サービスにかけられた電話は何も証明しておらず、証明しているのは統一教会に対する魔女狩り状態が日本で進行していることだ。しかも統一教会は専門委員会が進められている間、自らを守る手立てを何ら与えられていない。そして同省のデータが示すように『霊感商法』への苦情は、統一教会以外の団体に関するものが圧倒的であった事実、そして統一教会が長年にわたり、苦情を受ける件数を大幅に減少させるのに効果的な措置を講じていたという事実などは無視されているのだ。」

抗議の別の画像
ソウルにおける統一教会による抗議の別の画像

追加の提案書には、統一教会・家庭連合のメンバーに対する暴力や差別に関する新しい事例が加えられており、その中には統一教会・家庭連合の指導者である韓鶴子女史によって創設された、国連経済社会理事会の総合協議資格を持つ世界平和女性連合(WFWP)のメンバーも含まれている。CAP-LCは「これらの事件はジェンダーの要素も入り込み、女性の国際的地位を引き上げようとする業績が国連に再三評価されている団体を差別しているので、特に憂慮すべきだ。」とコメントしている。

「我々がインタビューした証言者たちは、日本政府が彼女たちの権利を実効的に保護していないと強く感じていた。ソーシャルメディア上で誹謗中傷をしていた一人は、消費者庁の専門委員会のメンバーで弁護士の紀藤正樹その人だ。WFWPに関わっていたとして虐待された経験を持つある女性によれば、政府の態度は被害者に対してよりも、誹謗中傷や差別行為を犯している人々への共感が強いように見えたという。」とCAP-LCは報告している。

「まことに残念なことだが、日本での状況は日々悪化している。統一教会・家庭連合をめぐるヒステリー状態は、日本における人権・宗教・信仰の自由を守るために設定された自由権規約の防護壁を破りかねない。」とCAP-LCは結論している。

自由権規約の締約国として、いまこそ日本は国際社会の厳しい監視に直面すべきだ。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。
https://bitterwinter.org/%e5%9b%bd%e9%80%a3%ef%bc%9a%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e3%81%ab%e5%af%be%e3%81%99%e3%82%8b%e4%ba%ba%e6%a8%a9%e4%be%b5%e5%ae%b3%e3%81%a7%e8%a2%ab%e5%91%8a%e5%b8%ad%e3%81%ab%e7%9d%80%e3%81%8f/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ09


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

日本と統一教会:国連自由権規約人権委員会に対する提訴

09/24/2022MASSIMO INTROVIGNEA

安倍暗殺後の統一教会に対する攻撃は、市民的及び政治的権利に関する国際規約の複数の条項に抵触する。

マッシモ・イントロヴィニエ

ティエリー・バレ
CAP-LC会長のティエリー・バレ。国連にて。

国連自由権規約人権委員会は、市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)が締約国によって履行されているか否かを監視する機関である。2022年10月10日から11月4日にかけて、同委員会はジュネーブで第136回総会を開催する。この総会で自由権規約の遵守が審査される国の中に、日本がある。

国連経済社会理事会(ECOSOC)の協議資格を持つNGOによって提出され、総会において議論される予定の文書の中に、CAP-LC(良心の自由のための団体と個人の連携)によって提出されたものがある。

それは日本において統一教会に対して行われた自由権規約の違反について論じている。CAP-LCはメディアにおいて最も多く使われているという理由で「統一教会」という名称を用いてきたが、同教会は現在「世界平和統一家庭連合」として知られている。安倍晋三元首相の暗殺以降、統一教会・家庭連合の法人としての権利と、その会員ならびに関連団体のイベントに参加した者たちの個人としての権利の両方が、日本において侵害されてきた。

Bitter Winterのシリーズ記事で論じてきたように、安倍は統一教会の信者になったことがない男によって殺された。彼の母親は20年前に破産し、彼はそれが起きたのは母親が教会に対して行った過度の献金のせいであると非難した。彼は安倍元首相が統一教会の関連団体のイベントにビデオを通して参加し、別のイベントに書簡を送ったことを理由に、安倍を成敗しようと決意した。殺人犯はまた、統一教会のリーダーの殺害も計画した。安倍と同様に、統一教会は明らかに事件の被害者であった。

ところが、日本には統一教会に敵対する組織が存在し、彼らはこの宗教団体が殺人に対してなにがしかの責任があるという世論を形成することに成功した。その屁理屈は、もし彼の母親が統一教会に献金をして(2002年に)破産しなかったら、殺人犯は(2022年に)安倍を殺さなかったはずだ、というものだ。

「カルト」というレッテルを貼られた団体に対するものであればほとんどすべての中傷を信じる傾向にあるメディアの状況下では、この間違った議論が真剣に受け止められ、自由権規約の下で保障された統一教会ならびにそのメンバーの権利に対する深刻な侵害が起きたのである。

CAP-LCはまず、プライバシー、名誉、信用を保護する自由権規約第17条および第19条3aの違反を非難する。CAP-LCは、統一教会は「全国霊感商法対策弁護士連絡会」によって最も多く中傷されたと指摘している。それは統一教会と闘うという特定の目的で作られた組織である。そこに所属する弁護士の中には、以前に「ディプログラマー」の弁護に関わった者たちがいる。「ディプログラマー」とは、両親によって拉致され違法に監禁された統一教会の成人信者を「棄教」させようとした、「信仰破壊者」のことである。日本の法廷は、最終的には西洋の法廷と同様にディプログラミングは違法であると判断した。しかし連絡会の弁護士らは、彼らが「霊感商法」と呼ぶものによって統一教会が不正に献金を集めていると訴え、法的措置によって統一教会を中傷・攻撃し続けているのである。

韓国における抗議集会
韓国ソウルでの集会で、日本における統一教会への差別と中傷に対する抗議が行われた際、参加者はディプログラマーによって12年間監禁された統一教会の日本人信者である後藤徹の写真を掲げた。彼が解放されたとき、栄養失調のために動くことができなかった。

CAP-LCは、いわゆる「霊感商法」のストーリは、弁護士連絡会によって中傷と偏向に満ちた語られ方をしていると指摘する。より詳細に調べれば、献金に関する統一教会の実践は、その他多くの宗教とそれほど異なってはいないのである。

弁護士連絡会は民間団体であるが、CAP-LCは以下のように指摘する。「大きな懸念をもたらすのは、あきらかに偏見のない組織でも宗教の自由に友好的な組織でもない連絡会の弁護士が現在、消費者庁と担当大臣によって招集されたものを含む、当局の『専門家委員会』に参加していることだ。それは統一教会に対するさらなる対策を示唆している。」

宗教の自由に敵対的な団体と提携することにより、日本政府は自由権規約の義務に違反しているとCAP-LCは論じている。「私たちは、すでに制限的である2000年の法律を、寄付金の募集も同じように禁止するために改正すべきだという日本国内の提案が真剣に検討されているという事実と共に、統一教会への寄付を阻止する狙いを明確に表明する声が聞かれる前述の公式委員会に深い懸念を抱いている。これは明らかに多くの自由権規約の条項に違反することになる。それらは宗教または信条の自由(第18章)、差別の禁止(第26条)、そして結社の自由とその運営に必要な資源を入手する権利の不合理な制限(第22条)を含む。特定の宗教への寄付は、この宗教が『サイキック・マーケティング』と呼ばれるものを実践しているという考えに基づいて、他の宗教への寄付とは異なった扱いを受けることになるだろう。それは国際的な宗教学者には知られていない、『洗脳』という信用を失った疑似科学的な考えを隠した奇妙なレッテルである。」

CAP-LCは続けてもう一つの懸念の理由を表明する。「私たちはまた、2022年9月5日に政府が運営する『電話相談サービス』が開始されることにも懸念を抱いている。このサービスを通して担当者は、統一教会との『トラブルを経験している』人々を、『法的な支援を提供する人々を含む専門的な相談機関』に誘導する。おそらく、それは反統一教会の弁護士を意味している。このサービスが統一教会に関してのみ提供され、やはりそのメンバーが『トラブルを経験している』かもしれない無数の他の宗教的(そして非宗教的)グループには提供されないという事実は、自由権規約によって禁止されている差別の明確な事例である。

抗議集会を報道するメディア
統一教会がソウルで行った、日本における中傷と差別に対する抗議集会を報道する地元および海外のメディア

自由権規約第25条は、性別、民族、宗教に関わらず、すべての市民に対して政治に参与する権利を保障している。日本においては、政党が選挙のボランティアに統一教会の信者を入れることを防ぐべきであるとか、同協会と関連のある団体のイベントに政治家が参加することを禁止すべきだとの提案がなされることにより、この条項にも違反している。CAP-LCはまた、「メディアのキャンペーンに怯えて、構成員にUPF(安倍がビデオとメッセージを送った統一教会に関連のある組織)あるいは統一教会と協力しないように求める政党の行動もまた、自由権規約第25条に違反している。民主主義体制においては、政党もまた、彼らの活動や声明において自由権規約を尊重すべきである。」と述べている。

CAP-LCは続けて以下のように述べている。統一教会の個々の日本人信者は、「個人の安全(自由権規約第9条)や職場、学校、そのほかの教育施設において彼らの信条を理由として差別されない(自由権規約第18条3)彼らの権利の侵害を経験している。」これは大量に拡散された彼らに対するヘイトスピーチの結果であり、状況は日増しに悪化している。CAP-LCは、「安倍の暗殺から8月20日までの間に、日本統一教会は教会、組織、個人に対する400件以上の嫌がらせがあったことを記録した。しかし、それはいまも継続中であり、おそらくその数はもっと多いであろう。なぜなら、地方で起こるすべての事件が必ずしも本部に報告されるわけではないからだ。」と報告している。

統一教会の礼拝場所に対する攻撃に加え、個人もまた被害を被っている。CAP-LCは以下のような例を挙げている。「7月18日に群馬県の女性信者は彼女の息子から暴行を受け、肋骨が折れたと病院に通報した。7月23日には愛知で、夫が統一教会の敷地内に侵入し、そこで妻を殴打した。8月16日には長野で女性信者が統一教会を離れることを拒んだために夫からひどく殴打された。いくつかのケースでは、信者たちは教会信者ではない配偶者から離婚すると脅された。中には離婚手続きが実際に開始されたケースもある。息子と嫁と同居していた群馬県のカップルは、彼らが統一教会を去ることを拒んだために、7月15日に家から追い出された。多くの信者たちが彼らの配偶者あるいは他の親族が統一教会の文献を破ったり、なかには携帯電話まで破壊して、教会との通信を妨害しようとした者もいたと報告した。」

リストの読み上げ
ソウルでの抗議において、統一教会の信者が日本の教会に対する差別と迫害の行為のリストを読み上げた。

この迫害のより広い背景は、統一教会のような「カルト」は本物の「宗教」ではなく、信教の自由を享受する資格がないとの主張によって日本に蔓延している、宗教もしくは信条の自由を謳った自由権規約第18条に対する違反である。フランスにおいて広く非難を浴びた2001年の反セクト法(About-Picard law)に似た反カルト法を日本が導入し、フランスがしたように、「カルト」に対する献金は贈与ではなく収益として課税すべきだとの提案がある。このような提案をする者たちは、フランスは「カルト」に対する献金に課税しようとした訴訟において、欧州人権裁判所で敗訴し続けてきたことを無視している。フランスは三つの異なる運動に対して、彼らがすでに支払った税金に利息と訴訟費用をプラスして返金しなければならなかった。

CAP-LCの結論は、こうしたことはすべて自由権規約によって許されておらず、日本は自由権規約に署名した際に表明したコミットメントが、世論という変わりやすい風の人質になってはならないことを思い出すべきだ、というものだ。表現の自由を尊重しつつ、日本はヘイトスピーチならびに少数派の宗教に対するメディアの差別に関する国連およびその他の国際機構からの文書を考慮して、そのメディアをも規制すべきだ。

CAP-LCは「日本における統一教会・家庭連合の信徒たちの継続する苦しみを考慮して、これらの問題が自由権規約人権委員会によって緊急に取り上げられることを希望する」と表明した。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。
https://bitterwinter.org/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%A8%E7%B5%B1%E4%B8%80%E6%95%99%E4%BC%9A%EF%BC%9A%E5%9B%BD%E9%80%A3%E8%87%AA%E7%94%B1%E6%A8%A9%E8%A6%8F%E7%B4%84%E4%BA%BA%E6%A8%A9%E5%A7%94%E5%93%A1%E4%BC%9A%E3%81%AB%E5%AF%BE/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ08


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

「カルト」:フランスの法律は日本のモデルか?

09/20/2022MASSIMO INTROVIGNEA

フランスの反セクト法は、外国に輸出されるよりもむしろ国内で廃止されるべき失敗し誤った法律である。

マッシモ・イントロヴィニエ

二コラ・アブとカトゥリーヌ・ピカール
ニコラ・アブ (Twitterより)とカトゥリーヌ・ピカール

統一教会・世界平和統一家庭連合に反対する者たちは安倍晋三元首相の暗殺を利用、あるいはむしろ悪用して、「カルト」に対抗する法的手段が必要であると主張しており、フランスで2001年に制定された反セクト法(About-Picard law)に似たようなものを日本に導入しなければならないと提案している。

私はまさにこの物議を呼んだ法律の採択をめぐる議論に加わった者の一人であったが、それが起こったのは20年以上も前のことである。そもそも反セクト法とは何であり、それがどのように生じたのかを手短に説明する必要がある。1994年、1995年、そして1997年に「太陽寺院」として知られる秘密主義の新宗教運動が、スイス、フランス、およびカナダのケベック州で数十名の命を奪う集団自殺および殺人を組織的に行った。この事件はフランスですさまじい感情を引き起こした。それは犠牲者の多くがフランス人であり、グループのメンバーの中には裕福な専門職の者もいて、彼らのストーリーを典型的な「取るに足らないカルト」の一つとして片付けることが困難だったためである。

フランスでは、「太陽寺院」による最初の自殺および殺人事件の後、「カルト」(フランス語では「セクト」と呼ばれる)について調査する議会委員会が設置された。その報告書は1995年に発表された。この報告書はおもに二つのことを提案しており、それは「カルト」と闘うための省庁間機関を設けることと、新たな反カルト法を通過させることであった。その機関は1996年に設立された。それがさまざまに形を変えて、今日のMIVILUDES(セクト的逸脱行為関係省庁警戒対策本部)となったのである。

MIVILUDESは「カルト」に関するレポートを定期的に発行しているが、それらは曖昧で厳密さを欠くとして、かなりの批判を浴びている。例えば同対策本部は、フランスには500の「カルト」と50万人の「カルトの被害者」がいるという自身が示している数字がメディアによって頻繁に繰り返され引用されているが、それが1995年、2006年、および2010年の古いテキストから来るものであり、それらは発行された時点ですでに議論の余地のあるものであり、MIVILUDESのレポートにおいてさえ正しく引用されておらず、もちろん十年以上前のことについて言っているということを、最近になって認めたのである。

MIVILUDESの方法論は、それが毎年受け取るさまざまな「カルト」に関する「通報(フランス語で“saisines”)」に基づいている。この「通報」は、「カルト的逸脱」を非難する目的でMIVILUDESに手紙を書いたり、ウェブフォームを使って送られたりする通知である。これに対する我々の反論は、MIVILUDESに「通報」を送る者が実在するという証拠はなく、ましてや真実を語っているという証拠もないということだ。我々は、このフランスの政府機関にナポレオン・ボナパルトによってサインされた「通報」を登録することに成功したアメリカの学者の事例に言及した。

2022年にMIVILUDESは、「通報」は身元確認が可能な「カルトによる」虐待の「レポート」ではないということを認めた。そこにはMIVILUDESと公的・私的主体との間のあらゆるやりとりが含まれていたのである。MIVILUDESが「カルト」に関して提供している情報は科学的に有効でも客観的でもないことは、いまや明らかであろう。

パリにおけるMIVILUDESに対する抗議
パリにおけるMIVILUDESに対する抗議。Twitterより

フランスで「カルト」を取り締まる法律を導入することは、専門的な機関を作ること以上に困難であることが判明した。いかにして「カルト」を識別し、合法的な宗教と区別することができるのであろうか? フランスの政治家はさまざまな専門家と協議したが、その中には本物もいれば自称専門家もいた。「カルト」に敵対するクリスチャンの中には、主流の宗教から異端であるとみなされている教義を公言している者たちを「カルト」と定義すべきであると提案する者もいた。しかし、これは明らかに世俗性の憲法原則に違反して、国家を宗教的教義の審判者に変えてしまうであろう。

出現した代替案は、反カルトイデオロギーの主要な教義を用いることであった。すなわち、合法的な宗教には自由意思によって入会するのに対して、「カルト」への回心は「精神操作」「マインド・コントロール」「洗脳」など、さまざまに呼ばれる神秘的なテクニックによってもたらされるというのだ。このフランス法の原案は厳しい禁固刑を伴う「精神操作」の罪を作り出した。

アメリカの学者J・ゴードン・メルトンと署名者たちは、“Pour en finir avec les sectes” (カルトに関する議論に終止符を打つ)という本を編集した。それは1996年に2巻目が出され、機関ならびに議会における論争で多くの人々によって引用された。

執筆者には新宗教運動の第一級の国際的な学者たちのほとんどが含まれており、彼らは20年間にわたる学者間の論争が導き出した結論は、「精神操作」や「洗脳」は存在しない、ということだと論じた。我々はまた、1990年にカリフォルニア連邦裁判所が下した「フィッシュマン」判決以降のアメリカの判例は、その他の国々(イタリアを含む)の決定も同様であるが、「カルト」によって行われているとされる「精神操作」の概念は疑似科学の領域に属するものであることを既に認めていると指摘した。

マッシモ・イントロヴィニエゴードン・メルトン
マッシモ・イントロヴィニエ(左)とJ・ゴードン・メルトン(右)は1996年に「カルトに関する議論に終止符を打つ」という本で論争に参加した。

我々の批判には、フランスの上級判事や閣僚を含む政治家たちが同調した。長い議論の末、「精神操作」に対するすべての言及を原案から削除することが決定された。

ところが、反カルト主義者たちからの圧力が続き、最終的には「精神操作」ではなく、「精神的依存の状態」に置くことによって「人の判断力を歪める効果のある技術」を有罪とする法律が2001年に成立した。ニコラ・アブ上院議員とカトゥリーヌ・ピカール下院議員(反カルト活動家でもある)が、これは批判された「精神操作」や「洗脳」とは違うものなのだと言って彼らの同僚の多数派を説得したのである。

この反セクト法の下では、これらの「技術」を用いた宗教運動のメンバーは3年の禁固刑に処せられ、リーダーは5年の刑となる。運動そのものは法的に解散させられるかもしれない。

この反セクト法は2001年に成立した。10周年を迎えた2011年に、新宗教を研究しているカナダの有名な学者スーザン・J・パーマーは、オックスフォード大学出版局から『フランスの新しい異端』という本を出版した。パーマーは反セクト法に対する国際的な批判を総括し、この法律がどのように執行されたかに関する詳細な研究の結果を発表した。彼女は2022年に提出された会議の論文でそれをアップデートしたが、結果は似たようなものであった。

手短に言えば、この法律は弱者には強く、強者には弱いということを彼女は発見した。それはいくつかの小さなグループ、そのほとんどが数十名の信者しかいないようなグループのリーダーたちに対して、「精神的依存の状態を作り出す技術」を用いたとして、有罪判決と禁固刑をもたらしたのである。反カルト主義者たちは、彼らが典型的な「カルト」として非難するサイエントロジー教会やエホバの証人のような組織をこの法律が破壊するだろうと宣言していたが、実際にはこれらの団体に対する執行が成功することはなかったし、数千名の信者を持つ大きな団体に対しては一つも成功しなかった。

スーザン・パーマー
2011年、スーザン・J・パーマーは法律施行の10年後にその影響について評価した。

これが起きた理由は、信用を失った「精神操作」の概念に言及することを避けるために、「精神的依存の状態を作り出す技術」という曖昧なカテゴリーが導入されたためである。これらの「技術」は「精神操作」や「洗脳」と同じであり、学者たちがこれらのカテゴリーに対して向けた批判を受けるものなのか、それともそれらが何であるかは不明確なのかのどちらかである。良い弁護士は、良い専門家の助けを受けて、反カルト法で言及されている「技術」を用いることは架空の犯罪に過ぎないことを簡単に証明することができる。ところが、力のある弁護士を雇ったり、有能な専門家と接触したりするだけの資産を持たない小さなグループに対しては、この法律は容易に執行することができるのである。

フランスの反カルト主義者たちは、彼らが「カルト擁護者」または「カルト」の用心棒であるとして非難する学者たちに対しては、反セクト法は効果がなかったという事実を非難した。実際、彼らはこうした学者たちは有罪であろうと無罪であろうとすべての宗教を擁護し、「カルト」は決して罪を犯さないと教条的に信じているのだと主張して、彼らの風刺画的なイメージを作り出した。

恐らくこうした学者は存在するのであろうが、私は一人も会ったことがない。それどころか、私の知っている学者たちは、一般的な犯罪を行う宗教団体と個人は、伝統宗教の一部(小児性愛者の司祭や、イスラムの名において行うと主張するテロリストなど)も新宗教運動も、起訴されて有罪判決を下されるべきであると断言している。一般的な犯罪には殺人、身体的暴力、レイプ、性的虐待などが含まれる。それらは「カルトであること」や「精神的依存を目的とする技術」のような架空の犯罪とは異なる。 現実の犯罪を行った宗教団体(および非宗教団体)と個人を起訴するのに、特別な法律は必要ない。特別な法律は宗教の自由に対する危険を作り出すだけであり、問題を混乱させることにより、現実の犯罪を起訴するのをより難しくするのである。反セクト法の20年間は、そのことをふんだんに証明した。それは失敗と誤りのモデルである。進歩はそれがフランスで廃止されることによってなされるべきであり、決して他国に輸出されることによってなされるべきではない。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。
https://bitterwinter.org/%E3%80%8C%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%88%E3%80%8D%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%BE%8B%E3%81%AF%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%8B%EF%BC%9F/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ07


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

安倍暗殺・統一教会への献金: フィクションから事実を分離する

09/03/2022MASSIMO INTROVIGNEA

メディアは、「被害者」は「霊感商法」によってだまされたのだという反統一教会の弁護士たちの非難を額面通りに受け取った。実際の話は違っていた。

マッシモ・イントロヴィニエ

7本の記事の7本目

渡辺博弁護士
安倍暗殺事件の後に行われた記者会見で、「霊感商法」を非難する反統一教会の弁護士・渡辺博。スクリーンショット。

フランス革命のテロは、約3万人の司祭、修道女、および一般のカトリック教徒たちの命を奪った。カトリック教会に反対する世論を煽るために、このテロの立案者たちは、彼らが常に効果的であると知っていた論法を用いた。お金である。数えきれないほどのパンフレット、新聞記事、風刺画によって、貪欲な司祭たちが法外な献金を要求して家族を破滅させている姿を見せたのである。

共産主義者のプロパガンダは、その教訓を学んで実行した。モンゴルが共産主義政権下にあったとき、約 6万人の仏教僧侶が殺された。政権はそれを大量のプロパガンダ用ポスターによって準備したのだが、そこには僧侶たちが、過重なお布施を要求することでモンゴルの人々の生き血を吸う吸血鬼として描かれていた。

モンゴルの漫画
虐殺に対する逮捕状:モンゴルの共産党員による「貪欲な」修道僧に反対するプロパガンダ。かつてモンゴルのウランバートルにあったが現存しない「政治的抑圧の犠牲者記念博物館」のコレクションより。写真提供マッシモ・イントロヴィニエ。

私たちはいま、安倍晋三の暗殺後、日本の統一教会・家庭連合に対して同様のプロパガンダが作用しているのを目撃している。暗殺者は、彼の母親が統一教会への献金によって破産したと信じていたため、統一教会を憎んでおり、教会の関連団体が主催したあるイベントにビデオを送り、もう一つのイベントにメッセージを送ったことを理由に、安倍を成敗したかったと主張している。

日本には、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」として知られる反統一教会グループがある。彼らは、数え切れないほどの日本人が、献金と統一教会によって法外な価格で販売された価値のない工芸品の購入によって破滅させられたと主張している。

「霊感商法」とは、1980年代に日本の反統一教会左翼メディアによって作られたレッテルである。ハッピーワールドという会社が日本に壺や多宝塔のミニチュアを輸入し、販売していた。それらを購入した人々の一部は、統一教会以外の小さな新宗教と関わりがあり、これらの工芸品には良い霊的エネルギーが吹き込まれていると宣言した。当然のことながら、ハッピーワールドはこれに満足し、価格を引き上げた。統一教会は壺や多宝塔を販売しておらず、それらの神秘的な力についての主張とは何の関係もなかった。しかし、ハッピーワールドを運営していたのは統一教会の信者で、収入の一部を統一教会に寄付していた。こうして彼らは、とりわけ1987年に敵対的な弁護士たちの協会が設立された後には、「霊感商法」の非難を受けるようになったのである。

1987年以降は壺や多宝塔の販売は停止したが、他の統一教会のメンバーは絵画、宝石、および日本では署名の代わりに使われる印鑑を販売する事業を行っていた。これらの印鑑は高価な材料を用いて精巧に作られていたが、通常よりも高い価格で販売されていた。それもまた幸運をもたらすと主張されていたからなのだが、これは日本においてはその他の工芸品においてもよく言われることであった。ここでも、これらの商品を販売していたのは統一教会ではなくその信徒たちであり、彼らはその収入の一部を教会に献金していたのである。

2000年には既存の訪問販売法が大きく改正され、その名称が「特定商取引法」に変わった。この法律は、販売契約を締結するために顧客を「威迫困惑」することを禁じるものであった。この法律に基づいて、印鑑を販売した統一教会の信者が拘留され、最終的には執行猶予付きの懲役刑が言い渡された。当時の日本教会の会長は、新しい法律とそれを尊重する義務について信徒たちに指導しなかったことに対する責任を認めた。彼は2009年に辞任し、統一教会は、印鑑などの「開運」商品を販売する事業を行っている信徒たちを指導して、2000年の法律を厳格に遵守するための新しい方針を採用した。

印鑑
日本における印鑑は一般的に高価な商品である。

敵対的な弁護士たちは、別問題である統一教会に対する献金に対しても、「霊感商法」というレッテルを用いた。彼らは、教会は献金を担保として、生きている者たちと他界した愛する者たちの永遠の救いを「販売している」と主張したのだ。彼らは、献金が高額である場合にはそられが「詐欺的で脅迫的な」手段によるか、献金する者の「自由意思」を剥奪する「心理的なテクニック」(信憑性を失った疑似科学である洗脳理論に危ういまでに近い概念)を用いて得られたものと推定すべきだという怪しげな原則を、いくつかの法廷を説得して確立することに成功した。

献金を捧げた者たちに対する感謝の印もまた、「霊感商法」で販売された商品と悪意をもって混同された。一部のカトリック組織では、重要な献金を捧げた者が教皇のサイン入りの本や賞状を受け取ることがある。明らかに、彼らは高額を支払ってその賞状や本を「買っている」のではない。本や賞状は、献金に対する教会の感謝の念を思い起こさせるための象徴に過ぎないのである。

弁護士たちは、「カルト」というレッテルを貼られたグループに反対するキャンペーンが繰り返し語ってきた作り話に頼った。彼らは、主流の宗教と共通する点があるものを、独特な習慣であると指摘する。カトリック教会は、死後の魂の多くが天国と地獄の間の一時的な状態である煉獄に行くと信じている。煉獄で過ごす時間は、その人の親戚や友人による祈祷、司祭に敬意を表するミサ、および献金によって短縮することができる。実に、マルチン・ルターがローマ教会から分離した理由の一つは彼がカトリックの贖宥状(免罪符)の教義を嫌ったからであり、それが献金によって自動的に煉獄での期間が短縮されるかのように教えていたからである。仏教の教団にも同様の教えがあり、亡くなった親族のより良い転生や恐ろしい八寒地獄からの脱出を、お布施と結びつけている。

免罪符の版画
ヨルグ・ブロイ・ザ・エルダー(1475-1537)免罪符の販売

何百ものプロテスタント教会が聖書の十分の一の献金を支持し、信徒に対して収入の10%を献金するよう求めている。十分の一献金は、強制ではなく可能性として提示されているのであるが、それは統一教会でも同じである。統一教会にはまた、30の倍数にあたる金額を4年間にわたって献金するといった固有の習慣があるが、それはユダが銀貨30枚でキリストを裏切ったことに対して、人類が連帯的に責任を負っていることを認めているからである。

原則として、統一教会の献金に関する神学は、カトリックやプロテスタントのそれと驚くほどよく似ている。日本の法廷はそれを認識し始めているが、それはいまは献金を捧げた者たちが、自分は自由意思に基づいて献金したこと、すべての意味あいを理解していること、そして将来統一教会を訴えないことを述べた公証の合意書にサインしているためでもある。2021年に家庭連合は献金に関わる訴訟で一つ敗訴しているが、他の二つは勝訴している。そのうちの一つで東京地裁は、原告が証拠を改ざんしたことを突き止めた。

この問題は、突き詰めれば神学的であり哲学的なものだ。信じる者にとっては、献金は深い霊的経験であるかもしれない。無神論者や、統一教会のような団体は「本物の」宗教ではないと信じている人々にとっては、どんな警告も十分ではなく、献金が自由で合理的な選択の成果として認められることがあってはならないのである。

以上の記事のオリジナルは以下のURLで見ることができる。
https://bitterwinter.org/%e5%ae%89%e5%80%8d%e6%9a%97%e6%ae%ba%e3%83%bb%e7%b5%b1%e4%b8%80%e6%95%99%e4%bc%9a%e3%81%b8%e3%81%ae%e7%8c%ae%e9%87%91-%e3%83%95%e3%82%a3%e3%82%af%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%81%8b%e3%82%89%e4%ba%8b/

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BITTER WINTER家庭連合関連記事シリーズ06


信教の自由と人権のための雑誌「BITTER WINTER」がインターネット上で発表した家庭連合関係の記事を紹介する連載。これらの記事を書いたマッシモ・イントロヴィニエ氏はイタリアの宗教社会学者で、1988年にヨーロッパの宗教学者たちによって構成される「新宗教研究センター(CESNUR)」を設立し、その代表理事を務めている。これらの記事の著作権はマッシモ・イントロヴィニエ氏にあるが、私が日本語訳を担当したこともあり、特別に許可をいただいて私の個人ブログに日本語訳を転載させていただくことなった。昨年7月8日に起きた安倍晋三元首相暗殺事件以降の日本における家庭連合迫害の異常性を、海外の有識者がどのように見ているかを理解していただくうえで大変有益な内容であると思われたので、私の個人ブログでシリーズ化して紹介することにした。

安倍暗殺:「カルト」という言葉は差別の道具である

09/02/2022MASSIMO INTROVIGNEA

日本における反統一教会キャンペーンは、不人気のマイノリティを差別するために「カルト」というレッテルを用いる酷い例の一つである。

マッシモ・イントロヴィニエ

7本の記事の6本目

日本における差別に抗議する韓国の統一教会・家庭連合のメンバー
日本における差別に抗議する韓国の統一教会・家庭連合のメンバー

2014年6月6日、日本の首相である安倍晋三はバチカンで教皇フランシスコを訪問した。彼は17世紀日本の「秘密の鏡」のレプリカを教皇に贈呈した。それは一見普通の鏡に見えるが、太陽の光を遮るように傾けると、イエス・キリストの像が現れる。この頃の日本の切支丹たちはこの秘密の鏡を使わなければならなかった。なぜなら、もし彼らが切支丹の像やシンボルと共に捕まったなら、彼らは処刑されたからだ。安倍は16世紀から17世紀にかけての迫害の期間中、五千名以上のカトリックの信者たちが日本で殺されたことに関して、カトリック教会に謝罪した。彼らの多くがはりつけにされた。

1829年に至ってもなお、3名の女と3名の男が、切支丹という「邪宗」の信者であり(おそらく彼らはそうではなかった)、黒魔術を使って信者を獲得した罪により、大阪の街を引き回しにされ、はりつけにされた。

キリアンの版画
1597年に長崎ではりつけにされた切支丹たち。ヴォルフガング・キリアン(1581-1663)による版画

安倍の謝罪は称賛に値するが、遠い昔の残虐行為について語っているかのように見えるであろう。いや、多分違うかもしれない。ジェームズ・T・リチャードソンやウー・ジョンキンのような学者たちは、西洋で魔女が火あぶりにされたり、王朝時代の中国や日本において「邪宗」が血なまぐさい迫害を受けたりしていた時代と、事態はそれほど変わっていないのだと書いている。唯一変わったのは、黒魔術が世俗化されて洗脳になったことであろう。それは、「カルト」が神秘的な心理テクニックを用いてその信者たちを言いなりにするという、疑似科学的な概念である。

皮肉なことに、安倍は日本において切支丹が黒魔術を使う「邪宗」として迫害されたことに対して謝罪したのであるが、彼の暗殺は、統一教会・家庭連合に対して現代版の黒魔術である洗脳によって献金を手に入れる「カルト」というレッテルを張り、「カルト」全般に対する弾圧を訴えるために用いられているのである。これらの主張を支えている歪んだ論理は、安倍の暗殺犯が統一教会を憎んだのは、彼の母親が20年前に教会に高額の献金をしたためであるという事実に基づいている。教会に関連する組織のイベントに安倍がビデオを通して参加したことを理由に、彼は安倍を成敗するために殺したというのだ。暗殺者を非難するのでもなく、また彼を刺激した反統一教会キャンペーンを非難するのでもなく、論理と公正性を見事なまでにひっくり返して、被害者たちは裁きにかけられている。

しかし、「カルト」とは何であろうか。宗教学者の大多数は、カルトは存在しないという考えで一致している。「カルト」とは、強力な圧力団体が、理由は何であれ、彼らが嫌っているグループを差別するために用いるレッテルに過ぎないのである。これは昔からそうだったわけではない。「カルト」およびラテン語の「セクタ」に由来するフランス語の「セクト」(この言葉は「セクト」ではなく「カルト」と英訳される)のように、他言語においてそれと機能的に同じ意味を持つ言葉は、20世紀初期の社会学においては正確な意味があった。それらは、全員もしくは大部分のメンバーがその信仰の家庭に生れたというよりは、大人になってから改宗したような、若い宗教を意味したのである。初期の社会学者たちによって用いられた例は、イエスと使徒たちは全員が生まれつきクリスチャンだったのではなく、ユダヤ教から改宗した者たちだったので、「カルト」の一員だったというものである。何世紀か経って、生まれつきのクリスチャンたちが大多数を占めるようになり、キリスト教は「カルト」(あるいはフランス語の「セクト」)から「チャーチ」へと進化したのである。この用語を用いた学者たちは彼ら自身がクリスチャンであり、明らかに「カルト」という言葉は彼らにとって否定的な意味合いを持っていなかった。

フランスの新聞
フランスのメディアに典型的にみられる「カルト(セクト)」についてのセンセーショナルな報道

しかしながら、20世紀が経過するなかで、いくつかの古い先例と共に、新しい科学である犯罪学が、「カルト」という言葉をまったく違った意味で用い始めた。「カルト」は、組織的な犯罪を行ったか、あるいは将来犯罪を行いそうな宗教団体となった。この「カルト」の意味は、江戸時代の日本において切支丹を迫害してはりつけにするために用いられた「邪宗」という表現に似ている。それはまた混乱を引き起こした。1960年代の社会学者はイエスと使徒たちは「カルト」の一員であったかと尋ねられれば、伝統的な社会学のカテゴリーに基づいて、そうだと答えたであろう。しかし、この言葉の犯罪学的な用法がメディアまでも征服してしまったために、そう言えば初期のクリスチャンたちが誤解され、犯罪者のレッテルを貼られてしまうというリスクが生じたのである。

このため、少なくとも1960年代には、英国の社会学者アイリーン・バーカーに代表される国際的な宗教社会学者たちは、「カルト」という言葉を放棄して、「新宗教運動」という言葉を、大多数のメンバーが第一世代の改宗者であるような新しく創設されたグループに対して用いるようになったのである。彼らは犯罪学者たちの使用する「カルト」の用法を承知しており、宗教の名のもとに日常的に犯罪を行うグループの存在を否定しなかった。しかしそれらは「新しい」宗教のみならず「古い」宗教伝統の中にも存在したのである。例えば小児性愛者のカトリック司祭のネットワークや、イスラムの名前を使用または誤用するテロリストなどである。「カルト」という言葉は混乱を引き起こすだけなので、彼らは他の表現を採用したのであり、その中には署名者によって示唆された「犯罪的宗教運動」という言葉も後に含まれるようになった。

アイリーン・バーカー
アイリーン・バーカーは、彼女が1984年に出版した統一教会への回心に関する著作によって、「カルト」は信者を回心させるために「洗脳」を用いるので「宗教」とは異なるという理論の誤りを暴いた。

犯罪的宗教運動とは、組織的に犯罪を行うか、少なくとも身体的暴力、レイプ、児童虐待、殺人などの一般的な犯罪を扇動するグループを指す。1960年代後半以降、活動的な「反カルト」団体が出現し、「カルト」の活動を制限するよう呼び掛けるようになった。彼らは「カルト」を殺人や性的虐待などの一般的な犯罪を行うグループではなく、架空の犯罪である洗脳という罪を犯すグループであると定義した。「洗脳」という言葉は冷戦時代にCIAによって造られた言葉で、それは中国の毛沢東主義者やソビエトによって用いられたとされる、「普通の」市民をほとんどあっという間に共産主義者に変えてしまう神秘的なテクニックのことを指している。それが後に「カルト」に適用されたのである。1990年までに、この言葉は特定の団体を差別するためだけに用いられる疑似科学であることが宗教学者たちによって暴かれ、少なくとも米国においては法廷で否定された。

安倍暗殺はいまや、洗脳や、悪い「カルト」はよい「宗教」とは違って、精神操作によって信徒や献金を集めているという無用な議論を蘇らせるために使われている。ヨーロッパにおける魔女狩りや、安倍が謝罪した日本における切支丹迫害のときに起きたのとまったく同じことが起きているのである。黒魔術(洗脳はそれを世俗化したバージョンに過ぎない)や「邪宗門」をはたらいたという非難は、その非難を受けた者たちを非人間化し、差別し、迫害するようになる。今日、その番は統一教会に回ってきた。それは明日には、敵対する圧力団体がメディアに対して「カルト」であると説得することが可能な、どんな宗教にも回ってくるかもしれないのである。

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